ある日の冬休み① 高2(挿絵有り)
「お姉ちゃ〜〜ん!」
「どうしたの?葵??」
風もなく穏やかな日差しに恵まれた、冬休みに入ったある日の午後。
私の部屋の扉がコンコン♪とノックされて、続いて妹の葵の声がした。
「宿題をさ〜、ちょっと教えて欲しいんたけど、いいかなー?」
「宿題? うん、いいよ。」
「ありがとー♪流石お姉ちゃん。頼りになるー。」
応答を返したらガチャッと扉を半分開けて、顔だけを覗かせている葵。
何かな?と思えば宿題を教えて欲しいとの事だったのだけど、私はそれを二つ返事でOKしたの。
だって可愛いい妹の頼み事だからね。
それに私の方もそんなに忙しいという訳でもないから、葵のをみてあげつつ並行にやれば問題ないから。
「で、どこでやる?私の部屋だとやり辛いから、葵の部屋かリビングになるけど?」
「う~ん······そうだねぇ······。あ、そういえば雪ちゃんはどうしたの?」
「雪ちゃんはお母さんと一緒に買い物に出かけてるよ。お父さんはお仕事だね。」
「そっか···。じゃあ、リビングにしない?コタツもあるし、足元は温かい方が楽だからさ。」
「オッケー。じゃあ、そっちに荷物持って行くね。」
場所が決まれば荷物を纏めてそちらへと移動するだけ。とは言ってもそんなに物はなくて、ノートと筆記用具くらいなんだけどね。
なんで移動かというと葵に勉強を教えるにあたって私の部屋だと机の構造的に2人はやり辛いんだよね。
普通にやるだけなら出来なくはないんだけど、特に今回みたく教えるってなるとちょっと······となって、選択肢として葵の部屋かリビングとかってなるの。
葵の部屋は以前に千紗ちゃん達が勉強会で来てた事もあったように、座卓が置いてあるから勉強を一緒にやるには向いてはいるんだ。
ただコタツ仕様にはなってないから、足元にブランケットなりを使わないとエアコンだけだとちょっと物足りなさがあるんだ。
その点リビングは座卓がコタツ仕様になってるから丁度良いの。
おまけに今は雪ちゃんとお母さんがお買い物に出てて不在で、お父さんは普通にお仕事。
そういう訳でリビングで勉強をするには今の時間はうって付けであるんだよね。
因みに雪ちゃんは私がいなくても、お母さんと普通にお出かけは出来るんだ。
普段はママっ子な雪ちゃんだけど大きくなってきたからか、そういう事も出来る様になって、私としては嬉しいような寂しいような複雑な気持ちだったりもするけれど、これも成長の証なんだなと思えばやっぱり嬉しくなるんだよね。
そんな私もこのタイミングを利用してある程度片付けてしまおう!ってさっきまで課題をやってたんたけど。
「で、葵。どの辺りが分からないの?」
「えーと······ここのこれと、これの計算とかその辺りが······。」
「ふむふむ·····なるほど···。ここをやるにあたって、葵的にはまずどういう風にやるといいと思う?」
「んーとね·····先ずはここから·········。」
教えるにあたり、まずは葵がどの様に考えて解こうとしてるのかを聞いてみる事にした。
それを聞いてみないと、何が違って解けないのかが分からないからね。
解けないと言う事はその計算式が間違ってるとか、その前提になる物が理解できていないだとか、いつくか考えられる事があるからそれを確認するの。
それを確認した上で私は葵に教えていく。
これは私のクラスメイトにもやってる事と同じで、其々で理解出来てる範囲が違うからそこを確認した上で一つ一つ丁寧に前提になる物を理解・習得して次に進める様にと······。
「なるほど〜·····そうなるのか·····。」
「うん。それでやってみてごらん。それで躓いたらまた教えるから。」
「うん。」
素直に頷いて再び取り組み始めた葵。
そんな葵を見つめながら、今後どうしようかな?と悩む私。
以前の時もそうだったけど、葵は私と違って勉強があまり好きではないんだよね。
やる気を出すと出来る子なのは知ってるんだけど、身体を動かしたり流行のものを楽しむといった事が好きな、ごく普通の女子高生で。
