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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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200/233

ある日の小学校①-1  高2(挿絵有り)

「吉田〜?」


「はーい。」


「渡辺〜?」


「はぁ〜い♪」


「よし!今日も全員出席だな。感心感心。」


高橋先生による朝の出席確認が終わって、今日も全員が出席してるということに大いに喜んでいる高橋先生。

そしてそんな先生を間近で見ている私だけど、まぁ実際にうちのクラスは出席率は良い方だとは思うんだよね。

他のクラスがどうとかはほとんど知らないけれど、それでも私が学校に来てる範囲で休みの子を見たことがあまりないから。

だからそういった意味でも、高橋先生としては嬉しいだろうなとは私も思う。


私はこれでも教師を目指そうと決めた身だからね。

だからクラス皆の事はただのクラスメイトとしてではなくて、先生として見たら?的な視点もあったりもするからさ。

そういう観点から見るとこの出席率というのは、皆が平穏無事に学校生活を送れているというバロメーターでもあるからね。



「さて、今日の連絡事項だが······特にない!!」


「ないんかいっ!!」


「「「「アハハハハハ·······。」」」」


少し間をためて如何にも何かありそうというニュアンスを滲みさせつつ、実は何も無いという高橋先生。

そんな先生に、男の子からツッコミが入ったよね(笑)

そして笑う私達。

こーゆーのが普通に出来る高橋先生だからそこ、私達生徒から人気があるんだよねといつも思うんだ。


「ま、何も無いのはいいじゃないか。そういう事だから、今日1日は時間割り通りだ。皆、頑張れよ? 皆からも特になければこれで終わりにするぞ?」


一応先生が皆に確認をとったの。

通常だと私達からは特にはないけれど、文化祭を控えた今だと文化祭実行委員会又は私達クラス委員長側から何が連絡事項があったりする事もあるけれど、今日はそれも無いみたいだね。

ただし······、私は個人から先生に伝えとかないといけない事があるのだけど。


「はい、先生!」


「おっ?鈴宮か?何だ?」


私が挙手をした事により、先生はもとよりクラスの皆も私に注目をした。


「えーと、私個人的な事なんですけど······私、今日4時間目が終わり次第早退します。」


「「「えぇぇーー!??」」」

「このはちゃん、どっか具合悪いの??」


驚きの声と隣から私を心配してくれる茜ちゃんの声がした。


「早退か······。諸貫じゃないが、何処が具合でも悪いのか?」


「あ、いえ······そうじゃないんです。それに私は至って健康ですら、そこは大丈夫です。」


そう先生に伝えた後に、心配してくれる茜ちゃんに軽くウインクを入れて安心させてあげる。

それに気が付いた茜ちゃんも頷いて、了解を示してくれたけどね。


「実は今日は午後から娘を連れて、小学校に行かないと行けないんですよ。それなんで、午後は早退させて頂きますという訳です。」


「小学校······あぁ、なるほどな~。OK、了解だ。まぁなんだ···これからそっちでも忙しくなるだろうけど、頑張れよ。」


「はい。ありがとうございます。」


「では以上と言う事で、朝はこれで終わりとする。今日も頑張れよー。」


これ以上皆からも特にないと判断した高橋先生は、朝のホームルームを終わりにして職員室へ戻って行ったんだ。

まぁこの後職員室へ行って1時間目の用意をして、またこの5階まで来る必要があるから大変だってのは知ってるからね。

急ぎたい気持ちも理解してる。


それにさっきの私への言葉。

あれもこれから雪ちゃんの事で忙しくなって来るであろう、私への励ましなんだよね、きっと。

だって先生も子供がいるからそういうのを経験してるのだろうし、また本職の先生だから新入学を控える親御さんがこの時期に何をするのかを把握してるのだと思うから。





  ーーーーーーーー





「ねぇねぇ、このはちゃん!小学校ってなーに??」

「雪ちゃん絡みってのは分かるんだけど、小学校で何をするの?」


朝のショートホームルームが終わった瞬間に、早速先程のやり取りについて聞かれたよね。

茜ちゃんを始めとした近場の席の皆と、こちらへ集まってくるやや遠い席になってしまった女の子達。

そして何気に男の子達も聞き耳を立ててるのが分かるんだよ。


「今日の午後にね、雪ちゃんを連れて入学予定の小学校で就学時健康診断ってのをしてくるんだよ。」


「「「就学時健康診断??」」」

「なーに?それ??」


「私も案内くらいしか情報源がないから詳しくは分からないけど、要は新入学予定児童を対象とした健康診断を行うみたいなんだ。あとは軽く説明会みたいなのも行われるみたいだけどね。」


