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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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192/234

ある日の林間学校①-8 20歳高2(挿絵有り)

念の為、15歳以下の方は挿絵を非表示でお願いします。

「あれ?思ってたより普通······?」


「そう······だね?普通だね??」



脱衣場から大浴場へ早々にやって来た私と茜ちゃん。

楽しみにしてたお風呂だったけど、入った大浴場の第一印象がそれだったの。

普通。そう普通なの。

正面入口から真っ直ぐ奥にどーんと長方形型の大浴槽があって。

その左手側の壁沿いにL字型でシャワーとかの洗面スペースが配置されてたんだよね。

まぁ、よくイメージし易い典型的な大浴場の形とでもいうのかな?



「まぁ、でもいっか。形は普通だけど、まだお湯は分からないからね。」


「ちょっと残念?」


「······少しはね。でも、こうしてみんなと入るのは最初で最後だから、思い出としては十分だよ。」




茜ちゃんが私を見上げる様に見て、気遣ってくれてるんだよね。

私がお風呂を好きなのを知ってて、今回も楽しみにしてたのを知ってるが故に。


「取り敢えず先に身体を洗ってしまいましょう。こっちこっち。」


「うん。」


茜ちゃんの手を取り、洗い場の方まで歩いて行く。

今回の入浴は入場する時間をクラス毎でずらしているから、洗い場も空いてるんだよね。

その代わりに浴槽の方には私達より前に入ったクラスの子達が、楽しそうに入浴してるんだ。

そういう時間差入浴方法な訳で、ここでのんびりしてるとメインの入浴時間その物が減ってしまうんだよね。


端の方の洗い場に移動して、そこの椅子に軽くお湯を掛けて腰掛ける。

前には大きな鏡と、備え付けのシャンプー類やボディソープが置いてある。

基本的にはこれを使えばいいのだけど、今回私は家で使っているのを小分けにして持ってきたんだよね。

これは色々探してようやく見つけた、私の髪にしっくりくる物で私はこれを愛用してるんだ。

それで1日くらいなら別のでも構わないのだけど今回は場所とか明日の予定を考慮して、愛用品を使う事にしたんだ。

髪は私の身体の中でも1番のお気に入りの箇所だから、あまり妥協はしたくないんだよね。

だけど、その前に······。


「茜ちゃん、ここにおいで。髪、洗ってあげる。」


「えっ?! 髪? でも····家じゃないよ?」


「そうだけど、最近はできなかったじゃん?だからだよ。ほら、早く早く。みんなが来ちゃうから!」


そう茜ちゃんに言ってここ、つまりは私の前に座るように促した。

だって仕方ないじゃない。洗ってあげたくなってしまったんだもの。

時間的にはシャンプーくらいしかできないけど、以前に泊まりに行った時以来になるからさ。


「じゃあ···お言葉に甘えて······お願いします。」






  ーー 茜ちゃん 視点 ーー



「じゃあ···お言葉に甘えて······お願いします。」


私は椅子をこのはちゃんの前に移動して、そこに座った。


「じゃ、シャワーかけてからシャンプーに行くからね。コンディショナーまでは出来ないから、そこは宜しく。」


「うん。全然大丈夫だよ。ありがと♪」


このはちゃんの掛け声に応えてから目をつむり、シャワーに備える。

このはちゃんの髪洗い。凄い久しぶり·······。

というか、私の家に泊まりに来た時以来だよね?

それがまさか、ここでしてくれるとは思わなかっけどね。

でも······これもまた嬉しいな。だって久しぶりだもん。


シャァァァァー······


あ、シャワーが来た。

温かいね〜。

優しく丁寧に指で梳かすようにやってくれるんだよね。

·········あれ?前の時より長い??


「このはちゃん?なんかシャワー長くない?」


「うん?いや、今日はこのくらいでいいんだよ。ハイキングで土埃とか色々付いてるからさ、きちんと流さないとね。」


「そっかぁ〜。ありがと♪」


長いなーって思ったら、そういう理由で丁寧にやってくれてるみたい。

やっぱりこういう所に気が利くから、あれだけ綺麗な髪の毛を維持出来てるんだなって思っちゃった。

ああ、髪の色とかじゃないよ?