かたや私は時間さえあれば黙々と勉強をしていられるタイプで、流行りのものとかはあまり興味がなかったりするんだ。
例えばインスタとか動画サイトを見るとかいった物とかね。
そういう意味で私と葵はタイプが逆なんだ。
だから面白いよねって思う。姉妹でこれなんだから。
で、そんな葵なんだけど私としてはクラスの皆と同様に、勉強を教えてあげたいなと常々思っているの。
ただクラスの皆はやる気に満ちてるけど葵はそこまででもないから、そこが悩みなんだよねぇ······。
やる気があれば何でも伸びるとは思うけど、そうでもなければ効果もあまり見込めないし······。
「お姉ちゃんのそれ、凄いね·····。」
「ん?何が??」
「いや···お姉ちゃんが今やってるその課題だよ。それって絶対に私がやってるのより難しいやつだよね。」
「うん。葵のやってる所よりもっと先の箇所になるね。でも、私の学校と葵の学校ではタイプが違うんだから仕方ないよ。」
葵に教えてあげたりしつつ私が並行してやっているのは、私の冬休みの課題の問題集。
その問題をチラ見した葵が自分のとだいぶ違うことに気付いたみたいで。
まぁ実際には学年は一緒だけど、内容は結構違うんだけどね。
これは学校のタイプとかコースとかが違うから仕方ないの。
学校そのものでも普通科とか工業、農業、商業高校とかってあるでしょ。
そういった専門的な事を学ぶ学校はそれを学ぶ為に基本教科の時間を減らしたり、またはしない場合もある。
私達は進学系のコースだから基本教科がみっちり(最低でも週5時間)あるし、音楽や美術といった教科はほぼない。
逆にコースや科目とかが違えば国語や数学、英語と言った教科は週3時間くらいで、代わりに工業系や商業系の分野を学ぶ。
そして資格の習得を目指す。
そう言った差があるから、今やってる数学だったり英語といった分野で同じ学年でも内容が違うのは仕方ないんだ。
「でもさ〜、それでもそれだけテキパキと早く解いていくんだから凄いよね。何でお姉ちゃんってそんなに出来るの? 努力してるのは知ってるけどさ······。」
「何でって言われてもねぇ········難しい質問だね·····。葵も私が勉強するのが好きなのは知ってるし、その理由も知ってるからあれだけど······。」
「雪ちゃんの為に、でしょ?」
「まぁね。大元の理由はそうだね。 そしてそれは今も変わってないけど、楽しいって思う気持ちもあるよ。」
「楽しいの?勉強が??」
信じられない!って顔をしてる葵。
でも実際にそうなんだから仕方ないよと思う。
「始めの頃は必死だった。雪ちゃんを産みたいから、一緒に過ごしていきたいから。普通じゃない妊娠をして、14歳で産んで。そんな親を持った雪ちゃんが辛い想いをしないように、少しでも立派な親になれる様って頑張って······。」
昔を懐かしがる様に思い出しながら、葵に話す。
あの頃は色んな意味で必死だったなーって。
「で、やっていくうちに楽しくなってきたの。分かりやすい例でいくと料理で初めの頃は下手だったよ。野菜を切るのは不揃いだし、味付けだって濃かったり薄かったりして。でもやってるうちに段々と出来る様になって、今では葵だって美味しいって喜んでくれるでしょ。」
「うん。そうだね。」
「そういうのがあって嬉しく感じるから、次はもっと美味しく作ろう、アレも作れたらいいなって覚えようとしたりするの。そしてソレは勉強も同じ。今まで分からなかったりして出来なかった問題が出来る様になるのは嬉しく感じるから、その先ももっと覚えよう!って思える。」
「勉強ってさ、頑張っても覚えても将来あまり役に立たないとか使わいじゃんって意見とかもあるけど、そうじゃないと思うんだ。確かに必要としない事も多いよ。方程式なんて社会に出てどこで使うの?っていうのもある。英語だって海外行ったり外国人さんと触れ合わない限り、日本では使わないかもしれない。でも知識としてあると自分を豊かにしてくれる。英語なら急に必要になる場面に遭遇した時に困らないし、それ以外でも、例えば自分の子供に教えてあげるとかもできるじゃん。」