「あ〜〜······なるほどね。」

「分かる分かる。小学校は覚えてないけどさ、中学に入る時もそういうのがあったわ。」

「あったねー。流石に健康診断はなかったけど、説明会だかなんかでお母さんと中学校に出向いた記憶はあるよ。」


「あー····、やっぱりみんなもあったんだね、そういうの。」



そう。

今回雪ちゃんを連れて小学校へ出向くのは、そういった案内が来てたからなんだよね。

健康診断的な物を行うのというのと、軽い説明会みたいなものをしますという事が記載されてたんだ。

きちんとした入学説明会は年明けにあるみたいだけど、その時に教材だとかそういうのを購入する可能性もあるから、その辺りの説明もあるのかな?と考えてる。


「そういう訳で母として私が行く必要があるから、今日は4時間目が終わってたら早退するね。茜ちゃん、何がお知らせとかあったら後で教えてくれる?」


「うん、いいよ〜。配布物でもあったら後で届けてあげるね。」


「うん。ありがとう。」


皆に説明をして茜ちゃんに連絡事があった場合に教えて欲しいとお願いしたんだけど、これは帰りに家に来るパターンだなって直感で感じたよね。

配布物が···とは言ってたけど、仮になくても来るなってね。

それに今日は茜ちゃんもない日だから、あぁ······この()()()というのは茜ちゃんのアルバイトの事ね。

それについてはまた後で······と思ってるけど、そういう訳で放課後もフリーな茜ちゃんが来ないという選択肢が見当たらないんだよね。

来てくれれば雪ちゃんも喜ぶから、それはそれで良いんだけど♪




「う〜ん···でも······小学校かぁ〜······。」


「どうしたの?志保ちゃん??」

「そうだよ、志保。 何を唸ってるのさ?」


一通り皆に説明をし終わった時に、よく分からないけど志保ちゃんが唸り出したんだよね。

私もそうだけど皆も理由が分からなくて、どうしたんだろ?ってに不思議に感じてるんだけど······。


「いや〜···このはちゃんに子供云々はもう今更だけどさ、それでも教室で今度は小学校行って来るとかって聞いたら、違和感が半端ないなって感じてさ······。」


「「「「あぁー······。」」」」

「言われれば確かにあるねぇ······。」


「このはちゃんってさ、制服もバッチリ着こなしてるし似合ってるから、女子高生として違和感が全然ないじゃん? だからそのギャップが凄くてね······。」


「あははは······。まぁ、その辺りの自覚はあるよ。普通じゃないって事ぐらいはね。」


「あぁ······いや、このはちゃん? 私そういうつもりで言ったんじゃないからね。本当だよ?」


「うん、分かってるから大丈夫。それに······制服姿が似合ってるって言ってくれたのは、嬉しかったよ。ありがとね♪」


「あ、うん·····。どういたしまして?」


あたふたと慌て始めた志保ちゃんに、何でもないよと伝えた。ついでにありがとうとも。

私が普通じゃない事自体はとっくの昔に受け入れてるから気にはしてないけど、制服の方はそうでもなかったんだよね。

だってまさかの19歳で高校の制服を着るとは思わなかったからね。


今の子ってさ、10代の時の変化って大きいじゃない?

体格もだけど顔つきだって、子供→少女→大人風って大きく変化していくし、その少女っていう女の子が多い中で私が制服を着てコスプレ風にならないか?って、結構本気で心配してたんだよ。


