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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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190/240

ある日の林間学校①-6 20歳高2(挿絵有り)

長文になりましたが、お楽しみ頂けたら幸いです。

「「「「いただきまーす!!」」」」



日が暮れて外はもうすっかり暗くなった時間に、みんなの待ちに待った晩ご飯の時間が始まった。 

案内されたのはレストランとかではなく、宴会とかパーティー等が行われたりする大部屋だったんだ。


床は暖色系のカーペットが一面に敷かれて、壁は白色基調ではあるけれど所々に木材等が使われて、それを上手に見せる事によって更にステキな装いになってる。

また壁面にもライトが取り付けられていて温かみのある暖色系の灯りが灯っていて、天井も同様の仕様になっていて尚且つただ平面ではなく少し窪んでたり模様が書かれていたりと、落ち着いた雰囲気の中にも贅沢に見せるそんな工夫がされてた。


そして部屋一面にズラーっと長テーブルが等間隔に並べらていて、そこで食事らしいです。

クラス毎に纏まって座るとの事で、私達は当然ながら女の子同士で向かい合う様な形で固まって座った。

こうする事でみんなと会話を楽しみながら食事が出来るからね。

そして勅使河原先生が少しお話をした後に『いただきます。』となった。



眼の前に広がっているお料理。

ご飯と汁物があり、メイン料理としてはステーキみたいです。

これには男の子が大喜びをしてて、嬉しそうにしてる。

特に初日にハイキングをした私達の方は体力を使ったりしたから、余計にこういった物が食べたいのかもしれないね。

そしてそれ以外にも、ステーキ用のソースがあったり野菜類の煮物や和え物、サラダにデザートとかなり贅沢な晩ご飯となってるんだ。


「美味しそうだね♪」

「だね♪昼間にかなりいい運動をしたから腹ペコだよ。」

「ほんとほんと。だからさ、余計に美味しそうに見えるよ。」


みんなもかなりお腹が空いてる模様で『いただきます』をしてからは、「うっま〜い♪」とか「美味し〜♡」などと感想を漏らしつつ食べたんだ。

実際に私も食べて美味しかったよ。

ステーキは冷めてはいるけれど柔らかくて美味しくて、ソースもお好みでどうぞといった感じで何種類か用意されてる徹底ぶり。

私は定番ではあるけれど、おろしポン酢ソースにしたんだ。

他のでも良かったんだけど、これが食べ慣れてる味というのもあったからね。


あとは煮物とか和え物。

この辺りは何をどう調理してるのだろう?とか、味付けの仕方は?なんて、どうやったらこのように作れるのかな?なんて考えながら食べてたんだよね。

純粋に味わって楽しめばいいのにさ、作ったことのない料理を食べるとついそう考えてしまうこの癖。

私のちょっと悪い所······。



「ねーねー。この後どうする?」


「この後?」


「そう。食べ終わったらさ、お風呂までの間とその後の寝るまでは自由時間でしょ?特に食後の後はお風呂まで1時間はあるからさ。」


彩ちゃんが食後の後の自由時間の使い方について、みんなに意見を求めてきた。

実際にみんなが楽しみにしてるものの1つに、この自由時間もあるよね。

男女間での部屋の行き来は禁止されてるけど、同性の間なら自由に許されてるの。つまり同じクラスの友達の部屋で皆で集まって遊ぶとか、他クラスの友人の部屋で過ごすとかそういうのはOKなの。