「確かにそういうのも出来るよね。かけ算割り算くらいならまだしも、それ以上ってなると以外とやり方忘れてそうだし·····。」
「そうなんだよね。分数の計算なんて普段は使わないから、いざ式を書くとどう解くんだっけ?ってなると思うよ。」
うんうんと頷きながら聞いてくれる葵。
「長々と話ししちゃったけど、結局知識として覚えといて損はないという事かな。私みたいに人生何が起こるか分からないから、そういった時に役に立つ知識もあるかもしれないからね。」
ほんと、何がどうなるなかなんて誰にも分からない。
ただその時に知識があれば、色んな選択肢を取れる可能性が広がるかもしれないからね。
「あっ! そこ違うよ、葵。」
「えっ? どこどこ??」
「えーとね·····ちょっと隣お邪魔するね。」
こちらから側から見て、葵の間違いに気が付いた私。
そのままでも説明は出来たんたけど、隣の方に行った方が教えやすいし葵としても分かりやすいと思ったので移動した。
「えーと、ここの計算方法が······。」
こうして葵に教えて、合間に自分の課題をこなしてとしながら私達は冬休みの1日を過ごしていくのだった。
ーー 葵 視点 ーー
「お姉ちゃん、ちょっと休憩しない?私、疲れちゃった·····。」
お姉ちゃんに冬休みの宿題の分からない所を教えてもらおうとして、一緒に始めた勉強。
そしてやってみたらやはりというか、1人でやるより遥かに効率よく進んでいくのに改めて驚いたんだ。
勿論全てが順調に出来てる訳ではないけれどね。
当たり前だけど自分で考えて解いているから、悩みながらやってるのには違いないし。
でもそうしてやってたら何時もより集中出来る私がいて、気か付いたら始めてから40分が経過してたんだ。
そして一度時計を見てしまったら集中力が切れちゃって、お姉ちゃんに休憩を申し込んでみた。
学校だって50分授業だし、まぁ10分早いけどいいよねって感じで。
「あ、もうこんなに経ってたんだね·····。じゃあ、一旦休憩にしよっか? 葵は何飲む?何か淹れてきてあげるよ?」
「あ、本当?! う〜〜ん·····じゃあさ、ミルクあったらミルクココアでもいいかな? なかったら紅茶とかでいいよ。」
「ミルクココアね、了解。牛乳はあるから大丈夫。作ってくるから休んでてねー。」
「はーい♪ ありがとねーお姉ちゃん。」
私の休憩案を受け入れてくれて、おまけに飲み物まで持って来てくれると言う、優しいお姉ちゃんの言葉をそのまま受け入れた私。
ちょっと悩んだ末にミルクココアをお願いしたんたけど、これもまた私好みの加減で作ってくれるんだから、凄いと思う。
そして鼻歌を歌いながらキッチンスペースへ行く、お姉ちゃんの後ろ姿を目で追おう。
「あー···疲れた······。こんなに集中したのはいつ以来だろ??」
パタッと後ろへ仰向けに倒れ寝そべりながら、ついそんな事を口にだす。
学校の授業でもテスト中でも、ここまで集中するのはそうそうないからね。だからか頭が結構疲れた。
でも課題がかなり進められたから良しとするかな。
「あっ····。」
ふと思い出したことがあって、起き上がった。
そして徐ろにお姉ちゃんが座っていた位置にある、お姉ちゃんのノートを手に取って中身を覗いてみたんだ。
そこにはお姉ちゃんの手書きの、これまた綺麗で非常に読みやすい文字や数字が書いてあって······。
「ナニコレ?? 全然分からないんですけど······??」
私には謎の暗号にしか見えない計算式があって、私を混乱させる。
「これをやってた訳?あのスピードで?? やっぱり違うなー···お姉ちゃんは······。」
お姉ちゃんも言ってたけど、私とお姉ちゃんの学校ではタイプ的な所が違うから勉強の中身が全然違う。
私達の方はお姉ちゃんが習わない専門的な科目を学ぶ為に、一般科目は最低限というかそんな感じなんだよね。