だから制服姿が似合ってるって言ってもらえるのは、かなり嬉しかったりするんだよね。

例えそれがお世辞だとしても······。



「さり気なくこのはちゃんを誉めてデレる志保ちゃん·····流石だわ!」

「顔を紅くする志保もレアだよねー(笑)」

「っていうかさ、このはちゃんのあの笑みは駄目でしょ?志保ちゃんじゃないけど、こっちまで流れ弾が飛んで来るんだけど······。」

「いや、別に私はそんなつもりで言った訳じゃないんだよ?」

「だいじょーぶ! 分かってるから♪」


皆は皆で変わらずワイワイと賑やかなんだけど、それだけ私が嬉しそうにしてたらしいです。



「それで·····雪ちゃんももう半年そこらで小学生になるんだねー?」


「そうだね〜。あっという間だよ、ほんと······。」


この手の会話というか言葉はよく耳にするけど、ほんとその通りだとつくづく感じるよね。

ちょっと前までは幼稚園で皆と仲良くやれるかな?とか、容姿の事で心配もしてたりしたけど今度は小学校の事で心配とか、考える事がまた増えて来たからね。


「じゃあ······今後は今日みたいに早退とか休む事も増えたりするの?」


茜ちゃんが心配そうな顔をして聞いてきたよね。

雪ちゃんの事を可愛がってくれてる茜ちゃんだけど、茜ちゃんからすれば私と一緒も登校したり下校する時間が減る事にも繋がるからね······。

私と雪ちゃん。

どっちも大切にしたい彼女から見ると複雑なのかな······?


「取り敢えず、今学期は今日だけだよ。年明け後はまだ未定だけど説明会がある時は早退するし、あと卒園式は日にち次第かな?こっちは恐らく3月下旬辺りの平日なんだとは思うけど······学校があればお休みかな。」


「そっかー。でも、以外と少ないのかな······?」


「今の所はね?あとは何かあれば、その都度連絡がは入るだろうからそれ次第かな。」


そう考えてみると、ありそうで以外と少ないね。

他にもあるかもしれないけど今のところはそれだけだし、それに実際には出向くより家で準備する事の方が沢山あって大変なんだよね。


挿絵(By みてみん)


「後は·····入学してからの方が色々とあるのかな?下校の時の迎えとか······これは学童を予定してるから要らないのか。 後は授業参観に懇談会、運動会や音楽会?遠足に持久走大会とかもあるよねぇ·····。あ、小学校というと、家庭訪問なんかもまだあるのかな??」


雪ちゃんも私が通ってた小学校に通う予定だから、私の時にあった行事を取り敢えず思い出してみたんだよね。

これが今はどのように変わってるかは分からないけど、意外とあるねと思う。

それに行事以外にも、旗振り当番とか役員になればそのお仕事とかもあるからね。



「うわぁ······家庭訪問だってよ?懐かしい·····。」

「ああ、あったねー、それ。」

「授業参観も先生がいつもと違ってみょーに優しかったりさ、親がやたらと気合いを入れてたりとかあったよね?」

「「「あった、あった!!」」」

「そーそー! センセーが気持ち悪いくらいに優しいんだね〜!」

「親が見てるのも低学年の時は良かったけどさ、6年生にもなると恥ずかしさが勝るというか······。」


皆んなからしてみればほんの4年ぐらい前の事だから、本当によく覚えてるよね。

私は写真を見返せばあったな〜って思い出すくらいでさ、思い出としての印象?が薄いんだよね。中学時代なんて、ほぼないし。

その分、妊娠発覚以降の事の方が良く覚えてるからいいんだ。

それだけ私にとっては全てを捧げた出来事だからね。



「でもさー、雪ちゃんからしてみれば授業参観も嬉しいだろうね〜。」

「うん、それは間違いないね!」


「そうなの?」


「そうだよ、このはちゃん。だって考えてもみてよ。雪ちゃんが6年生になってもこのはちゃんは26くらいでしょ?そんな若いママが他にいる?普通いないよねー??」


「そうそう。25で産んだとしても37くらいなんだから、他と比べたら相当若い訳よ!おまけにこのはちゃんは、とーーっても素敵だしさ! そんな感じならお母さんよりお姉ちゃんって言われた方が凄く納得できちゃうよね!」


