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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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208/232

ある日の文化祭②-6 高2(挿絵有り)

2回目の文化祭の終わりが段々と見えてきた、そんな頃。



「雪ちゃん、気を付けて帰るんだよ。」

「雪ちゃん、葵ちゃん、またね〜。楽しかったよー。」


「うん!ママ。またねー。あかねおねーちゃんも、バイバ〜イ。」


「バイバイ、雪ちゃん。葵も今日は来てくれてありがとうね。気をつけてね。」


「こっちこそありがと、お姉ちゃん。茜ちゃん。楽しかったよ♪茜ちゃんもまた来てねー。」


「うん!」


挿絵(By みてみん)


雪ちゃんと葵にお別れの挨拶とお礼を伝えて、一先ずお別れした。

手を振りながら去って行く雪ちゃんの後ろ姿を見るのは、さっきまでが楽しかっただけに淋しい気持ちが込み上げてくるけど、仕方のない事だと諦める。

いつもの事だけど始まりがあれば終わりもまた来るからね。

それにまた1時間少しすれば、今度はお家で会えるんだから······。



「行っちゃったね······。」


「そうだね。ほんと、あっという間だったね。」


ちょっとしみじみとしながら、茜ちゃんの問いにそう答える私。

朝と同様にお仕事の終えたお母さんが学校まで来てくれて、少し一緒に行動して先程の帰宅となったんだ。

遊びに来てた葵の友達である千紗ちゃん達ともほんの少し前にお別れもして、『楽しかったです。』とか『また来年も来ますね!』などと言ってくれて、概ね高評価だったんだよね。


