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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の夏休み③ 20歳高2(挿絵有り)

突然だけど、今年の夏休みは去年と比べて忙しいというか、やる事が多いんだよね。

茜ちゃんの家に泊まる、茜ちゃんが家に泊まりに来たり一緒に夏休みの課題をやったり。

それから成人式の前撮りを撮って、某大学のオープンキャンパスにも行く予定になってる。

それからお盆恒例の帰省もあって、あとはクラスのみんなとプールへ遊びに行くというのもあるからね。


そうパッと思いつくだけでも、これだけの大きな予定があるからね。

そしてその予定の合間には、小さな用事とかが多少なりと入ってたりするし。

充実してるなーとは思う。

まぁそれだけ、去年の夏休みが何もなかったからなんだけどね。




まず私は部活に入ってない。

だから皆が部活活動や練習に精を出してるのに対して、私にはそれがないから時間が空く。

そして去年のこの頃はまだ皆ともそれ程仲良しって感じでもなかったから、部活の活動も相まって夏休みに皆と一緒に遊ぶという事もなかった。

それに高校だから、皆の住まいはバラバラ。

私みたいに学校から近い住まいの子もいれば、かなり遠方の子もいる。

そうすると意外と休日は会い難いんだよね。

車の免許も皆はまだ持ってないから遠出するなら電車とかになるけれど、都心部とは違って地方だとこれがかなり不便なんだよね。


そんなんだったから、去年は家事をしつつ雪ちゃんと過ごすか、勉強をしてるかぐらいしかなかったんだ。

うん、平和だった······。


それがたった1年後の今年はこれなんだから、何があるか分からないよねって感じるよ。




「さて·····これでいいかな?」


姿見の前で服と髪を整えて最後の確認をします。

髪型は私のお気に入りのロングヘアー。

私の髪の毛は長い割には意外と寝癖はつかない方で助かってはいるけれど、それでもきちんと確認をする事は忘れない。

それでもし気付かないで出掛けでもしたら、恥ずかしいからね。


そして服装。

今日は修業式以来の久しぶりの制服です。シャツとスカートと、リボン。

夏場だから制服とは言いつつも、かなりシンプルだけどね。

でも久しぶりだったから、リボンの調整には少し慎重にはなったよ。

結びのバランス具合とか位置とかね。


私服でも良かったんだけど、制服なら間違いはないと思ったので久しぶりに制服を着てみました。


そんな久しぶりに制服を着て何をするのかというと、今日はとある大学のオープンキャンパスに行くんだ。

1学期の時に自分の進路を決めて、高橋先生との面談をして今年から色々と調べたりしたんだよね。

その中で気になってる大学のオープンキャンパスが夏休み中にあるという事を知ったので、早速申し込んだんだ。 

まだ私は2年生だけど、こういう事は早く動き出して悪いことはないと思うから。

それに来年は忙しくもなるから、まだ余裕のある今年の内に出来ることはやっとこうと思った訳です。



リュックの中の荷物を再確認。

昨日の内に必要な物を纏めて入れて何回も確認はしたけど、最後にもう1回だけ確認をする。


······うん。大丈夫だ。忘れ物もなし!


