ある日の休日⑧-3 20歳高2(挿絵有り)
今日のメイン目的である2つの内の1つ。
茜ちゃんのランジェリー選び。
地味で子供っぽいのしか持ってないと言う茜ちゃんに対して、「私が選んであげる」と以前に言ったのが始まりで。
その約束を果そうと思って来たのが1つ。
もう1つが先日、茜ちゃんから体育祭の振替休日の日に一緒にお出かけしたいなと誘われたこと。
こちらは秒で了承したんだよね。
これは雪ちゃんが日中は幼稚園でいない事と、私も勉強以外は特に予定がなかったからね。
それに出掛けたとしても、お迎えの時間までに帰れば問題ないから。
なので、決まった後はLI◯Eでやり取りをして大まかに決めた。
主に茜ちゃんを迎えに行くから住所を教えて貰ったのと、出掛けるついでにランジェリーを選んであげるというのを。
それを聞いて茜ちゃんは大変喜んでたのが印象的だった。
「じゃ、あのお店見てみようか?良いのがあれば買ってもいいしね。」
「そうだね。いいのあるといいなー······。」
「デザインとかカラーも豊富だからきっとあるよ。寧ろあり過ぎて悩む方なんじゃない?」
「えぇ〜!? そんな事ないでしょ〜??」
そんな冗談めいたやりとりなんかもしながら、仲良くショップ内に入っていく私達。
本当は何店舗か見て選んでも良かったんだけど、ここのモールはほぼ全店テナントみたいなんだよね。
それにモール店舗の一覧を案内で確認したら、ランジェリー系のショップは2店舗くらいしかなかったんだよね。
だからここで良いのがあれば、買っちゃおとなったんだ。
在庫の違いはあってもメーカーや種類が同じなら物なら、どこで買っても代わりはないはずだからさ。
しいて言えば、割引サービスがどうかな?って所くらいかな。
それに急遽、映画でそれなりの時間を使うことにもなったからさ、先に目的の物を買ってからブラブラしようってなったの。
「うわわわ·····。いっぱいあるねー。しかもカラフルだ······。」
「でしょ?私もこの手のショップは入った事ないからさ、実は興味津々だよ。」
「え!? そうなの?? このはちゃんなら、てっきり入ってるのかと思ってたけど??」
「それがそうでもないんだよ?中学くらいまでは、しま◯らとかで買ってたし、その後は別の店舗のセールの時に買うようにしてたからね。だからこういうテナント系のお店って入った事ないんだよ。」
茜ちゃんが驚いてるけど、実はそうなんだよねー。
中学1年くらいまでは、同年代の子たちの中でも大きい方ではあったけど、それでもまだ普通にどこでも買えたんだよね。
それが妊娠・出産を経てまた大きくなったもんだから、取り扱いメーカーなんかも限られるようになったんだよね。
どこでも取り扱いのあるメーカーではあるけど、サイズが置いてある店舗は限られるし値段も変わらない。
要は売れ筋のサイズとは違うから、在庫として置いてある店舗が少ないんだよね。
なら、セールをやる店舗でセールの時に買おうとなったんだ。
ブラ単品でもかなりの値段がするからね······。
その分作りがしっかりしてるから、長持ちはするけど······。
「で、茜ちゃん。サイズいくつ?」
「うぇぇ?!」
「·········なんて声出してるのよ?」
「だってだって、急に聞くんだもん······。」
頬を膨らませて、ブーブー言う茜ちゃん。
全く······そんな顔しても凄みなんて全然ないよ?
