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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の授業⑤ 20歳高2(挿絵有り)

「あー···、どうすんべ。分かんねーよ······。」


「俺もだよ·····。俺は英語がイマイチ分からないからさ〜。検定も今年度からやるって先生が言ってたし、憂鬱だよ······。」


「ホントだよなー···辛いわ。」


「でもさ、そんな中でも数学だけは出来るんだよな!」


「「「それな!!」」」


「マジで鈴宮先生様々だよ!!」


「ほんとほんと!! マジ女神様だよなー···。」





「·········」


朝、茜ちゃんと共に学校に登校してきて教室に入っても見れば、教室内はこんな感じだった。

扉を開けて挨拶をして、それにみんなが応えてくれる。

ここまではいつもと変わらないんだけど、その後が普段とは違うんたよね。

雰囲気が暗いというか、沈んでるというか······。


いつもはワイワイガヤガヤと先生が来るまで賑やかなんだけど、さすがにこの日は違うよね。

何処となくピリピリ感も漂う教室内だけど、それでもやはりというか私の周りは多少は平常だった。



「あ〜···やっぱりこのはちゃんが居てくれると、心が和むよ〜〜。」


「本当だよね〜。」


「このピリピリした空間の唯一の癒やし······あー···幸せ♪」


「そんな大袈裟な······。」


私の後ろの席の子達が、口々にそう言ってくれてるんだよね。

まぁ、私も雪ちゃんが居てくれると癒やされたりするのもあるから、気持ち的には分かるけどさ。

でも私だよ?

みんなが好いてくれてるのは分かってるけど······。


「そんな事ないんだよ?このはちゃん。」


「茜ちゃん···。」


「私も皆もこのはちゃんの事を好きだから、好きな人が側に居てくれるだけで嬉しい気持ちになれるんだよ。」


「「「おおーー!」」」


「どうしたん!?あかねー??随分とハッキリと言うようになったじゃん?」


「そっかなー?えへへへ·····。」


私の発言に対して茜ちゃんがそれを否定して。

そしてハッキリとみんなが言ってた事に対しての答えというか、意見を話してくれたんだよね。

そんな茜ちゃんの言葉に驚くみんな。そして私も。


「まぁ、茜は分かりやすいからね。この前だってこのはちゃんがお休みの時は1日中凹んでたし。」


「それは言わないって約束じゃんー!」


「あははは······。でもそれが、このはちゃんが居るだけで笑顔満開なんだからさ。可愛いよ、茜。」


「もぅ〜···。」


「でも、やっぱり茜って、何だか変わったよね〜?」


「確かにね。ブラも可愛いのを着けてたし、やっぱりこれは恋かな??」


「恋なんて······。そんな男の子はいないよ〜。でも、このはちゃんの事は大好きだけどね!」



そう嬉しそうに話す茜ちゃん。

やっぱり変わったなって、私も思うし感じる。

ちょっと前までは私と2人きりでもこうハッキリと言うことは少なかったし、みんながいる前ではもっと言うこともなかった。

寧ろ抑えてるというか隠してるというか······そんな感じだったからね。

それが今は照れくさそうにはしてるけど、みんながいる前でもハッキリとそれも『大好き』って話すくらいだからね。


相手が私という同性だから、みんなも微笑ましく見てるのかもしれないけど、それでもこういう事は子供の時は言えても今は中々言えないもんね。

それを堂々と言う様になったんだから、それは変わったとみんなが思うのも納得だよ。



「私も大好きだよ。茜ちゃん。」


「えへへへへ♪ありがと、このはちゃん。」


「お〜······暑い暑い。全く、朝から茜に当てられちゃうよ(笑)」


「ホントだよねー。まーでも、このはちゃんが来てくれて安らぐのは間違いないから、私達も嬉しいけどね。」


「うん。ありがとね。」


「あう···。このはちゃんにお礼を言われてしまった······。やっぱりこの席はいいよね〜♪」


なんだかんだで賑やかになる私の周りです。

それでも他の子達はそうでもないんだけどね。


「それはそうと、みんなは大丈夫なの?時間的にはもうないけど、軽く復習とかさ?」


「んー···私は昨日の夜に一通りはやって来たから、もういいかな。」


「私も。もう今更足掻いてもあまり効果はないと思ってる。」


「うちもそんな感じ〜。」



気になって聞いてはみたけれど、茜ちゃんを含めてもういいみたいです。

体育祭という一大イベントが終わって、さぁ次は何だ?ってなると来たのはテストなんだよね。

一学期の中間テスト。

それが今日あるから、朝から変な空気になってた訳なんだよね。


それに他の高校はどうなのか知らないけど、うちの桜ヶ丘高校はテストは1日で一気に行うんだ。

1日3時間くらいテストをやって下校とか、そういうのではなくて。

それで中間テストは科目も少ないから1日で終わるんだけど、期末はさすがに1日では無理で2日かけて行われる。

故に1日辺りに行うテスト科目も多いから、一夜漬けでテスト対策をするということも出来なくて、復習や自主勉強といった常日頃の小さい積み重ねが大切になってくるんだよね。


