ある日の夏休み①-2 20歳高2(挿絵有り)
「このはちゃん、上手上手〜〜♪」
「いやー······、これ難しいよ、茜ちゃん······。」
今、私達は茜ちゃんの家のリビングでゲームをして遊んでるんだ。
最初はあの世界的知名度を誇る、マ◯オさんのゲームをしたんだよね。
キノコを取って大きくなってフラワーで火の玉を出す、ステージクリア型のやつを。
家庭用ゲームをしない私でも、これだけの知名度があるからさすがに知ってる。
これを茜ちゃんと、2人協力プレイで教わりながら遊んでたの。
動かし方、ジャンプやスピンや攻撃。
パワーアップするアイテムで仕様が異なるから覚えるのが大変だったけど、それはそれで楽しかった。
2人でキャッキャしながらある程度の所まで進めて、今度はそのマ◯オさんのカート物をしたんだよね。
これもやった事はないけど、ゲームセンターとCMで見かけたことはあるからゲーム自体は知ってる。
1位を目指すレース物で途中で拾えるアイテムを駆使して相手を攻撃したり、又は自分を強化したりして。
そんな事をしながら最終コースで1位を取るんだよね。
「あー···難しいよぉ〜〜。」
「でも、結構いい感じになってきたよ!このはちゃん。」
コントローラーを握りながら自キャラを操作する。
私は何も分からないので、アイテムの事はあまり考えずに取り敢えず走ることだけを意識して。
「うふふふ。このはちゃん、面白いよ♪」
「何が?」
私の隣でプレイしてる茜ちゃんが、私を見ながら笑ってきた。
何だろう?
そんなに面白い事があったかな?
「あのね、カーブをする度にこのはちゃんの身体が傾いてるの。こういうゲームであるあるの事なんだけど、見てたら面白くって······。」
「そうなんだ······。操作に夢中になってたから良く分かんなかったなー?」
「ごめんね。集中してるとこを笑っちゃって······。」
「ううん。大丈夫だよ。それに茜ちゃんが楽しんでくれてるなら、私も嬉しいしさ。」
どうやら茜ちゃんが笑ったのは私の身体がカーブをする度に、それと連動する感じで傾いてたらしいんだ。
私としては特に何も意識はしてなかったんだけど、慣れないな内はよくやってしまう反応らしいとの事。
「それにしても、これはさっきのゲームと比べても難しいね?」
「そうだね。操作云々もあるし何のアイテムを何処で使うか?というの駆け引きとか諸々あるけど······、やっぱり肝心なのは操作かな?」
現在画面は5コースからなるステージの4コースを終わった所だった。
茜ちゃんが2位で入って、私は6位。
うん。難しいね。
壁にぶつかったり、コース外に転落したりと散々な結果に終わってる。
それでもこの順位にいるのはアイテムの効果によるものが大きいみたいです。
下位順位になるほど強力なアイテムが出やすいみたいなので······。
ラストコースがスタートして、またキャーキャー言いながらプレイをする。
主に私が(笑)
障害物にぶつかりーの、踏みつけられてペシャンコになったり外に落ちたり。
そんな私を隣でプレイしてる茜ちゃんは、クスクスと笑いながらも高順位をキープしてるんだから大した物だよね。
「あー······難しかった······。」
なんとかゴールはしたものの、最後のコースなだけあって難しかった。
私はスタートまでは6位でいたのに、結果は順位を下げて7位になってしまった。
ちなみに茜ちゃんは優勝とはいかなかったけど、2位でフィニッシュしたよ。
流石だよね。
「お疲れ様、このはちゃん。どうだった?」
「操作は難しいけど、これはこれで楽しいし面白いね。それにこうして一緒にプレイ出来るのがまた凄く楽しいし、新鮮だよ。」
「うんうん。私も1人で遊んでたりするのが殆どだったからさ、こうして誰かと一緒にプレイするのが楽しいとは思わなかったな〜。」
「そうなんだ······。」
茜ちゃんは家庭の環境で、比較的1人で家にいる事が多かったんだろうなって想像はしてたんだよね。
お姉さんがいるとは言ってたけど、子供が生まれたって話してたから少なくとも20代半ばくらいはあるとは思うし。
