ある日の休日⑧-5 20歳高2(挿絵有り)
ボフッ······
お風呂からあがって来た私は、フラフラする足取りで2階の自室へと戻りそのままベッドへとダイブした。
フラフラと言っても別に体調が悪いとかそういうのではないよ?
気分というか思考というか、そういうのがボ〜っとしてるというのかな?
そんな感じでいるから足取りもフラフラ〜って感じで、こんな姿をお父さんに見られたら真っ先に体調不良を疑われちゃうね。
でも······仕方がないよ。
それもこれも全部このはちゃんが···このはちゃんがいけないんだよ······。
優しいから······私を嬉しく幸せな気分にさせてくれるから······。
私はベッドに横になりながらスマホの画面を付ける。
そこには私とこのはちゃんが並んで、お互いの手を合わせて♡マークを作ってる写真がある。
「このはちゃん······」
ボソッと呟くその名前。
そしてそれは、誰にも聞かれることもなく静かに消えていくのだった――――。
ーーーーーーーー
私は今朝から気分がルンルン♪だった。
というのも、今日は朝からこのはちゃんとお出かけをするから。
体育祭のちょっと前の時に、このはちゃんに体育祭の後の振替休日の時に一緒にお出かけに行けないかな?と、お願いをしてみたんだよね。
その結果このはちゃんも「いいよ」って了解してくれて、その後のやり取りで私のブラを選んであげるって言ってくれたんだよね。
多分コレ、いつかの体育の授業の時のやり取りの事なんだと思うけど、覚えていてくれて嬉しかった。
私も胸が大きくなったみたいでブラがキツくなって、買いたいなとは思ってたけど選ぶのが恥ずかしくって中々行けなかったんだよね。
おまけにシンプルな物しかもってないしさ。
それをこのはちゃんが選んでくれるなんて······。
一体どんなのを選んでくれるのだろう?と、今からもの凄く楽しみなんだよね。
それと、ふと思い出してしまった。
この事を覚えていてくれてるということは、恐らくアレも覚えているよね?
あの時、体調のタイミング的なものと、このはちゃんに当てられたのもあって私はちょっとおかしくなってた。
今思い出してもすっっごく恥ずかしくて、こんな感情をこのはちゃんに抱くなんて······と自己嫌悪したんだ。
でもそんな私を知っても軽蔑することなく、変わらぬ優しいこのはちゃんでいてくれたよね。
お父さんに「服が小さくなったから買いたいな。」って話をしたら、カードを渡してくれた。
念の為にと現金も渡してくれて。ありがとう、お父さん。
このはちゃんに自宅の住所を教えたけどどうするのかな?と思ってたら、なんと車で迎えに来てくれたんだよね。
これにはビックリしたよ!
でも冷静によ〜く考えれば、車の免許を持ってても何もおかしくない事に気が付いた。
だってこのはちゃん、免許を持てる年齢だしね。
車の中で色々と話をしてたんたけど、その中でこのはちゃんのお家の住所も教えてもらったんだ。
そしら以外と私の家から近場だった。
それでも恐らく自転車で10分はかかるけど、まあ近いよね?
「車だったら直ぐだよ。今度から遊びにも行けるね?」
なーんて嬉しいことも言ってくれてさ。
もう、出だしから嬉しい事ばかりだよ♪
ショッピングモールに到着して歩いてたら映画館を見つけて、一緒に見ることになったんだ。
私が気になってた『名探偵』さんの映画、このはちゃんも好きらしく毎回レンタルして見てるんだって。
私もこのシリーズ好きで毎回見てる。通常のアニメの方も。
モール内を見る時間が減っちゃうよ?と気にしてくれたけど、そんなの全然へっちゃらだよ。
だって一緒に映画を見るのもしたいから!
手を握ってモールの中を歩いて。
学校内じゃ進んで手を握るくせに校外だからって尻込みした私に気が付いて、気を使ってくれたこのはちゃん。
何でこんな私の事を分かるんだろう??
