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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の出来事④-1 20歳高1(挿絵有り)

ピンポ〜ン♪



「あ、来た来た。」


リビングで雪ちゃんを抱っこして時間まで寛いでいると、インターフォンが押された音がしました。

ピンポ~ン♪という、家の中に響くあの定番の音。

そして今までの朝にはなかった音に、きょとんとなる雪ちゃんです。


「まま、誰か来たの?」


「うん。ママのお友達だよ。ちょっと待っててね。」


「うん。」


雪ちゃんと一緒に玄関に行って、靴をはいて扉を開ける私。

そこにいたのは······。


「おはよー♪このはちゃん!」


「おはよ〜茜ちゃん。道迷わなかった?」


「うん!大丈夫だったよ。」


挿絵(By みてみん)


インターフォンを押したのは何と、茜ちゃんだったのです。

実は茜ちゃんには、家の住所を教えてあったんだ。

昨日、2人でショッピングモールに行くのに茜ちゃんの家の住所を教えてもらったから、私の家の住所も教えてあげだというわけ。

でもそれだけだと分からないかな?と思って、茜ちゃんを送り届けるついでに我が家にも寄って一度その目で確かめてもらって、そこから茜ちゃんの家に帰るという工程を経たんだよね。

そうすればある程度の道順とか家の外観が判明するから、迷いにくいかなと思ってさ。


あとこれには他にも理由があってさ。

家を知ればお互いに遊びに行ったりとか出来るじゃない?

そういうのをしたいからってのも、あるんだよね。

高校生活もまだ半分以上あるし、長期休暇もあるからそういう時に一緒に過ごして勉強や課題をしたりとか、または高校を卒業した後でも付き合いたいなとは思ってる。私は。


そういうのを想定してたんだけど、今朝のこれは実は違ったんだよね。

それは昨日の、茜ちゃんとショッピングモールに行った日の夜に起きた事が原因なんだ。






  ーーーーーーーー




カリカリカリ······。


時刻は午後22時になろうかという頃。

私はいつものように雪ちゃんを寝かしつけた後に、机に向かって勉強をしているんだ。

やってることは、ここ数ヶ月すっかり定番になってる英語なんだけどね。

いやこれもね、やれはやるほどに身についてきて分かるようになるんで、検定云々は置いといて覚えるのが楽しくなってきてる私なんだよね。

だからか最近は特に楽しくって、つい張り切って勉強しちゃうんだよ。


前々から気になる記事とかあっても読めないとかっていうのがあったりもしたけど、そういうのも今の勉強のお陰で読めるようになってきてるからね。

そうすると現地の直接の記事とか、何かのイベントの速報だとかそういった翻訳もされてない情報を知ることが出来る。

これが私の好きなジャンルの物だと日本だと取材を経てネットに上がるか、又は取り上げられない事もままあるからね。

そういった事を現地の記事で内容が知れるのは凄くいいの。



ピンコン♪


そんな時にスマホからLI◯Eの通知音がなったんだよね。

誰かな?とは正直思ったよ。

普段この時間帯に来ることはなくはないけれど、殆どはこないから······。

手を止めてスマホを操作してみれば、それは茜ちゃんからだった。



>>「今大丈夫?少し話してもいいかな?」


あら?なんだろう?

ぱっと思いつくのは、改めて今日のお礼をとかかな?って考えるのだけど······。


「うん。いいよ」<<


ポチッと送り返します。

程なくして茜ちゃんからかかってきて、とってみたらなんとビデオ通話だったんだよね。

この辺も料金プラン的に問題無いならいいよって、言ってはあるんだけどまさかビデオ通話だとは思わなかったよ。



「もしもし、このはちゃん?」


「そうだよ、こんばんは。お昼ぶりだね。」


画面の向こうの茜ちゃんに、手を軽く振って応えてあげる。

そんな私を見た茜ちゃんも、手を振ってニコニコ顔です。

うん。いいね。

ビデオ通話って何気に初めてな気がするけど、これはこれでよいかも。


「で、どうしたのかな?」


「うん···その······今日のお礼と、このはちゃんの顔を見たくなっただけだなんだ。今日は付き合ってくれてありがとうね。それと、選んでくれてありがとうございました。とっても嬉しかったし、楽しがったよ。」


ペコリと、画面の向こうの茜ちゃんが頭を下げる。

もう何回もお礼を言われたから別にいいのにって思うけど、律儀だよね。


「どういたしまして。私も楽しかったから良かったよ♪よければまた今度遊ぼうね。」


「うん。ありがと。」


本当に私は楽しかった。

家族以外の人とこうして遊んだのって、1年生の時にクラスのみんなとカラオケやショッピングモールに行ったくらいだったしね。

その時も楽しかったけど、今日の茜ちゃんと出かけたのはそれよりも楽しかった。

なんだろ?

こういうのを馬が合うとかって言うのかな?