だからこれも、私より踏み込んだ難しい内容をやってるのは分かってるけど······。
パラパラとページを捲りながら謎の暗号にしか見えないそれに目を通しながら、しきりに関心する。
「しかもこのレベルの学校を家から近いっていう、それだけの理由で受験したんだから凄いよねぇ······。」
普通ならさ、自分の興味とか学んでみたい分野がある学校を選んだり、能力的に行けそうな学校を受験するもんだけど、家から近い只それだけだからね。お姉ちゃんは。
中学を卒業してから数年ブランクがあったのに、その期間も子育てで忙しかった筈なのに独学で勉強してだもん。
真似出来ないわーって、私は思う。
それにそもそも、私はお姉ちゃん程勉強するのが好きじゃないからさ。
宿題等はきちんと頑張ってやるけれど、それ以外はお気に入りの動画配信者の動画を楽しんだりインスタや漫画を見たりと、そういうのばかり。
かたやお姉ちゃんはそういうのに一切興味を示さないし、見るとしたら雪ちゃんが絡む時だけ······。
「はい、お待たせ。ミルクココアだよ······って、どうしたの?私のノートなんか見て難しい顔なんてしちゃって??」
「え?そんな顔してた?? あ、ココアありがとう。頂きます♪」
テーブルに置かれた私のマイマグカップ。
それを手に取って中身のココアを躊躇なく口に含む。
「あー······美味しい。それに丁度良い温かさだよ。」
「それは良かった···。じゃ、私も飲もうかな。」
「お姉ちゃんのそれは紅茶?」
「そうだよ。Tパックの物だけどね。」
ココアをちびちびと口に含み、ゆっくりと味わいながら飲む。
ココアの濃さ、ミルクの温かさ加減。
そのどれもが私の好みのココアだと知っているから、私は一口目を躊躇なく口に含めたんだ。
「いつも思うけどさ、お姉ちゃんはよく私の好みのを作れるよね?私なんて自分で作ってもバラツキが毎回あるのにさ·····。」
今、我が家で使ってるのは袋の中にココアがドサッと入ってて、スプーンでお好みの量を取り出すタイプの物。
要は昔からあるタイプのココア。
それ故か毎回ココアの濃度が濃かったり薄かったりする······そんなに極端な差ではないけど、ちょーっと違うんだよねぇ。
そしてミルクの温め具合もそう。
レンジでやってるから上手く出来そうな物だけど、やっぱりちょっとズレる。
その点、お姉ちゃんはそれがないんだよね。
本当にピンポイントで、私好みの物を淹れてきてくれるんだ。
「まぁ、葵の好みは知ってからね。マグカップが変わらない限りは大丈夫だよ。」
さらっと大した事ないですよ風に言う、お姉ちゃん。
それが出来ないから私は苦労してるのになぁ······。
「じゃあ、このマグカップは大切に使わないと、だね。」
片手で持っていたカップを、空いていたもう片方の手で包み込むように持って、撫でるように優しく触る。
「大切に使うのはいいけど、欠けたりとかちょっとでもダメになったら直ぐに取り替えるんだよ?それで口の中をケガしたら元も子もないし、新しいマグに取り替えたならまた調整し直せばいいだけだからさ。」
「お姉ちゃん······うん、分かったよ。ありがとね。」
お姉ちゃんの優しさに本当に嬉しくなる。
調整なんて簡単に言うけど実際は大変だと思うのに、そうまでして私好みの物を淹れようとしてくれるんだもん。
元々美味しかったミルクココアが、更に美味しく感じ瞬間だった······。
「お姉ちゃんさ、その問題って茜ちゃんも出来るの?」
ココアを飲んで一息入れて『さぁ再開するよ!』ってタイミングで、ちょっと気になってた事を尋ねてみた。
「それは私達の課題だからね。皆、等しく出てるよ。で、茜ちゃんも勿論出来るね。ミスとかはするかもしれないけど······。」
「まぁ、そうだよね〜。同じ学校で同じクラスなんだし、課題だって同じだよね。」
お姉ちゃんの手元にあるそのノートを見つめながら、そんな当たり前の事を確認する。
そしてこう思う。
この暗号にしか見えない問題を茜ちゃんも解けるんだーと。