メインのランジェリーショップ。
これも色々とあったよ······。
いきなり「サイズいくつ?」とか「いいお母さんになれるね。」とか。
いきなり過ぎて変な声が出ちゃった。
······サイズは分からないと探しようがないけどさ、「いいお母さんになれるよ。」は、何なんだろうと思った。
私の何処をどう見たらそう思うのかは謎だけど······。
だけどまぁ······、将来的には子供は欲しいなとは思ってる。
お姉ちゃんを見てたり、このはちゃんの話を聞いてると幸せそうなんだもん。
ただやっぱり綺麗事だけじゃなくて、苦労や大変な思いをしてるのも知ってる。私のお姉ちゃんがそうだったから。
それでもそれ以上の幸せとか楽しいとかそういうのを体験してるから、私もそうなりたいなとは思うんだよね。
サイズは凄く恥ずかしかったけど、店員さんに測ってもらった。
同性だけど直に見られるのはやっぱり恥ずかしくて、出来たらこのはちゃんに測ってもらいたかったな。
このはちゃんになら見られたって大丈夫なのに······。それこそ裸だって······。
でももし次にサイズが変わるような事があれば、測れるように練習しとくって言ってくれたんだ。
そんなこのはちゃんの優しさに、私はいくらでも練習に付き合うと決めたよ。
沢山試着した。
このはちゃんが見つけてくれた私に合うサイズのブラで、取り敢えずメーカーとか種類っていうのかな?
そういうのが違うのを一通り。
この中から着心地の良い物を見つけて、その種類の物からカラーを選ぼうだって。
私は今までそういうことをしないで選んじゃってたから、凄く参考になった。
最終的に明るくて淡い色の白やピンク、ブルーやグリーンなどを中心に可愛い系を選んでくれた。
あと、黒系も1つ。
多分これも私が話してた事だ。きっと······。
以前に「このはちゃんみたいな大人っぽいのも着けてみたい。」的な発言をしたのを、きっと覚えていてくれたんだ。
で、これ。
このはちゃんが凄く喜んで似合ってると言ってくれた。
嬉しかったけど、私はこれは試着する前からドキドキしてたんだよね。
私なんかにこんな大人っぽいのが、似合うんだろうか?って。
結果オーライだったみたいだけど、どうしよう?
特別な日用にしようかな?とは思ったけど、特別な日ってなんだろ?と疑問にも感じた。
ま、それくらい私はこのブラを気に入ったの。
最終的にそれなりの枚数をセットで買った。
「ナイトブラもある方がいいよ」って言ってくれたので、それも数点選んでもらって。
私が持ってる袋の中身は沢山の下着。
いまだかつてこんなに下着を買った事はなかった。
今までは駄目になり次第、補充で買ってたから。
この沢山の下着、明日は無理だけど明後日からなら着けていけるかな?
どれから身に付けようか、今からワクワクと楽しみが止まらないです。
その後も色んなショップを見て回って。
楽しくってお昼を食べる時間が少なくなっちゃって、入った喫茶店風のお店でサンドウィッチをシェアして食べたよ。
私もこのはちゃんがチョイスしたサンドウィッチにしたんだけど、そうしたらこのはちゃんが時間的な物も考慮してシェアしない?と言ってくれたんだ。
結果はこれで正解だった。
来たサンドウィッチは量が多くてとてもじゃないけど1人じゃ食べきれない、そんな感じの量だったから。
で、ここでもこのはちゃんがいきなり「あーん」だなんて言ってきた。
いきなりの事で驚いて、顔を赤くした私。
それでも食べたサンドウィッチは、私の人生で1番美味しいサンドウィッチだった。
その次は私がこのはちゃんに「あーん」をして、終始そんな感じでお互いに「あーん」をして食べてた。
もう···今日のこのはちゃんは、色々といきなり過ぎて困惑する。
普段見てるこのはちゃんとは余りにも違いすぎてさ······。
でも私を気遣ってくれる優しさはいつものこのはちゃんと同じで、いや、寧ろそれ以上に優しくしてくれて私は終始幸せだった。
そしてこのはちゃんも笑ってくれたり微笑んでくれたりして、楽しそうだった。
映画館では、お昼を食べた直後なのでドリンクを1つだけ買って席に着いた。
ここでも映画が終わるまで約1時間半くらいかな?ずっと手を握って······。
映画も面白くて楽しくて、手を繋ぎっぱなしで幸せで。
なんだろうね?この幸せ空間は??と、思ったよ。
そして、途中で気付いてしまった事。それはドリンク。
1つしか買わなかったって事はこれもシェアする訳で、そうするとこのはちゃんと間接キスだと!
