ある日の始業式② 2高2
昨年度疾患した病(?)が週末に再発し、再び入院しておりました。
なので、投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
ピンポ~ン♪
「あ、来た来た。じゃ、雪ちゃん行こっか。」
「うん!」
リビングで朝の最後の時間を雪ちゃんとまったり過ごしている時に、インターホンの鳴る音が響いた。
そしてそのインターホンを鳴らした主が誰なのかはリビングにあるモニターで確認するまでもなく、私と雪ちゃんは分かっているんだ。
でも一応モニターの方はチェックをしとくの。
これはチェックしとかないと未確認扱いになって、ランプがチカチカと点滅をしてる状態にずっとなってしまうから。
ソファーから降りてモニターまで近づいて確認をすれば、そこに写っていたのは予想通りの女の子だった。
ガチャ♪
「おはよう、茜ちゃん。」
「あかねおねーちゃん、おはよー!」
「おはよう、このはちゃん。雪ちゃん♪」
玄関を開ければ、眩しい朝日と共に笑顔満開の茜ちゃんの姿がそこにあった。
「久しぶりだけど、時間もぴったりだったね?」
「うん。でも本当はもっと早くに来ちゃいそうで、これでも抑えてたんだよ?久しぶりだったから嬉しくてさ、早く家を出たくて必死に我慢してた。」
「そっか。まぁ···冬休みはあまり会えなかったから、それも仕方ないか。」
そう。
今年の冬休みはあまり茜ちゃんとは遊べてなかったんだよね。
冬休みの茜ちゃんは日中はアルバイトを入れてたし、年始のお店がお休みの時はお互いに実家の方に顔出しとかそういう予定が入っていたから。(私は父方の方の実家には行ったの)
だから短い時間ではちょこちょっと会えてたりはしたんだけど、長い時間遊んで過すというのは無理だったんだ。
「雪ちゃんの今日のお洋服も可愛いね。」
「うん!もこもこなのー♪」
「もこもこ? ······ああ、なるほど。そういう事ね。良かったね、雪ちゃん。温かい?」
「うん!温かいよ〜♪」
屈んで雪ちゃんの頭を撫でた茜ちゃん。そして嬉しそうな雪ちゃん。
これも普段の朝の光景なんだけど、そこで雪ちゃんの服装を茜ちゃんが褒めた事で『もこもこ』と言う変なワードが飛び出したの。
一瞬キョトンとした茜ちゃんだったけど、直ぐに雪ちゃんの言いたい事が分かったみたいだった。
『もこもこ』
雪ちゃんの伝えたかったコレは、見た目がもこもこしてる事ではないんだよね。
外ではなくて内側、服の裏側が裏起毛でもこもこしてるって言いたかったんだ。
だからその後の「暖かい」という言葉に繋がったんだよね。
私は幼稚園でよく遊んだりして動く雪ちゃんに、寒いとは言えあまり重ね着とかして動き辛くとかはさせたくないの。
それに遊びや運動で身体を動かせば当然温かくなるし、それで熱くなれば冬場とはいえ服を脱ぐことも考えられるからね。
だから寒いからって極端に着せたりはせず、でも暖かさをキープ出来る裏起毛の服というのは凄く重宝するんだよね。
それを簡単に着たり脱いだり出来る様な服だと尚更で。
勿論、私もこの手の服は愛用してる。というか、必須だよね。
だからきっと、茜ちゃんも直ぐに察してくれたんだと思う。
「さて·····。そろそろ行こっか?」
「そうだね。行こうか。」
朝の戯れも程々に、私は学校に向かう事にしたの。
こういう時間も楽しいからずっと続けていたいけど、いつまでもこうしてら遅刻もしちゃうからそういう訳にもいかないしね。
「じゃ、雪ちゃん。ママ達行ってくるね。」
「うん、いってらっしゃ~い、ママ。あかねおねーちゃん。」
「また後でね、雪ちゃん。」
雪ちゃんに行ってきますの挨拶をして家の中に入ったのを確認後、お母さんにも一声掛けてから出発です。
「久しぶりの自転車は流石に寒いね······。」
「あ〜···そっか。このはちゃんは2週間ぶりくらいになるんだっけ?自転車。」
「そうそう。車に乗ると自転車って乗らなくなっちゃうからね。」
茜ちゃんと2人、久しぶりの自転車を漕ぎながらそんな感想がつい出てしまったんたけど、実際にそうなんだよね。
冬休みに入るまでは通学に毎日乗ってたけど、それがなくなると日常の移動は車中心になるの。