「そーそー。私が雪ちゃんの立場だったら、全力でこのはちゃんを推しちゃうよ!自慢のママだーってさ。」


「そ···そっか。それは嬉しいな······。」


皆が白熱して、私というママがいかに希少でいい存在なのかを教えてくれてるんだよね。

それを聞いて私は嬉しくなっちゃったよ。皆が話を盛ってるのは分かってはいるけど、それでも······。



それは私も当初から『雪ちゃんの為に素敵なママになる!』って思いで、今まで頑張ってきたからね。

その想いの根本的な理由は、年端もいかぬ子供の私が妊娠をして産むと決めたから。


私のこれは身内を除けば一部の医療関係者ぐらいしか知らない事だから、当然一般の方は雪ちゃんの出生の理由は知らないんだよね。

だから普通に考えれば『13歳の子供が好奇心でエッチをして、堕ろせなくなったから仕方なく産んだ』って思うはずなんだ。

そういう言葉を私が聞く分には全く構わないけど、雪ちゃんが何かの拍子に聞いてしまったら傷つくのは目に見えてる。

だから私はそんな風に思われない様に、雪ちゃんが自慢できるママでいられる様に今日まで頑張ってきた。

勉強も見た目も家事も。


見た目は第一印象として、とても重要だから1番力を入れたよね。

まずは妊娠で変わった体型を戻して、そこから太りにくい体型づくりを目指しつつ、女性が見ても魅力的に見えるような身体を作るように心掛けた。

運動をして食事バランスにも気をつけてね。


そして次は勉強と家事。

勉強は直接は分かりにくても知識があると言う事は、将来のお仕事や何かをするにあたって沢山の選択肢を選ぶ事が出来ると思ってる。

そして子供を育てて行く中でも、様々な事を教えることが出来るからね。


料理もそう。

料理が出来る、その知識がある。それは日頃の栄養バランスを考えた献立を作る事が出来るし、暖かくて愛情の籠もったご飯を雪ちゃんに提供出来るんだよね。

そういうのを通して食について様々な事を教えられるのもある。

また、お弁当を必要とした時に『見た目が素敵だねー』とか『雪ちゃんのお弁当って本当に美味しいよね。』って友達から言われるかもしれないじゃん?

そうしたら雪ちゃんとしても嬉しくはなると思うし、それはまた『雪ちゃんの自慢できるママ』になるからね。


自慢できる素敵なママに近づけば近づく程に、最初の『13歳で妊娠した·······』なんちゃらっていうレッテルも、跳ね返せるよねって当時の私は考えたんだよね。 


そしてそれは今も続いてる。今後も。

雪ちゃんが親離れしても、私が雪ちゃんのママである限りはいつまでも素敵なママで居たいから······。



「ありがとうね〜、みんな♡」


「「「あうっ······」」」

「ヤバ·····また出た······このはちゃん必殺の笑顔が······。」

「さっきのより····いや、今まで見たやつよりも凄くない!?」

「うん···凄いよ。駄目だ······これは無性に抱きつきたくなる······。」


無性に嬉しくなっちゃって皆にお礼を伝えたけど、その皆が悶えてる。

顔を紅くして、もじもじしちゃててさ。

可愛い仕草でこういうのを見ると雪ちゃんみたくギュってついしたくなるけど、今は抑えないとね。

甘えてくる茜ちゃんですら、頑張って堪えてくれてるくらいなんだから。




  ーーーーーーーーーー




「ハァ〜〜·····ヤバかった······。」

「ほんとほんと。朝からアレはある意味キツイわ。」

「でもさー、朝からご褒美GET!だと思うとラッキーではあるよね♪」

「まぁね♪」


「みんな······、いくらなんでも大袈裟じゃない?」


「「「そんな事はないよ!!」」」


「そうなんだ······。」


1時間目の授業が終わっての休み時間。

お手洗いに行く子は行って、行かないメンバーで集まって話していると、朝の話になったんだよね。

で、皆がちょっと大袈裟に言うものだから私から尋ねたら即否定された······。


「このはちゃんはね、このはちゃんが思ってる以上に素敵で魅力的なんだよ?」

「そうそう。それは同性である私達皆の総意見でもあるから、しっかり自覚してね?」

「でも······あの笑顔もまた見たいし、いつものこのはちゃんが好きだから、そこは変わらないで欲しいな······。」


「茜ちゃん······。うん、了解したよ。みんな。」



本物の女子高生である皆がそう言うのなら目標も概ね達成出来てると手応えを感じつつ、皆の要望にあるように変わらない私でいようと思ったよ。


「でもこうリアルな話を聞くと、やっぱりこのはちゃんはリアルママさんなんだね〜って、実感するよね。」

「うん! 普通に学校にいるだけなら、私達と変わらない女子高生なのにね?」

「「「だよねーー!」」」


お手洗いから戻ってきた子も合流して、また賑やかになる。


「女子高生ママかぁ······。」

「しかも、赤ちゃんじゃないよ?来年小学生という驚き!」

「それがまた凄いよね!!」


「雪ちゃんからみるとさ、『ママは女子高生』なんだよねー。」


「彩ちゃん······なにそれ?」


「えっ? 雪ちゃんから見た·····このはちゃんの職業とか?? いい響きだと思わない??」



そんなお馬鹿な話も含めて変わらない皆が、私は好きだ。

歳がちょっと違う私を受け入れてくれて、普通に扱ってくれて······。

居心地のよい空間に身を任せて、あとほんの数時間楽しむとしよう。

予定の時間までは······。



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