茜ちゃんとだと気をつかわなくてもいいというのか·····ああ、別に茜ちゃんを蔑ろにしてる訳じゃないよ?

寧ろ自然体でいられるから、私も楽でいいんだよね。



「ねえ?このはちゃん。」


「ん?」


先程までと違って、今度は改まった感じの茜ちゃん。


「良かったら······良かったらでいいんだけど、明日から一緒に登校してもいいかな?」


「ん〜······それは構わないけど、茜ちゃんが遠くならない?」


「大丈夫だよ。このはちゃんの家経由でもそんなには変わらないから。」


「そっか。なら私はいいよ。じゃあ······。」


何かな?と思ったら、一緒の登校のお誘いというかお願いというか、まぁそんなのだった。

私としては茜ちゃんの負担が増えなければ、特に構わないのだけどね。

だって私は家で待つだけで、負担が増えるとかそういうのはないからさ。


そういう事で一緒に登校する事になったんだけど、いくつか決まり事を決めたんだよね。

先ずは時間。

私が普段家を出る時間よりも、10分早めに来てもらう事にしたんだ。

これは茜ちゃんの自転車のスピードが分からないのと、話をしながら行くと思うから、それでスピードも自然とゆっくりになると思ってね。


あとこれはまだ伝えてはないけれど、これによって茜ちゃんの負担が増えるようなら止めるつもりでいる。

学校と茜ちゃんの家のルート上に私の家があればまだ良かったんだけど、実際は少し横にズレるというかやや遠回りするような構図になるからさ。


あともう1つ。

これは天気で、雨の日は止めようって事にした。

さすがに雨の日は話しながら通学するとかそういう余裕はないし、そんな日にわざわざ茜ちゃんを遠回りさせたくないから。

そういう日は早めに私から連絡いれるねって事で、納得させました。

後は細かい事をいくつか入れて、暫定的ではあるけど無事終わりです。

あとはその都度変えるとかすればいいからね。






  ーーーーーーーー




そういうやり取りをがあって今現在、我が家に茜ちゃんが来てるのです。

そして今朝だけ予定の10分より早めに来てもらった。

これにも理由はあって、茜ちゃんに雪ちゃんを紹介したかったんだよね。

恐らく茜ちゃんは雪ちゃんを写真でしか見てないと思うし、今後は雪ちゃんとセットで行動することもあると思うから。



「茜ちゃん、この子が私の娘の雪ちゃんです。よろしくね。」


「おはよう。それと初めまして、雪ちゃん。お姉さんはこのはちゃん······え〜と、雪ちゃんのママのお友達のあかねっていいます。よろしくね?」


茜ちゃんが雪ちゃんの前でしゃがんで、目線を合わせて挨拶をしてる。

うまいな〜って思っちゃった。

意外とこれって出来る人少ないんだよね。


「あかね···おねーちゃん?」


「うん。あ・か・ねお姉ちゃんだよ。上手上手♪」


私の足に捕まって隠れてる雪ちゃんに、頭を撫でていい子いい子してる茜ちゃん。

そんな茜ちゃんに対して、雪ちゃんも大丈夫そうな感じだね。

別に雪ちゃんも人見知りは······なくはないか。

私に似て容姿が特殊なせいか、人の視線や感情みたいなのに敏感な部分があるからね。

それが特に初見の人だと躊躇で、そこで躓くと警戒してしまい中々その先に発展しにくいんだよね。

逆に一度懐くといつもの元気な姿を見せてくれるんだけど······。



「じゃあ雪ちゃん。ママ学校行ってくるから、雪ちゃんも幼稚園行ってきてね。帰りはお迎えにいくからね?」


「うん!ババといってくるねー。」


「おかーさーん、行ってきまーす。」


「気を付けてね〜。」


雪ちゃんを家の中に戻して、中にいるお母さんに聞こえるように挨拶を伝えてから出発です。

直ぐ側には茜ちゃんが自転車を漕いでいて、これはこれでまた新鮮な光景だねと感じてしまう。





「それにしても茜ちゃん。子供の相手の仕方上手だったね?」


「そうかな?」


「うん。すごく良かったと思うよ。しゃがんで目線を合わせて話すって中々出来ないもん。やっぱりお姉さんの子供の影響かな?」


自転車を漕ぎながら、先程思った事を聞いてみました。

ああゆう風に出来るって事はそういう事をした事がある訳で、以前に茜ちゃんはお姉さんに子供がいるって言ってたからね。

だから多分そこで身につけたんじゃないかな?とは、思ったんだ。


「うーん······意識してやってる訳じゃないけど、でも子供相手ってなるとお姉ちゃんの子しかいないから、必然とそうなるのかな?」


「なるほどね〜。でも、雪ちゃんがあの感じなら茜ちゃんとも仲良くいけそうだから、私としてはホッとしたかな?」


「ほんと?それだったら、それはそれで嬉しいな。雪ちゃん生で初めて見たけど、本当にこのはちゃんそっくりで可愛いね♪」


「まぁね······。混じりっ気のない純粋な私の子だからねぇ·····。」