「じゃあ、私達も戻ろっか。どこ行く?このはちゃん??」


「うーん······どうしよっか? 茜ちゃんはどこか行きたい所とかある?」


雪ちゃん達を見送った以上、私達も駐車場にいつまでも留まってる必要はないので移動をしたいのだけど、私的には特に思い当たらないんだよね。

で、聞いてきた茜ちゃんに逆に聞いてみたのだけど······。


「う〜〜〜ん······この時間だとねぇ·······。一応体育館の方で最後の催し物がやってるみたいたけど、最後なだけあって混んでそうなんだよね。」


「そうなんだよねー·····。内容については触れてないから何をしてるのかは見ないと分からないけど、絶対に混んでそうだよね······。」


文化祭、体育館での最後の催し物。

それは実行委員会と生徒会の共同による催し物みたいなんだけど、内容については案内にも特に書かれてないんだよね。

だから行ってみないと分からないのだけど、最後の催し物だから生徒の皆も見に来てて絶対に混んでそうな予感がひしひしとするんだよね。

勿論各クラスや部活系の展示等は時間までやってはいるけれど、校庭や体育館のステージを使った系統のはもうお終いになってるから。

それに一般のお客様はかなり減ってはきたけどまだ少しいらっしゃるし、在校生は時間までは帰れないからね。


「教室に戻る? どっちにしろ教室で解散だし、体育館に行くにしても中途半端だし。」


「そうだね、そうしよっか。」


と言うわけで体育館の方に行くのは取りやめて、自分達の教室の方へ戻る事にした私達。

混雑もそうだけど時間的な物も含めて見に行っても中途半端になるので、だったら教室でのんびりと待つ事にしたんだ。

やってるにしても、もうお客様も殆ど来ないだろうからさ。



「えへへへへ♪」


「どうしたの?茜ちゃん??」


「いや·····コレ、久々だなーって思って。雪ちゃんいると出来ないから、嬉しくって······。」


「·····そっか。まぁでも、そうだよね。茜ちゃんだと分かってても、雪ちゃんも譲れない所はあるだろうし······。」


「そうそう。それに、折角仲良くなれたのに嫌われるのって嫌じゃない。だから雪ちゃんがいる場では自重しないとって思ってるの。」


そういいつつ私の手をにぎにぎと握ってくる茜ちゃん。

戻る事になって早速手を握ってきて、嬉しそうにしてるから聞いてみたらそういう訳でして。

実際にそうなんだけど、茜ちゃんも雪ちゃんがいる場ではかなり抑えてるんだよね。

それは夏休みのプールでの一件を目撃したからなんだけど、あれがもしなかったらやらかしてたのは茜ちゃんだったと私は思う。

そうすると、今現在の仲良しよ関係とはまた違った関係性になってたかもしれないしね。



「それにしても、今年も本当に賑わってたよねー。」


「ほんとだよね。まぁ活気があるのは見ていて気持ちもいいし、良いことだとは思うよ。その分準備とかは大変だけどさ、でも、充実感とかそういうのはあるからね。」


校舎の中を歩きながらそんな話を2人でしてる。

開始直後やピーク時ほどの熱気はもうないけれど、それでも生徒の数が多いだけあって賑わいだけは残ってるんだよね。


「これでもうあと来年だけなんだね······。なんだか早いよね。」


「そうだね······。何気に高校生活の半分はもう終わっちゃったからねー。」


「来年もさ···一緒に見てまわれるかな?」


「行けるよ。」


「ほんと!?」


「うん。約束する。それに来年は皆ももっと自由に楽しめれば良いなと思うんだよね。」


「自由??」


他愛もない話から始まって、しんみりしたり喜んだりと忙しい茜ちゃんではあるけれど、事実また一緒に見て回りたいというのはほんと。

まぁ病気とかで欠席にさえならなければ問題ないとは思ってるんだけど······。


「うん。まぁ問題は来年のクラス替えと担任の先生次第だとは思うんだけど、なんとなくだけど大丈夫かなーって気がしてるよ。根拠はあまりないけどさ。」


「そうなの?」


「来年はさ、進路次第だけど受験が控えてるでしょ。特に後半は神経質になりやすいのと、修学旅行も控えてる。他のクラスもそうだと思うけど折角馴染んでる所を変に弄って、あまり知らない人と班を組んだりするのって神経も使うし辛いじゃない? そう言うのがあるから各クラスがそれなりに纏まってるなら余り弄らないんじゃないかなーって思ってるの。 ほら、この前の林間でもそういう所がテーマでもあったからね。」


「なるほどー」とか「そっかっか」などど、相槌を打ちながら聞いてる茜ちゃん。


「その点、うちのクラスは男女共に非常に纏まってるって先生から言われてるから、多分殆どの子がまた一緒になれると踏んでるよ。悪い所を(プラス)にしたくて直すならまだしも、良い所を弄って逆に(マイナス)にしたら意味ないしね。で、そうなら担任もそのまま高橋先生になるかな?」


「あー······進路関係かな?」


「ピンポ~ン♪当たりー♪」


「ヤッタ~♪」


「面談も1回やってるし、3学期も予定されてる。進級後は3者面談もあると思うのよ。そうなると2年間担任をやってきた高橋先生は他の先生よりも私達のクラスの生徒事情に詳しいから、重要な時期に変えないと思うのよね。で、仮に高橋先生になれば来年の文化祭の進め方も同じやり方になるから、調整はやりやすい。」


