ある日の修了式② 高2(挿絵有り)
日中は太陽の陽射しで暖かった秋の文化祭から早くも月日は流れて、すっかり寒くなった12月のとある日。
私達みんなはいつも通り勉強しておしゃべりをして勉強会をして、賑やかだけど居心地の良い、そんな毎日を送っていたの。
運動会と文化祭と、学校行事として大きなイベントをこなした後ではもう流石に大きな物はなくて、学年単位での小さな事を淡々と進めて今日ここまで来たんだ。
その小さなイベント、人によってはとても大きく感じるかもしれないそれは以前にやった英語の検定だっりするんだけどね。
あれの一次試験の合否が送られてきて皆で一喜一憂をして、合格した人は二次試験を受けるんだけど、これが文化祭に近い日程で行われるから大変と言えば大変だった。
まぁでも、こういうのは日頃の積み重ねがとても大切だから出来る子は常日頃からきちんとやってるのだと私は思う。
そしてその結果ももう判明して、そこにはまた色んなドラマがあったよね。
私?
私の結果については······良好だったよ。
初めての事で特に面接は緊張もしたけれど、いざ始まってみればスムーズに出来てさ。
自分でもビックリだけど頑張った成果が出て、応援してくれた家族や友達、先生。皆の期待に応えられたかなって感じてる。
そしてそんな試験も月日が何日か過ぎれば、皆も殆ど気にしなくなっていって。
興味や関心事、話題はまた別の事柄になっていくんだよね。
だってもう12月も残り少ないし、そうなると高校生として次の話題は······。
「皆はさ、冬休みの予定はいつもどうしてるの?」
「「「えっ?!」」」
「冬休み?」
「一体どうしのさ??」
彩ちゃんの問いに一瞬きょとんとする私達。
「だってさー、もう直ぐ冬休みが来るじゃない。夏休みよりはぐっと少ないけど、イベントは盛り沢山! クリスマスに〜·····あ、この日はまだ学校があるか。それと年越しとお正月。お正月と言えばお年玉っしょ!! そういうイベント山盛りで今年は皆はどう過ごすのかなーって思ってさ。」
「「「なるほど。」」」
聞けば真っ当な理由ではあったけど、こう言う切り口はやっぱり彩ちゃんだなーって思う部分があるよね。
勿論それが嫌な方ではなくて、いい意味でなんだけどさ。
「因みに私は両方の実家に行ったりするかな。」
「両方って······それはまた結構忙しいんじゃない?」
「そうでもないよ。どっちも比較的近いからさ、泊まりじゃなくて日帰りで顔を出してるんだけどね。」
「そっかー。近いとある意味楽だよね〜。うちなんてママが九州だからさ、年に1回だよ。それも移動だけで疲れるし······。」
「「「おぉ!」」」
「九州かー! それはまた遠いねー。」
「うん、遠いよ。もっと小さかった時は飛行機だー♪とかって喜んでたけど、今となってはそこ迄行くのも大変に感じるし面倒いし、親も親で交通費がーとかってぼやいてたりもするしね。でもまぁ···行かないと貰えないしなぁ~······。」
「分かる分かる!うちも行かないと貰えないからねー。」
「私の所もそうだよ。」
もう直ぐやって来る冬休み。
そうなると直ぐに年末年始になる訳だけども、彩ちゃんの気になる所はそこだったみたいだね。
夏休みは期間が長い為に皆で遊べたりもしたけれど、冬は中々そうもいかなくて大半の子は帰省をするみたい。
比較的近場の子もいれば九州というかなり遠方の方に行く子もいるみたいで、そこは私も驚いたよ。
流石にと言うか、北海道・沖縄はいなかったけど、他に遠い所と言うと関西方面や東北と言った場所も見受けられたんだよね。
そしてそれとセットになるのが子供が1年で1番楽しみにしてると言っても過言ではないお年玉の話。
いくら貰えるのかなー?とか、何を買おうかな?とか、貰える金額が多くなればなるほどその使い道に色々と悩むあれ。
あげる側も人数が多くなればなる程に懐事情が大変になるけど、私があげるのはまだ暫く先かな?なんて思いつつ······。
「ねぇねぇ、このはちゃんは??」
「私?私はお母さんの方が新潟で毎年帰省はしてるんだけど、今年は微妙かなー?」
「おぉ! 新潟だって!」
「ちょー雪国だねー。」
「私、遠くっても雪はないからちょっと羨ましいかも······。」
皆から色んな反応が返ってくる。
雪国いいねーとか、そんなに遠くもなく近くでもないから帰省としては良さげだとか。