映画もドキドキ。こっちもドキドキ······。
半分終わったかな?くらいの辺りでこのはちゃんがドリンクを手にとって飲んだ。あとは私が飲めば成立するよね?
でも直ぐに飲むとあからさまかな?とも思って、少し間を置いてから飲んだけど。
·········。
味は良く分からなかった······。
ただ間接キスしちゃったー♡って、その甘味だけで口の中も心も一杯で······。
映画の終わった後はまだ少し時間があったので、最後にゲームセンターに行ったんだ。
UFOキャッチャーで何かあるかな?と眺めたり、このはちゃんとプリクラを撮ったりして。
顔をくっつけたり抱きしめたりと、色んなのポーズで撮った。
落書きに時間を使ってる余裕はあまりなかったけど、それはあまり気にならない。
寧ろ2人だけで撮れたという事がとても大事で、スマホにも転送して今の待ち受けに設定した。
これでいつでもこのはちゃんが見れるし、一緒という嬉しさもある。
帰り道。
行きと同じ様にこのはちゃんの運転。まぁ、当たり前だけどね。
私も来年は免許をとって、このはちゃんを隣に乗せて走ってみたいな?なんて思ってたりもしてる。
でもまだまだ先だなぁ······。
免許自体は来年取得しても、運転となると在校中は難しいかなと思うし。
家の駐車スペースでお別れ。
このはちゃんが言ってくれた。
「茜ちゃんのお家が分かって、今度からは遊びにも行けるようになったから遊ぼうね?」
だって。
凄く嬉しかったから「うん!」って即答したよ。
他にもまだあったけど、その中で、
「今年のどこかで雪ちゃんが、幼稚園でお泊り保育をするんだよね。だからその時に茜ちゃんがもしよかったら、茜ちゃんの家にお泊りで遊ぼっか?」
なんて、凄く魅力的な提案をしてくれた。
これも勿論即答して決めたよ。
時期は分からないらしいけど、毎年年長組さんがそういうのを幼稚園でやってるらしという情報はあるみたいで。
でもそれでも私は嬉しい。
女の子が来るなら、お父さんも反対はしないだろうから。
そもそも連れてくるような男の子自体が、いる訳でもないけどさ。
ーーーーーーーー
ベッドに横たわりながら、スマホ画面のこのはちゃんを眺めてる。
先程までは浴衣姿のこのはちゃんを、待受け画面に設定してた。
これはこれでとても素晴らしい出来でいい写真なんだけど、今は昼間のプリクラの写真なんだ。
2人で並んで♡マークを作って微笑んでるのを、スマホに転送したんだよね。
浴衣姿も非常に良かったけどこれはみんなも持ってるし、私はこのツーショットの方が宝物。
それにプリントされたプリクラ写真はこのはちゃんと分けて持って来たから、これは後日可愛い写真立てか何かにキチンと入れて飾っとくつもり。
これも私の宝物だから······。
時間は9時半少し前。
あと少ししたら電話しようかな。
このはちゃんが「この時間以降なら電話してもいいよ」って、言ってくれてさ。
ただ普段は勉強してるから通話はあまり出来ないけど、ビデオ通話で姿を写してるだけでもいいならって条件で。
そこは大丈夫。
音声通話もデーター量もWi-Fiとかそういうので問題ないからね。
会話はなくてもこのはちゃんが写ってるだけでも、私は嬉しいからさ。
それにこのはちゃんが勉強をしてるように、私もするから問題はない。
数学はこのはちゃんのお陰で問題なく出来てるから、私も英語に集中しようかなと思ってる。
それは2年生から英検を学校でやるらしくて、その合格を目指してるから。
一応卒業までにこの級の合格をめざそう!という目標があるみたいだからね。
スマホの中のこのはちゃん。
笑顔で私と♡を作って微笑んでる。
今日1日ありがとう。
とても楽しくて嬉しい事いっぱいで幸せな時間だったよ。
また今度時間が作れたら、一緒にどこかに行きたいな。
何も遠くへ行かなくても、お互いのお家とかで私は全然構わないから······。
「大好きだよ。このはちゃん♡」
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まだまだ続きますので、引き続きご愛読のほどよろしくお願い致します。