繁華街とかが近いとかなら自転車でも行けるけど、私の家のある地区は真反対の場所だからさ、自転車で行ける所ってなると近場のコンビニくらいしかないんだよね。
そのコンビニも普段はスーパーでの買い物で済んじゃうから、殆ど行くこともないし······。
「でも···茜ちゃんも寒い中頑張ってたね。アルバイト。」
呼吸する度に出る、白い呼気。
それが現れるという事はそれだけ気温が低い事を物語ってるんだけど、それを視界に収めつつ、私の隣で自転車を漕ぐ茜ちゃんに問いかける。
「うん。まぁ···こういう時じゃないと沢山出れないからね。普段はどうしても週末限定になっちゃうからさ。」
「茜ちゃんの場合、帰っても家事をやらないと行けないから必然的にそうなるよね······。」
「そうなの。でも今回はそれで良かったよ。それなりに出れたからさ、そこそこ稼げたし······まぁ、このはちゃんと遊べなかったのは残念だけどね。」
そうなんだよね。
今回の休みで茜ちゃんとあまり会えなかったのは、そういった理由があったんだ。
普段だと学校から帰った後にご飯の支度とか家事をやらないといけないから、アルバイトが出来るのがどうしても休日になっちゃうんだよね。
そしてこの冬は休みなのを利用して、日中にシフトを入れてた。
またお正月特有の実家に行くという様なのもあるから、余計に会えかなったんだ。
「ても、ほんと良く頑張ったね。身体、無理してない?」
「大丈夫だよ。長くても5時間くらいだったし、マスクとかもきちんとしてたからね。心配してくれてありがとう、このはちゃん。」
大丈夫とは言ってくれてるけど、それでもやっぱり心配はしちゃうんだよ。
スーパーの中で1番混雑する、あの年末の混み具合を見ちゃうとどうしてもね······。
「でもさ頑張ったっていうと、葵ちゃんもでしょ?何だか随分と気合が入ってるみたいだったけど·····?」
「あぁ···そうなんだよね。今まではこういう素振りがなかったから私も驚いたんだけど、でも、頑張るって言ってくれたから私も嬉しくてね〜♪ 取り敢えず今は、学年末テストに向けて頑張ってるよ。」
葵の勉強について私は茜ちゃんには話ししてないのだけど、この2人は結構仲良くなってLI◯Eとかも交換したらしいんだよね。
それを通して茜ちゃんも知る事になったのだけど、やっぱりというか心配もされてるね。
「そっかー。でも、このはちゃんの教えならきっと大丈夫だよ。私達もそうだったんだしね。」
「そういうものかな〜??」
そうは言われても、勉強を始めてまだ数日だから何とも言えないよね。
それに茜ちゃん達は茜ちゃん達のやる気と頑張りがあっての結果だから、葵もそうなるとは限らないし·····。
でも私としては葵にもそうなって欲しいなって想いはあるんだけどね。
ま、こればかりは焦らず少しずつやっていこうと私は思う。
ーーーーーーーーー
「このはちゃーーん♪」
「おっはよー!このはちゃん!茜ちゃん!!」
「元気だったーー?」
「会いたかったよぉ〜〜。」
「おはよー♪皆。」
「皆も元気そうでなによりだよ。良かった良かった♪」
茜ちゃんと話をしながら一緒に学校へ向かい、無事に到着。
そしてそこから一緒に教室の中へ挨拶をしつつ入ったら、早速皆から囲まれてしまったよね。
これには私も茜ちゃんも苦笑したの。
それは廊下を歩いてる時に「教室に入ったらこのはちゃん、皆に囲まれちゃうんじゃない?」なんて茜ちゃんに言われたんたけど、その通りの展開になってしまったからね。
扉を開けて挨拶をした瞬間に皆がワーッて集まってきて、もうわちゃわちゃ。
ほんと、これには苦笑しかないけど、でも···嬉しいんだよね。
「このはちゃーん!会いたかったよ〜」
「わっ! さ、咲夜ちゃん!?」
皆に囲まれてる中でカバっと抱きついて来た子がいたから誰かと見てみれば、それは咲夜ちゃんだった。
「もうね〜、2週間は長いのー。会えないのは寂しかったんだから······。」
「えぇ〜!?それ言ったら私もだよー?」
「私も!」「うちも!!」
咲夜ちゃんの言葉を皮切りに次から次へと、寂しかっただの会いたかっただのと皆の言葉が続いていくの。
まぁ、冬休み中もLI◯Eを通してやり取りはしてたけど、こうして直接会うというのはなかったからね。
近場の茜ちゃんですら夕方とかに少しだけって感じだったし、それもほんの数日だけ。