寧ろ無理してそんな感じを出そうとしてる子供みたいに見えて、かえって微笑ましく見えてしまうけどね。
ポンポン。
頭をポンポンして撫でてあげて落ち着かせてあげる。
私といると······いや、私には喜怒哀楽色んな表情を見せてくれるから、本当に可愛いし一緒にいて楽しい。
「茜ちゃん。私の前以外でさっきみたいな声を出しちゃダメよ?可愛いのが残念な子みたくなっちゃうから。」
「う···うん。気をつけるよ。······って、このはちゃんがいきなりサイズなんて聞くからじゃない!?もー····。」
「ごめんって。でも、聞かないと始まらないでしょ?それにさ、私なら知られても大丈夫でしょ?」
今まで茜ちゃんがしてくれた話とか行動、そういうのを鑑みると私の事を信頼とか慕ってくれてるのは分かるから。
だから、教えてくれると思ってる。
「うん。このはちゃんならね。でも実は今のブラ、ちょっとキツイんだよ。」
「あら?そうなの??」
「覚えてる?1年生の時にこのはちゃんが教えてくれた事あったじゃん?あれを私も実践してて、ご飯のバランスとか睡眠時間とかきちんと摂るようにしたの。そのおかげなのか、今のがちょっとね·····。」
「あー······確かにそういうの話した覚えあるね。そっか、茜ちゃん実践してくれてたんだ。」
確かにあったね。
1年くらい前に、スタイルの秘訣とかそんなのをみんなに聞かれて話した事が。
で、胸がどうとかって話した途端に、みんなが凄い食い付いたんだよね。
いや〜······懐かしいなぁ。
それをまさか、茜ちゃんが実践してくれてたのは驚きだけど。
「私って背も低くて同年代の皆より成長が遅かったんだよ。で、アレも始まるのが遅かったから······。だからこのはちゃんの話を聞いてて、まだチャンスありそうかなーって思ったんだよね。」
「なるほど······。それなら結果が出て良かったね♪」
「うん!」
これまた嬉しそうな茜ちゃん。
でもこういうのは個人差があるから、実際の所はよく分からないんだよね。
一般的に胸は初潮の開始1年くらい前から膨らんできて、その後4年前後くらいが成長のピークとかっていうデーターもあるらしいけど······。
だから一般的には高校に入る頃には成長のピークを過ぎてるらしいけど、茜ちゃんはそれが遅かったからいけたのかな?
実際は分からないけどね······。
「じゃあ、正しいサイズを測って貰ってからだね。ちょっと店員さんを呼んでくるわ。」
「え?店員さん??」
「そうだよ?店員さんに正しいサイズを測って貰わないと選べないから。知らなかった?」
「うん······。その···このはちゃんは測れない??」
「······ごめん。図り方は知ってるけど、やった事はないから正確に出せるかは分からないんだ。ごめんね。」
残念がってるけど、こればかりは······ね。
自分のだったら間違えても仕方ないかで片付くけど、他人のともなれば間違えてましたじゃ済まないからね。
「ちょっと恥ずかしいだろうけど、すぐ終わるし女の人だから大丈夫だからね。私もすぐ外で待ってるからさ。」
そう伝えて、店員さんを呼び茜ちゃんのサイズを測って貰ったよ。
その間にも色々あって、まずは店員さんが測るのを私だと勘違いしてたりとか。
恥ずかしがってる茜ちゃんが変な声を出したり、真っ赤な顔で個室から出てきたりとか。
「あ〜恥ずかしかった······。もし、今度またサイズが変わるようになったら、このはちゃん測ってくれない??」
「私が? それは別に構わないけど練習とかもしないとだよ?さっきも言ったけど知識はあっても、実践はないんだから。」
「じゃあ、私で練習すればいいよ?正しいサイズも判明したから、間違えたらやり直せばいいしね。それにこのはちゃんなら、見られてもいいから······。」
赤い顔をしてそんな事を言うんだからなぁ······。
よっぽど恥ずかしかったのかな?
気持ちは分かるけど······、将来産婦人科に行くことになればもっと恥ずかしい思いもする事になるのだけど、それは言わないでおく。
まだまだ先の、未来の話だからね。
にしても、こういう恥ずかし事を言ったり、そんなんでもない事で照れたりとか茜ちゃんらしいなと思う。
で、やはりそこまで慕ってくれてるからには、希望には応えてあげられるようになろうかなと思う。
葵で練習する訳にはいかないから、難しいけど自分のを測ったりして。
あとはまぁ、茜ちゃんか······。
「分かったよ。次は私が測れるように練習しとくね。それでいかな?」
「うん。お願いします。」
丁寧に頭を下げられてお願いされてしまった······。
でも、可愛い茜ちゃんの為だ。頑張りましょう!
ーーーーーーーー
「こういう色なんてどうかな? あ! でも、こっちもいいかもね?」
「えぇ〜!? 派手すぎない??」
「そんな事ないよ? 私のとか、みんなのを見てるでしょ?こんなの普通だよ?」
茜ちゃんの正確なサイズも無事判明して、ようやく始まったらブラ探し。
店内を見て周り、目に止まった物の中からサイズがあるをチェックしてるんだけどね。
······意外と茜ちゃんは大きかった。
本人曰く成長期なのもあるんだろうけど、茜ちゃん自身が運動部系をやってるから身体が引き締まってるんだよね。
だからトップとアンダーの差があって、より大きく見える。
それに比べて身長が小さいから、そのギャップもありで······。
これは絶対にモテるやつだ。そう思った。
「じゃ、今度はこれとコレを試着してみよっか?茜ちゃんは色の濃い目のより、淡い系の明るい色の物の方が可愛くていいと思うんだよね。」
「うん·····。」
「あ······。もしかして、もっと大人っぽいのとか着けてみたい?」
「うん······。その······興味があるんだ。このはちゃんが着けてる様な色っぽい物とか······。憧れがあるの······。」
「なるほどね〜······。」
そういうお年頃なのかな?と思いつつも。
色。デザイン。
何を見てそう思うのかは人それぞれの感性の違いだとは思うけど、難しいよね。
色なんて濃いから色っぽいとは思わないけど、そこは人それぞれだし。
ショーツなんかは極端で、T系にすればセクシーだとは思うけど、そんなのを茜ちゃんに選ぶわけにはいかない。
とりあえず色に関しては淡い系が可愛いなと思ってチョイスしてたけど、濃い色のも選んでみようかな?
