ある日の夏休み①-5 20歳高2(挿絵有り)
「あ、お父さん、どうぞどうぞ。」
「あぁ·····これはこれは······。かたじけないです。」
私は茜ちゃんのお父さんに、お酒をお酌してあげてるんだ。
茜ちゃんのお父さんはビールを嗜むらしくて、だったら折角なので私がご飯をご馳走になって一晩お世話になるお礼にと、そうしてあげてるんだ。
「いやー、こんな可愛い子にお酌してもらうビールは美味しいな〜。」
「そうですか?ふふ······。なら良かったです♪」
酔いが回ってきたのか少し口調も変わってきて、ぐびくびとビールを美味しそうに飲む、茜ちゃんのお父さん。
私のお父さんもそうだけど、お酒を飲む人は本当に美味しそうに飲むよねーと思う。
私にはあんなに苦くて不味かったのに······不思議。
かたや茜ちゃんは何をしてるかというと、キッチンで食器を洗っているんだ。
手伝うよ?と言ったけど、これもやはり断られた。
私としてはご飯を頂いたのだから、少しは手伝いたいという想いがあったのだけど。
それにキッチンで2人して並んでる姿っていうのも何かいいじゃない?
そういう憧れ?的なのもあったんだけどね〜。
「鈴宮さん。茜の学校での生活とかはどうですか?家ではあまりその手の話はしないので、あまり分からなくて······。」
茜のお父さんが小声で私に話しかけて来た。
確かに親御さんとしては心配になる話だよね。
しかも意外とこの手の話ってし難いのもあるし。ましてや年頃の娘だから余計に·····。
「そうですね······。まずお父さんの心配する様な事はないですよ。だからその点はご安心していいと思います。」
「そうですか······。それは良かったです。」
本当にホッとした様な表情を見せた茜ちゃんがのお父さん。
本当に茜ちゃんの事が大切で心配だったんだね。
食事中の会話の内容からしても、そういう想いがひしひしと感じ取れてたからさ。
「学校では部活も勉強もとても頑張ってます。特に今は成績も上がって喜んでますし、やる気もありますからこのままいけば卒業までは問題ないかと私は思ってますね。それに友好関係も私は勿論ですけど、クラスメイトからもとっても可愛がられてますから、そこも大変良好です。」
みんなの妹的ポジションだけど、とは言わないで置くけどね。
そういう所も茜ちゃんの素敵な所だと私は思ってるし。
「2人して、何を話ししてるの?」
「ん?何でもないよ···というか、学校絡みの話をしてたの。勉強がどうのこうのとかね。」
「そなんだ。あ、このはちゃん。こっち座ってまた遊ぼ?」
「うん。いいよ。失礼しますね?」
「私は気にしないで茜と遊んでやってください。私はこちらで飲んでますから。」
一言断りを入れてから、茜ちゃんの誘いに乗ることにしました。
買い物から帰ってきてご飯の下準備とか諸々で、この時間までは一緒に遊べなかったからね。
お風呂に行くまでの間に沢山遊びましょ!