「茜ちゃんも以前はそこまで出来た訳ではないよ。ただ頑張って勉強して覚えて、そして今に至るの。だから今学期は成績が上がったーって喜んでたね。」
嬉しそうに語るお姉ちゃん。
その語る様子を見てると本当にそうなったのが嬉しいんだね、お姉ちゃんはって思う。
そしてそんなお姉ちゃんの笑顔を引き出してる茜ちゃんに、嫉妬してる私がいる。
そんな資格は私には無いと分かっているのに······。
諸貫 茜ちゃん。
お姉ちゃんが夏休みから我が家に遊びに連れて来る様になった、お姉ちゃんのクラスメイトにしてお友達。
込み入った家庭の事情があるみたいだけど、そんな事はどうでも良いくらい素敵な子なんだよね。
高校生と思えないくらい背の小さい子なんだけど、優しくて雪ちゃんも懐いてて。
そして話をしてみたら漫画とかゲームとかそういったエンタメも好きみたいで、家でそういう話が出来るのが嬉しくて楽しく感じるんだよね。
だから茜ちゃんが家に来る時は、楽しみにしてる私がいるんだ。
そんな茜ちゃんがお姉ちゃんの笑顔を引き出してる·····。
まぁ···本人は知らないわけだけど······。
「お姉ちゃんさ······、私に···その······勉強を教えてくれないかな?」
思い切って、言ってみる事にした。
「えっ!? ホント?!」
「うん。ただお姉ちゃん達レベルじゃなくて、私の方に会わせたレベルでお願いしたいんだけど······。」
「うん!いいよ、いいよ♪ 本当はさ、私も葵に教えてあげたいなって思ってはいたんだよ。」
「え?そうなの??」
私が教えて欲しいなって言ったら、お姉ちゃんの顔が驚きと共に笑顔に溢れたの。
しかもお姉ちゃん自身も私に教えてあげたいって思ってたって······。
こっちもこっちで、驚きだよね。
「そうだよ。でも葵は私みたいに勉強が好きな方じゃないのは知ってるから、提案もしにくくてさ······。でもそんな葵が自分からそう言ってくれたのが私、嬉しくって······。」
「そ、そんなお姉ちゃん·····そこまで感動しないでよー。私がやり難くなっちゃうよ〜·····。」
ヤバい、ヤバい。
本当にそんな喜ばせるつもりで言ったわけではないなに、お姉ちゃんがマジで感動してるよ。
ただこのままだと勉強的に不味いなって思ったのもあるし、嫉妬したのも否定はしない。
だけど以前の時もそうだったけど、お姉ちゃんの教え方が上手なのは身を持って体験してるから、1人で取り組むよりはお姉ちゃんに教えて貰ったほうが絶対に良いという事は理解してるんだ。
ただ今までやる気がでなかっただけでね······。
「じゃあさ、取り敢えずは冬休みの課題をクリアしたら始めようか? 因みに今回はどういう感じでやるつもりだったの??」
「んーと····出来ればお正月までには粗方終わりに出来たらな、とは思ってた。お正月に向こうにまで宿題を持っていこうとは思わないし、かと言って年明け後もやる気が出なそうだからさー。」
「そっかそっか。いい心がけだね。」
お姉ちゃんがそう思うのも仕方がないよね。
私は昔から長期の休みの宿題とかは、前半にやってまた後半にやって終わりにするっていう、変なやり方をしてるから。
だから後半で千紗達と一緒に勉強をした事もあったからね······。
因みにお姉ちゃんはと言うと、私とは違い前半でさっさと終わらせるタイプ。
そんで残りは遊んだりするのかな?と想いきや、自主勉を自らやり出すんだよね。
こういう部分でも姉妹として全然違うけど、でも凄いなって尊敬出来るんだよね。
「じゃ取り合えずは、先に終わらせる事を第一優先にしてやりましょ。」
「うん、お願いします。お姉ちゃん。」
「は〜い。任されました♪」
こんな嬉しそうなお姉ちゃんの顔は、本当に久しぶりに見た気がした。
そしてその笑顔を裏切らない為にも、私は頑張ると誓う!
頑張れ!私!!
そして3学期の学年末テストで、1教科だけでも結果を出すんだ!
そう誓った私だった······。




