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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ちょっと昔の出来事⑦ 14歳(挿絵有り)

「うふふふ······。やっぱり可愛いなぁ〜♪」


私の腕の中で眠る、小さな子を眺めながらニコニコする私。

それもその筈でこの子は私の子供、娘だから。



白い髪の毛、赤い目に白い肌。

私にそっくりな容姿で産まれてきた、私の可愛い愛娘の雪ちゃん。

今年のお正月を過ぎた頃に違和感を覚えて病院に行った結果、妊娠してる事が判明した。


何故?どうして??


全く身に覚えのない妊娠に、不安や恐怖といった様々な負の感情を覚えてわんわんと泣いた。

でもタイミング的に何時までも泣いてるわけにはいかず、私は決断を迫られた。


堕ろすか産むか······。


只今、14歳。

妊娠が発覚した当時はまだ13歳だった、子供の私が子供を産む。

普通に考えれば堕ろす事を進められるよね。

育てる経済力も皆無なんだし。


おまけに私の場合は性交渉をしたという記憶がないので、性犯罪にあったという可能があった。

というか、記憶がない時点でそれしか考えられなかった。

そんな相手の分からない犯罪者の子供を産む可能性。

お父さんお母さんにも迷惑をかけて悩ませて悲しませた。


結果的には今ここに我が子を抱いてるのが分かるように、産むことを決断したんだけど。

短い時間の中で、悩んで悩んで悩み抜いて出した結論だった。





すやすやと眠ってる我が娘を見つめながら、私は嬉しく感じている。

そっと眠ってる顔、頬に指を当てて撫でればぷにぷにとした柔らかい感触の肌。

赤ちゃんの肌はもち肌なんて聞いたことがあるけど、まさしくその通りでずっと触ってても飽きがこない。

寧ろずっとぷにぷにと触っていたい!