形状は······あるものの中から選ぶしかないか。
私の場合はほぼフルカップしか選択肢がないけど、茜ちゃんなら3/4もいける。
うん。
選択肢が色々とあるのはいいよね。
「そういえばさ?私がほぼ選んじゃってるけど、いいの?」
先程から気になってた事。
私が見てこれいいかな?って思ったのを試着して貰ってるけど、茜ちゃんは自分からは選んでないんだよね。
意見は色々とくれるけどさ。
「うん、いいの。今日はこのはちゃんに選んで欲しいんだ。それにね、色々と勉強にもなってるから、次からは自分で選べるよ。きっと。」
「そっか。なら期待に応えないとだね!じゃ、さっきのはなしで、コレいってみよ?」
そう思われてはしっかりと似合うのを選ばなくては!と、気合を入れます。
約束の事もあるからね!
「このはちゃ〜ん。いいよー。」
「はーい。じゃ、失礼するね。」
試着室の前で待ってた私に、中から合図が出たので失礼してカーテンの端から頭だけ中に突っ込みました。
傍から見ると変な光景だけど仕方ないよね。
ここの試着室は1人用で狭いから、こういう形でしか確認が出来ないからさ。
「おぉ! これもいい感じだね!似合ってるよ♪」
「ほんと!?ありがとー♪嬉しいな♡ でも、このはちゃん? 第一声が全部同じだよ?」
「うぐ······。分かってる······。でも仕方がないじゃない?そういう反応になっちゃうんだもん······。」
茜ちゃんに指摘されたのは、「おぉ!」という声。
先程から形状とかデザインの違うのを、試着して確認する度に私がそんな声を出してるんだよね。
分かってはいたんだけど、つい出ちゃうんだから仕方がないよ。
だってさ、似合ってるのもあるんだけど1番の理由は新鮮で斬新なんだよ。
茜ちゃんって普段は白色でシンプルな物かスポブラ的な物を着用してたから、こういった刺繍が凝っててカラフルな物を着用した姿が新鮮過ぎてついね······。
制服姿や仕事着姿、それしか見たことのない知り合いとかの普段着姿を見たら驚いたとか、逆に気付かなかったとかあるじゃん?
ああいった時の気持ちなんだよね。
「濃い色はどうかな?って思ってたけど······うん!悪くないね!寧ろこれもありよ!!」
「このはちゃんが喜んでくれてる······。じゃぁ、1つはこれにしようかな?」
「うん、いいんじゃない?淡い系とは違って大人っぽさも出てるしね。紐は調整出来るからいいとして、フィット感とか着け心地とかそういうのはどう?問題ない?」
これも何回も確認してるやり取り。
メーカーとか形状が違えば、着け心地感なんかもまた違うからね。
そこら辺を確認してから、良かった物を選んで行くつもりなんだ。
「うん、大丈夫!」
身体を捻ったり腕や肩を動かしたりして、ズレや着け心地を確認していく茜ちゃん。
うん。
これなら大丈夫そうだね。今回のは勿論だけど今後何回も買うことになるから、その時の事も含めて選び方を教えていく。
常に私が一緒とは行かないから、こういった買い方に慣れてくれれば茜ちゃん1人でもきちんと自分にあった物を選んで買えるからね。
「じゃ、次のもお願いね?あ、次ので最後だっけ?」
「えーと······そうだね。最後だよ。」
「うん。了解。また付け終わったら声掛けてね。」
そう伝えて、外に戻る私。
何着か試着してみて良い感じというのもいくつかあったから、その中から色を厳選して買う予定なんだけど······。
大人っぽいのを着けてみたいという茜ちゃんの気持ちを組んで、最後の試着に濃い目の物をチョイスして見たけど、似合ってたなぁ〜。
今のは黒系のだったけど良かったよ。
淡いピンクとかブルー、白色とか、そういうのは勿論似合ってて可愛いって感じではあったけど、黒は黒でまた違った趣きがあってこれはこれで良かったと思う私。
身体は小さくても、やっぱりもう大人の仲間入りだよね。
そんな風に感じちゃった。
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「試着して良かった物の中からカラーを厳選して買うんだけどさ、最低でも4着くらいは欲しいかなとは思うんだよね?で、予算ってどうなの?」
試着も無事終わり、選ぶ段階になって重要な予算について尋ねてみたんだよね。