ーーーーーーー
その後は引き続き茜ちゃんと一緒に過ごした。
ゲームの続きをしたり茜ちゃんが好きだというテレビ番組を見たり。
あとは茜ちゃんのお部屋でまったり過ごしたりとかね。
そして時間にして22時になる前辺りに、お風呂に行こうという事になったんだ。
お風呂も今回のお泊りで1番の目玉であるのと同時に、時間のかかる物でもあるからね。
主にドライヤー作業が。
「ホントに行くの?」
「本当だよ。私はそのつもりだったしその方が絶対に楽しいよ。それとも······茜ちゃんはイヤ?」
「イヤじゃないけど······。分かった······行こう。」
私はずるい女だ。
茜ちゃんが断らないのを分かった上で、断りにくい事を言って同意を貰ってるから。
でも私もここは譲れないんだ。
今回のお泊りという貴重な時間の中で、お風呂という時間はとっても楽しみにしてた一時なんだからね。
雪ちゃんとの時もそうだけど、お風呂でしか味わえない楽しさや幸せというのも存在するからね。
それを今回は茜ちゃんにも味わって欲しいなって思ってるんだ。
本来はお母さんと体験する筈だった事をね。
着替えを手さげバッグに詰め直して準備をする。
今回は化粧水系以外にはあまり荷物を持ってこなかったんだ。
私がお婆ちゃんの家とかに泊まりで行く時などはシャンプー系も詰め直して持っていくんだけど、一晩だけだから茜ちゃんに甘える事にしたんだ。
茜ちゃんが使ってるのを使っていいよって、言ってくれたからね。
「準備出来た?よかったら行こっか?」
「大丈夫だよ。いこ。」
茜ちゃんを先頭に部屋を出て、階建を降りて1階へ。
そこから玄関とは反対側の家の奥側の方へ行くと、お手洗いがあってその隣に洗面所兼脱衣所みたいな部屋があったんだ。
こういう作りは私の家と大して変わらないね。
うちも洗面所はお風呂中に限り脱衣所も兼ねてるから。
引き戸を開いて中に入る。
内部は広かった。
入って右手側には大きなドレッサーがあって収納スペースも付いてるみたいなので、ここで身支度を整えるのには十分な設備っぽくみえる。
そしてその反対側には洗濯機とその横に収納スペースらしき扉があって。
そして正面奥にはお風呂場へと続く扉があるの。
これだけ大きなお家だから洗面所にもこれだけの余裕が取れるんだなって、そう思う立派な空間だった。
なので私達2人で入っても狭いとかそういうのは問題なさげです。
「このはちゃん、着替えはこっちに置いといてくれていいよ。で、洗濯物だけど······。」
「ああ。それはビニール袋を持って来てるからそれに入れて持って帰るから大丈夫。ありがとね。」
「うん。バスタオルはここに入ってるから好きに使ってね。あとは······何かあったかな?」
「んー······、大丈夫じゃない?茜ちゃんも一緒なんだし、茜ちゃんが普段通りにやってる感じで問題ないと思うよ?」
「それもそうだね。」
「そそ。じゃ、入ろう。明日も休みとはいえ、遅くなっちゃうからさ。」
そう言うなり、早速脱いでいく私。
いくら夏休み中で休みが続くとは言っても、あまりにも寝るのが遅くなるのは避けたいんだ。
いつもよりは寝ていられるけど雪ちゃんのお迎えの時間もあるし、茜ちゃんと朝ご飯までは食べるからね。
それにあまり夜ふかしをしちゃうと、美容にも響くんだよね。
若いからって大丈夫って意見もあるけれど、若いからこそきちんとするのはとても大事なんだよ。
そういうのがチリに積もって、将来に響いてくるからね。
「······どうしたの??」
「え?···いや·····このはちゃん、どうどうと脱ぐな〜って思って······。その······恥ずかしくないの?」
茜ちゃんがあまり動きがないなーって思ってたら、そんな事を気にしてたのか······。
普段の体育の時の着替えや、この前の買い物の試着の時とか、お互いに下着姿はそれなりに見てるんだから気にしなくてもいいのにな、と思うのだけど······。
まぁ、そういう所も茜ちゃんらしくて可愛いけどね。