髪質とか艶だとか、そういう部分での事。

このはちゃんってさ、創作の中に出てくるヒロインみたいに髪はサラサラだし、艶もあるんだよ。

それが綺麗な白色だから余計にキラキラ輝いてて、まるで物語のお姫様みたいな銀髪に見えてるの。

みんながさ、『綺麗な銀髪だよねー』って言ったりしてるのは、ここから来てるんだよね。


シャワー流しが終わってシャンプー。

このシャンプーでモミモミしてくれるのが、また気持ちいいんだよね。

美容院でもしてくれるけど、このはちゃんの洗い方も非常に上手で気持ちよくてさ、長い事雪ちゃんの髪の毛を洗ってあげてるだけの腕前はあるんだよね。

流石だなって感心しちゃう。



「あれ?このシャンプー······このはちゃんが使ってるやつじゃない?」


「そうだよ。ここにもシャンプーとかは置いてあるとは思ってたけど、今回は愛用のを使いたかったから小分けにして持ってきたんだよ。」


「そうだったんだ。」


あれ?って思ったんだよ。

泡の香りがこのはちゃんご愛用のシャンプーと同じ香りだったからね。

私がこのはちゃんのお家に泊まりに行った時には使わせて貰ってるから、それで覚えたんだよね。

そしてそれを私も購入して、お家で使ってるの。


「でも良かったの?私に使っちゃって? このはちゃんはまだなのに······。」


そう。そこが問題なの。

私に貴重なのを使ってしまっていいんだろうか?

だって小分けなんだから補填なんて出来ないし、足りなくなったらこのはちゃん自身が使えなくなっちゃうよ?


「大丈夫、大丈夫。元々茜ちゃんも使えるように余分に持ってきたからね。だからコンデショナーの方も使って良いよ。」


そうなんだ······。

まさか私の分まで用意してくれてただなんて、これっぽっちも思わなかったよ······。

じゃぁ、もしかして······この髪の毛洗いも、最初から予定してた??