未だに調べてはいるけれど、何故そういう事が起きたのかは分からずじまいらしいけどね。

他に例がある訳でもないから、行き止まり感はあるらしいけど·····。

ちなみに私の身体の中に、実は精巣がありました!なんてオチはないよ。

色んな可能性を考えて、私の身体自体もMRIとかCT、DNAや染色体とか色々と検査をしたけどね。

結果はごく普通の女性の身体ですねって結論にはなったけど······。



「でもあれだね······雪ちゃんが茜ちゃんに懐いてくれれば、雪ちゃん連れて茜ちゃんのお家に行っても大丈夫そうだねって、その先の交差点、左に行くよ。」


「はーいって、私ん家に雪ちゃん連れてくるの?」


「それはまぁ···そうなるかな?あと5〜6年すれば1人で留守番とか友達の家に遊びに行くとかもあるかもしれないけど、今はまだ無理じゃん?だから今は必然と一緒にいる事になるからね。」


「そっか···そうだよね·····そうなるよね。」


納得してくれた茜ちゃん。

そういった理由で少なくとも私達が高校生でいる内は、茜ちゃんの家にあそびにいくなら雪ちゃんとセットにはなる。

ただ例外があって、今年のどこかでお泊り保育があるんだよね。

その時は一晩だけど私がフリーになるから、茜ちゃんの家に泊まりに行こうかな?って考えてるけど、それはまだ茜ちゃんは知らない。



「あ!でも、大丈夫だよ!このはちゃん。」


「ん?」


「うちさ、お姉ちゃんが子供と来てもいいように玩具とか絵本とかDVDとか、それなりにあるから雪ちゃんでも楽しめると思うよ!」


「あ、ほんと!? それなら助かるな〜♪」



そんな感じで盛り上がりつつ、周りにも気をつけながら学校へ向かう、私と茜ちゃん。

今までは一人でもくもくと漕いでたけど、これはこれでいいものだねと実感します。

これを暫くしてみて茜ちゃんの負担にならなければ、私としても嬉しいなと改めて思ったよ。





  ーーーーーーーー




「もう、着いちゃった······。」


「そうだね。私の普段よりは遅いスピードだった筈なのに、体感としては凄く早く感じたよ······。」


学校の正門が眼の前に迫って来て、そんな感想をもらす私達。

それもそのはずで、時間的には普段の私1人の時より掛かってるのに、体感的には早く感じたんだよね。

これはやっぱりあれだね。

楽しい時は早く感じるっていう、まさにそれだよね。


ここからは乗っては行けないので、自転車を転がして歩いて行きます。

その代わりというか、駐輪場は近場なので楽ではあるけどね。


挿絵(By みてみん)



「茜ちゃん。正直に答えてほしいのだけど、疲れてないかな?」


「ん?疲れ?いや、大丈夫だよ?」


「ほんとに?」


「うん、本当。寧ろ朝から嬉しかったから調子はいいくらいだよ。」


「そっか。ならいいんだ······。」


1回目の登校が終わって聞いてはみたけど、取りあえずは大丈夫そう。

まぁでも、まだ1回目だし今後の事も考えると、まだわからないけどね。



「そんな事を聞くなんて、どうかしたの?」


自転車を駐輪場に停めながら茜ちゃんが聞いてくる。


「いやさ······茜ちゃんが家に来るって事は、少し遠回りする事になるじゃない?だから、茜ちゃんが疲れないか心配なんだよ。」


「このはちゃん······。」


ギュッ!


「相変わらず優しいね、このはちゃんは。でも大丈夫だよ?こう見えて私は運動が好きだからね!」


「ふふ······。そうだね。掛け足、早かったもんね。」


ついこの間の体育祭を思い出しました。

茜ちゃんは徒競走もクラス対抗リレーも早かったんだよね。

特にリレーなんて、一緒に走る他クラスの男の子を抜いてたもんね。

その男の子が油断してたのか、そこまで早くない子だったのかは分からないけど、実況の人が大興奮するくらいの盛り上がりを見せたよ、あのシーンは。



「それに······。」


「それに?」


茜ちゃんが私の右手をいつもの手繋ぎではなく、腕組みをして私を見上げながら話かけてくる。


「もう、このはちゃんに隠し事とかはしないって決めたから。調子が悪いだとか、疲れたとか、そういうのはきちんと報告するし言うから心配しないで。」


「······うん。分かったよ。」



私を見上げながらそう話す茜ちゃんの表情、その瞳は、何かを決心したそんな思いを感じさせてくれる力強さを持ってた。



······変わったね、茜ちゃん。

何がどう彼女をそう変化させたのかは分からないけど、それでも少しずつ変わっている。

まだまだ私に甘えてて、可愛い女の子ではあるけれどね。



それでも今は彼女を信じて、まだこれからも変わらぬ毎日を、日常を過ごしていこう。

そう私は思った。

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