そんな衝動に駆られちゃう、魅惑の肌だった。


でも、そんな衝動を我慢して指を離します。

やり過ぎて気持ちよく寝てるのを起こしてしまうのは、母として駄目だからね。


「ゆ〜きちゃん♡」


眠ってる愛娘に話しかける。

寝てるから聞こえてはいないだろうけど、それでも何度も何度も。

名前を呼んであげたり話しかけたり、歌を歌ってあげたりと······。

まだまだ先の話なのに『ママ』と早く呼んで欲しくてね。





雪ちゃんを産んで早1ヶ月と少し経った。

季節はすっかり夏になり連日真夏日の日が続いていて、我が家の庭にある樹木やご近所さんの家にある木から蝉の鳴き声が聞こえる、そんな今日この頃。


先日受けてきた1ヶ月検診では、母子共に問題ないという診察結果を頂いたよ。

それでも通常の産婦さんよりは念入りに診察をされたけどね。



まず私。

私は出産の時は14歳になったばかりの子供というのもあり、帝王切開を先生からオススメされたんだ。

それは出産の負担に対して大人と比べると身体が小さいくて、危ないからということで。

それは医療技術が発達したからといっても、出産その物は母体にかかる負担と危険がかなりあるんだって。

体が完成されてる大人でさえそれなのに、妊娠が出来るとはいえ身体その物はまだ成長途中の私には、更に危険なんだってさ。

その話を聞いて私の事を考えての事なんだとは分かってはいたけれど、それでも私は通常分娩をお願いした。


危険はある。それは分かってる。

そして帝王切開の方がまだ安全だというのも······。

それでも私は陣痛の苦しみや分娩の痛みを経験したうえで、リスクをとってでも親に、母親になりたかったんだ。

私の熱意に負けたのか、先生も渋々だけど承諾をしてくれたしね。

今思えば悪いことをしたかな?とも少しは思うけど、それだけ私の想いは強かったんだよね。


陣痛が来て普通なら間隔がうんと短くなってから病院に行くらしいのだけど、私の場合は「陣痛が来たら直ぐに連絡して来て下さい」と言われてて連絡後、直ぐに向かった。

そして痛み苦しみに耐えながら、長時間頑張った。

もうすぐに我が子に逢えると、只々それだけの想いを原動力にして······。



そんな経緯で通常分娩をした私だけど、検診結果は良好だった。

ほっと胸を撫で下ろしたのは私だけではなくて、私のお母さんや先生も同じだった。

それだけ私は周りの人に心配されてたんだなと、改めて実感した瞬間だった。




違ったのは、私の娘の雪ちゃん。

雪ちゃんは普通の検診より詳しいというか、詳細なデーターを取る事になったんだ。

勿論、身体の負担にならない範囲でだけど。


理由はその出生の謎。

当初は事件性が疑われたけどDNA検査をした結果、その疑いは晴れた。

それについては、私もお母さんもお父さんも大いに喜んだよ。

ただ別の問題が発生したんだよね。


それは父親に当たる遺伝子がないという事。

世界を見てもそんな症例はなく、何故そんな事が起きたのか先生にも分からない。

故に雪ちゃんに対しては、慎重な扱いが求められてしまったんだ。

ちょっとした体調不良とかで何が起こる分からないし、そもそもきちんと成長できるのか?という問題。

肉体面の問題もあるけれど、精神面はどうなのか。

要は発達障害とか自閉症だとか、そういった症状が表れるかどうか······。

全く未知数だから、出ないとは言い切れないと言われてしまった。

だから今度とも継続して詳しく診断をしていきましょう。と言われたよね。



私はそれを聞いて辛かった。

大きくなれないかもしれない。

今後何か障害が出るかもしれない、そんな不安。

でも、そんな不安に負ける訳にはいかなかった。


世の中には生まれながらに障害を持つ子供もいるし、その親もいる。

小さい我が子を亡くした親や、その逆の幼い時に親を亡くす子供。

育てられないからと施設に預けてしまう親。

または虐待等で殺されてしまう子供······。

人の数だけ境遇、環境、愛情は違う。

私はそれをニュースとかで知るレベルだけど、見聞きしてるから知ってる。



それに私は誓った。


『この子の為に。』

『この子と一緒に私は生きていきたい。』


だから私は何が起ころうとこの子、雪ちゃんを愛して大切に育てていく。

そう誓った。






雪ちゃんは、よく眠る子だ。

赤ちゃんは飲む、寝る、泣くのが仕事とよく言われる。それは私も妊娠する前から聞いたことはあった。

それはそれしか出来ないからっていうのも、あるんだろうけど···。

私も1ヶ月少々を雪ちゃんと過ごして、確かにそうだなーって感じたけどね。



眠る子。

そうよく()()()んだよ。雪ちゃんは。

私が心配するほどに······。

それに、よく言われるグズり泣きという物があまりないんだよね。

心配になってお母さんにその事を相談した事もあった。


「貴女もそうだったわよ?」


なんて言われたよ。


「私は初めての子供っていうのでテンパってたのもあったけど、このはが凄くいい子で手間のかからない赤ちゃんだったから、凄く助かったのよ。ありがとね。」


なんて言われもした。

そんな事を言われても私は全く自覚もない事だから、返答に困ったけど。

でもその事を聞いたら、今度は私が今まさにそういう状態だよねって気付いた。

これも遺伝?

そんなまさか···とは思うけど、私と雪ちゃん関係ならそれも否定出来ない不思議がある。



ちなみにそれは、先生にも相談した。

そしたらそれはそれで問題ないって言ってくれた。

新生児といえどそういうのは個人差があるらしくて、よく泣く子もいれば泣かない大人しい子もいるからってね。

それに「きっとこの子なりに、このはちゃんの事を気遣ってるるんじゃないかな?だから、休める内に休んで体調を整えるのもお母さんにとしての仕事だよ。」なんて言われて。



嬉しかったな〜。

私の時と同様にまだ自我とかあるわけじゃないから、雪ちゃんにそんな思いはないし、先生なりの優しさなんだと分かってるんだけど、それでも自然とそうなのかな?と思うとより一層雪ちゃんに愛情が湧いた。