「このはちゃん······ありが「あー!このはちゃんが茜ちゃんの髪の毛洗って上げてる〜!?いいなー······。」······。」


「マジ!? あ、ホントだ。」

「うわっ! なんて羨ましい······ねぇ、このはちゃん?私も洗ってー?」

「あ〜·····私も洗って欲しいかも!」


聞こえて来た声から判断するに、どうやら皆が着替え終わってこっちにやって来たみたいだね。

そして私の髪を洗ってるのを見つけたと。


「う〜ん······。みんなのを洗ってあげるには時間が足りなくて無理だから······また何かで代用してあげる。それでいい?」


「そうだね······。確かに全員となると流石に無理だよね。」

「残念だけど、それでいいよ。」

「私もー。代替えに期待する♪」


「ありがとうね、みんな。じゃあ、ほら·····いつまでも立ってないで身体洗って湯船に行こ?」


「「そうだねー。」」

「「「はーい♪」」」


泡にまみれてて目が開けられないから見えないけど、会話からなんとなくこのはちゃんと皆の情景が浮かんてきた。

きっと皆は、私とこのはちゃんを取り囲んでるんだろと思う。

それにこんな場面を見られるのは私は想定外だったけど、このはちゃんはそうでもないんだろうね。

元から洗ってくれるみたいな感じだったし、いくら皆が遅いっていっても洗う時間を考慮すれば、洗ってる所を場面を見られるのはほほ間違いないのだから······。

頭の聡いこのはちゃんがそれに対してノー対策って訳はないだうし、現に皆を上手く纏めてる。



私の左右からシャワーの音がする。

きっと皆がそれぞれ洗い出したんだ。

そして私にもシャワーをかけてくれて、これでお終いか······。


「はい、終わったよ。残りは茜ちゃんがやってね?コンディショナーは使ってもらっていいから。」


「うん、ありがとう♪嬉しかったよ。」


このはちゃんにお礼を伝えて元の位置へと戻って、今度は自分で続きをします。

コンディショナーを髪につけて、その後に身体を洗って。

洗いながらチラッと隣を見れば、いつかの時と同じピシッとした姿勢で髪を洗うこのはちゃん。

やっぱりこういう所から、このはちゃんは違うんだよね。


私も皆も髪を洗う時は前屈みになり洗ってる。だから背中が曲がる、つまり猫背になるんだよね。

だけどこのはちゃんはそれがない。

背筋をピシッとしっかり正した状態で髪の毛を洗うから美しいんだよね。

だから一度見たことのある私も、偶々気が付いた子も手を止めて魅入っちゃってる。


「このはちゃんって、こういう何でも無い所でも気を抜かないんだねー。」


「そうみたいだね。私達なんて屈んで洗ってるのにさ、そこから違うし······。」


「だからやっぱり、何気ない場面でも姿勢とか態度が美しいんだね。」


うん。

それには凄く同感だよ。

授業中も廊下を歩いてる時も常に姿勢を正してるし、先程の晩ご飯の時も綺麗な姿勢だった。

そういう所も私としては見習うべき所だなと、改めて思い知らされるの。

背筋が良ければ小さな私でも多少は大きく見られるかもしれないし、それに見た目も格好良く美しくみられるかもしれないじゃない?


現に今のこのはちゃんがそうだからね。

身体を洗う前の髪を洗ってる段階。つまりは身体に泡がついてない状態で。

綺麗で細くも太くもなく魅力的な太腿、くびれた腰に引き締まったお腹、大きくてだけど垂れてないお胸······。

そのどれもがしっかりと見えて、だけど姿勢が良いから美しいの。

私もそれに気付いたクラスメイトの皆も、そこから目が離せないでいる······。






  ーー このは 視点 ーー



「うーん······やっぱり温泉は気持ちいいねー♪」


「本当だね〜。1日の疲れが癒やされるよ。」

「それにしても······まさかこういうお風呂があるとは思わなかったね?」

「そうだね。これには意外だったよ。良かったね、このはちゃん。」


「うん。最初はあれだったけど、こっちは大満足だよ♪」



みんなと湯に浸かりながら、そんな会話をする私達。

あの後、髪の毛や身体を洗い終わって「さぁ、湯船に浸かろう!」

ってなった時に、志保ちゃんが別のお風呂に気が付いたんだよね。

それは私達が入ってきた、入口正面奥にあった大きな浴槽の更に奥。

大浴槽の脇にあった扉を開けた先に広がっていたの。


そこは木製の壁に囲まれて、屋根も浴場の大半を覆っている。

そして肝心の浴槽というと大きな石で囲まれた湯船。周りには大小の石がゴロゴロと置いてあって、石の隙間や後ろの方に植物の緑色が色を添えているの。


そう、ここは露天風呂風の造りになっているお風呂だった。


「向こうのお風呂も広いから伸び伸び出来るのはいいけど、こっちを見ちゃうとこれ一択になっちゃうね。」


「うん、それは分かるなー。」

「だよねー。雰囲気で言えば、ここが1番いいもの。その証拠にこちら側に来てる子が多いもの。」


言われて見渡せば、手前にあったお風呂よりもこちら側に来てる子の方が多いいの。

それだけ雰囲気がよいんだよね。

まぁ······空があまり見えないのは残念だけど、冬場や雨の日を考えるとこちらの方がもしかしたら良いのかもしれないね。


足を伸ばして軽く背伸びをしてみたりして、疲れた身体を伸ばす。

我が家のお風呂でも出来なくはないけど雪ちゃんと一緒に入る関係上

、普段はなかなか出来ないからね。

だから、本当に気持ちいい♪


挿絵(By みてみん)


