ちょっと昔の出来事①-1 14歳 (挿絵有り)
2023.10.19 加筆修正しました。
季節は夏真っ盛り。
太陽はいつものように天高く輝いていてとても暑く、連日の猛暑日ネタや熱中症対策などの情報をアナウンサーやMCタレントが叫んでいる。
そんな暑さなど何処吹く風の如く、セミが元気に鳴いていま······いや、鳴いてないね。
自宅の脇にも庭木はあるし、近所にも植木が沢山植えてある家もある。
だけどセミの鳴き声はしない。
夕方になると鳴き声はしてくるから全くいない事はないんだろうけど、まさかセミもバテるのかな?
そうだとすると、やはり恐ろしい気温だよねって思う。
私の住んでる埼玉の北部も恐ろしく暑いけどさ。
日本最高気温を記録した市が近場にあるけれど、本当に怖いなと感じるよ。
そんな暑い夏だけれども。
雪ちゃんを産んでから早2ヶ月少々経ちました。
最初はやっぱり大変だったよ。
出産する前からマタニティ雑誌とかや母子手帳を貰った時に頂いた冊子などで、子育ての情報を事前に勉強したりしたけど、実際は勝手が違ったから思ったようにはいかなかった。
出産直後は長時間の陣痛や分娩に伴う疲れや痛みで休みたいと思う中、2〜3時間置きに授乳をしないといけないんだよね。
おまけに私は貧血にもなって、歩くのが辛かったから車椅子で新生児室まで行って授乳をしてたんだ。
それはそれで大変だったけど、雪ちゃんの顔を見たらそんなのが吹き飛ぶんだから不思議だよね。
「オギーオギャー」って泣いてるけど、授乳をすると泣き止んで一心不乱に飲むの。
ちっちゃな姿で頑張って飲む姿がこれまた可愛くてさ、私はもう雪ちゃんにメロメロで産んで良かったなって心底思った。
こういのを感じるから次も産んでみよう、産みたいなって思えるのかな?って考えちゃたよね。
その後の産後の1ヶ月検診ではお陰様で何の問題もなく、母子共に健康で何の問題もなくここまで順調にこれました。
ただ先生からは妊娠に関する出来事が特殊過ぎるために、「少しでも異変が出たら構わず受診してくださいね」とは言われている。
私も先生に大変にお世話になったし、雪ちゃんの為を想って言ってくれてるから「ありがとうございます」って、お礼を伝えたよ。
そんな私と雪ちゃん。
最初は首が据わってなく怖くて恐る恐る抱っこして授乳とかしてたけど、今ではすっかり慣れて板についてきた。
雪ちゃんはね、とってもとっても可愛いくて愛らしいです。
ちっちゃな口をもごもごと頑張って母乳を飲む姿。たくさん飲んで早く大きくなってねーって思いながらあげるの。
母乳も3時間おきくらいの間隔であげたり、泣けばまずオムツの匂いを嗅ぐ。匂いがすればおしっこかうんちだから交換して。
大きくなれば交換の頻度も減るとは聞いたけど、今はまだ頻繁です。
故にちょこちょこと替えたりで忙しいけども、それがまたママになった、なれたんだと改めて実感させてくれる。
すっっっごく幸せだよ♪
私の家族も雪ちゃんにメロメロ。甘々です。
お母さんはパートのお仕事をお休みにしてくれて、手伝ってくれてるんだ。
それでアレコレと教えてくれるんだけど、私と葵を育てただけあって手際もいいしとても頼りになるんだよ。
しかも日中は私と一緒に雪ちゃんを堪能出来るから、毎日ニコニコしてる。
「雪ちゃん可愛いわ〜〜♪」「ここはこうするのよ」なんて喜んだり教えてくれたりと。
で、お父さんと葵は仕事や学校から帰って来ると真っ先に雪ちゃんの顔を見に来るんだ。
それで「じじだよー」とか「お姉ちゃんだよ」とかって声をかけてるの。
面白かったのが妹の葵で、一度私が「雪ちゃーん、葵叔母ちゃんだよ」って言ったら、すっっごく嫌な顔をしてた。
あの時の表情は忘れられないよ(笑)
その後からは自分の事を「お姉ちゃん」と呼ばせようと決めたみたいで、頑張って呼びかけてる。
私にも「叔母ちゃんって言わないで!」って、言うぐらいだからね。
頑張れ!葵。
あとこれもありがちな事だけど。
1番最初の「まま」発言。これは絶対に譲りませんから!誰にもね。
それで本日は、お母さんの実家に行く日なんだ。
明日からお盆でお父さんも夏休みに入ったみたいなので、みんなで車に乗って里帰りです。
お母さんの実家は新潟県で海側ではなく内陸側、ここからだと高速で夏場なら2時間ちょいで行けちゃうから遠そうにみえても意外と早く着きます。