し〜〜んと静まり返るリビング。

お母さんは今、お買い物に出かけてるから、家の中にいるのは私と雪ちゃんだけ。

買い足したい物はあったけど、それは全部お母さんにお願いしました。

だって雪ちゃんを連れて歩くのは、まだリスクが大きいし時期早々だからね。

1ヶ月経った今、時たま窓を開けて換気をしつつ雪ちゃんを外気になれさしてる所なんだ。

免疫とかの関係でちょっとずつ、ちょっとずつね。

過保護なのかもしれないけど、何があるか分からない以上慎重になるのは無理もないです。




「あ·····ぅ···」


蝉の鳴き声しか聞こえない室内に、小さな小さな声がした。


「あ。雪ちゃんおはよ〜♪よくお寝んね、出来たかな?」


小さな声の正体は雪ちゃんだった。

というか、雪ちゃんしかいないんだけどね。

私の腕の中で寝てた雪ちゃんが、目を覚ましたみたいです。

小さなお顔の小さな瞼が開いて、2つの赤い目が私を見つめてる。

そう。()()()()赤い目。

まだぼんやりとしか見えないとされている、雪ちゃんのお目目。

これも私からの遺伝。


私と雪ちゃんは親子であるけれど、限りなく一卵性双生児と同じ様な状態であるからね。

普通の親子ではまずあり得ない事だけど·····。



「ぅ···あ〜····」


「どうしたのかな〜?······あ、ミルクかな?」


言葉にならない声を出して、何かを訴えてくる雪ちゃん。

親である私も何を訴えてるのかまだ理解は出来ないけど、何となく察する事は出来るようにはなって来た。

雪ちゃんが寝てから約3時間。

その間隔だと、まずは母乳の時間だという事。

そしてその後に、オムツの交換というパターンになってきてるんだよね。


ブラの片側を外して、今回は右側の胸を出して雪ちゃんに差し出します。

前回の授乳の時は左側で与えたから、今回は右側。

左、右、左、右。

私は授乳の度に、交互の胸で母乳を与えている。

誰に言われたわけでもないけど、そうしないと胸が張って辛いから······。



「ぁ···ぁぁー!」


「はいはい。今あげますよ〜♪」


胸を出した瞬間に、雪ちゃんが反応を示した。

顔の表情も嬉しそうな感じになって、手をパタパタ。

パタパタと言ってもそんなに動かしてる訳でもないけど、私にはそう見えるんだよね。

やっぱり、お腹が減ってたんだねと。


そして、この反応は何なんだろう?と不思議に思う。

このくらいの赤ちゃんは、まだ目はハッキリとは見えてないとは聞いた。

ぼんやりとしか見えてないとかって。

だがら私の顔だって胸だって、きちんとは認識してないはずなのに、それでも出した瞬間にこれだからねぇ······。


そうすると······香り?


