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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の夏休み⑥-4 20歳高2(挿絵有り)

夏の暑い日差しの中、私達は某プールに来ています。



事の始まりは一学期の終わりの辺りに『夏休みに皆でプールでも行こうよ』って言う意見が出たのがきっかけ。

色々と調べて料金や場所、プールの数や種類などでここに決定したんだよね。

まぁ、そもそもそんなに選ぶ程プール自体がなかったのもあるんだけどね······。


そして今日来てみた感想は、広くてどこか懐かしさのある風景のプールだった。

プール場の外周には樹木が並ぶように植えられていて外側から中が見えない様にしてあって、場内にも木々がそれなりの数が植えられてる。

そのお陰で日陰にテントを設置するというのには困らなかったよね。

あと場内の地面もコンクリート仕様なんだけど、年月のせいなのか劣化があって結構じゃりじゃりとしてて、美紅ちゃんがサンダルとかの履き物を必ず持ってきてねって言ってた理由がこれで分かったよ。

コレ、素足で歩いたら絶対に痛いやつ。

それに日中はかなり地面が熱くなるから、素足で歩けなくなるらしいからね。


そしてなんとなく想像はついていたけれど、遊びに来てる客層も家族連れが多かった。

私達も開園まで並んで待ってたけど、その殆どが家族連れで私達みたいな女子高生グループはいなかった。また同様にカップルというのも少なかったかな?

まぁ、この辺りはこの次とかの入園で入って来る可能性もあるけれど、そんなんで私達は結構目立ってた。

ただでさえ若い女の子達の集団に加えて、私と雪ちゃんだからね。

そんな注目を浴びつつ私達は今、滑り台タイプのスライダーに並んでいる。






「いい?雪ちゃん。ドボンってお水の中に入ったら慌てずに立つんだよ?雪ちゃんでも足はつくし、立てばお水はお腹の辺りだから溺れないからね?」


「うん······。」


「あと、ママと茜お姉ちゃんが隣で滑るから安心してね?」


さっきまでのウキウキの気分はどこへいったのやら、ちょっと緊張気味になってきた雪ちゃん。

それもその筈で私達は今、滑り台タイプのスライダーの列に並んてるんだよね。

そしてスライダーなだけあって、それなりの高さの所で順を待ってる訳だらさすがに雪ちゃんも少し怖くなって来たみたいで·····。

そんな雪ちゃんを安心させるべく、私は雪ちゃんにそう伝えた。


足がきちんと付く事。

立てば水はお腹まで。

隣に私と茜ちゃんがいる事。


ママ達がついているから安心だよってのを、分かって貰うためにね。


「そうだよ、雪ちゃん。私とこのはちゃん、それに沢山のお姉ちゃん達もいるし見てるから、安心してね。」


「うん···。雪、頑張るね。」


雪ちゃんもさっきよりは、少し緊張がほぐれたかな?そん感じがする。


「ありがとね、茜ちゃん。」


私は茜ちゃんにお礼を伝える。

今回のプールで遊ぶにあたって、茜ちゃんにも協力をお願いしてたんだよね。

私も雪ちゃんから目を離さずに見てるつもりだけど、どうしても何処かで隙が出来ちゃうかもしれないから。

そこを茜ちゃんと一緒にカバー出来たらなって思って。


私は茜ちゃんの事を信頼してるし、雪ちゃんも茜ちゃんには懐いてるからね。

そういう意味でも茜ちゃん以上にお願い出来る人はいなかったんだ。



「どってことないよ。それに雪ちゃんは可愛い妹みたいに思ってるからさ、私もしても頼られるのは嬉しいしね♪」


「いいよねー、茜は······。」

「ほんとほんと。私も雪ちゃんと仲良くしたい〜。」

「ねぇ、このはちゃん? どうやったら雪ちゃんと仲良くなれるかなー?」


「え〜〜??······どうと言われても、こればかりは······。でも、普通に接してれば大丈夫だと思うよ?」


茜ちゃんと雪ちゃんのやり取りを見てた皆から羨ましそうな声があがったり、仲良くなるにはどうしたらいいのかな?なんて、私にも振られたけど分からないよ。

これは茜ちゃんが自ら築いたものだし、それに対しての雪ちゃんの行動だからねー······。

まぁでも···普通に接する。

多分これが今現状では1番いいのかな?なんて思う······。



「次の方〜、並んでお待ち下さい。」


係員さんの合図に従い、一列に並んで待機する。

この滑り台タイプは8レーンあって結構な人数で滑れるから、効率的にはまずまずなのかな?