「でも、何で今年は微妙なの?」
「それは天気予報で今の所、年末年始辺りに寒波がどうのとかって言ってるんだよね。いわゆる年末寒波って言われるアレなんだけど、そうなると実家の方は程々の降雪量でもその道中がかなり危険になるから、行くか辞めるか見極めてるとこなんだよ。」
「あー·····なるほどねぇ。そういう心配があるんだ。」
「そそ。程々なら雪遊びとかも出来るから、それはそれでいいんだけどね。」
そうなんだよね〜。
毎年の事だけど、この時期はこれが必ず付き纏うの。
寒波に年末も何も関係なくて偶々タイミング的に年末寒波とかって言ってるだけなんだけど、これがあるかないかで偉い違いなんだよね。
関越トンネルを抜けたその先がどうしても沢山降る地域で、一度大変な目に遭ったこともあった。
吹雪いてて前は真っ白、道路も除雪は常にしてても真っ白。脇は除雪した雪の壁で真っ白。
全体が真っ白でお父さんも苦労してたけど、乗ってるこっちもかなり怖かったのを覚えてる。
またトンネルを抜けてから通常なら1時間少しで着く所を、雪の程度にもよるけど2〜3時間かかったりもする。
低速で場合によってはガタゴトする路面を走ってのそれは、結構疲れるんだ······。
「雪ちゃん、喜びそうだよねー。」
「うん。凄く喜ぶよ。こっちだと殆ど降らないし、積もる事なんてもっとないでしょ。だから向こうに行くと雪合戦とかソリ滑りだとか、結構遊ぶよね。まぁ、私も小さい時は嬉しかったし、良く遊んだりもしたんだけどねー。」
「あぁ、分かる分かる! 子供の時って雪降るとすっごく嬉しかったりするよね!」
「そうそう! 大して積もってもないのに校庭で皆で雪だるまを作ったりしてさ、雪少ないから泥だらけの雪だるまになったりとかね!」
「うちもそういうの作ったわー。」
皆でわいわいと雪の事で盛り上がったりして、やっぱり皆も雪遊びって好きだったんだーって思ったんだ。
私も雪遊びは好きだったし、向こうでも結構遊んだりもしたからね。
大きくなった今は1人では雪遊びはしないけど、雪が降ればテンションが上がるのはあるんだ。
雪降って綺麗だな〜とか、雪化粧した街並みが幻想的だなって感じたりするからね。
ただこの雪がある程度積もったりすると移動に支障をきたしたりするから、積もらない程度に降ってくれるのが今の私の理想だったりもするんだけどね。
「じゃあさ·······。」
「え? 何々?!」
皆の会話はまだまだ終わらない。
それはいつもそうだけど、スピーカーからチャイムが鳴るその時までは······。
ただ、普段よりは皆のテンションも高かったりしてるんだよね。
それはさっきも言った大人でも嬉しい休みがもう間近という事と、お年玉という臨時収入が貰えるかも?というのが大きいのだけどね。
どう使おうかな?とか、何を買おうかな?とかってアレコレと考えたりするのは楽しいし、夢が広がる。
まぁ私はもう貰う年齢ではないのだけど、でも、そういう風に楽しそうにしてる皆を見てると微笑ましくて、いつまでも眺めていたいなって思わせてくれるよね。
ーーーーーーーーー
「じゃ、お待ちかねの成績表を渡すぞー。」
「うわぁぁ〜〜····。」
「せんせー!お待ちかねなんて、してませんよー!」
「そうでーす!」
「まぁまぁ···そう言うなって。お約束ってやつだ。じゃ、相澤から順に渡すぞ。並んで取りに来い。相澤ー。」
「はい。」
「またやってるよ、男子達······。」
「まぁこれはもう、お決まりみたいなものだからねー。」
「確かにそういう感じはあるよねぇ〜。」
この高橋先生と男の子達のやり取り。
男の子達は嫌がってるとかそういうのではなく、ただ単に面白可笑しく言って楽しんでる感じで。
そして女の子達はその様子をちょっと呆れた様な雰囲気で眺めてたりするんだよね。
そんなこの一連のやりとりは、2学期の成績表の受け渡し。
リモートによる修了式、校長先生の話や生徒会長の話、生活指導の先生の冬休みやそれに関係する物事への注意や心構えなど諸々の話を聞いて終わった後の事なんだ。
このリモートが終わって高橋先生が「配るぞー」と言うと、一部の男の子達がノリ?でやるんだよね。
なんとなくだけど高橋先生もこのやり取りを楽しんでる様な部分も見受けられるから、まぁいいのかな?なんて思ってたりもするんたけどね。
「通知表かー······。昔っからこれはドキドキするよね。」