同性ならね。

まぁ、私達は皆で一部屋だからそういった事は必要ないのだけど。


「私さ、トランプとUNOを持ってきたんだよ。だからさ、二組くらいに分かれてやったりしない?」


「あ、いいじゃんそれ!」


「トランプとUNOかー·······。すっごい久しぶりかも。」


彩ちゃんがトランプとUNOを持ってきてたらしいです。

こういう時の定番的な遊びではあるけれど、意外と楽しかったりするんだよね。

ただやるんじゃなくて、ちょっとした罰ゲームとかを設けてみたりしてさ。

それによって変な緊張感が出来たり、絶対に負けられないぞ!っていう謎のプレッシャーに苦悩したりとかして、やる側や見てる側としても面白かったするしね。  


ちなみに彩ちゃんが持って来たこれは特別禁止はされてないの。

この位の物は私が小学生だった時も、持ってきてた子がいたくらいだからね。

ちなみに、携帯ゲーム機は禁止されてる。とはいっても今はスマホで立派なゲームが出来たりする時代だから、敢えて持ってくる子はいないだろうけど······。



「このはちゃんもやろう?」


「うん。良いよ。」


「「「おおぉ!」」」

「「やった〜♪」」


喜んでくれるみんな。

だって折角の自由時間だから楽しまないとって思う。でも······。


「でも、トランプとかはお風呂上がりでもいいかな?」


「お風呂上がり?」

「あれ······?」

「何か予定でもあるの?」


不思議そうにするみんな。

それはそうだよね。先程も言ってたように、この後はお風呂意外は何もない自由時間だからね。

お土産を買うのもよし、みんなで遊んだり話をして過ごすのも良しで、何か特別な会議があるとか先生から何かを頼まれてるとか、そういう話はないからね。


「うん。ちょっと行きたい所があってね······みんなも来る?」


私はみんなを誘ってみた。

何するの?とはまだ言わない。けど、好奇心旺盛なみんなの事だから恐らくついて来ると思ってる。

それにトランプだとかそういうので遊ぶには、お風呂上がりでも十分な時間があるからね。






  ーーーーーーーー




「このはちゃん? まだ行かないの?」

「皆、いなくなっちゃったよ?」


「う〜〜ん······、そろそろ大丈夫かなぁ?」


晩ご飯をみんなと楽しく美味しく召し上がって、そのままのんびりとしてる私達。

他のみんなは食べ終わって早々に立ち去っていったけど、私は動かずにそのまま待機をしてるんだ。

そして私達のクラスの男の子もそうだけど、全ての生徒がいなくなったのを確認して動き出す事にした。


「じゃ、行こっか?」


「「「はーい♪」」」

「待ってました!」

「わ〜·····どこに連れてってくれるんだろ?楽しみー♪」


席を立って歩き始める。

あの後、みんなに『私と一緒にくる?』と尋ねたら、やっぱりというか予想通りの二つ返事で『行く!』って返ってきたんだ。

そういう訳でみんなと少し出掛ける事にした私。

でも何処に行くのかは内緒。

その方が楽しみもあるし、実際に見た時の感動も大きいからね。


大部屋を出て物販店の脇を通りロビーへ。

この時間だと今ホテルに到着したお客様がチェックインをしてる姿をチラホラと見受けられる。

そんなロビーを見つつ、私は玄関へと歩いて行くんだ。


「あれ?上に行くんじゃないんだ?」

「ホントだね。私もてっきり上の階にいくんだとばかり思ってたけど·······。」

「外?」


口々に『あれ?』なんて疑問の声をあげるけど、それも当然だよね。

だってこの後に行くのは普通なら、自分たちの部屋か友達の部屋又は買い物かってところだから。


「うん。外だよ。」


「でも······このはちゃん。外出って禁止になってなかったっけ?」


さすが志保ちゃん。

しっかり者の志保ちゃんが、ご尤もな事を聞いてきた。


「それはね、先生から許可を頂いてきたから大丈夫だよ。まぁ、いくつか条件はあったけどね。」


「このはちゃん·····すっごーい!」

「ほんとほんと。よく許可が取れたもんだね?」



ロビーから玄関を出て、ほんの少しだけ歩く。

みんなが言うように、実際によく許可をくれたなとは私自身もそう思うよ。

でも、いくつかの条件で高橋先生は許可をくれたんだよね。


『時間は10分ぐらいにする事。』

『遠くへは絶対に行かず、ホテル周りにする事。』

『なるべく他の生徒に見つからない様にする事。』

『他言しない事。』


そういった条件があったので、大広間から動く時に他の生徒がみんな退出するのを待ってたんだよね。


玄関入口を出てホテルの側面に移動する。

この時に茜ちゃんの手を握ってあげたけど、嬉しそうな気配がした。

そして······。




「ほら、みんな。あれだよ。私が見たかったのは。」


「「「うわぁぁ〜!!」」」

「すっごい、キレーー♪」

「凄いね!! 何もない所だとここまで綺麗に見える物なんだー!?」


皆が感動するそれは、夜空に浮かぶ満天の星空。

私達が住んでいる場所では明るい星しか見えないけど、ここでは向こうで決して見ることの出来ない星々が真っ暗な夜空に輝いてるの。

そしてトドメの天の川。

いかにもこれが天の川!!っていうレベルではないけど、でも、分かる人には分かる天の川が、何と見えるんだよ!!