「そっかそっか〜。そうなるといいよね! 私も高橋先生は嫌いじゃないし、寧ろ他の先生になるよりはいいかも!」


まだ確定した訳では無いのに、そうなるといいなーと喜ぶ茜ちゃん。

まぁ、その気持ちは私も分かるんだ。

授業その他諸々を通して感じる部分で、高橋先生よりいいなって思える先生はいないからさ。


それにさっきのは私の勝手な考えではえるけれど、私と茜ちゃんとの関係性を知ってる高橋先生が3年生という重要なタイミングでバラバラのクラスにするとは思えないんだ。

都合の良い考えだから、もし別のクラスになったらそれはそれでショックが大きそうだけど······。





  ーーーーーーーーー




「「お疲れ様ー。」」


「あ! お疲れ様&ありがとう。鈴宮さん、諸貫さん。」

「2人もお疲れ様っす!」


茜ちゃんと一緒に教室内に入り、中にいた相澤君と田口君に声を掛けた。

この2人が私達のクラスの今日最後の当番さんなんだよね。


「どうだった?」


「いや〜〜···俺達の番の時は殆どお客さんは無かったかな。」

「そうなんだよ。一般の方は帰って少なくなってたタイミングだったから尚更来なかったし、在校生も日中に来たのか殆ど来なかったから。」


「そうなんだ。」

「なるほど·····。それでも最後の当番ありがとね。お陰で最後までトラブルもなく終われたから良かったよ。本当にありがと。」


相澤君と田口君に労いとお礼の言葉をかける。

去年もそうだけど日中で時間の空いてる時を教えてもらって調整して、交代制でクラスの皆にお願いしてたんだよね。

勿論、部の方で全く来れないって子もいたけれどあれは仕方ないからね。

演劇や吹奏楽とかは午後の発表だけど午前は終始練習や調整をやってたらしいし、それはとても大切な事だから。


その中で最後の方というは中々引き手がいないんだ。

最後の方は出番も終わってる人も沢山いて人選には余裕があるんだけど、昼間見れなかった分パーッと見て回りたいって子もいるからさ。

その中でこの2人は快く引き受けてくれたんだよね。

ほんと、感謝感謝だよ。



「茜ちゃん、こっちこっち。」


「はーい。」


教室の隅に片付けてあった机・椅子の中から適当な椅子を2脚取り出して腰掛ける。

そして茜ちゃんも私の隣に座らせて、後は時間まで待てば大丈夫。

因みに当番の相澤君達は椅子に座ってるよ。

ここは最初、つまり私達が最初の当番の時から置いてあった椅子なんだけどね。


「このメンバーでこうして固まって話すっていうのも初めてだねー。」


「そうだね。意外と初かもね。」


「確かにそうだけど······鈴宮さん達はいつも女子皆とと一塊になってるじゃん。だから逆に諸貫さんと2人だけっていうのも珍しいよ?」

「そーそー。皆、仲いいもんな〜。相澤も去年はそっちに混じってたけどなぁ······。」

「いや···あれはクラス委員になっちゃったからであって······。」


椅子を持ってきて座れば、自然と相澤君達と話をするようになるの。

茜ちゃんと話をしてるとかスマホを弄るとか、そういうのでも悪くはないのだけど、そういうのは後からでも出来るからね。

だから逆に今しか出来ない、相澤君と田口君とおしゃべりをするって言うのもいいかなーなんて思ったんだよね。


3人の言うように、このメンバーで集まるのはまずなくて初。

学校内でいえば私達は常にクラスの女の子と固まって過ごす事が多いし、男の子も基本的には男の子同士で話をしてるから。


「そういや、2人は体育館の方とか行かなくてよかったん?」

「2人が来る前に何人か戻って来たけど、体育館の方に行ってくるって言って行っちゃったよ?」


「ああ、それね。」


「このはちゃんのとも話したんだけどさ、このはちゃんの用が終わってから行っても中途半端になりそうだったから、こっちに来たんだよ。」


「あぁ、なるほど······。それで俺らはこうして話が出来てる訳だ。」

「その判断に感謝ってやつ?」


「あははは······。まぁ、そうとも言える?」


私に代わって茜ちゃんが説明をしてくれて。


「相澤君と田口君の方はどうだっの?」


「俺んとこ? 俺んとこは去年のをベースに少し改良をしたんたけど、中々難しいね。纏まりとかそういうのがさ。」


「こっちも相澤の所と似たような感じなんだけど、先輩が茶々出してくるんだよ。あーがいいんじゃないか?とか、こーが良かったとか······。去年もぐだぐだだったのに、引退した身でアレコレ言ってくるなってゆーの!」


「それはそれは災難と言うのか何と言うのか·····。でもあれだね。無事に終わって良かったよね。」


「そうだね。」

「全くだ。ほんと、ホッとしてるよ······。」


心底ホッとしてる感じのお2人さん。

今年は部の中心メンバーとして1年生を引っ張っていかなくてはいけない学年になった訳だけど、文化祭としては今回でこの2人は終わりなんだ。

来年のこの時期はもう引退してるからね。


「そっちはどうだったんって、諸貫さんの顔を見れば一目瞭然か。」


「えっ?! そんな顔に出てた??」


「「うん!」」


「やだ〜〜!もぅ·····♪」


悶える茜ちゃん。

彼女は普段は普通だけど、私が関係してくると顔に出るからねー。

私達の関係、友達だとか仲が良いだとか、そういうのを知ってる人が見れば何かあったなと直ぐに分かるんだよね。

まぁ、そういう所も可愛いのだけど、私も雪ちゃんの事になると顔に出やすいから、人の事はあまり言えないのだけど······。





  ーーーーーーーーー




ピンポンパンポ〜ン♪


『お客様並びに在校生の皆様にお知らせいたします。只今の時間を持ちまして第34回・紅葉祭を終了とさせて頂きます。ご来校・ご参加誠に有難う御座いました。繰り返します········。』