それでも美紅ちゃん曰く、時間が経てば激混みするらしいのだけど。

雪ちゃんを私と茜ちゃんの間に入れて、あとは私達のどちらかが雪ちゃんより先に着水出来ればいいんたけどね。

そうすれば駆けつけられるからさ。

ただどうなるのか分からない所が、このスライダーにはある······。



ピー♪


係委員さんの笛の合図で、私達の前の人達が滑っていく。

長さ的には40メートルくらいかな?

そこそこいい長さにスピードが出てる。そして着水。


「ほら、雪ちゃん。小さい子でも足はついて立てるから大丈夫だからね。あとは鼻とかに水が入るかもしれないけど、慌てずにね?」


「頑張る·····。」


やっぱり緊張してる雪ちゃん。

まぁ、それも無理はないかと思う····。なんせ初めての体験だからね。

しかもこのスライダーは私達の年齢で初めてならそんなに怖くはないかもしれないけど、子供の雪ちゃんから見れば高さもあるし水にドボンも怖いだろう。

でも、それを乗り越えられればきっと楽しく感じるだろうから。

頑張れ!雪ちゃん!!



「次の方、行きますよ。着水したらすみやに水からお上がりください。」


ピー♪


笛の合図でみんながスタートした。もちろん雪ちゃんも。


「「「「「キャーーー!!」」」」」

「うわっ!! 速い、速い!!」


楽しいのか怖いのか、はたまた喜んでるのか?

色んな感情の籠もった悲鳴(?)じみた声が上がる中、サーッと滑り落ちていく。


(しまった···! 出遅れた!!)


そんな中、私はというと少し出遅れた。

雪ちゃんを心配してたので、その様子を見てたらついね·····。

なんとか追いつこうと頑張ってはみたものの、やっぱり追いつけず·····。

でも茜ちゃんが雪ちゃんより前の位置で滑ってくれてるから、大丈夫そうかな?


バシャーーン!!

バシャーーーン!!