「このはちゃん、これが見たかったんだ?」


「そうなんだ。まぁ·····これは賭けでもあったけどね。まず天気の問題でしょ?当然晴れてないと見えないけど、これは何とかクリア出来たからね。あとは外出の許可と実際に見えるかどうか······。こればかりはぶっつけ本番だからねー······。」


隣りにいる茜ちゃんの問い掛けに、そう答える。

天気自体は事前に分かるからいいとして、残り2つの問題がね······。


部屋に案内された時に皆と窓からみた景色。

あの時に空も見えるかな?と確認はしたんだけど、視界の殆どは山だったんだよね。それに窓ガラス越しから見る関係上、真上は見えないから早々に窓越しに眺めるのは諦めたの。

で、高橋先生にお願いをしに行ってほんの少しだけ許可を頂いたわけです。



「綺麗だね〜······。」


「そうだね。プラネタリウム程ではないけど、それでもこれだけの物が見えれば十分なレベルだよ。」


「そうだね。ねぇ、このはちゃん?? こういう星空を敢えて見るくらいだから、星座とかにも詳しいの?」


「星座?詳しいというか有名どころしか分からないけど、少しは分かるよ。」


「ほんと!? 教えて教えて!」


私は植物や自然といった物と並んで、星とか宇宙とかいった分野も好き。

これは人類が殆ど分かっていない世界で、その未知の謎や秘密、神秘的な光景だったり仕組みだったり、そういった物に凄く惹かれるからなんだよね。

だからこの手の記事をネットなどて見かけると、ついつい見てしまうんだ。

ボイジャーがどうのこうのだとか、太陽や太陽系の星の新しい発見や分かった事があったとかね。

最近だともしブラックホールに吸い込まれたら?っていう、シュミレーションが公開されてたりもしたよね。


そして星座の話になるけど、これは正直有名どころしか分からない。

これは私達の住む場所では、有名=明るい星しか見えないから。



「えっとね、まずあそこに明るい星が3つあるでしょ?あれが夏の大三角ね。」


「「「「「うんうん。」」」」」


南西から西にかけての夜空を指しながら説明をする。

とは言っても指してる位置が皆に伝わるかは分からないんだけど······。


「で、その大三角の下2つの星があるでしょ?あれの右のがベガって星でおりひめ星って言われる星だね。その左のがアルタイルでひこ星。そのひこ星の左で輝いてるのが土星だよ。」


「「「おお!」」」

「ど、土星!?」


「うん。まぁ、パッと見は普通の星にしか見えないけどね。後はあれが木星で、もう少し遅い時間になれば東の空からオリオン座が出てくるんだけど······山でまだ見えないか。」