だから住まいが他地区の皆には、修了式以来会ってはなかったんだ。
「冬休みは他の休みとはちょっと違うからね。会えないのも仕方ないけど·····今日からはまた一緒に過ごせるからさ、楽しくいこ?」
「うん。」
「ねーねー、このはちゃん。私達は?」
「そうそう。さっちゃんにするのもいいけど、私達にもして欲しいな〜?」
「お願い!このはちゃん。」
「んー······じゃあ、この場では無理だから、後日タイミングをみながらでいいかな?」
「「「うん!」」」
「オッケー♪」
「してもらえるなら、いつでも待つよ!」
誰か1人をすると皆もしなくてはいけなくなるそれ。
1人じゃ怖いけど皆となら怖くないという、あの心理が働くのかどうかは分からないけど、でもこういう所が皆にはあるんだよね。
これが咲夜ちゃんじゃなくて茜ちゃんだったなら恐らくこうはならなかったんだろうけど、まぁそれはそれかな。
それに咲夜ちゃんの気持ちも分からなくはないからね。
「もう大丈夫?咲夜ちゃん?」
「うん。急に抱きついてごめんね、このはちゃん。」
「そんなに気にしなくてもいいよ、咲夜ちゃん。まぁ······驚いたのは間違いないけど、嬉しいっていうのも分かるからね。」
ポンポンと背中を軽く叩いて咲夜ちゃんの了承のもと、私から離した。
その時ちょっと残念そうな表情をしてたけど、いつまでもそうしてる訳にもいかないからね。
「じゃぁ、取り敢えず·····荷物置かせてもらってもいいかな?」
「「「!!?」」」
「ああ!? ごめんごめん!このはちゃん、茜ちゃん!!」
「そ、そうだったよね。こんな入り口でアレコレしちゃってゴメンナサイ。」
「そこまで畏まらなくても大丈夫だよ。私もこのはちゃんもある程度は予想してたから······。」
「そうそう。まぁ·····咲夜ちゃんが来たのには驚いたけどね。」
「「「「あはははは······。」」」」
私達の言葉に苦笑いをする皆。
でも、本当に驚きはしたんだ。
茜ちゃんが言うようにある程度は予想してたの。教室に入ったら皆が一斉にくるよね?って。
実際にそれは当たってたけど、咲夜ちゃんが抱きついてくるとは流石に予想はしてなかったけど······。
なにはともあれ無事に皆とも元気に再会して、まずは一安心です。
パッと見で今の所、怪我をしてるだとか病気等でお休みって言う子はなさそうなので。
そんなに重くない鞄を置いて腰掛けて、あとは先生が来るまではこのまま皆とおしゃべりかなと思う。
冬休みにあった出来事なんかをお互いに話しながら楽しく、時には笑ったりしながら過ごす。
休み明けのよくある光景だけど、それもまたいいものだよね。
ーーある男子 視点ーー
「なぁなぁなぁ。俺らは一体何を見せられてるんだ?」
今、俺達の目の前で行われてる光景を見ながらポツリと一言、心に思った事が漏れてしまった。
それに対して一緒にいた友人達も反応をしてくれたが·····。
「まぁまぁ······そう言うなって。」
「そうそう。あれはあれでいい光景じゃん?寧ろ目の保養になる。」
「だな!!」
「まぁ、そうなんだけどな······。」
言わんとしてる事は俺も分かる。
少なからず俺もそう思ってる部分もあるからな。
目の前で展開されてるそれは、登校してきた鈴宮さんにうちのクラスの女子達が群がってる事。
そしてその内の一人の女子が抱きつくという、もうこのクラスではある意味で馴染みの光景だった。
それ故に俺達男子もそんなに動じる事はないが、他のクラスの連中が見るとかなり驚くんだよな。ついでにかなり羨ましがってたりもする。
そんな光景がまさか始業日の初っ端から展開されるとは思わなかったけど。
「あれはいつ見ても気持ち良さげだよなー。」
「あぁ、分かる分かる。同性だから許されてるのもあるだろうけど、でもやっぱり羨ましいよな······。」
「あぁ···ほんと、その通りだ。これが夏ならもっと良かったのにな·····。」
「お前···それ、絶対に女子達に聞こえない様にしろよな?」
「大丈夫だ。その位は理解してるよ。」
下心丸出しの友人達の発言。
まぁ気持ちは俺だって凄く分かるけどさ、だけどそれを口に出すのはまた違うよなーと思うんだよな。
だから敢えて忠告したのだけど、果たして分かっているのだろうか?