「このはちゃん、嬉しそうだね?」


「そりゃ〜そうだよ。だってこのはちゃん、お風呂好きだからね。今回、お風呂を楽しみにしてたみたいだけど向こうのお風呂を見た時、ちょっとガッカリしてたからね。」


美紅ちゃんの問に茜ちゃんが答えてる。


「えー?なんで茜が知ってるのよ?」


「え?何でって······このはちゃんから聞いてたからだよ?」


「それを言ったら、さっきの髪の毛洗いは何? やば······、思い出したらやって欲しくなってきたわ······。」


ワイワイと賑やかに話をしつつ入浴する私達。

静かに浸かるのも悪くはないけど、友達と賑やかに入るこういうのも悪くはないよねと感じる。


「ねーねー、このはちゃん。」


「な〜に?」


「さっき茜の髪を洗ってあげてたのは何でなの?」

「そうそう! 私も気になってたの!」

「2人が仲良いのは知ってるけどさ〜、でも、あれをやるのは何かあったの?」


美紅ちゃんを筆頭に、みんなが先程の髪の毛洗について聞いてきた。


「いや、あれはね·····、いつもの癖でやっちゃったのよ。」


「癖?」

「癖って······茜ちゃんとよくお風呂に入るって事?」


「えっ!??」


驚く茜ちゃん。

もぅ······この子は······。そういう反応をすると入ってますって、みんなにバレちゃうじゃない。

今はまだそういうのをみんなにバラしたくはないから、隠して置きたいんだけどさ。


「そうじゃなくてね、雪ちゃんだよ。毎日雪ちゃんとお風呂に入って髪の毛を洗ってあげてるから、つい癖で茜ちゃんを呼び寄せちゃって洗っちゃって······。ごめんね、茜ちゃん。迷惑だった?」


「え!? ううん!全然そんな事ないよ!寧ろもっとやってくれてオッケーだから!!」


「あはははは······。それは、ありがと。」


「そっかそっかー。雪ちゃんかぁ〜。」

「それなら納得だよね〜。」

「うん。私も小さい頃はお母さんによく洗って貰ってたからね~。」


どうやら納得してくれたみたいでよかったかな?

雪ちゃんを洗ってあげてるのは本当の事だし、そこに嘘偽りはないからね。

そこに茜ちゃんが入ってきた訳だけど、先程も思った様にまだ皆には知られたくないから、急ではあるけど茜ちゃんを巻き込んで誤魔化した。

ごめんね、茜ちゃん。


ただまぁ······そういう風に誤魔化したけど、実際には最初から洗ってあげるつもりだったんだよね。

全工程は無理でもシャンプーくらいは出来るかな?って思って。

その位、私の中で茜ちゃんは大切な女の子になっちゃったからね。




「それにしても、茜〜? 貴女、本当に胸が大きくなったわねー?」


「あ! こっ···こら!止めてよ〜美紅ぅぅ······。」


「こいつか!?こいつが悪さをしてるのか!? つーか、私にも少しは頂戴よー·····。」


バシャバシャとお湯を立てながら、美紅ちゃんが茜ちゃんを襲ってる。 

襲うという名の胸もみなんだけどね。


「あの2人って本当、仲良いよね? 茜ちゃんはこのはちゃんを除くと美紅ちゃんが1番の仲良しでしょ?」


「そうだね。中学は違うらしいけど、1年生の初期から仲良しだったみたいだよ。」


志保ちゃんにそう聞かれ、それに答える私。


「不思議だよねー。タイプは全然違うのに······。」


ちょっと離れた向こう側で、茜ちゃんの胸を揉んでる美紅ちゃんで·······。

まぁ、茜ちゃんは身長の割には胸が大きいからね。逆に美紅ちゃんはどちらかと言うとちょっと小ぶり。

だから気持ちとしては分からなくはないけど、まさか漫画みたいな事をするとは思わなかったよ。

ちなみに、その漫画の出ところは茜ちゃん所有の本です。


「美紅ちゃんは妹がいるような事を言ってたから、そういうのも影響してるんじゃないかな? ほら茜ちゃんって守ってあげたくなるというか、 そんな感じがするからさ。」


「確かにそれは分かるわ〜。茜ちゃんって、皆が妹的な扱いをしてるからね。なるほどね〜·····。」


納得した志保ちゃん。

私は恐らく違う理由かな?とは思ってるけど、確かにクラスのみんなからはそういう感じの扱いは受けてるよね。

それは女の子に限らず、男の子もそういう感じでさ。

それはきっと、学年で1番背が低いのと雰囲気的な物もあるとは私は思ってる。

だからつい見守ってあげたくなると言うか、そういう感じでね。


で、その仲良くなった本当の経緯というかキッカケ的な事は私は知らない。

プライベートな物でもあるから聞くわけにもいかないし、でも、そもそもが仲良くなる程の出来事なんだから、きっといい事があったんだろうとは思ってる。



挿絵(By みてみん)