そうすると茜ちゃんとはそれなりの年の差になるし、遊びたい盛りの小・中学生の頃はお姉さんも受験や進学、又は就職で家を空ける事もあったのかもしれない。
そういうのもあって、家で1人でも過ごせるように家庭用ゲーム機を買ってくれたのかもしれないよね。
まぁ、全ては憶測ではあるけれど······。
「あ···このはちゃん。あんまりしんみりしなくて大丈夫だよ?色々と思うことはあったけどさ、これはコレでいい暇つぶしにはなってたし、なにより今こうしてこのはちゃんと遊べてるからね。」
コンコンと手持ちのコントローラーを軽く指で突付きながら、そう話す茜ちゃん。
健気だなぁ〜。
思わず頭を撫でてしまった私。
そして撫でられてご満悦そうにする茜ちゃん。
過去のことはもう変えられない。
でもこれからの未来はいくらでも変えられると思ってる。
それこそ楽しく過ごすことだってね。
たから私は茜ちゃんにも、そう過ごして欲しいなと願ってる。
ゲームして遊んで。
時たま休憩がてらおしゃべりをしたり、茜ちゃんオススメのコミックなんかを見せて貰ったりして時間を過ごした。
私もこうして友達の家に遊びに行くっていうのは殆どなかったから、何をするのも新鮮で楽しかった。
そんな楽しい時間というのはあっという間に過ぎるもので、気がつけばもう夕方になってたんだよね。
夏場だからまだまだ陽は高くて昼間?って感じではあるけど、時計を確認すればきちんと夕方で。
「もう、5時だってよ。早いねぇ〜。」
「うん、そうだね。明る過ぎて夕方って感覚がないよ。」
2人してそんな他愛もない事を話す。
ほんと、その通りだよね。
冬場なんてその逆で、あっという間に真っ暗になっちゃうからね。
「ねね、このはちゃん。この後、一緒にお買い物行かない?」
「お買い物?うん、いいけど、どうかしたの?」
「いや〜、今夜の晩ごはんの材料を買いに行かないとだからさ。それに付き合って欲しいかな?なんてね······。」
「あぁ!なるほど。うん、いいよ。一緒に行こうか?」
「ありがとー! じゃ、ちょっと準備してくるね。」
そう言うなり、テテテテっと軽やかな足取りで部屋を後にする茜ちゃん。
事前の話の時に晩ご飯は私が作るよって、言ってはくれてたんだよね。
私は何かを頼んだりでも良かったんたけど、茜ちゃんがどうしてもって引かなかったから甘える事にしたんだ。
まぁ、いつもお父さんの分も茜ちゃんが用意してるらしいから、私の分が増えたくらいは大丈夫だよとは言ってたけどね。
「さて······私も出掛ける用意をしなくちゃだね。」
とは言ってもする事は、ほぼ何もないけどね。
精々がお手洗いを済ませるくらいしか。
暫くして、茜ちゃんが戻ってきた。
バッグを肩にかけて、手にはお買い物カゴを持って。
「何か変······かな?」
「いや、全然そんな事ないよ。私だってスーパーに買い物行く時、買い物カゴを持って行くもの。これさ、スーパーに限って言えばエコバックよりも楽でいいと思ってるよ、私。」
「そうだよね!凄い楽だよね!!」
うんうんと頭を振って同意する茜ちゃん。
実際に私もスーパーに行くときは必ず持って行くし、楽だとも思ってる。
まず、カゴが大きいから荷物が沢山入るしお店の中はカートに乗せて移動ができる。
それに有人レジならそのままカゴに入れてもらえるから、袋に入れ替える手間も省けるからね。
「じゃ、行こ!このはちゃん。」
「おっけー♪ 道案内よろくね!」
2人して玄関を出て戸締まりを確認してから車に乗り込みます。
カゴは後部座席に置いて、茜ちゃんは助手席に。
「このはちゃんの車に乗るのも2回目だけど、随分と久しぶりな感じがするな〜。」
「そう?」
「うん。期間的にはそんなに経ってないはずなんだけどね。あ、その先の信号を右折ね。」
「はーい。」
車で向かうは、茜ちゃん御用達のスーパー。
要は茜ちゃんの家から1番近いという理由なんだけどね。
私と違って車を運転出来ないから、自転車で買い物に行くとなると必然的に近いお店ってなるし。
それにこの向かってるスーパーは、私が行くスーパーとは方向が違うから私も行くのは初めてです。
まぁ、同じ系列店の別店舗自体は行ったことはあるんだけどね。
「ねぇ、このはちゃん。私が持つよ?」