教室に設置してあるスピーカーから定番の音と共に、文化祭の終了を告げるお知らせが流れた。


「終わっちゃったねー·····。」

「ああ·····。」

「だな。······やっぱりこういう楽しい物はさ、時間の経過が早く感じるな。」


茜ちゃん、相澤君と田口君。

それぞれが文化祭が終わる事への寂しさや残念さを口にしてる。


「寂しさとかはあるけどさ、また気分を入れ替えて頑張ろう!」


「うん!」

「「おう!」」


いい返事だね。

今までは休み時間等に準備をちょこちょことやったり、昨日1日掛けて仕上げたりと非日常な雰囲気もあったけど、明日、片付けをして振替休日を挟んだらまた何時もの日常に戻るだけ。

それがまぁ、何とも言えない気持ちになるんだろうけど······。




「終わったーー♪」

「「「ただいま〜〜!!」」」

「留守番大丈夫だったかー!?」


「あ、おかえりー。」

「おかえりなさ〜い。」

「おっつー!こっちは何ともねーよ。」

「そっちもお疲れさん!」


ガラガラガラっと扉を開ける音はしないけど、入り口から賑やかな声が返ってきた。

見てみればほんの数名だけどクラスの皆が、其々の所から帰ってきたみたいだね。


「あっ!? このはちゃんと茜ちゃんが相澤君と田口君と話ししてるー!!」

「えぇー?! 何々!?? 意外な組み合わせ?!」

「おい!お前ら、鈴宮さんと諸貫さんと何してたんだ?」


一気に騒がしくなる我が教室。

さっきまでのちょっとしたしんみり具合は何だったんだろうという、騒々しさが戻ってきたよね。

それもほんの数人戻って来ただけなのに。


「いや〜、私達も体育館に行くに時間的に中途半端だったからさ、こっちに戻って来てたんだよ。」


「そうなの。どのみち教室で解散予定だったし、皆もいずれ戻って来るからこっちにいればいいよねって」


「そう言う事なんだよ。そんで俺らも留守番がてら話をしてたって感じ。ま、終わり際もあってお客さんも殆ど来なくて暇だったから、かなり助かったけど。」


「そういうこった。そんなんたから、お前たちの言う様な変な事はないぞ。」


「えぇーー?? ほんとかなぁ〜??」


「「本当だってば!!」」


私を含めた4人で固まって話をするって言うのが初なのもあるせいで、やたらと質問攻め?にあう相澤君達。


「本当だよ、皆。 お互いに文化祭はどうだった?とかって話をしてたんだよ。」


「そうそう。苦労話や愚痴を言ったり聞いたりして、私達の知らない所でも色んな事があるんだねーって知れたよ。」


あまりにも相澤君達があれこれと質問攻めにあっているのが申し訳なく見ていられなかったので、早々に皆を落ち着かせる事にしたんだ。

実際に何があった訳でもないし、そういう雑談をしてたのも事実だからね。

それに対して小さな声で「ありがと」なんて言ってくれて、茜ちゃんと共に小さく頷きで応えておいたの。



「ところで······皆は体育館行ってたの?」


続々と戻って来た皆に聞いてみる。


「うちらは違うよ〜。」

「校舎の中、あまり見られなかったからそっちを見てたんだ。」

「私達は体育館にいたよ。」

「俺等も体育館で最後のを見てた。」


割合的には4対6でやや体育館の方が多いいみたい。

やっぱり混んでそうだね。


「へぇ〜。プログラムだと内容はシークレットだったけとど、実際はどうだったの??」


「えーとねぇ·····、まず実行委員会と生徒会から挨拶とかそういうのがあったでしょ。ま、これは定番だけどね。」


「「「確かに!」」」

「挨拶は切って離せないしな〜。」


「それで、他にも色々とあったけど1番盛り上がったのは実行委員会会長とのジャンケン大会かな。」


「「えぇ〜〜!?」」

「何それ?!」


「えっとね、ジャンケンで勝ち抜き戦をしていって豪華賞品プレゼントーー!ってやつだったんだけど······。」




そう言った話をしながらクラスメイトも段々と戻って来て、更に賑やかになっていく2年3組。

それは高橋先生が戻ってきて、解散を告げるまで続くのだった。


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