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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の夏休み⑥-2 20歳高2(挿絵有り)

「あ! このはちゃん達だ!」

「ホントだ! お〜い!こっちこっち!!」

「うわっ! 見て見て!! このはちゃんそっくりな子がいるよー!?」

「本当だ!マジそっくり!! しかも、ちょー可愛いんですけど!?」

「このはちゃーーん! 会いたかったよ〜〜!!」



私達が無事に公園まで着いて駐車場から荷物を持って入口となるゲートまで歩いて行くと、その先には先に着いていたらしい志保ちゃん達がいたんだよね。

そして私達を見つけるやいなや、手を振ったり声を出したりしてアピールしてくれてた。

お陰で入場待ちで並んでる人達の中から探し出す手間は省けたんたけど、逆に目立つ目立つ。

そうでなくても私達は目立ってるからねー······。




「おはよー!みんな。久しぶりだね。元気にしてた?」


先に並んててくれた志保ちゃん達に合流して、早速挨拶をします。

久しぶりだからやっぱり嬉しいよね。


「このはちゃん久しぶりー!みんなも元気そうでよかったよ〜。」

「私達も変わらず元気だったけどねー。」

「こっちはほぼ毎日練習があったからねー······。部は違えど志保達とは偶に学校で会ってたから、状況は知ってたけど·····。」


私は夏休み中、学校に行く用事はなかったから茜ちゃん以外に会う機会はなかったんだけど、他の皆はそうでもなかったみたいだね。

部が一緒なら当然会うし、そうでなくてもタイミング次第では会ったりもしてたみたいだし。



「で、その子が雪ちゃんでいいんだよね?」


志保ちゃんと一緒にいたみんなが、待ってましたと言わんばかりに雪ちゃんに注目してる。

合流して今まで話をしてる中でも、視線が雪ちゃんにいってたのには気が付いていたんだけどね。


「そうだよ。この子が私の娘の雪ちゃん。宜しくね。雪ちゃん、ご挨拶出来るかな?」


「うん。」


私と手を繋いでる雪ちゃんを見て、優しく問いかけてみる。

沢山のお姉さんに囲まれてちょっと緊張はしてるようだけど、大丈夫そうではあるみたい。


「えーと······鈴宮 雪···です。お···おはようございます。」


「頑張って言えたね、雪ちゃん。偉い偉い♡」


「うん! ママ、頑張って言えたよ!」


右手で雪ちゃんの頭をいい子いい子と撫でる。

左手は重たい荷物は地面に置いてあるけれど、塞がっているから使えないんだよね。

それを雪ちゃんも分かってはいるみたいで、右手だけでも嬉しそうにしてくれてる。

そして······。


「うわぁぁーー!!! 可愛いー♪」

「何この子〜!? 写真より超かわいいんですけどーー?! 」


「雪ちゃん。可愛いって。良かったね。」


「うん!ありがとー♪」


「「「「キャー♡」」」」


皆して雪ちゃんを取り囲んで可愛いだの私そっくりなだのと、あれこれと感想を言いつつキャーキャー言ってる。

そんな様子に私は嬉しくなってるし、親バカだなーなんて思ったりもして。

雪ちゃんは雪ちゃんでちょっと抵抗があるのか、私の後ろに隠れつつ様子を見てるよね。

そんな普段みない雪ちゃんの仕草に、また可愛いなと思ってしまう私······。





「お〜〜い!」


「あ!? 彩達だ。こっちこっち!」


到着の連絡を貰ってたらしい志保ちゃん達が、今回の最後の組の彩ちゃん達を見つけてこちらに呼んでくれた。

私達は目立ってるとはいえ、この待機の中を外から見つけ出すのはちょっと大変だものね。


「このはちゃーーん! 会いたかったよぉ〜。」


「ぐふっ···。ちょ···ちょっと彩ちゃん、ちから···力が強いって······。」


合流するなり早速彩ちゃんが抱きついてきた。

まぁ、それは構わないのだけど力加減がちょっと間違ってる!!


ボカッ!!