「全くない訳じゃないけど、茜ちゃんだから平気だよ。それに同じ女同士なんだし、見られて恥ずかしい身体をしてる訳でもないしね。」
「凄ね······。そこまで思えるの。」
「まぁ······、雪ちゃんのママとして恥ずかしくない様に頑張ってるからね。若いママってだけで後ろ指さされるかもしれないから、プロポーション1つでも舐められないようにっていうのかな?そういう想いがあるんだ。それに······」
「それに?」
「『雪ちゃんのママっておデブさんだね』って言われたくないじゃん。雪ちゃんが友達からそう言われて傷ついたりするのもイヤだからさ。」
「凄いね、このはちゃんは······。それに、雪ちゃんもうんと愛されてるね。」
「まぁね。13歳で産むって決めた時に自分に誓った事だからね。だからこれからも、これは頑張っていくつもりだよ。歳をとっても私が雪ちゃんのママでいる限りはね。」
今の私の始まりは、全てそこからだからね。
それがあったから今のこの私がいる訳で、あれがなければまた違った私になってたと思う。
どうなってたかは、想像はつかないけど······。
「茜ちゃんも早く脱いで行こ?それとも······私が脱がしちゃうぞ〜??」
手をワキワキと動かして、少しだけ茜ちゃんに近寄る。
「あ!待って待って!!今、脱ぐから!!」
私に脱がされるのは余程恥ずかしいのか、躊躇してた茜ちゃんがパパパパっと服を脱ぎ始めた。
手をワキワキと動かしてはいたけど、実際はするつもりなんて無かったけどね。
ただまぁ、それはそれで効果があったみたいだから良しとはしておく。
「こうしてきちんと見ると、このはちゃんは本当にスタイルいいし、綺麗だよね。」
「ありがとう♪でも、茜ちゃんだってスタイルいいし、全然負けてないよ?寧ろ背が低いのにそのスタイルだから、ギャップがあってステキだと私は思うな〜。」
「そ、そう?」
「うん。」
前に下着を買いに行った時も思ったけど、茜ちゃんは背の割に胸もありでスタイルがいいんだよね。
だからもっと自分に自信を持っていいと思うんだけど、この辺りは性格も影響するから仕方ないのかな?とは思ってる。
「でもさ···いくら良いって言ってくれても、私、これなんだよ······。」
恥ずかしそうな表情で今にも消えそうな声でそう言って、身体を隠してた腕をどかした茜ちゃん。
そして露わになる茜ちゃんの裸体。
そこには申し訳なさげに生えたそれがちょこんとあった。
「これがさ······子供っぽくて嫌だったんだよ。胸はさ、このはちゃんのアドバイスのお陰で少しだけ大きくなったからまだ良かったんだけど······。」
私は無言で歩き、茜ちゃんの前に行く。
そして、抱きしめた。
「あ······。」
「大丈夫大丈夫。それは人それぞれだから、気にしなくても平気だよ。それにそれはそれで良いこともあるんだよ?まぁ、今はそれは後で話してあげるけど、取り敢えず気にしなくてもいいと思う。少なくとも私は笑わないし子供っぽいとも思わないから!それに、もしそれでからかう女子がいたら私がガツンと言ってあげるから報告しなさいね! いい??」
「う···うん。」
茜ちゃんの想ってる事は大体察した。
今の歳でそれという事は、元々薄い体質なんだろうという事。
女性は体毛が薄いとはいえ、そこは一般的には普通に生えるからね。
で、周りと違う、子供の時とあまり変わらないというので悩んで気にしてると······。
「私はいつでも茜ちゃんの味方だからね。私がいいって思ってるんだから、それでいいじゃない。自信を持ってね!」
抱きしめつつポンポンとしてあげて、茜ちゃんを落ち着かせて励まします。
こういう身体的な問題は母親でも話しにくい、デリケートな事だと思う。
ましてや茜ちゃんは、そのお母さんがいないから余計に相談とかも出来なかったんだろうし。
きっと初潮の時とかだってお姉さん頼りだったんだろうし、下着を買う時もその手の知識とか慣れてない感じとかがしてたから。
そしてそんなコンプレックス的な事を、仲の良い私がどうこう出来る事は本来はなかったのかもしれない。