「そうだね。親にも見せないといけないし、それで悪ければ何か小言を言われたりもするし······。」
私の隣に座ってる茜ちゃん達がそんな話をしてる。
「そんなに心配しなくても、きっと大丈夫だと思うよ?」
「そうかな?」
「このはちゃんはそうかもしれないけどさ、私らはねぇ·····。」
「そうそう。出来が良くないからね〜。」
茜ちゃんは然程気にはしてないみたいだけど、他の皆は結構気にしてるんだよね。
「ほら、男の子達を見てご覧。個人差はあれど、結構嬉しそうな表情をしてない?」
「男子?」
「確かにそう言われれば、そう見えるかも?」
成績表は名前の順で男子から渡されていくから、私達はあと少し後からなんだよね。
そしてその渡された男の達を見てみれば皆が差はあれど嬉しそうで、ホッとしたような表情をしてるんだ。
「皆、凄く勉強を頑張ったでしょ。男の子も女の子も。少なくとも数学は私は問題ないと思ってるし、それは井上先生も褒めてたじゃん。このクラスの平均は他のクラスより高過ぎて寧ろ困ったとか······。」
「あ〜〜······言ってたねぇ·····。期末を返す時に。」
「うん、ぼやいてたのを聞いたよ。」
「ここって教卓から近いから、そう言うのも何気に聞こえるよね。」
各テストの平均点。
これは私達の場合、進学コースの5クラスの平均点は公表されるんだよね。
自分の各教科の獲得点数とその平均点が記載された紙を、テストが返される時に担任の先生から渡されるから。
平均点以下だったらダメという訳ではないけれど、35点を下回ると補習・再テストが待ち受けているんだ。
そしてクラス毎の平均点も計算は楽だから出してはいるんだろうけど、それは公表はされない。
けど、私達教卓の前に座ってるメンバーは井上先生のそんなぼやきが聞こえてしまったんだよね。
「だから数学に関しては皆成績は良いはずだよ。しかも今はそっちに余裕が出来てるから、その他の教科に力を入れてるでしょ。英語とか理系とか。で、その頑張りを見てる分には結構伸びてきてると思うんだよね。」
「確かにそう言われると、数学は自分でも驚くくらい出来たなぁ·····。」
「私も1年の時は結構苦手だったけど、このはちゃんに教えても貰ってからは分かる様になったよ。」
「私も!で、その分他の教科に回せる時間が増えたよね。」
「「「このはちゃん、様々だよね~♪」」」
「そんな事ないよ。皆が頑張ったからそうなっただけだよ。」
「鈴宮〜。」
「はーい。ちょっと行ってくるね。」
「「うん」」「はーい。」
先生に呼ばれて目の前だけど立ち上がって、机の脇にそれてから受け取りに行く。
いつの間にか男の子達が終わり、女子の番になって私になってたらしかった。
そうなれば、もうこの受け渡しも直ぐに終わるね。だって女の子は男の子よりも若干人数が少ないから。
「はい、鈴宮。今学期も良く頑張ったな。先生一同大変驚いてるけど、出来ればこのままキープして今後も頑張ってくれ。それと······クラスの皆な事、ありがとうな。感謝してる。」
「はい、ありがとうございます。期待に添えられるように今後も頑張ります。」
先生に一言二言頂いて席に戻る私。
こういうのも毎回の事で、皆が何かしら一言を頂いたうえで受け取るんだよね。
こういう場だから「頑張ったな」とか「◯◯をもう少し頑張れ」とかね。
他にも何か言われるかもしれないけど、基本的にはその学期の評価を言ってくれる。
「このはちゃん、どうだった?」
「いや···まだ見てないから今から見てみるよ。」
席について早速聞かれたけれど、受け取っただけで中身はまだ見てないからからね。
受け取りが進むなか、私は中身を開いてざっと目を通す。
(うん、なるほど······。)
テスト結果等で何とな予想はついてはいたけれど、やっぱりそうなるのね、なんて思いつつ通知表を閉じた。
「その表情は思ってたのと合ってたって感じかな?」
「あ、分かる?」
「うん。まぁ···このはちゃん限定ではあるけれど、私には分かるよ。」
「そっか。でもまぁ、当たりかな。流石茜ちゃん。」
「えへへへ♪」
「スッゴいね、茜ちゃん!」
「ほんとほんと。よく分かるよね〜。」
嬉しそうにしてる茜ちゃんだけど、私も良く分かったねって驚いてるよ。
家族を除いて、次に一緒にいる時間が多い茜ちゃん。
私が茜ちゃんの事をよく見ている様に、茜ちゃんも私の事をよく見ていてくれてるって事なのかな?