「痛ったーーい!? 何すんのよ!?」


「それはこっちのセリフでしょ?このはちゃんが苦しがってるし、迷惑してるわよ!」


少し暴走してた彩ちゃんに、志保ちゃんが頭を叩いて正気に戻してくれた。

()()()()にしてガツンと。

そしてそれを見てた視てたみんなは、サーッと顔を青くする。

あれは痛そうだなと······。

実際にはかなり痛かったみたいで、彩ちゃん自身も頭に手をやってかなり痛がってる様子だし······。


「ありがとうね、志保ちゃん。助かったよ······。」


志保ちゃんにお礼を伝えます。

あの時、私の声を聞いた志保ちゃんがとっさに対応をしてくれたから何とか開放されたからね。


「いいって、気にしないでこのはちゃん。やり過ぎた彩が悪いんだから。ほら、彩も謝る。」


「う···うん。ごめんなさい···このはちゃん。久しぶりで嬉しくってつい···その······力入れ過ぎちゃって······。」


そう謝ってくる彩ちゃん。

まぁその気持ちは分からなくはないけどね······。


「大丈夫だよ、怒ってはないからさ。ただまぁ、嬉しい気持ちは分かるけど時と場所は考えようね?ここは他の大勢の人もいるし、迷惑にもなるからね?」


「はい······。」


注意をして次は気をつけてね?と促す。

実際に私は怒ってはないからね。

ただここは教室の中とは違って遊びに来てる大勢の方々に迷惑をかけてはいけないから、それを分かってくれれば取り敢えずはいいかなと思う。



「私達だってこのはちゃんに会えて嬉しかったけど、抱きつくのは堪えてたんだから見習ってよね!」


「うんうん!」

「そうそう!!私達は堪えてるんだよ〜。」


私達より先に来てた志保ちゃん達が、「私達は凄いんだろ!」的に彩ちゃん達にアピールしてる。

そしてそれに対して「面目ない」と落ち込む彩ちゃん。

実際に志保ちゃん達も喜んでくれてはいたけど、抱きついては来なかったからね。

取り囲まれはしたけどさ。


そしてそれを「あははは······」と、苦笑いしながら見てる私と一緒に来た車組。

私はその苦笑いの意味を知ってるんだよ?