リュックと諸々荷物を持って1階のリビングへと向かいます。


「ママー♪」


「はい、雪ちゃ〜ん。今日はお婆ちゃんと葵といい子にしててね?」


「うん!大丈夫だよー。」


リビングに入れば雪ちゃんが抱きついて来た。

しっかりと受け止めて頭を撫で撫でしながら、今日の事を伝えるの。

大丈夫だとは分かってはいるけれども、それでもね······。

今日の日中はお母さん達に預けるからさ、私に我儘とか言うのは全く構わないのだけど、観てもらうお母さん達にそれをされちゃうと申し訳なく感じてしまうから。



「もう準備出来たの?早いわね。」


「まぁね······。何があるか分からないから早めに出ようと思ってるしさ。」


遠出で初めていく場所。

受付の時間的な物もあるし、移動中に何があるかも分からない。

だからどうしても早め早めの行動にはなるよねと、私は思って行動してる。

逆にこういう何かしらの待ち合わせとかに、ギリギリとか遅刻とかする人は信じられない!って思ってる。

それが例え仲の良い友人同士の待ち合わせとかでも。



「そうね。早めの行動はいい心掛けね。早く着いて悪い事はないから。」


「うん。私もそう思うよ。······じゃ、お母さん。雪ちゃんをお願いします。あと、帰りもどのくらいになるか分からないから、悪いんだけど晩ごはんも······。」


「大丈夫よ。任せなさい!だからこのはも、自分の納得いく様に見て聞いて質問して、参加して良かったって思える様にしてきなさいね?」


「うん。ありがとうね、お母さん。じゃ、行ってきます。雪ちゃん、また後でね?」


「はーい。まま、いってらっしゃ~い♪」


雪ちゃんとお母さんに見送られて玄関を出る。

なんとなくたけど、お泊り保育を経験して雪ちゃんも少し成長したような、そんな感じを受けたよね。 

さっきのお別れの時の感じも、昔は寂しそうにしてたのが今日はそこまでの雰囲気を感じなかったから。

成長は嬉しい事だけど、でもどことなく寂しさも感じるよ······。




  ーーーーーーーー



「間もなく1番線に〜8時◯分発、東京行が参りま〜す。危ないですので黄色い線の内側にてお待ち下さい······。」


久しぶりの電車移動です。

いつ以来だろう?とつい考えてしまう。

記憶があってればおそらく半年ぶりくらいで、お父さんの会社に荷物を届けた時以来かな?と思う。


それにあの時と比べると、やたらとホームに人が沢山いて驚いてしまった。

ま、時間がおもいっきり通勤時間帯だから仕方ないのだろうけどね。

それに今は学生にとっては夏休み中だから、これでもまだ空いてる方なんだろうなとも思ったりもして·····。



暫くしてやって来た電車に乗り、東京方面へと向かいます。

混んではいたけれども、この1つ前の駅が始発だった事もあり無事に座れた事にホッとする私。

通勤時間の電車に乗車するのは何気に初めてだから、東京方面へ近づく度に乗り込んでくる人の多さに、只々驚いているばかりの私だった。


そして思う。

座れて良かったなと·····。

それにこの様子だと今度この時間帯に乗車するなら、始発の駅の方から乗って座ってしまうのありだな、ともね。



そして本日のルート。

この電車でもう暫く東京方面へと乗って行って、大学の最寄り駅で下車をする。

その駅から目的の大学へとシャトルバスが出てるらしいんだ。

そのバスの乗車時間はパンフによると大体10分〜15分。

電車も含めれば大体45分くらいで着く計算になるのかな?

あくまで順調に進めばの話にはなるけれど、早いのか遅いのかはいまいちピンとは来ないから分からないね。



それに今日の大学までの移動は選択肢として2つあったんだ。

その1つは今と同じ、電車とバスで来る方法。  

もう1つは車で来る方法の2択。

私としてはどちらでも良かったんだけど、結果的には前者の電車とバスにした。


これには理由もあって、もしこの大学に通う場合に電車だと、いったいどの位の時間がかかるのか知りたかったんだよね。

車だとお父さんに聞けば、大まかな目安の時間は分かるからね。

それに今回は遅れるとかそういうのは避けたかった。

オープンキャンパスが事前申請になってるから、もし何かしらの理由で遅れるたりとかして来れないって状況になると、来年までは参加出来なくなってしまうから。




最寄り駅で降りてロータリーに出れば、プラカードを掲げた人がいた。

『◯◯大学、オープンキャンパス。バス乗り場』と。

ご親切ご丁寧で、大変にありがたいです。

その列の最後尾に並びます。


バスを待ってる間に並んでる人をよく観察してみる。

そうすると私服の人もいれば、制服の子もいた。

制服の子は私と同じのを着てる子もいれば、また違う学校の制服を着てる子もいて様々で。

ただ共通してわかるのは、この人達は私と同じ参加者の方なんだなって思った。

ちなにみ私と同じ学校の制服の方はリボンの色からして先輩だったよ。


そして何気に複数人のグループだったりしてる。

友達と一緒に参加したって感じかな?

ちょつぴり羨ましいって思ったりもしたけど、私は私。

私は私の為に、よくよくは雪ちゃんの為にしっかりと見聞きをしないと!って、気合を入れたよ。



挿絵(By みてみん)


バスに乗って暫く。

外の景色を見たりしながら乗ってたけど、このバスからはヒソヒソ的な会話が聞こえてしまった。

やっぱりというか、その話の中身は私だったけどね。


『外国人さんかなー?』

『どこの学校なんだろ?』

『すっごい綺麗な髪だよね!目も赤いしさ。』 

『あの子もここを受けるのかな?』


等など。

普段以上に注目を集めてる。

これもきっと大学という環境が、そうさせてるんだと思うんたけどね。

高校も好きに通えるけど、それでも家から通える範囲で通う子が多いじゃない?

だから私からみると学校内を除けば地元民しかいない所だから、私にも見慣れてる。

けどここは知らない場所で尚且つ県外から、それこそ全国津々浦々から進学の為に上京してきてる人もいるかもしれない。

なので全ての子が、私を見るのが初めてなんだと思う。

おまけに制服を着てて、外国人風の容姿。

これで目立たない訳がない。そして気になると。


慣れてはいるけれど、それでも多少は気にしちゃう。

そんな感じ。





「いや〜······広い広い。」


バスを降りてからの一言目がこれだった。

もちろん小さな声でだよ?

普通に喋ったら変な子に思われちゃうからさ。私、1人だし···。



「オープンキャンパスの受付は、こちらになりまーす!」


そんな案内板を掲げて声をかけてくれる方に導かれて、先に進む私達。

この女性の方は駅の方にいた方と違って若い。

という事は、ここの生徒さんなのかな?

