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ある日の放課後① (挿絵有り)

2023.10.22 加筆修正致しました

「起立ー。礼!」


「「「ありがとうございました!」」」


日直さんの号令により皆で立ち上がりお辞儀をします。


「気をつけて帰れよー。また明日なー。」


お馴染みの言葉を言う担任の先生。

そして先生は手を振りながら扉を開け、職員室へと戻っていきました。

そのとたんに、賑やかになる教室。

これで今日の学校の授業は終了です。

長かったなーなんて思いながら荷物をバックに詰めて、テキパキと帰り支度を整えます。

私のこの後の予定を考えるとやや時間勝負な面もあるから忙しくもあるけど、それでもこの後の事を思うと自然と笑みが溢れます。

笑みの理由?

それは私の可愛い天使ちゃんをお迎えに行くからだよ♪



「彩ちゃん、部活頑張ってねー。」


「うん、ありがとー。このはちゃんまたねー。」


近くにいた彩ちゃんに挨拶をして、教室に残ってたクラスメイトにも軽くお別れの挨拶をして教室を後にします。


さっき挨拶をした彩ちゃんは、文系の部活に入ったらしいです。

私は帰宅部だけどね。

ちなみにうちの学校は結構人数規模が大きいらしいです。

まあ、少子化なんかの影響で統廃合の結果みたいなのもあるんだろうけどね。

それとこれは最初、私も知らなかったんたけどこの学校は部活動が人気らしいです。

生徒の8割くらいは何かしらの部活や同好会に加入してるみたいで、部活推薦はもちろん、とある部を目当てに受験する子もいるくらいらしいから。


あと人気なのは交通の便がいいトコなのかな?

最寄りの駅に近いのもあるし、駅に遠い地区とかには送迎のバスなんかもかなり出してるらしいからね。

だから結構バス使ってる子は多いみたいだよ。


私?

私は家から1番近かったからここを選んだだけ。

歩けば結構時間かかるけれども、自転車なら10分くらいだし。

それに元々は高校には通うつもりはなかったんだよ。

ある試験を受けて、それに合格すれば高校卒業と同等の資格が貰えるのがあるからさ。

その予定だったんだけど、去年お母さんが普通の高校に行きなさいって後押ししてくれたので、自宅から一番近いこの高校を受験して入学したって訳です。



駐輪場へ着いた私。

自転車に鞄を乗せて自宅へと向かいます。

この時は毎日のことだけど気分はウキウキルンルン♪

だってしょうがないよね。

もうすぐあんなに可愛い子に会えると思うとつい頬が緩んじゃうんだもん。

でも、そんな浮ついた気持ちで運転して事故でもあったら大変たから気を引き締めないとね。



10分くらい自転車で走ると自宅に着きました。

バックからガサゴソと鍵を取り出し、玄関に向かうと思いきや行き先は我が家の脇にある車庫。

自転車を止めてロックを掛けたあと、取り出した鍵をポチッ。

ピピッていう電子音と共にドアのロックが外れて乗り込みます。

そう、乗り込んだコレは車。運転するのはこの私。


え?高校生は運転出来ないんじゃない?って思った??

普通はそうだよね。でも私は運転できるんだ。

だって実は私、今年の4月で19歳だし。

19歳の女子高校生。面白いでしょ?(笑)