そう思うことにした。
「あっ! 私も行ってくるね!」
程なくして順番がやって来て、受け取りに行くみんな。
そして·····。
「さて、皆受け取ったな。今学期は総合して皆、よく頑張った! 全員の数学の評価が上がっていて、これには俺も井上先生も皆が驚いてる。それは皆もテストを通して実感してると思うが、引き続き頑張ろう。今後は出来れば鈴宮に頼らんで自力で復習等をして維持出来ていけるといいな。」
「「「あははは······。」」」
「そうっすね。それが本当は大切ですよねー······。」
皆が苦笑してる。
「そうだな。あとは、他の教科も同様に上がってる。これは個人差もあるが苦手な教科が上がってたり、得意なのが更に上がったりだとだな。これも今後の事を考えた時に凄くいい傾向にあるから、このまま上げていけるように各自、努力を怠らないように。それから······。」
その後も高橋先生のお話は続いていくの。
先ずは成績について。
話にもあったように、皆の成績が良くなってるからこのまま頑張れよって事で。
この当たりは数学が出来るようになって、他の教科に時間をかけられる様になったのが大きいのだと思う。
それと苦手な箇所とかは皆其々で違うからその辺りを見てあげたり、コツや覚え方、取り組み方とかのアドバイスをしたりもたからね。
それを皆が工夫して頑張ったから、今回の成績に表れたんだと私は思うんだ。
後半は冬休みとその生活について。
これはリモートの修了式のお話に出たのと大体同じかな。
感染症が流行る季節だから健康に気を付ける事や、臨時収入とかあっても浮かれないで高校生としてモラルのあった行動をする様にとか。
そう言った諸々のお話を聞いて「1月8日に全員揃って元気にまた会おう!」と締めくくって、2学期最後の学校も無事に終わった。
「ねぇねぇ、このはちゃん。私のコレ見て!」
「あ〜、その次は私のも見て!」
「あ! じゃあ、その次は私ね!」
·········なんでこうなったんだろうね??