大学の内部についてはよくは知らないけど、サークルとか同好会とかそういった集まりがあるような事は聞いた事がある。

だからこの方もそういった所から、お手伝いとかで駆り出されたのかな?と考えてしまったよね。


参加者らしき方々と並んで歩いていきながら、同時に周りも観察してる。

そして感じるのはバスから降りた時も思った広いなという事。

全体を見た訳ではないけれど門から入って降りるまでの間、そして歩いてて見える景色でかなり広い敷地だなと感じたよ。

あと、建物もかなりの数がある。

高校は言わば小中学校の大きく広い番で、校舎や体育館といった建物も見覚えがある作り。


でもこの大学は違う。

形状の違う建物が大小いくつもあり、それだけで高校とは違うんだなーと思わせる。

学部によって使う建物も違うのだろうけど、それでも覚えるのが大変そうだな?とも思ってしまったよ。



「ようこそ、オープンキャンパスへ。受付票と生徒手帳をご提示願いますか?」


「はい。」


受付の方にそう言われて、受付票と生徒手帳を見せる。

これで確認の後に自分の参加するコースに分かれていき、それぞれ説明や校舎案内、質問タイムなどをするらしいです。


「確認がとれました。ありがとうございます。お客様は教育学部コースですので、そこの階段を上がって2階に行って頂き、上がった先の突き当りを左に進んで下さい。その先の左側に『オープンキャンパス、教育学部コース』と張り紙がありますので、その部屋にてお待ち下さい。」


「はい。ありがとうございます。」


丁寧にお礼を伝えてから指示通りに階段を上がり部屋を目指す。

暫く進むと説明の通り張り紙があって扉があった。

(ここだね。)

扉は丁寧に?開けっ放しになってたので、そのまま入ることにした。


そして驚いた。

テレビとか何かで見た、大学の講堂の作りだと。

大きな黒板?を前にして、その後ろには席があるのだけど横に長い机。

所々に通路があって、後方の席は前が見やすいようにと段になってる。

あれだね、映画館。

映画館も後ろが見やすいようにと、前の席と比べて少しずつ高さをあげてるけどあれと同じだ。

実際に見るのは初めてたから、些細な事でも感動してる私です。



(さて······どこに座ろうかな?)


パッと見渡せば2〜3人のグループで固まって座ってるね。

それも後方席や端の方の席だとか、友達いわく人気のある席なんだとか。

そんな中でも私はほぼ決まってる。やはり前の席。

高校でもそうだけど、私は何かの集まりで座る時も前の方の席に座ることが多い。

これは話をしっかりと聞きたいとか、黒板やホワイトボードの記入何かをしっかりとメモりたいのがあるから。


沢山の物珍しさの視線を身に受けながら空いている席へと歩いていく。

ヒソヒソと話し声も聞こえるけど、先程とは違って流石に内容までは分からない。

けど何となく私かなー?と、そう感じるよね。


私の座ろうとした近くに2人の女の子が居たので、1席あけて座ることにした。

この子達は私とは違う制服だったけど、制服はおそろのを着てるから同じ高校から来たみたいだね。

それにこういう制服も葵と同じなら分かるけど、それ以外だとどこの学校かは分からないです。

もしかしたら県外の学校から来たという可能性もあるからね。



「お隣、失礼しますね。 それと今日は宜しくお願いします。」


「あ···はい。こちらこそお願いします······。」


微笑みかけて隣の女の子に挨拶をする。

緊張してるようたけど、大丈夫かな?

でも隣に座ったのだから挨拶をしないのも変だし、同じコースだから今日一日は一緒に見て周って過ごすからね。

特別仲良くしようとは思わないけど、気持ちよく過ごすには最初が肝心だから······。


 



オープンキャンパス。


参加する私達からすると大学にもよるけど模擬授業や個別相談会、キャンパスツアー、学食体験、サークル紹介など、さまざまな体験が出来たりして、HP(ホームページ)やパンフレットからは得られない生の情報を得られる貴重な体験会。


直接大学に赴く事で特徴や雰囲気を感じ取れたりするなど、自分がこの大学に合っているのだろうか?といった事も感じ取れるかもしれない。

また私の来る時もそうだったけど、アクセスについても直接調べられるからね。

自宅から通う時間、場合よっては近くに住まいを借りた方が良いのか······。


上手に活用すれば将来『何か違った』って事を防げるかもしれないからね。

たから私は今回、早めに申し込んだんだ。

色々と知りたいからね。

尋ねてみたい事柄もいくつか用意したから、聞けるタイミングがあったら尋ねてみようかなと思っている。

失敗の、後悔がないように······と。





どういう感じになるのかワクワクしながら、先程頂いた資料に目を通しつつ実りのある1日にしたい。


そう思った。

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