ある日の幼稚園① 高1(挿絵有り)
2023.10.22 加筆修正しました。
今日は7月7日。七夕です。
普段の生活やショッピングにはそれ程影響はないものの、保育園や幼稚園、小学校辺りでは七夕にちなんだイベントや催し物をやったりして思い出に残りやすい日だよね。
先生が用意してくれた竹又は笹に願い事を書いた短冊を飾ったり、飾り物を作って飾ったりとか。
私もやったなぁ〜と懐かしく思い出します。
私がよく覚えているのが小学校の時の事。
「七夕が近いのでみんなで飾り付けをしましょう」と、言うような感じでやり始めた気がする。
まず組分けがあってこれはクラス単位ではなくて、運動会のチームだった。
私が通ってた時は人数も多くて、運動会のチームも4チームあったんだよね。
動物の名前を冠したチームで、ラビット(黄)、チーター(赤)、ペガサス(緑)、はやぶさ(青)······意外と覚えてたね。
それぞれ指定されてた空き教室や特別教室とかに、チーム毎に集まって。
自宅からある子は新聞の折込チラシを持っていくでしょ。
それをみんなで細長く切って、糊で輪っかを作って繋げていくの。
それを大きな竹に絡ませるんだよね。
で、その竹は先生が頂いてくる。
私の住んでる地域は地方都市でも町中ではなくて、外れの方なんだよね。
故に自然も沢山あって竹林なんかも結構あったんだよ。
勿論、今も沢山あるけれどね。
そこからおそらく先生が竹を頂いてきて、七夕の当日もしくは前日とかに飾るの。
クリスマスツリーを思い浮かべると分かりやすいかな?
あんな感じで飾ったり、廊下にも飾ったりして綺麗で華やかだったね。
そんな私の中に思い出としてある七夕イベントだけども。
雪ちゃんの幼稚園ももちろんやってます。
去年もやっていたからね。
そして今日はお迎えがてら、それを見てくるんだ。
昨日の鞄にお便りが入っていたから、それを見て。
『明日はみんなで七夕の飾付けをします。是非放課後、見に来てください。』って。
それに今年は短冊も書いて飾ったりしたらしいです。
雪ちゃんに聞いた話だと、なんでも年中さんになって平仮名の練習を少し始めたみたいで、書いたとかなんとか。
もうそんな事を始めたんだって思ったのと同時に、時の流れは早いなーって感じちゃうよね。
で、肝心の短冊に何を書いたのかは聞いてないんだ。
その方が楽しみがあるから。
さてさて。
雪ちゃんは、何で書いたのかな?
欲しい物?行きたい所?なんだろ??
妹が欲しいなんて書かれたら、ママは困っちゃうけどね。
飾りといえば、輪飾りの制作にご協力下さいってのもありました。
折り紙とか新聞の折込チラシとかを切って輪っかを幾つも繋げて長く伸ばしていくあれです。
私も作ったことのあるやつ。
時代が進んでもやることは変わらないんだな〜って、思わず笑っちゃったよね。
この輪飾り。
チラシで?なんて思うかもしれないけど、あれはあれで結構いい感じになるんだよ。
チラシ自体が色んな色使っててカラフルだから、少しだけバランス考えて繋げていくと素敵になる。
そうでなくても、ただ繋げて行くだけでも十分にキレイなんだけどね。
で、頑張ってたくさん作りました。
私の家は新聞など学校関係の資源回収まで取っておく派なので、材料には困らなかったからね。
小学生の時に作ったな〜って、思い出しながら隙間時間に黙々と。
作りすぎた!って思ったけど、そんなことはなかったみたいで感謝されました。
ただ難点はかさ張るんだよね、コレは。
潰しちゃうと見た目が悪くなるから気をつけないとだし、車があってよかったっなって思ったよ。
幼稚園に着きました。
いつものように車を駐車場に停めてから、インターフォンで挨拶をしてから園内へと入ります。
目的の物は建物内なのでここからまた少し移動なんだけどね。
園内自体は普段施錠してるから、私達保護者も入れない。
だから、たまに入ると新鮮だよね。
玄関からスリッパへ履き替えて中へ入ります。
不思議に思うかもしれないけどこの幼稚園、園児の入口はベランダなんだよね。
横長の校舎で教室の前に広い屋根付きのベランダがあるの。
そこに下駄箱が並んでるんだけどさ。
昔からある幼稚園だからか、基本のレイアウトというのかな?それが古いというのか独自というのか·····。
ただこれ、私が通ってた小学校と似てるから懐かしく感じるよ。
私の小学校は1、2年生は一階の教室で外側に幼稚園と似たベランダがあったんだよね。
床はコンクリ製で手洗い場もついてるっていう仕様で。
うん······懐かしいな。
中へ入ると廊下にたくさんの飾り付けがしてあった。
メインは輪飾りだけど、これだけの量があるとキレイだよね。
廊下の天井に吊るしてあったり、壁に付けてあったりして。
綺麗だな〜って見ながら歩いてたら、私に気づいた子供達が寄って来たんだ。
ダダダダーって、走っちゃダメだよ?