それでもやはり点は少しでも取りたいから、今も復習に余念がないクラスの皆なんだけど。


「でもさー。このはちゃんのお陰で数学は出来るようになったから、そこは凄くありがたいよ。本当にありがとうね。」


「うん。本当にありがとう。これからも良かったらお願いします。」


「いえいえ。私も色々と勉強にもなってるから助かってるよ。」



1年生の頃から続いてる『このはちゃん塾』。

これはそのまま、2年生になった今でも継続して続いてるんだ。

私のクラス、ほぼそのままのメンバーで来たから特に何も言わず継続したんだけど、新しく入った男の子数人は驚いてたよね。

だってお昼ご飯を食べて、さあ、好きな事をしよう!って時間に、みんなが教科書やノートを引っ張り出して勉強をやり出すんだから。

あの時のあの子達の驚き様は、今でもよく覚えてる。


そして最初は戸惑ってて特にする訳でもなく、私も強制とかをする訳でもないから特に気にはしてなかったんたけど、ある時から参加するようになったんだよね。

クラスメイトの誰かに何か言われたのかどうなのかは知らないけれど、それからは真剣に取り組んでくれてるんだよね。

私としてもそれは嬉しいから、当然真剣に教えてあげて。

達成出来た時のご褒美的なのも勿論一緒。



ここ最近はテスト対策を中心として教えてきたけど、みんな概ね出来てる。

まぁ中間テストという事で範囲は狭いお陰で、難易度としても低いから今日のテストではそんなに心配はしていないです。



「長丁場にはなるけど、小さなミスだけを気を付ければ大丈夫だから、頑張ろうね。」


「「うん!」」

「はい。」




ガラガラガラ······


「おはよう〜。席に着けーって···着いてるか。」


暫くして高橋先生がやって来て出席&連絡事項を伝えて朝のH·R(ホームルーム)は終わった。

この後、事業のチャイムがなればいよいよ始まるね。


さてさて···どうなるのかな?





  ーーーーーーーー



カリカリカリカリカリ······


静まり返った教室。

時たま「う〜〜ん···」なんて悩んでる様な呟きが聞こえるくらいの静かな教室に、シャープペンシルを走らせる音がする。

1時間目は国語です。その後は数学と英語と続きます。

ここまでは各学年、各コースの生徒共通の科目にして同じ内容です。

その後は各コースによって若干変わるんだ。

私達の場合は社会系(歴史や公民)、理系があるけど、それが一部なくて別の科目だったりとかね。


そして私達のテスト。

現代文や漢字といった物が中心ではあるけれど、難易度的には難しくもなってるかな。

題材なんかも難解になってきてるし、漢字なんかも難語になってきてるから。

パソコンやスマホで文章を書いたりする機会の多い私達だと、漢字なんかは読めても書けないとかって事が多いから、しっかりとした学習がやはり必要だよねって思うよね。



カリカリ···カリカリ······。

文章をよく読みながら書いて見直しもして、黒板の上にある時計で時間も確認して。

そして毎回思う。時間が余ると······。

こういう時ってみんなは何をしてるんだろう?って、いつも思うんだ。

私って一番前だから、みんなが何をして過ごしてるのか分からないからさ。

テスト中だから、横を向いたりする訳にもいかないしね。

後で聞いた話だと、「寝てるー」って言ってたけど······寝てて怒られないのかな?って不思議に思う···。


そんな感じで時間を余らせて終わる私。

見直しも終わってるから特にやることもなく、かと言って寝るわけにもいかず······。

じゃあ、どうするのかというと、問題用紙をひっくり返して裏側に英語で文章を書くんだ。

一応、各教科の問題用紙は回収はしないで、後々の答え合わせな時にまた使うから各自手元に取っておくんだよね。

それを利用して、毎回裏側に書いてるわけです。


内容は特に決めてはなくて、その時の気分で。

まぁ···その時気分って言っも、全くの(ゼロ)という訳でもなくて。

勉強に使ってる新聞の記事を読んで思った事、感じた事を書いたりする事もあれば、私が覚えてる何かの日本語の文章を英文で書いたりとか。


そういうのをプリントの裏側に時間の許す限り、びっしりと書いてるんだ。

たまに確認がてら見て回ってる先生が驚いてるのを感じたりする時もあるけれどね。


挿絵(By みてみん)