以前なら先生の話が終わって礼をして解散となると、皆喜んで帰っていったんだよね。
それで昼無しの半日で終わるから「この後どっかで食べてく?」なーんてやり取りをやってたのに、今は帰るんじゃなくて私に成績表を見せにくるんだもの。
不思議······。
「えーと、茜ちゃんは······数学はやっぱりいいね。それに英語もだいぶ伸びてるし、その他も高水準。おぉ!体育は流石の成績だね!」
「えへへへ♪ これもどれもこのはちゃんのお陰だよ。ありがとう♡」
先ずは隣にいる茜ちゃんの成績表を確認する為に、受け取って中を開いたんだ。
そしてざっと目を通す。
数学は『8』。英語『7』国語『7』·······。
すごいね。
全体的に高水準だけど数学と英語は1学期より上がってるし、なりより体育に至っては『9』なんだよね。
流石、運動の好きな茜ちゃんと言ったところかな。
褒める要素しかないので褒めてあげれば喜んでくれて、ついでに頭も撫でであげる。
「じゃ、次は私ね。どう?このはちゃん·······。」
「······うん、みっちゃんも数学はやはりいいね。頑張った成果が表れてるよ。それに英語もやっぱり伸びてるし、努力したのはきちんと出てる。」
「うん、これもこのはちゃんの教えてくれたお陰だからね。本当にありがとう。図々しいけど、これからもお願いします。」
「こっちこそ、また頑張ろうね。はい。」
「♡」
みっちゃんもやはり数学に関しては伸びを見せていて高水準。
で、苦手と言っていた英語も数学が出来るようになって空いた時間に教えていたから、その努力の成果が表れていた。
そして茜ちゃん同様に頭を撫でであげて、次の子はどうかな?って順に見て感想を述べて言っていったんだよね。
「鈴宮さん、俺のも見てもらっていいかな?」
「えっ?お前いくの?」
「マジ?」
「ああ。まぁ····鈴宮さんが良ければだけど、素直な評価が欲しいなって······。」
「うん、いいよ。高橋君も頑張ってたもんね。」
そして男の子、最初の高橋君の成績表を見せてもらってその評価に率直な意見を応えていくの。
不思議とこのやり取りは2年生になってから始まった。
1年生の頃は余程良ければ見せ合いっこしてたくらいで、殆どの子は自分で確認したら鞄にしまってたのに。
きっかけはこれまた茜ちゃんであるだけど、1学期の終わりに私に見せて来たんだよね。
あの時は単に数学が凄く良くなって嬉しくて見せただけだったんだけど、それに私が意見をあげたのと最後に「頑張ったね♪」と撫でであげたのをクラスの皆が目撃してて、「私もー!!」って始まった。
「高橋君も凄く頑張ったね! 数学は勿論だけど、理系がかなり良くなってる。この調子で次もがんばろうね♪」
「あ·····うん····。ありがとう·······。」
「あー!高橋、赤くなってら〜!」
「照れてる照れてる! 高橋君、かわいいーー♪」
「ちょっ·······し、仕方がないだろー! まさかしてくれるとは思わないし、そもそもそんなんされる事もないんだから!」
女の子限定の撫で撫でを男の子の高橋君にもしてあげたら、照れちゃって可愛いね。
またそれを周りの皆から揶揄われたりしちゃってさ···。
「で、他の皆はいいの?いいなら帰るけど······。」
「「「「!!!??」」」」
「あっ?! 俺のもお願いします!」
「はーい。」
そして次から次へと男の子の成績表も確認してコメントしてあげて。
最初の方こそからかいの言葉があったけれど、それも段々となくなっていったよね。
「このはちゃんって、やっぱり優しいよね。」
「本当だよねー。男子にもしてあげてるなんてさ。」
最初の頃の勉強会で、ご褒美的な物で設定したそれ。
今となっては女の子に限りしてあげてたりするんだけど、男の子にはいつの間にか立ち消えになったんだよね。
「優しいって言うかさ、この頑張りって男女は関係ないでしょ。みんな必死に学ぼうって頑張って、その結果の成績表で。そうやって頑張って付いてきてくれた子にさ、私なりに労いをしてあげたかったんだよ。」
頑張った事、努力した事。
それに対しての賞賛や労いの言葉はどんな人にも必要だと私は思う。それが子供でも大人でも。
だから今回私は男の子達にもしてあげたんだ。
喜ぶだろうなっていうのは、女の子達をみてれば想像がつくから······。
「鈴宮さんの撫で撫でって······ヤバいな······。」
「ああ·····。女子がああも喜ぶ理由が分かった気がしたよ。」
「だな。これは癖になりそうで、かなり女子が羨ましく見える·····。」
「俺さ、コレまたして欲しいから次も頑張るぜ!」
「おい!それヤメろ! なんかフラグっぽく聞こえるぞ!?」
「見てよ、あの男子達。あんなにデレッとしちゃって······。」
「男のああいうのって、なんか気持ち悪いよねー。」
「いや···それさ、私達も一緒だよ?私達もやってもらう度にデレデレしてるし·····。」
「う······ま、まぁ···確かにそうなんだけどさー······。」
2年3組。
2学期最後も平和です。