今着けてるのがキツイとかって言ってたから、そうなると今持ってる物の大半がそういう可能性がある訳で。
それだと新しいのを数着は最低でも欲しいかな?とは思う。
「そこは大丈夫だよ。お父さんからクレジットカードを預かってきてて、必要なだけ買っておいでって言われてるんだ。一応現金もそれなりに預かってるからさ。」
「それは······いいお父さんだね。」
「うん。まぁそれに、私が無駄遣いしないのを知ってるから、信用してくれてるんだと思うな······。」
······良い子だわ〜。茜ちゃん。
甘えん坊······これは私のみに対してだから置いとくとして。
茜ちゃんの容姿は贔屓なしにみて、本当に可愛いと思う。。
私もそうだし、クラスのみんなからも可愛がられる程に。
それにこれはみんなも知らないと思うけど、料理も出来るみたいだしね。
お家の事を結婚したお姉さんに代わって見てる訳だし、そうなると掃除や洗濯といった家事も出来るんでしょう。
それに今の無駄遣いをしない発言。
これは中々出来ることじゃないからね。
それをお父さんも分かってるというレベルで······。
「茜ちゃん······。」
「ん?」
「いいお母さんになれるね♪」
「うえぇっ!?···あっ!」
しまった!とばかりに口元を抑える茜ちゃん。
んふふふ····そんな事をしてもバッチリと聞こえましたよ?
まぁ、不意打ちをした私も悪いけどね。
「もぅ〜···何を言うかなー?このはちゃんはっ!」
「別に普通にそう思っただけだよ?いいお母さんになれそうだなーって。」
「別にまだその気はないですぅ〜。」
ハッとしてからのぷりぷりして、赤面しつつまたぷりぷりして。
ほんと、ころころと表情が変わるね〜。
そしてそんな茜ちゃんを見てる私もまた楽しい♪
「まだってことは、いずれは?って事かな?」
「それは······まぁ、いつかはね····って、もうこのはちゃん!早く選んでよ〜〜······。」
「はいはい。じゃあ······この黒は入れましょ。あとは······。」
そんな感じで楽しく話をしつつ、茜ちゃんに似合う物を選んで行く私。
これ以上つつくと拗ねちゃいそうだし、それは私の望むところでもないから。
物は先程の黒系を1つ。これは予想外に良かったんだよね。
あとは試着して良かったタイプの物から、明るいカラーの物を見繕って。
こっちはかわいい系を重視して、着替えとかでみんなから見られるのもあるから下もセットにしました。
結果的には沢山買えた。
理由はまず、予算があった事。
次に思ってた程に値段が高くなかった。そして大量購入したからセット割引みたいなのが効いて、全体の値段が安くなったんだよね。
なので、これだけの数があれば毎日どれを身に着けて行こうかな?なんていう楽しさも味わえるよね。
それに1つ2つ駄目になったとしても直ぐには支障をきたさないから、いざという時にも慌てなく済むし。
「ありがとうございましたーー♪」
店員さんに見送られて、お店をを後にする私達。
茜ちゃんはお店の袋を大事そうに抱いて、笑顔満開でホクホク顔をしてる。
私もホクホク。
そして何故か店員さんのお姉さんも······。
まぁ、店員さんは私達がワイワイしながら選んだりしてるのを微笑ましく見てたから、それなんだろうね。
「このはちゃん。選んでくれて本当にありがとう。」
「どういたしまして。私も茜ちゃんに似合うのを選べて良かったよ♪」
満面の笑顔でお礼を伝えてくる茜ちゃんに、ポンポンしながらそう伝えます。
「でもあれだよ?駄目になりそうな兆しがあったら、早めに買い直すんだよ?都合が合えば付き合ってあげるからね?」
「うん。ありがとー。」
一応念の為に伝えといた。
この子、意外とギリギリまで使いそうな感じがするんだよね。
物を大切にするというか、節約家というのか······。
いいと言えばいいのだけど、身に付けている時に紐が壊れましたじゃ困るからね。
今回それなりの数を買ったから、1つ2つくらい駄目になっても大丈夫といえば大丈夫なんだけど、それでもね······。
そこそこの時間を使ったけど、映画まではまだまだ先。
次はどこを見ようか?って話をしながら、私達は楽しむのでした。