急遽始まった私の星空教室。

有名どこしか分からないけど、それでも皆が聞いてくれるんだよね。

夏の大三角に木星や土星。北をみれば北極星も見えるし。

この季節は夏の最座と冬の星座が、時間差で見えるからちょっとはお得だとは思う。

それを指を指して説明をした所で『どれ?』となる難しさはあるけど、なんとか見つけてくれて喜ぶみんなを見てると嬉しくなる。



「そして最後に、あそこら辺に星がライン上に沢山あって少し明るくなってる場所があるでしょ?あれが天の川って呼ばれてる物だよ。」


「天の川······。」

「凄いね···。まさか肉眼で見れるとは······。」

「うん······。」


感動するみんな。

やっぱりこれが1番インパクトがあって、感動も大きいよね。

だって私もそうだから。

今まで写真や映像、プラネタリウムでしか見た事のない物が、直に見れてるこの感動は言葉に表しようのない嬉しさがある。


「みんなは天の川銀河って知ってる?」


「「天の川銀河?」」

「うーん······なんだっけ?」

「聞いたことがある気もするけど······。」

「あ、あれだよ。太陽系が所属してる銀河とかじゃなかった?」


「志保ちゃん正解〜♪」


「よしっ!」


「天の川銀河ってね、志保ちゃんが言ったように太陽系が所属してる星々のでっかい集団なのね。で、今見えてる天の川はその銀河の中心部分が見えてるって言われてるの。」


「ほぇ~·····。」

「銀河の中心だってよ?壮大だねー。」

「でもさ、このはちゃん。中心が見えてる割には棒状っぽく見えてない?あれは??」


「あれか······。あれは説明が少し難しいけど、さっきも言ったように太陽系は銀河の中にあるのね。台風をイメージすると分かりやすいのだけど台風の目に相当する銀河の中心には巨大なブラックホールがあるって言われてるでしょ。で、太陽系はその台風の外側の方の雲の中にあるって言われてるの。だから私達は内部にいながらその中心部を観察してるから、天の川が天球上の帯として見えるんだよ。」


「内部から中心?」

「ブラックホールのは知ってるけど·······。」

「中から見てるから棒状に見える??」


あぁ······。

みんなが混乱してる······。


「大丈夫、あまり気にしなくていいよ。取り敢えず天の川は銀河の中心方向なんだって理解してくれればOKだよ。」


「な···なるほど。」

「うん。そういう事にしとくね。いや〜、私には難しいや·····。」


なるべく簡単に説明をしてみたけどイメージがし難いのか、難しかったみたいです。

特にこの天の川の見え方についてがね·····。

だから銀河の中心方面なんだよって覚えて貰う事だけにしたんだ。

こういうのもただ綺麗だな~って見てるだけもいいけど、ちょっとした知識があるだけでも見え方、感じ方が変わったりするからね。


例えばまだ見えてないけど、直に見えるオリオン座。

これは私達の地域からでも見える有名な冬の星座だけど、この星座の1つ赤色超巨星のベテルギウス。

これは近い内に超新星爆発をすると言われてるんだよね。

少し前に急に暗くなって爆発か!?って騒がれたりして、結果的にはまだだった訳だけど。 

これが私達が生きてる内は無理でも、近い内に爆発するのかって考えながら空を見上げてるのと、知らないでただ見てるのとでは全く違うでしょ?

そういうのを少しだけでも皆に知って欲しかった。



「···っくちゅ。」


隣りにいた茜ちゃんが可愛いくしゃみをした。


挿絵(By みてみん)