ただ逆に冬場、お正月の時は雪の影響で結構な時間がかかるけどね。
それでも安全運転には変えられないから、仕方がないんだけど。
ちなみにお父さんの実家は同じ県内なんだけども、交通の便が微妙な所で意外とかかります。
高速を使ってもインターからは遠いし、下道は距離的に時間がかかるからで「変に行きづらいよなー」って、いつもお父さんがぼやいてる。
荷物を車の後ろに積み込んでお土産も持って出発です。
夏場は冬場と違って着替えとかの服がかさばらないので楽だよね。
雪ちゃんの荷物もありそうにみえて意外と少ない。
赤ちゃんて体温高くて汗疹が出来やすいから、家の中では肌着のみで過ごしてるの。
お腹だけ冷やさないように気をつけてね。
今日はお出かけだから、洋服を着せてるんだけどこれはこれで可愛いよ♡
逆にかさばるオムツなんかは大して持って行ってない。
「向こうで買えばいいわよ」の鶴の一声で、道中までの必要な分と+αだけにしました。
道中はかなりスムーズに行くことが出来たんだ。
まず道たけど、高速の渋滞がない。
我が家は大型連休の時に報道される渋滞◯◯キロの先にあるので、引っかからないんだよね。
多少流れが鈍くなる箇所はあるものの、伊香保を過ぎればもうスムーズ。
雪ちゃんは自宅を出る直前に授乳をしたからか、よく寝ててくれた。
なのでこれといった足止めを喰らうことなく、トイレ休憩くらいで行けたよね。
葵は借りてきたDVDを見てて、私は雪ちゃんの寝顔を見ながらニマニマと。
新潟のお家に着いたら早々にミルクタイムになりそうだけど。
そして着いた新潟のお母さんの実家。
お婆ちゃん家に着いて早々に、1台多く車があるのに気が付きました。
最初お客さんかな?と思ったけど、よく見たらお母さんのお姉さんの車でした。
新潟の休憩でいつもお母さんが、「あと◯◯分で着くよ」って連絡を入れるから、そこから連絡を貰ったのかな?
だとすると、陽菜ちゃんもいる筈······。
お母さんの姉さんの伯母さんはお爺ちゃんお婆ちゃんと同じ市内に住んでいて、一人娘の陽菜ちゃんと言う女の子がいるんだ。
歳は妹の葵と一緒なので、葵とは結構仲良し。
こっちに帰省すると一泊は伯母さんちに泊まってくるんだよね。
陽菜ちゃんも一人っ子だから、嬉しいみたいでさ。
まず先にお母さんが荷物持って「ただいまー」って入って行く。
続いてお父さんと葵がそれぞれ荷物を持って続いて。
私は少し遅れる。
お出かけ用の雪ちゃんバッグを肩に掛けて、起こさない様に雪ちゃん抱っこして。
様になってるでしょ?頑張ってるからね。
玄関に入ると靴が多めに置いてあって、小さい靴もある。
この靴は陽菜ちゃんで間違いないね。
「このはは、どうした?」
「このちゃんはまだ〜??」
って、靴を脱いでると居間からお爺ちゃんと陽菜ちゃんの声がした。
「もうすぐ来るわよ。」
「来るわよってあんた······。荷物はあんた達が持ってきたんだから他に何があるのよ?」
「年頃の女の子には色々とあるんでしょ?」
そんなお母さんとお爺ちゃんやお婆ちゃん達のやり取りがしたんだ。
でもよく聞いてると、何となくいたずらっ子みたいな感じの声のお母さんなんだよね。
それもそうで、絶対にこの後の展開を分かってるから楽しんでる。
だって今日まで雪ちゃんの存在を伝えてなかったからね。
で、多分これを今度はお父さんが自分の実家でやるんだよね。
分かりやす過ぎだよ。2人共。
でも、気持ちは分かるかな。私も楽しみにしてたから。
勿論今日まで伝えられなかった罪悪感もあるんたけど······。
さぁ行こう!雪ちゃん。
雪ちゃんの初お披露目の時間だよ♪
「だたいまー!お爺ちゃん、お婆ちゃん!」
扉を開けて元気にご挨拶。
「おぉ、お帰り、このはちゃ···ん······??」
言いかけて固まるお爺ちゃん。
それに続いてお爺ちゃんと一緒にいたお婆ちゃんや伯母さん伯父さんも同じ。
私の腕の中の子を見て固まってる。だよねー······。
人間は想定外の事が起こると脳の処理が追いつかずに動きが止まると、何かで見たような記憶がある。
今が正しくそれだね。
こっちでは「ププッ」と、お父さんとお母さんが笑ってる。
やっぱり確信犯だ。