「はいはい、美紅ちゃん? そろそろ終わりにしてあげて?これ以上やったら茜ちゃんが泣いちゃうよ?」


私は助け舟を出した。

というか、本当にそろそろ危ないと思ったからね。

美紅ちゃん的にはじゃれ合ってる感じなんだろうけど、やられてる茜ちゃんとしては最初は兎も角、今はもう限界寸前。


「あ、このはちゃん。そ···そうだね、流石にもうヤバいか······。ごめんね、茜。」


「うわぁぁぁ〜ん······このはぢゃーん······。」


「お〜〜······よしよし。頑張った、頑張った♡」


美紅ちゃんから開放されて、私の所へと逃げ込んできた茜ちゃん。

私はそのまま受け止めて、頭を撫でつつ慰めてあげた。


「ちょっと美紅ちゃん? いくらなんでもやり過ぎだったんじゃない?」


「うん······反省してる。テンションが上がっちゃってさ、ついね······。」


志保ちゃんから言われて、本当に反省してる様子の美紅ちゃん。

これなら私が言わなくても大丈夫そうだね。

志保ちゃんってしっかりしてるから、駄目な時はダメって言ってくれるんだよね。

やはり2年続いてクラス委員長をやっているというのは、彼女の中でも何かが変わってきてるみたい。


それに茜ちゃんも大分落ち着いてきた。

まぁ元々というか、隠してた性格的には甘えん坊で私にくっつくのが好きな子だったからね。

普段でも喜ぶのに今は裸だから、尚更回復も早いというわけ。


「えへへへ♡このはちゃ〜〜ん♪」


「いいなー······茜ちゃん。」

「羨ましいなぁ·····。」

「皆、気が付いてる? あれ、直胸だよ?」


「「「「!!??」」」」


「マジか······。」

「そうだった·······。普段でも癒やされるのに、裸の胸はヤバいんじゃね??」

「私、抱かれてみたいんだけど?!」

「それ······女子高生が言っちゃいけないセリフなんじゃ······。」


慰めていると、直ぐ側からはみんなのそんな声がする。

でも、ごめんね。

いくら皆とはいっても、流石に裸では抱きしめはできないよ。

これは雪ちゃんと葵と茜ちゃんだけの特権だからね······。




「そろそろ大丈夫かな?」  


「あ、うん。その······ありがとう。このはちゃん。」


顔を赤くして照れくさそうにお礼を述べてくる茜ちゃん。

2人きりならもうどうってことないけど場所が場所という事を思い出したみたいで、それが照れてる理由みたいだね。

だって·····ばっちり皆に見られたから。


「良いって良いって。それより、ほら?」


「うん?」


私と向かい合ってる茜ちゃんの肩を掴み、くるっと前に向けさせる。そして······。


「ごめんなさい。茜······。私、ちょっと調子に乗りすぎちゃった。」


反省した美紅ちゃんがそこにいて、茜ちゃんに謝った。

申し訳なさそうに、しょぼ〜んとしちゃって······。


「うん、いいよ。美紅も悪気があった訳じゃないのは分かってるからね。」


「ありがと、茜。」

「よかったねー、美紅。」

「今度からは、ほどほどにしなさいよ?」


許した茜ちゃんと、嬉しそうな美紅ちゃん。

そしてそれを見て安心する周りのみんな。

やっぱりこういう光景が1番いいなーって思う私だった。


「それに······いい事もあったしね?」


「「「「ん??」」」」

「良いこと?」


私もみんなも何だろ?って思ったのは、間違いないと思う。


「ほら、これだよ?」


「あっ·····こら、茜ちゃん!?」


私からは見えなかったけど、きっとその顔は笑ってたに違いないね。

「これだよ?」って言うなり、私の方にくるっとまた向き直って抱きついてきたんだよ。

私の胸に。


さっきは状況が状況だったのであれだったけど、今のは······絶対に確信犯だよね。

裸なのを分かってる上で抱きついてきて、幸せそうな表情をしちゃって。

そして何となくだけどみんなに見せつける様な、そんな感じもありで·····。

全くも〜······なんて感情が湧かない訳でもないけど、だけど邪険にも出来ないんだよね。

そんな風に私が甘やかすから、見てるみんなも「いいな〜♡」なんて言って見てるしさ。




「それにしても······だいぶ髪の毛も伸びたね?」