いや、分かってはいるか。
俺達は普段、あれ程鈴宮さんにお世話になってる身だからな。
勉強の事に関してもそうだし、文化祭を始めとした各行事のまとめ役や調整等、全ての事を鈴宮さんに助けられている。
そんな鈴宮さんがいるお陰で今の俺達やこのクラスがあるんだ。
そんな彼女に対して下心を持って見てしまうのは大変に失礼な事だと思ってはいるけれど、やっぱり男だからな、俺達は······。
最初の頃と比べればかなり慣れて来た方だけど、でもあんな光景を見せられれば反応はしてしまうよ······。
女子が抱きついて、その顔の行き先は鈴宮さんの胸元。
今はブレザーを着てるから然程分からないが、これが夏場の薄着ならその豊満な胸元にぽよん♪と埋もれるのが見えなくもないんだ。
それを分かっているから、この友人の発言だった。
因みにこれは、このクラスの男子皆が共通して知っている。
まぁ···女子側もそれを理解してて、もしくは自分へのご褒美として敢えてやっている節もありそうな感じはしてるんだけど······。
「「「「成人式〜〜?!」」」」
「「何だ何だ??」」
「成人式??」
教室の入り口でキャッキャしてた鈴宮さん達が席に着いて、そこでまた話をしてるなーとチラチラと見ながら過ごしてた矢先に、その女子達から揃って『成人式』なんてワードが飛び出した。
「成人式って、あの成人式だよな?」
「それ以外に何があるんだ?」
「だよなー······?」
頭に?マークを浮かべる俺達。
だって俺達と成人式って特に何もないはずじゃん。それは同じクラスメイトである女子達もそうだし······。
だから女子達もあの驚きを含んだ感じの声になったんだろうから······。
そんな理由で女子達に注目する俺達。
見渡せば同じ様な理由なのか、他の男子達も彼女達に注目してる。
「今度の連休の時にね、私の成人式があるのよ。皆、忘れちゃった?」
「あぁ、そっか! このはちゃん20歳だもんね。」
「そうだった。学校にいるからつい私達と同じだと思っちゃうけど、このはちゃんは私達よりもお姉さんなんだもんね。」
聞こえてきた女子達の会話。
そうだった······。
鈴宮さんは俺達よりも年上のお姉さんだったんだよな。
俺も女子達の話を聞くまで忘れてたけど、たしか以前にそんな話を鈴宮さんから聞いた覚えがあったわ。
「鈴宮さん、成人式なのかー····。」
「俺もすっかり忘れてたわ。鈴宮さんって20歳だったんだよな······。」
「だな······。だから俺達より落ち着きがあって、しっかりとした姿があるのかな?」
友人達もその事を忘れたらしい、鈴宮さんの歳の事。
俺達よりもお姉さんで母親をやってて。
だからなのか、うちのクラスの皆をしっかりと纏めてくれて導いてくれるのかな?
そしてそんな鈴宮さんに俺達皆は惹かれてついて行く。
まぁ時たまやたらと可愛く見える時もあるけれど、そういう姿を見るのは本当に稀だけど。
「どういう着物着るんだろうな?」
「確かに·····。でも鈴宮さんって何を着ても似合いそうだから、選ぶのは苦労しそうだよなー。」
今度は皆でどんな着物を着ていくのだろうか?と、アレコレ妄想しながら楽しむ俺達。
でも実際に彼女は何を着ても似合うだろうと俺は思ってる。
女子の平均よりは恐らく高い身長に、そのプロポーション。
胸は大きくて足も長く、綺麗。背筋もしっかりとしてるから歩いてる姿も様になってる。
そしてあの唯一無二の、あの容姿があるからな。
だからきっと何を着ても似合うと俺は思うんだよ。
だってそもそも20歳で高校の制服を着るというのは無理がありそうな感じがするけど、鈴宮さんにはそれがないからな。
それは他のクラスの連中や上級生や下級生、この学校の生徒達の反応を見れば分かるんだよ。
年齢を知らない彼ら彼女らが何の違和感も持ってないから······。
「見てみたかったなー······。」
「だな。俺も是非見てみたいけど会場に行くわけにもいかんからなぁ·····。」
「どうしたもんだかな········。」
どんな装いで?と妄想をすれはするほど、今度は実際に見てみたくなるというのが男の性って言うものなのか······。
「う〜〜ん·······悩ましい·······。」
結局それは先生が来るまでには見つからず、その後暫くはその状態が続いた俺達だった。
2年3組。
3学期も平和にスタート出来て何より······だな。