「あ···寒い?」


「うん······。少しだけね。」


「そうだよね······。10月とはいえ、場所が場所なだけに結構冷えるか······。」


私達の埼玉ならまだそんなには寒くはないけど、ここは山に囲まれた標高の高い高原だからね。 

みんながジャージを着てるとはいっても、思ってたよりも冷えるみたい。


「みんな〜。そろそろ時間だし冷えても来たから戻ろっか?」


「はーい。」

「了解〜。」

「そうだね。何気に冷えて来たよね。」

「良いもの見せてもらえたし、帰ろっか。」


皆に声をかけてホテルへと戻る事にしました。

時間的にも丁度よいし、冷えてきたのも確かだからね。

みんなを先に行かせて私が最後を歩くんだ。

私の責任でみんなを連れ出した訳だから、人数確認や安全を確かめる意味も含めてね。


「茜ちゃん。これ着てていいよ。」


みんなに聞こえないように小さな声で茜ちゃんに声を掛け、私の着ていた上着を着せてあげる。

ジャージの上からジャージを着るという、変な組み合わせだけどね。


「これって······このはちゃんが風邪引いちゃうよ!」


「大丈夫だよ。そんな距離でもないし、それよりもくしゃみをする茜ちゃんの方が危ないよ。」


「う···うん、分かった。じゃあ、少しだけ借りるね。······あぁ、温かい······。」


申し訳無さと嬉しさと愛しさと。

暗くてはっきりとは分からないけど、そんなちょっぴり複雑そうな表情をしてる茜ちゃん。

でも、嬉しそうだ。

ちょっとサイズの大きいの私のジャージを嬉しそうに抱きしめるように着てくれてるから······。


「志保ちゃん、みんなを連れて先に部屋に戻っててくれる?私、高橋先生の所にいって報告してくるから。」


「うん、分かった〜。気をつけてねー。」


「はーい。じゃ、茜ちゃん行こっか。」


ロビーでみんなと分かれて、私は先生に報告です。

無事見てきた事と、お礼を兼ねて。

本来は私一人で良いのだけど、茜ちゃんを連れて行くのは上着を貸したからなんだ。

大丈夫だとは思うけど、このまま部屋まで行くと私の上着を着てるのがみんなにバレる可能性が高かったからね。

だから私と一緒に行って、部屋の前で元に戻すつもりでいるの。





  ーーーーーーーー




「高橋先生。無事に空を見てこれました。ありがとうございました。」

「ありがとうございました。」


私に続いて茜ちゃんも頭を下げてお礼を告げた。

先生は何処にいるのかなと探したけど、直ぐに見つかった。

今回、男子と女子は泊まる部屋の階層が違うけど、それは先生も一緒で基本的には男性の先生は男子と、女性の先生は女子の部屋の階層に部屋を取っていたんだよね。

その様な理由で男の子達の階層に行けば、廊下の談話ルームみたいな場所で寛いでる高橋先生と勅使河原先生がいらっしゃったんだ。


「おう、そうかそうか。それは良かった。」


私のお礼に嬉しそうに応える先生。

そして部屋に戻ろうとした所で思わぬ事が起きたんだ。

なんと、勅使河原先生に引き留められたんだよ。

ちょっと話が聞きたいから、良かったら座って話さないか?って。

私としてはそれは別に構わないのだけど、ここって女子は居ちゃ駄目だよね?って思った。

まー、先生を探してここに来た時点でダメな訳だけど、でもそれはきちんとした理由があるからまだいいとして······。


結局は話をする事にした。

何を聞きたいのかは分からないけど、それをするという事はそれなりの理由がある筈だからね。

一言断りを貰ってから、志保ちゃんに暫く先生と話をするから遅れるのと、茜ちゃんも一緒というのを連絡したよ。

あまり遅いと心配をかけるからね。



「悪いね。自由時間に時間を貰ってしまって。」


「いえいえ、大丈夫ですよ。それよりもこちらこそ、本来は駄目な夜の野外を許可して頂いてありがとうございました。」


改めてお礼を伝えました。

私が外に行った事で何かあれば、その責任を取るのは担任である高橋先生であり、学年主任である勅使河原先生にも来てしまうからね。

そういうリスクのある中で許可をくれたのに対して、ここで話をするくらいならお安い御用だよって感じです。


「それで、実際に見て来てどうだったかね?」


「そうですね〜······。」


どうやら勅使河原先生は感想が聞きたかったみたいです。


「率直に申し上げますと、素晴らしかったの一言ですね。天気に恵まれたのも大きかったですけど、あそこまでの星空が見られるとは思いもしませんでした。今の時期ですと、夏の大三角や木星や土星が見られます。もう数時間経てばオリオン座も見えるでしょう。でもそれらは私達の街からでも見ることは出来ます。ですが、ここではそれ以外のもっと暗い、私達の街では決して見ることの出来ない星まで見ることが出来ました。その尤もな例が天の川ですね。これが見られると言うのは大変素晴らしい事で、私もまさか見れるとは思ってなかったので感動物でした。」


「ほうほうほう。それは中々·····。」

「天の川かー······。それは凄いな。」


「ですよねー、先生。」

「本当にキレイだったんですよ、高橋先生!このはちゃんが解説をしてくれて難しいのもあったけど、星について色々と知る事が出来たんです!」


感想を問われて思った事、感じた事を話した私。

それを聞いて感慨深そうに応える勅使河原先生と、凄いなと感心する高橋先生。

そして茜ちゃんも負けじと一緒に見た感想を述べてくれた。



「で、ここからは私の思った事なんですが、話しても良いでしょうか?」


「えぇ、何でしょうか······?」


「この林間は毎年の行事だと聞きました。で、場所がもし変わらないのであれば来年以降、可能であれば食後の後に少しの間だけでも天体観測の時間を設けてみるのも悪くはないんじゃないかと思いました。星座とかそういうのを全く分からなくても、この天の川を生で見られるというのはそうそう体験出来る事ではありませんから······。それに······それ程の星空を見ないで寝てしまうというのは、勿体ないと私は思います。」