「そうだね〜······。切ろうと思ってた時点から更に2ヶ月くらい経ったからね。私の最高記録更新中だよ。」


私は抱き着いたまんまの茜ちゃんの髪の毛を撫でつつ、そんな感想を漏らす。

これは前々から分かってはいたけど、髪を洗ったりして直に触ると重みとか感触とかで更に実感するんだよね。

伸びたな〜って。


「茜のその髪はさ、部活と何か関係でもあるの?」

「そう言えば······そうだよね?部活を辞めた頃と伸ばし始めたのが同じくらい?」


みんなも疑問に思ってた事を口々に茜ちゃんに聞いてる。


「いや、部活を辞めたのとは全然関係ないよ?辞めようと思ったのより先に伸ばそうと決めたからね。」


「へぇ〜、そうなんだ。」

「でも、なんでまた伸ばそうだなんて思ったわけ??」


「それはね、このはちゃんが伸ばしてみない?って言ったからだよ。」


「そうなの?このはちゃん?」

「あら、意外??」

「茜ちゃんらしいと言えば、らしいかな?」


「うん。言ったね。触ってて思ってたんだけどさ、茜ちゃんは曲のない髪をしてるからさ、伸ばしたら似合うんじゃないかなーって思って話した事があるんだよ。それで伸ばし始めたんだよね?」


「そうそう♪」


ほんの数ヶ月前のやり取りではあったけど、今となっては懐かしいなと感じる。


「このはちゃんは······その、長い髪の女の子が好きなの?」

「このはちゃん自身が長いもんね?」

「私も伸ばそうかなー?」


みんなが私と茜ちゃんを交互にみつつ、その後に自身の髪を触りながら伸ばそうかな?とか悩んでる。


「んーとね······、私自身はこの長い髪の毛を気に入ってるのはあるよ。元々は切りに行く時間が勿体なくて、伸ばしたのが始まりなんだけどね。」


そう。

髪を伸ばした始まりは子育てで、髪を切りに行く時間が勿体なかったからなんだよね。

この話は以前にみんなにも話した事はあるから、覚えていてくれれば知ってる筈なんだよね。


「でもそれと長い髪の子が好きか?と言われると、そうでもないよ。皆が知っての通り私は雪ちゃんを愛してるけど、別に雪ちゃんは長くはなかったでしょ? まぁ······娘だからって言われれば反論は出来ないけど······、でも髪は外見だからね。私は外見よりも内面の方が大切だと思ってるから、短くても長くても気にしないよ。ただ······こうだったら似合うかなー?って思う事はあるけどね?」


「内面か〜。」

「そういうのはあるよねー。フィーリングが合うとか合わないとか······。」

「なるほどね〜。」


「だから、別に短くても私は気にしないから平気だよ。伸ばせば手間も増えるし大変だし······。ただ茜ちゃんが伸ばすとは夢にも思わなかったけどね。」


「えへへへ····。」


ほんと、思わなかったよね。

曲のない髪だったから似合うかなーとかそういう想いはあったけどさ、それをあっさりと決めちゃったからね、茜ちゃんは。




「さて、茜ちゃん。もうお終いだよ。私、もう上がるからね?」


「あ······もう上がっちゃうの?」


「うん。もう十分に温まったし堪能もしたからね。これ以上浸かると危ないし、時間もあるでしょ?」


「そうだねー。」

「そっか、もうそんな時間かぁ······。」

「早いものだねー。」


茜ちゃんを引き離して上がることをみんなに伝えます。

浸かろうと思えばまだ大丈夫だけど、時間的な面が大きいからね。

私達の後にもお風呂に入るクラスは続くから、私達が何時までもゆっくりしてる訳にはいかないの。

こういう制約が辛い所ではあるけれど、気に入れば今度は個人で来ればいいだけだからね。



「じゃ、上がりましょ。」


「「「「「はーい♪」」」」」


声を掛けて皆揃ってお風呂をあがる。


楽しみにしてたお風呂も堪能できて、私はご満悦♪

お湯も源泉を使用してたみたいで、身体にも良かったからね。


それに······。

今は無理でももうちょっと先、雪ちゃんがもう少し大きくなったらこういう所に来てもいいかもしれないねって思っちゃった。

温泉だけじゃ飽きちゃうから、遊園地とか遊べる所を兼ねた所でお泊りとか······。




色んな思いを巡らせつつ、楽しみだったお風呂タイムは終わるのでした。



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