訳あって中学卒業から4年ほど進学しないでいたからね。

それなので、18歳になった去年に免許を取ったってわけ。

車があるとやっぱり便利でとても助かります。


ちなみにクラスメイトの子に歳は伝えてはいません。

この容姿の事でかなり驚いてたし、その状況で歳も言うと更に大変な事になりそうだったから。

まぁ、向こうから見たら大人びた15歳だなーって思ってるのかもしれないけど······。

聞かれたら聞かれたで答えるつもりではいるけどね。そんなに隠す程のものでもないから。



さて、愛車の軽自動車を走らせて10分少々。

目的地に着きました。

車だと早いよねー。雨風もしのげるし、暑さ寒さも冷暖房が効き始めればまぁ快適だから、徒歩とか自転車がイヤになるよね。



着いた目的地は、幼稚園です。

駐車場に車を止めて、送迎用の門に向かいます。

そう、実はここの幼稚園に私の娘が通ってるんです。

今年5歳になる私の可愛い娘。

双子かって思うくらいに私にそっくりで、パッと見で違うのは髪の長さと身長くらい。

そのくらい本当にそっくりなんだ。

まあ、このそっくり具合にも不思議な秘密があるんだけども、それはまたの機会でね。



インターフォンを押して少し待ちます。


「はーい。お待たせしました。」


「鈴宮 雪の母です。雪ちゃんをお迎えに来ました。」


「お待ちくださいね〜。雪ちゃーん!お母さん来たよー。」


シンターフォン越しにお迎えのやり取りを行います。

これも防犯対策の1つなので、幼稚園の先生も大変だなって感じます。

でも色んな事件があるから、そうなってしまうのも仕方ないよね。


やり取りの後。

先生の声が普通に園内の建物から聞こえて来て、また騒がしくなります。

この時間帯は帰りの会も終わり、バス送迎の子供以外は迎えが来るまで自由にしてるから先生も大変です。

その中でもウチの娘は分かりやすい容姿をしているから探しやすいですけどね。



雪ちゃんを待ってる間に、お迎えにきた保護者の方と一言二言挨拶がてらのお話をします。


「鈴宮さん、どうしたのその制服?」

「鈴宮さんって学生さんだったっけ?」


今年、学校から直に迎えに来るようになったから、学校の制服姿で迎えに来るようになったんだよね。

そんな私の姿を初めて見る方からは、必ずその様な事を聞かれるようになったんだ。

だって去年は普通に私服で迎えに来てたからさ。

それが急に制服でくれば、あれ?って不思議に思うよね。



「今年から高校に通い始めたんですよ。」


「あらあら、それは大変ね。でも、頑張ってね!」


同じみのいつものパターンで返す私です。

そうすると驚く人もいれば、頑張ってねと励ましてくれたりする人もいて、人によって色々だよね。

ここの幼稚園に通ってる保護者の方は、優しい人が多いからありがたいけど、そうじゃない人もきっといるんだろうなとは思う。


ちなみにここの幼稚園、去年私の娘が通い始めてからお迎えに来るパパさんが増えたらしいです。

入園希望者も去年より増えたとかで、園長先生が喜んでました。

私が原因?って思わなくもないけど、園としても少子化で新入児童の確保に苦労してるみたいだから、まぁいいのかな?



そして暫く待つことやってきました。私の娘の雪ちゃん。

白い髪で赤い瞳のその容姿は私の小さい時とそっくりそのまま。

まさか私とそっくりで産まれてくるとは夢にも思わなかったよね。

両親が私を見た時と同じように私も、そして先生も驚いたんだ。



それと名前。

『雪』って名前から冬生まれ?とよく聞かれるけど、そんなことはなくなく思いっきり夏生まれなんだよ。

普通に黒髪で生まれると思ってたから色々と考えていたんだけど、雪ちゃんを見た瞬間に全部吹っ飛んじゃったよね。

それで雪ちゃんを『雪の妖精さんみたい』って感じたのが切っ掛けで、考えてた名前を全部やめて『雪』になったの。



「ままーー」


雪ちゃんが私を呼びながら走ってきて、抱きついてきます。

そんな雪ちゃんを受け止めて抱きしめて頭をなでなでします。


「お帰り。雪ちゃん」


雪ちゃんにお帰りの言葉をかける。なでなでしながら。

そんな風にしてると、目を閉じて更に私にギュだって。


······なにこれ、ちょー可愛い♪

ママはもうヤバいです。マジ天使だよ。



「先生。今日も一日ありがとうございました。また明日も宜しくお願いします。」


「せんせー。ばいば〜〜い」


「はい。またね、雪ちゃん。明日も元気に来てね。」


先生に挨拶をして園を後にします。

先程担任の先生から「今日一日も元気で良い子でしたよ」って報告を頂きました。

ママ、嬉しいな♪

雪ちゃんも嬉しいのか私と手を繋ぎながらご機嫌です。



シートベルトをつけてあげてから、出発です。

運転しながら雪ちゃんに、何時ものように聞いてみたんだ。


「雪ちゃん。今日は何して過ごしたの?」


「うーんと······お歌うたって〜、お絵描きいっぱいしたー。あとね〜、みーちゃんとくみちゃんと、さっちゃんと遊んだよー」


してることはいつもと同じ内容ではあるけど、楽しそうに教えてくれました。

運転中で見れないけど、その顔はきっと笑顔満開なんだろうな〜。

見たいなー、信号に引っかからないかしら?

そんな風に思う私です。

でもでも、安全運転は忘れないよ!

その後歌い出した雪ちゃん。

そんな歌い出した雪ちゃんの声をBGMに運転すること数分。


「雪ちゃん、ちょっとお買い物して帰るからね」と伝えます。


明日の幼稚園のお昼は弁当持参の日なんです。

普段は園でお昼を用意してくれるのですが、週に1度お弁当持参の日があるんですよね。

なのでその買い出しに行きたいと思います。



「雪ちゃん、お弁当で何か食べたいのある?」


「うーんとねぇ······」


考えてる考えてる。

こういうのってご飯のおかずなんかと一緒で、意外と思い浮かばなかったりするんだよね。

さあ······雪ちゃんは何て答えるんだろう??

考えること少し。答えが出たみたい。


「タコさんういんなーがいいなー」


だって。



本当に可愛いなぁ♪


挿絵(By みてみん)

※買い物中のイメージ

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