だけど、今回に限り私にはどうにか出来る材料があるんだよね。
1つは茜ちゃんが私をとにかく慕ってくれてるという事。
何をするにしても私と一緒にいることによって、茜ちゃんはニコニコと笑顔で嬉しそうしてくれてるんだよね。
それだけ茜ちゃんが私に好きという感情を表して向けてくれるから、そういう事に疎い私でもそこははっきりと自覚してる。
そんな茜ちゃんは、とにかく私と一緒を好むの。
だから次のもう1つが、茜ちゃんがコンプレックスを抱いてる部分に対して凄く響く筈なんだよね······。
「それにね······。」
そう言って少しだけ茜ちゃんを私から離して、下を向けさける。
「私はもっとないんだよ?でも、私は気にしないの。それが私だから。」
沈黙が続いた。
茜ちゃんは私の下半身をじっと見つめてて、何やら考え込んでる······。
私は見られてる側だけど、不思議と恥ずかしさとかはない。
雪ちゃんや葵と一緒にお風呂に入ったりして慣れてるのもあるけれど、1番はこれが私だからって想いが強いから。
それに、ここで恥ずかしがると茜ちゃんに言ってる言葉が嘘になっちゃうからね。
気にしてる茜ちゃんに『大丈夫だよ』と、自信を持って貰いたい思いもあるしね。
「······本当だ。そう言われれば何でさっきまで気が付かなかったんだろ?」
「それだけ自分の事で精一杯だったんじゃないかな?」
それにそういう所は同性でも、あまりじろじろと見ていていい箇所でもないからね。
だから無意識のうちに目を反らしていたのかもしれない。
「そう···かもね。······うふふふ。」
突然茜ちゃんが笑い出した。
「どうしたの?突然??」
「えっとね、こういう所もこのはちゃんと同じなんだなって考えたら、気にする事なんてないなって気がついたの。大好きなこのはちゃんと同じなら怖くもないし、恥ずかしくもないから。寧ろ良かったなって思えて、つい笑っちゃった♪ さっきまであれだけ悩んでたのにね。」
あはははは······って、笑いながら話す茜ちゃん。
そう。
実は私は茜ちゃんよりも、もっとない。
体質的な事も関係していて目立ちにくいのもあるけれど、そもそもムダ毛的な物がほぼないんだよね。
だから茜ちゃん的に言えば私の方が、子供っぽいと言われればそうとも言えるんだよ。
そんな私を見て、茜ちゃんも何やら吹っ切れた模様です。
私と一緒を好む茜ちゃんだから『私も一緒なんだよ』って言うのが分かれば、気にしなくなるだろうなっていう感じがしてたから······。
そしてこの感じなら、この問題はもう大丈夫そうだね。そう感じた。
まぁ、まだ全部とはいかないだろうから、その時はその時でまたフォローをしてあげるつもりではいるけどね。
そしてまた、数年後には私も雪ちゃんにも今回と似たような話をする事になるんだろうとは思っている。
けど、その時も母親として私がきちんと伝えるつもりでいる。
私と同じ遺伝子をしてるから、こういう所もまた私に似る筈だからね。
そして他の同級生と違うことで、今の茜ちゃんみたく悩んだりもするだろうから······。
「じゃ、行こうか。」
「うん!」
茜ちゃんの手を引いて浴室へと入ります。
そこには恥ずかしがる茜ちゃんはなく、いつもの元気な声の茜ちゃんだった。
「よーし!今日は私が茜ちゃんの身体と髪の毛を洗ってあげよう!!」
「えっ!? いいの?」
「勿論だよ!寧ろ今を逃すとこんな機会は当面の間は訪れないんだから、お姉さんにお任せしなさいな♪」
「えー?こういう時にお姉さんを出すのはずるくない?でも、お願いします♡」
「任された♪ まぁ、普段雪ちゃんの髪の毛を洗ってあげてるから、腕は悪くはないと思うよ?うふふふふ······。」
そんなやり取りをしつつ始まった、入浴タイム。
こういう時間はさっきも思ってたけど、今後はあまり取れないから今という時をうんと楽しむよ。
勿論、茜ちゃんにも満喫してもらうつもりだし。
きっときっと、いい思い出になると思うんだ。
そう思いなら、入浴タイムは始まるのてした。