そうなのかもしれない······。

私も初めて知ったけど、意外と母乳って香りがするんだよね。

強い香りではないけど、うっすらと甘いような香りが。

母乳で育つ赤ちゃんはミルクの香りがするって聞いたけど、あながち本当なのかもしれないよね。


姿勢を正してクッションを挟み、そこに雪ちゃんを乗せるような感じで抱く。

クッションを挟むのは位置(高さ)調整の為。

これを挟むと授乳が楽になるんだよね。

実際にそういった名目で売ってるからね、コレは。

もっとも、もう少し雪ちゃんが大きくなれば要らなくなるとは思うけど。



パクっ···


「んっ······」


雪ちゃんが咥えた瞬間、思わず声に出てしまった。

雪ちゃんを産んでからかなりの回数の授乳してるのに、未だに私はこの咥える瞬間の感覚に慣れないんだよね。

嫌だとかそういうのは全く無いのに······。

寧ろ嬉しがったり喜んでたりしてあげてるのに、なんでだろう?と。

14歳になったばかりという歳の問題なのか、はたまたそこに至るまでの経験をすっとばして妊娠・出産をしたせいなのか·····。


でも、これはほんの一瞬だけ。

咥えられたその瞬間だけの感覚。



モグモグ···

コクコク······


ちっちゃいお口で一生懸命に母乳を飲む雪ちゃん。

その時々によって少し変わるけど、今は目を瞑って両手で私の胸を押さえる?様な仕草で飲んでる。


「もう···可愛いなぁ〜♡」


今の私は、この瞬間が1番好きだ。

抱っこしてる時、寝てる時、沐浴をさせてる時。

様々なシーンがあるけれど、その中でも授乳してる時が1番嬉しくて幸せを感じる。



――幸せ――



言葉にするとたった4文字。

たった4文字だけど、その中にはとてつもない大きい気持ちが籠もってる。

妊娠して月日が経つごとに大きくなるお腹。

初めてお腹を蹴った時。

無事に出産出来た時。

雪ちゃんを初めて抱いた瞬間。


その時々で幸せを実感してきたけど、今のこの授乳というのはまた特別なんだ。

何と言っても一番母親をしてるって実感が湧くから。

粉ミルクなら、お父さんでもお母さんでもあげられる。それこそ葵でもね。

でもこの母乳は産んだ私だけの特権。私にしかあげられない。

故に幸せをより実感出来るんだ。



片手で飲んでる雪ちゃんの頭を撫でる。

そっと、優しく。

私と同じ白い髪の毛。今は瞑ってるけど、その目も私と一緒で赤い。

『DNAが同じだから将来はそっくりになるよ』とは言われてるけど、まだそこまでの実感は沸かない。

けど、ほんの数年でそれも実感できるような感じはするかな?



チュポン。


雪ちゃんが口を離した。


「雪ちゃん、もういいの?満足した?」


問いかけるものの、当然ながら返事は来ない。

まぁ、喋れないから当たり前ではあるけれど。

でも、もうこれ以上飲むって仕草をしないので満足はしたみたいです。


「よいしょっと······。」


胸をしまうよりも先に雪ちゃんを抱っこし直して、背中をポンポンとしてゲップを促します。

これはゲップをさせることによって、飲んだ母乳やミルクをもどさせない効果があるらしいんだって。

もちろん、それをしたからって100%防げる訳でもないけど、効果は確かにあるんだよ。


「ケプ···」


暫くポンポンとしてたら雪ちゃんがゲップをした。

うん。これで一先ずは安心です。

胸をしまって整えて。

改めて抱っこし直してオムツの確認。

膨らんでもないし、匂いもこれといってないのでオムツはまだ大丈夫そうだね。


それにしても、やっぱり甘い香りがする。

雪ちゃんに使ってる石鹸類の香りとか衣類洗剤の香りではない、違う匂い。

これはどちらも匂いのない物を使ってるからね。

甘くて優しい香り。

匂いフェチなんて持ってないけど、これはちよっと癖になりそうな、そんな香りだった······。



「雪ちゃ〜ん。お寝んねする?」


話しかけて見たけれど、まだ寝る気配はないみたいだね。

まぁ寝るのも赤ちゃんの仕事だけど、ついさっきまで寝てたからね。さすがに眠くはないか···と一人納得してた。


「じゃあ、ママがお歌でも歌ってあげるね。」


♪〜〜♪♪ ♪♪〜〜♪


特に子守唄って訳でもないけど、ゆっくりとした曲調で優しい感じの歌を歌ってあげることにした。


歌いながら雪ちゃんを見る。

先程の母乳を飲む時は瞑ってた目を、今はパッチリと開けて私を見つめてる。


見つめ合う、赤い目と赤い目。

私のかわいい、かわいい愛娘。


こういう時はいつも思う。

雪ちゃんは将来、どんな女の子になるんだろう? と。

見た目は私に似るとしても、性格は?

私みたく真面目なタイプになるのか、はたまた葵みたいな元気っ子になるのか。

髪は私に似せて、伸ばす様になるのかな?

一人で立てる様になって歩く様になってて、「ママ」と呼んでくれて。


幼稚園は?

私と同じ幼稚園でいっか。黄色のリュックに上着だけの園服。

あれ可愛いんだよなぁ〜♪


小学校は?中学校は??

ここに住んでるなら、どっちも私と同じ学校になるね!


私と違って彼氏とか連れてくるのかな?

「お前に娘はやれん!!」

なーんて、いないお父さんの代わりに私が言ったりするんだろうか?


そんな何年も先の事を、勝手に思い浮かべて考えて妄想して。

でもそれが出来る今の生活が、とても嬉しくて幸せで。



いつの間にか終わってた歌。

それでも雪ちゃんは、寝ることなく私を見つめてた。



「なにはともあれ。雪ちゃんが元気に育ってくれれば、ママはそれ以上の幸せはないよ。元気に大きくなってね。雪ちゃん。」




大好きだよ。愛してる♡



挿絵(By みてみん)

いつも御愛読頂き、誠にありがとうございます。


次回から本編の方は、夏休み編及び2学期編へと入っていきます。


引き続きよろしくお願いいたします。

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