みんながそれぞれの水音を立てながら、下のプールに到着していく。

そして私もすぐさま顔についた髪の毛と水を手で払い除けて、雪ちゃんを探した。


「あー、楽しかったー♪」

「面白いね〜!」

「意外とスピードが出たから、ちょっと驚いたよ。」


みんなが口々に感想を言いながら、プールサイドに向かってる中に雪ちゃんもいた。

茜ちゃんと手をつなぎながら、雪ちゃんも楽しそうに感想を茜ちゃんに伝えてる。


「雪ちゃんを見てくれてえりがとね、茜ちゃん。」


「ううん、大丈夫。私のほうが少し早かったからね。それよりも雪ちゃん凄いよー。滑る直前は怖がってたけど、今はもう怖くないってさ。寧ろ楽しかったって♪」


「そうなの、ママ! ビューンって滑ってバシャーンって、ビックリもしたけど面白かったのー!」


「あら、まぁ! それは良かったねー雪ちゃん。」

「雪ちゃん凄いね〜。あれが楽しかったなんて······。」

「さすが、このはちゃんの子って感じ? いや、子供ならではの感想なのかな?」


みんなも雪ちゃんの発言に驚きつつも喜んでくれてる。

ここで怖くて泣き出すよりは、笑顔の方がいいのは勿論分かってる。


「ねぇね、ママ?お姉ちゃん? もう1回行こ?」


「もう1回かー······。ママはいいよ。みんなはどうする?」


「え?全然構わないよ。」

「もちろん私も!寧ろまだ行きたい方だしね!」

「うんうん!空いてる内にガンガン滑っちゃおうよ!」

「じゃあ、今度は上のチューブの方を滑ってみようかな?」

「あれかー······。あっちは1人ずつだから時間は掛かりそうだよね?」

「だね。でも今ならまだまだ空いてるから、いくらなら今でしょ!?」


雪ちゃんのまさかのもう1回に、みんなも行くことになって。

確かに今はまだ空いてるから比較的すぐに滑れるから、やるなら今がチャンスだよね。

そういうわけで今度は、滑り台タイプの更に上から滑るチューブスライダーに行く子もいて、それぞれに分かれて行くことになったんだ。


とは言っても登る階段は一緒なんだけどね。

チューブは滑り台タイプの乗り場から、更に上に登るだけだしさ。


「茜ちゃんはこっちで良かったの?」


「うん、いいんだよ。このはちゃんと雪ちゃんと楽しめるのがいいからね♪」


「そっか。」


茜ちゃんはチューブの方に行かなくていいのかな?って思って聞いてみたら、私達に付き合ってくれるんだって。

理由も私達と一緒に楽しむのがいいからって、ほんと茜ちゃんらしいよね。






その後。

結果からいうと、かなりの数を滑べったよ。

理由としては雪ちゃんが全く怖がる事もなく、終始楽しんで滑れたのが大きくてハマったらしいから。

なので混んでくるまで、滑り台タイプのスライダーをひたすらに周回してた。

ちなみにその上にあるチューブタイプの方は、空いてはいたけど1人ずつというのもあってそんなには滑れなかったらしいです。


でもみんなも雪ちゃんも大満足気味。

そして今度は流れるプールに行こう!ということで、準備をした訳なんだけど······。



「ねぇねぇ、雪ちゃん。このはちゃん···いや、ママのどんな所が好きなの?」

「雪ちゃんはママのどんな料理が好き?」

「彩お姉ちゃんって言ってくれる?」

「ちょっと、彩! あなたどさくさに紛れて何を言ってるのよ!」

「え? いいじゃん? 名前で呼んで欲しいしさ······。茜ちゃんなんて、茜おねーちゃんだよ?」

「う······。それを言われると私も呼んで欲しい···。私、志保おねーちゃんだよ?雪ちゃん?」

「えーー!? 2人共ずるい!じゃ、私も!!」

「あぁ〜!?? ちょっとちょっとぉぉ〜·······。」



そんな雪ちゃんを中心とした会話が繰り広げられている今は、プール休憩タイム中。

なんでも1時間毎にお客さんの休憩&安全点検を兼ねて、こういった休憩タイムが設けられているんだって。

いい仕組みだとは思うけど、いざ流れるプールへ!と思ってた私達は出鼻をくじかれた感じだよね。

雪ちゃんも浮き輪をスタンバイさせなから、みんなの注目を集めてるし。


挿絵(By みてみん)



「雪はね〜、ママの事全部好きだよー。とっても優しいしご飯も美味しくて、ママと一緒にいるととっても幸せなのー♪」


「「「「うぁ···」」」」

「何この子···。マジ天使なんですけど!?」

「ヤバい···こんな子を自分の娘としてマジ欲しくなって来たんですけど······。」

「本当だよねー。しかもこのはちゃんそっくりで、超可愛いときてるし······。」


雪ちゃんの無邪気で素直な言葉はみんなを駄目にした。

そしてそれは、私にも······。



「このはちゃん、このはちゃん?」


「ん?」


「何をどう子育てしたら、こういう良い子に育つの?」


「えぇ〜〜······。何をどうと言われても、難しいよ?というか、これと言う正解はないと思うし······。」


むむむむ·····と、考え込む。

私が雪ちゃんを育てて6年。

こうした方がいいよ、ああしない方がいいとか色々とあったり言われたりもするけど、その時々の事って時間が経つとまた変わるんだよね。

いい例がお母さんが私達を生んだ時は良かった事が、今はあまり推奨されてないとかっていうのがあったりもするし。

だから私は子育てに関しては良いかな?っていうのはあっても、正解はないと思ってる。


「取り敢えず、優しいくっていうのは前提としてあるけど後は······やっぱり料理かなー?」


「「「料理??」」」


「そ。よくあるあれだよ。胃袋を掴めってやつ。美味しい美味しいって感じて食べてくれれば喜んでくれるから。」


「「「あー·······。納得···。」」」


昔からあるもんね〜、この言葉。

異性をGETするのには、胃袋を掴んてしまえばもう離れられないとかって。

それが自分の気になる人、又は好きな異性の人の手料理ってなれば、もう効果は抜群だよね。


「うちも料理教わるかなー?」

「私も······。やっぱり将来、料理が出来た方がいいもんね。」


そんな感じで料理に対してやる気を出したみんな。

果たしてそれは未来の彼氏相手なのか、自身の子供へ向けたものなのかは分からないけど······。

その点、茜ちゃんについては心配はしていないよ。

料理は上手だし、家事も出来る。

そして夏休みになってから分かった、面倒見が良い事。

以前にも話したけど、茜ちゃんはきっといいお母さんになれると私は

思っている。




ピンポンパンポーン♪ 



『安全が確認できましたので、これよりプールを再開します。慌てずに飛び込まずにプールへお入り下さい。繰り返します······。』


アナウンスが入って、休憩タイムが終了した模様です。


「おーし! いくよ〜皆!!」


「「「「「おーーー!!!」」」」」


「ママー! 行くよー!早く早く!!」


「はいはい····。そんなに急かさなくてもプールは逃げないよ?全く······。」


みんなの待ってました!と言わんばかりの気合と雪ちゃんに急かされて流れるプールへと向かう私。


「雪ちゃん、本当に嬉しそうだねー?」


「そうだね。ま、昨日からかなり楽しみにしてから、その気持ちは分かるけど。さ、私達も楽しみましょ♪」


「うん。 行こう!このはちゃん♪」




時間はまだ午前中。

私達の楽しいプールはまだまだ続くのでした。

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