「ううん。大丈夫だって。このくらいはさせて?」
「もぅ······。そんな表情でそう言われたら、それ以上何も言えないじゃん······。でも、ありがとう。」
何をやってるのかというと、スーパーの駐車場で買い物かごをどっちが持つかのやり取りをしてたんだよね。
私としてはご飯とかを頂く身だからこのくらいはしてあげたいんたけど、茜ちゃんも茜ちゃんで遊びに来てる私に持たせるのは申し訳ないと思ってるみたいでさ。
端からみるとつまらないやり取りに見えるかもしれないけど、私達から見るとこれも貴重なやり取りになるんだよね。
少なくとも学校では出来ない事だから。
結局、私が持って店内に入ったんだ。
すぐにカートに乗せちゃうから、さっきのやり取りは何だったんだろ?とも思うけど。
そして店内ではカートを押すのは私の役目で、茜ちゃんは食材を選んでカゴに入れていく係。
まぁ、作るのは茜ちゃんで何を作るのかは私は聞いてないからね。
そして2人で並んで店内を歩きます。
「このはちゃんは、食べられないものとかあるの?」
「食べられない物?うーん······アレルギー的な物なら何も持ってないから何でも食べられるよ。ただ好みで言うと、生蛸に生イカは苦手かな。ま、それを家庭料理で出すことはあまりないとは思うけど······。」
「タコ・イカか〜······。でもなんとなく分かるかな。火を通せばいけるけど、生だと噛み切れないというかそういうのがちょっと食べ難いよね。でも、駄目っていうのがなくて良かったよ。教えてくれてありがとね。」
「いえいえ。で、何を作ってくれるのかは、まだナイショかな?」
「うん。ナイショ······かな?でも、このはちゃんの事だから選んでる食材で分かっちゃうかもしれないけどね?」
うふふふって笑いながら、食材を見て選んでいく茜ちゃん。
普段から買い物をしてご飯を作ってるからか、こういった姿も様になってる。
野菜なんかは数ある中からきちんと良し悪しを見て食材を選んでるし、お肉とかは分量で若干値段が違うからそういう所も吟味してるしね。
「このはちゃん······。」
「ん?」
「何だか私達、やたら見られてない??」
キョロキョロと周りを見渡して、ボソッとつぶやいた。
茜ちゃんの言わんとしてることが直ぐにピンと来た私。
「あ〜·····それはきっと私のせいだね。私ってこんな見た目でしょ?だから目立つのよ。あと、このスーパーは初めて来るところだから他の馴染のお客様からしても私を初めて目にするからね。」
「あー······。そっか。そういう事か······。」
「そうそう。スーパーって自宅から近い所とか安いとかの理由で、馴染の固定客が多いから見慣れない人がいると見ちゃうんだよ。きっとね?」
そう。
現に私がよく行くスーパーでは雪ちゃんと一緒に行っても、今みたくジロジロと見られることはかなり減ったんだよね。
店員さんも基本的には同じ人達だから、私が通えば通うほど見慣れた人になるし、それはお客として来てる人も同じ。
通い慣れたお店なら陳列の場所も把握してるから買い物がしやすいとか、自宅から近いココって決めてる人もいるんだろうと思うし。
かくいう私もそういった理由で、いつも同じスーパーで買い物をしているんだけどね。
「私達ってどういう風に見られてるんだろうね?友達って感じかな?」
「どうだろ?パッと見、日本人の子と外国人の子って感じだしね。友達って線もあるけど、留学生とかっていうのもあるかもよ?ホームステイ先の関係とか?」
「なるほど······。」
日本じゃあまり馴染みが無いけど、海外だとホームステイとかを受け入れてたりとか体験したって話も聞く。
実際にそこまでは考えなくて、友達って線が濃厚かな?とは思ってるけど。
「じゃ、このはちゃん。折角出し、こうしていこう?もっとアピールしなくちゃ!」
そういってカートを押してる私の右腕を、自分の左腕に絡めてくっついてきた。
ちょっと歩きにくくはなったけど、これはこれでいっか······。
うふふふ♪とご満悦気な茜ちゃん。
そしてそんな茜ちゃんに甘い私。
そんな2人は周囲の注目を集めながら、買い物をして行くのでした。