茜ちゃんは何もなかったけど、他の3人は迎えに行った家の前で抱きつかれたからね。

時間の問題もあったから直ぐに離れてくれたけど、やってた事は彩ちゃんと一緒だから何も言えず、ただ苦笑いをしてるしかないという事を。



「それにしても凄いね、茜ちゃんは。」


「え?私??」


「車の時からごく普通だったじゃん?普段の茜ちゃんならもっと喜んではしゃいでそうだけど······なんか成長した??」


「そうなの茜?」


私と一緒に乗ってきたみっちゃんに、何か疑問に思われていたらしい茜ちゃん。

そしてそれにのっかる美紅ちゃんをはじめとした面々。


「え?そんな事ないよ?? 私だって嬉しかったけど雪ちゃんの手前もあるから変には振る舞えないじゃん? だって私、お姉ちゃんだもんねー。ねー?雪ちゃん??」


「うん♪ あかねお姉ちゃん優しいから好きなんだー♪」


「「「「「 !!!?? 」」」」」


「きゃ〜♡ もうっ···可愛いんだからっ!雪ちゃんってばー♪」


しゃがみ込んで雪ちゃんを抱きしめてる茜ちゃん。

茜ちゃんもなんだかんだて雪ちゃんと仲良くなって、気に入ってくれてるからね。

私がご飯の用意をしてる間とかそれ以外でも、一緒に遊んでくれたり話を聞いたり話してしてくれてさ。

そんな茜ちゃんに対して雪ちゃんも、随分と懐いてくれて慕ってくれてるんだよね。


たがら先程の茜ちゃんの言葉が嘘じゃないのも分かってる。

そして、それだけじゃないのもね。


茜ちゃんが普通でいられた理由。

それは心の成長もあるんだろうけど1番の訳はこの夏休み、かなり私と一緒に過ごす事が出来て満足してる部分が非常に大きなウエイトを占めてるんだと思う。

そして雪ちゃんがいない時や寝た後とかに、こっそりと抱きついて来たりとかしてたからね。

だからその辺りが、夏休み中会えなかったみんなとは違うんだよね。

勿論それはみんなに言うつもりはないけどさ。



「ねぇねぇ、茜。いつそんなに雪ちゃんと仲良くなったのよ?」

「そうそう! 私だって雪ちゃん撫でたりとかしたいのにぃ〜·····。」

「いや〜···。羨ましいなぁー······。」


「いつって言われても······。このはちゃんと登校する様になって顔を合わす様になったから、それで仲良くなったんだよ。」


「そっか······。茜ちゃんにはそれがあったわね···。羨ましいわ······。」


茜ちゃんが上手く説明して躱してたね。

実際にそれも間違ってもいないけど、これもやっぱり1番は私の家に来るようになってからだけどね。


「ねぇ?雪ちゃん。お姉ちゃんも雪ちゃんを撫で撫でしてもいいかな?」


彩ちゃんが雪ちゃんに撫でたいと尋ねてる。

そしてその様子をみんなで眺めてる。

多分これで許可が雪ちゃんから出れば、多分みんなが撫でそうな感じがするんだよ。

私としては雪ちゃんが嫌じゃなければ、まぁいいかなって感じではあるんだけどね。


「う〜ん·········いいけど···雪のママを取っちゃめっ!! ママは雪のだけなの! だから抱きちゅかないで!!」


「「「「「 !!!?? 」」」」」


「ぐはっ······。」


そう言うなり茜ちゃんから離れて、私の足にしがみついて来た雪ちゃん。

その声は今まで聞いたことないような、真剣で必死な感じだった。



「凄いよ、雪ちゃん···。ママ···このはちゃんを好き過ぎる······。」

「好かれるのもこのはちゃんなら納得だけどさ、それにしても雪ちゃん可愛い過ぎるんだけど·······。」

「そう!それなんだよ!! このはちゃんそっくりだから似てるのは分かるけど、それ抜きにしても天使すぎる······。」


またみんなが、雪ちゃんの事でもりあがって来た。

でも今度はその中で1人だけ、そう彩ちゃんがダメージを食らってたんだよね。

どうも先程私に抱きついて来てたのが相当お気に召さなかったみたいで、雪ちゃんから反撃を食らってショックを受けてる······。



『雪のママを取っちゃめ!!ママは雪のだけなの! だから抱きちゅかないで!!』か〜······。


今まででそういう反応を雪ちゃんがした事はなかったよなって思う。

幼稚園でも何かの行事ごとで園内に入ると、決まって園児たちが私の所へ1回は来るんだよね。

その時の雪ちゃんは特にこれといった言葉や反応は示さなかったし、ごく普通だった。


たけど今は明らかに拒絶した。 

『抱きつき』という行動に対してだけど······やきもちかな?

私が取られると思ってやきもちを抱いた?

それだったらそれでまた成長したのかな?とも言えるし、嬉しくも思うけど······。



撫で撫で···。

撫で撫で······。


「うわあぁ〜···良い!良いよ雪ちゃん!」

「ダメだ······癖になりそう···。」

「私にもこんな妹がいたら最高だったなのになぁ······。」

「あんた、それ言ったら弟くんが可哀想でしょ?家で言うんじゃないわよ?」

「分かってるわよ! いくらなんでも家じゃ、言わないって。」



みんなが雪ちゃんを撫でてるのを私ともう一人、茜ちゃんとで眺めてる。

茜ちゃんもよく雪ちゃんを撫でたりしてるから、この場はみんなに譲るみたいです。


「茜ちゃん。危なかったね?」


「そうだね······。雪ちゃんのいる前でしなくて良かったと思うよ······。」


挿絵(By みてみん)


隣りにいた茜ちゃんに話しかけた。

それに対して茜ちゃんも私の言葉の意味を分かってくれて、その上で返してくれた。

この危なかったねと言うのは、茜ちゃんが私に抱きつく事。

私の家に来た時は雪ちゃんが寝た後に偶にくっついて来るくらいだったけど、その時だけにしてたのが幸いにして良かったみたい。

それがもし雪ちゃんに見られたら、恐らく先程の彩ちゃんと似たような事を言われたんだろうなと、私も茜ちゃんも察したんだよ。

折角ここまで築き上げた関係性を壊すのは、惜しいからね。



「多分、見つかったら私も雪ちゃんに嫌われちゃいそうな感じがしたよ。」


「私もあんな雪ちゃんを初めて見たから驚いてるけど、多少なりともそうはなるよね、きっと······。」


「このはちゃんも、さっきの雪ちゃんを見るのは初めてだったんだ?」


「そうだよ。だから驚いてるよ。嫉妬とかそういうのかもしれないけど、でもそういう感情もまた成長の証だから嬉しくも思うけどね。」


「そっかー·······。良かったね、このはちゃん。」


「ありかと、茜ちゃん。」



以前にだけど、こう思った事がある。

『雪ちゃんはお父さんって存在を欲しがらないのかな?もしくは居ない事に劣等感や寂しさとかを感じたりとかしてないだろうか?』って。

幼稚園での運動会やお遊戯などといったイベント事では、父母で参加してる方が多いいからね。

そしてそれは小学生になっても、きっと同じだから。


うちは運動会とかは可能な限り祖父母も来て一緒に見てくれてるけど、そこはよその家も似たような物だからねー。

まぁ、祖父母が見に来るには近くに住んでるのが条件にはなるんだろうけどさ。

そしてそこが他の家庭と同じなら違うのは父親がいないこと。

そこで父と戯れる同級生達を見て、雪ちゃんが何を思うのか。


以前にどう思ってるか聞いてみたこともあったけど、そういう時は必ず言葉は決まってたんだよね。


『ママがいればいい!』


そして今日の発した言葉。

私は結婚はするつもりはない。これは決まってる。

でも雪ちゃんが望むならばその時は······って考えた事はあったけど、今日のこの感じだとそれも必要なさそうだね。

だって雪ちゃんは、私が誰かに取られるのを嫌っている。

それが例えママの友達の女の子だって、分かったうえで嫉妬して。


······あぁ···。抱きしめてあげたい。 

抱きしめて頭を撫でてあげて、頬ずりをしてあげて。そして喜んでくれる雪ちゃんを見たい!

そんな症状に見舞われてる私······。

たけどもグッと堪える。

彩ちゃんにも言った様に、時と場所はわきまえないといけないからね。

取り敢えずそんなモヤモヤは、眼の前のプールで楽しんで解消しましょう。

そう密かに思う私だった。









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