つい言ってしまった、私が思っていた事。

私が見てみたいのもあったし、可能ならみんなにも見て欲しかったのもある。

そして見た感想は、みんなが態度で答えてくれたよね。

それだけの感動物を見ないで終わってしまうのは、非常に勿体無いと感じてしまう。


これには当然、天気という運要素がある。

でもそれを今日みたいにクリア出来るのであれば、絶対に見るべきだと私は思う。





  ーーーーーーーー




「先生?先生も良かったら······いや、絶対に見てくださいね!感動物ですから!!」


そう最後に念を押して戻った行った鈴宮と諸貫。


はぁ······。


普段冷静な鈴宮がああまで言うとは、相当なレベルの星空だったんだろうな。

そう思わずにはいられない。

珈琲を一口二口と飲みながら、気持ちを落ち着かせる。

それは隣の勅使河原先生も同じなのか又は違うのかはわからないが、私と同様に珈琲を嗜んでいる。


「鈴宮さんとは初めて直接お話をしましたが······、先生方から聞いていた通り賢くてしっかりした生徒ですね。」


「そうですね。先程はだいぶテンションがあがっていたみたいですが、普段の彼女はもっと冷静な子ですよ。まぁ、あの状態でもきちんと話せる当り大したものだなとは思いますが。」


あの状態の鈴宮は始めて見た。

それは隣にいた諸貫の反応を見ても分かってしまう程に。

それでも自分で感じた事、思った事を要点を纏めて話してくれて、しかもその上で私達に提案までして来た。


「天体観測ですか·····。プランにはなかったですけど、鈴宮さんの言うように生徒にいい影響があるなら取り入れて見るのも良いかもしれませんね·····。」


「本気ですか?勅使河原先生?!」


「はい。確かに天気という運要素はありますけどそれがクリア出来てるなら、後は玄関先で少し見るというなら然程手間も危険もありませんしね。」


う〜〜ん······。

まさか鈴宮の言葉で勅使河原先生が動くとは思わなかったわ。

全く······どんだけ凄いんだよ、鈴宮は·····。


「取り敢えず、その星空というものを見てみるとしましょう。それからですね。行きましょう?高橋先生。」


「はい、分かりました。」


そう言われてしまえば俺には断れない。

まぁ、これは俺も少なからず興味が湧いていたから後で見てみるつもりではいたんたけどな。



「そう言えば······、鈴宮さんは進学希望なんでしたっけ?」


「そうですね。今の所〇〇大学を希望してるみたいなんですが、将来的には高校の教師を目指すそうですよ。それでこんな今から井上先生を始めとした先生方の授業の進め方だとか教え方、そういった事を授業中に調べたりして、自分なりに学ぼうとしてますね。」


2人でロビーへと歩いて行く最中に鈴宮の進路について問われ、現時点での鈴宮の進路について改めて報告した。

一応、一回目の進路希望調査は纏めて報告はしてあるんだけどな。


「そうですか······それは大変凄いですね。学ぼうという努力もですが、全てが他の生徒とは違いすぎますね······。」


それは同感。

授業中にそんな事をやってても学年1位というポジションを相変わらずキープしてるんだからなぁ······。

もう驚きを通り越して呆れてしまってるよ、俺は······。


「それにしても·······高校教師ですか······。フフフフ········。」


「ど···どうなさいました?勅使河原先生??」


最後に含み笑いをした勅使河原先生。

この人がこういう風に笑うのを俺は一度も見たことがないから、正直驚いている。

だから声がどもってしまったよ。


「これが笑わずに要られますか、高橋先生?鈴宮さんが順調に教員免許を取得すれば、それは5年後。その辺りになればうちの教諭陣でも定年を迎える先生が出ますから、その枠に鈴宮さんを迎え入れるのも悪くはないなと思いましてね······。」


まさかの教師採用のプランだった。


「まぁ、私に採用の権利とかはないですけど、進言とかは出来ますからね。優秀な生徒が教師を目指す。その雇用先に母校でもある我が校を選んで貰う。いいじゃないですか······。優秀で面倒見も良くて性格もいい、おまけに見た目も素敵。全く非の打ちどころがないですもんね。」



俺の知らない所で鈴宮の株が、勅使河原先生の中でどんどん上昇して行く······。

すまん、鈴宮。

これは俺ではどうにもならん!

俺は心の中で鈴宮に謝った。




そう言えば·······。

なんで諸貫は鈴宮のジャージを着てたんだ?

最後に変な事に気がついた俺だった······。

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