  ーーーーーーーー




キーンコーンカーンコーン······


終始、そんな感じで過ごしていったテスト時間。

1時間、2時間と時間は過ぎ去ってまた1時間がチャイムが鳴って終わりを告げる。


「はい。終わりでーす。後ろの人から回して回収してね〜。」


井上先生の言葉通り、いつもと変わらぬ最後尾の人から前に解答用紙を渡して回収するという手法。

中学の時もそうだったなーと思いつつ、回ってきた解答用紙に私のも乗せて先生に渡します。


「はい、ありがとう。はい···はい、ありがとうね。皆、あと1時間だから頑張れ〜!」


そう皆を励ましながら去って行く、井上先生でした。

ちなみにこういうテストの時の来る先生は、通常の時間割の時の担当先生です。

なので先程の時間は井上先生の数学の時間だったというわけで。

そして先程の「あと1時間」。

これは午前があと1時間だよって意味で、お昼を挟んで午後もある。



「あー···終わった、終わった〜。」


「長いよね〜······でも、まだあるんだもんなぁ···。」


休み時間になった途端に、そんな声があちらこちらから聞こえてくる。

安堵の声が一番初めにして、続いて先程のテストの出来についてや次のテストの事についての事。

続いて次のテストに備えて軽く復習する子もいたりと様々。


そして私達女の子にも不思議なことがあって、それはお手洗い。

普段は何故か集団で行ったりしてるのに、このテスト時だけはそういうのがなくてほぼみんな個別で行ってるんだよね。

そんな不思議。



「みんなどうだった?出来た??」


「うん!このはちゃんのお陰で、かなりいい出来だったと思うよ。」


「私も〜!ありがとね、このはちゃん。」


「いえいえ。私は教えただけで、結果はみんなの頑張った成果なんだからね。」


先程は数学のテストだったので、みんなに教えてあげてる私としては気になってはいたので聞いてみたのだけど、どうやら大丈夫だったみたいです。

一応私もそれぞれが、どの辺りを出来て出来ないのかを把握はしてる。

だから今回の中間も多少の分からないやミスがあるにせよ、かなりいい線はいけると手応えは感じてるんだ。



「お手洗い行ってくるね。」


「「は〜い。」」


茜ちゃんがお手洗いに立った。

こういう所もさっき思ったけど、不思議こと。

集団で行くのもあるし、休み時間になると全員ではないにしろ、みんなが集まってくるけど今は殆どのみんなが各席に座ってるし。


「私も行こうかな······。」


「ほんと!? じゃ、ササッと行こ。」


立ち上がった私の()()を取る茜ちゃん。

別に茜ちゃんが行くから私もって訳ではないんだけどね。

それでも茜ちゃんは嬉しそうだし、私の右腕を取ってくる。

あの時に私が話したことを、きちんと守ってくれて。



あと数科目。

頑張りましょう!







  ーーーーーーーー



トイレに行ったこのはちゃんと茜ちゃんを見送る私達。


「茜ちゃんてさ、本当にこのはちゃんが好きだよねぇ······。」


「うん。分かる分かる。まぁ、茜の生い立ち的なのも関係してるんだろうけど·····あの幸せそうな顔を見たら良かったなって思うよね。」


「ホントだね。」


茜ちゃんが以前に教えてくれた、彼女の家庭の事。

それ故に色々とあって、このはちゃんに甘えて好きになった事。

両親が居て兄弟がいる私には想像の出来ない事だけど、それでもああして笑顔を振りまいてるのは見ていて微笑ましく感じる。

······でも、心配もある。


「余計なお世話かもしれないけど、茜ちゃんって男子を好きになれるかな?」


「うーーん······どうだろ? でも···高校生の間は作らないと思うな。」


「あ、やっぱり?私も何となくそう思う·····。」


薄々は感じてたこと。

これこそ余計な心配ではあるけれど、でもやはり気にしてしまう。

茜ちゃんには幸せになって欲しいと思ってるから。


「未来は分からないけど、勿体ないよねぇ〜。」


「うん、だよね。」


これを指してるのは何も私達だけではなく、このクラスの女子皆の概ねの意見なんだ。(このはちゃんは除く)


茜ちゃんって、とにかく可愛いんだよ。

最近は特に笑顔も増えたから、余計に可愛さに拍車が掛かってるし。

おまけに背が小さいのにも関わらず、結構胸が大きいんだよねー。

1年の時はどうだったか覚えてないけど、ここ最近の茜ちゃんのは確かに大きかった。

もしかして育った······?

小さい私としては羨ましい限りだけど······。



「男子からも人気があるみたいだけどさ、あの男子達は可哀想だよね。」


「だね。」


好きになって告っても、振られる未来しか見えないから。

少なくとも今はこのはちゃんLove♡だからね、あの子は······。

そしてその対象であるこのはちゃんも、誰とも付き合う気はないって断言してるし、ついでに言うと私も今んとこ誰かと付き合う気とかはないんだよねー。

志保ちゃんもそんな事を言ってたし、そう考えるとこのクラスの女子を好きになっても付き合える感じがしないなーと、思ってしまう。


「それはそうと、次のテストはヤだなー······。私苦手なんだよ···。」


「それは···ま、しょうがないよ。中々全部を出来るってのは少ないからね。」


「まぁねぇ~。それでもこのはちゃんのお陰で、数学だけは出来てるからさ、その時間を他の教科に費やせるのは凄く助かってるよ。」


「だね。それは凄く同感だよ。」


全部の教科が難しくなってきてる中、このはちゃんのお陰で数学だけは出来るようになったし成績も良い。

そのお陰で他教科に回せる時間が出来てるのは、凄く助かってるんだ。

お昼休みを勉強に費やしてるのはあるけれど、それはそれでご褒美もあるしね♪



「ま、なるようになるか······。」



そんな話をしながら、私達のテストは進んで行く――――。

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