「ゆきちゃんママだー♪」
「はい。雪ちゃんママですよ。いつも雪ちゃんと遊んでくれて、みんなありがとね。」
「うん!」
笑顔で駆け寄って挨拶をしてくれる子供たち。
そんな子供たちにお礼を伝えながら、頭をなでなでしてあげるの。
男の子も女の子も嬉しそうにしてるから、可愛いよね。
「ゆきちゃん呼んでくるね〜」
そう言ってまた戻っていく子供達に手を振りながら見送ります。
「人気者ですね。鈴宮さん」
「見た目が特徴的ですからね。覚えやすいんだと思いますよ」
近くで一緒に飾りを見に来てた保護者の方にそんな風に言われて。
まぁ、実際に分かりやすい容姿だと自分でも思ってるし。
茶髪の人は沢山いるけれど、白髪だなんて年配の方を除けばまずいない。
しかも若いってなれば、尚更ね。
それにさ、大人だって初対面の人とが特徴的だったりすると覚えやすいと聞く。
顔や体型を含めた全体の印象だっり、話し方が独特だとか名前が個性的、有名人と同じだとか······。
そうみると、私と雪ちゃんはもろに当てはまるからね。
見た目という1番分かりやすいのが。
話しながら見てると雪ちゃんがやって来た。
そして私にも飛びついて来たんだ。
「ままー」ってさ。
いつもはここでギュッと抱きしめてあげて、
「今日も1日頑張ったね。」って返す所なんだけど。
今日は違います。
「雪ちゃん? 嬉しいのは分かるけど、廊下は走っちゃダメだよ?お友達にぶつかると痛い痛いしちゃうからね。」
「うん、まま、ごめんなしゃい。」
私を見つけて廊下を走って来た雪ちゃんに私は注意をします。
甘やかしたり優しくするのも大切だけど、悪い事とや危ない事を教えたり注意したりすることも大事だもんね。
全部が全部、出来る訳でもないけれど、それでも可能な限り親として教えていかないとと思ってます。
「ママはまだ見てるから、もう少し遊んできていいよ。」
「はーい」
まだ目的の物を見てないので、あと少しだけ遊んでていいよと伝えて。
返事とともに、今度はきちんと歩いていく雪ちゃん。
うん、偉い偉い。
さて、メインの短冊だけど······見つからない。
さっき雪ちゃんに何色に書いたのか聞いとけばよかったよ。
失敗したな〜。
年中組と年長組とでそれなりの人数がいるから、探すのが手こずる。
おまけに字もゴニョゴニョって感じだから、1枚1枚見て確認しないと分からないしさ。
それでも頑張って一つ一つ確認していきます。
えーと······
[おもちゃほしい]
[ねこさんかいたい]
[ゆうえんちいきたい]
などなど。見てるとほのぼのするね。
大半は◯◯◯が欲しい系が占めてるけどね。
この中のいくつかは、クリスマスプレゼントになるのかな?と、勝手に考える。
何が欲しいのか決まってれば、値段次第では用意しやすいだろうから。
ただなぁ······うちの雪ちゃん、これには難があるんだよね。
その理由はまた機会があれば、という事で。
あと多いのは何処かに行きたいとかだね。
遊園地だとか水族館、動物園。意外な所でアンパ◯マンミュージアムと言うのもあった。
そんな感じの短冊を1つづつ見ていって。
肝心の雪ちゃんのは······あ、あった!!
願い事は子供の手書きなんだけど、名前だけは先生が書いてあるから分かりやすかったんだよね。
えーと、何々···
···
······
·········あっ···
私は涙が溢れてきた。
そこには、欲しい物でも行きたい場所でもヒーロー、ヒロインに成りたいとかの夢系の願い事でもなく。
ただ単に彼女の、雪ちゃんの想いだけが書かれてたんだ。
「ままだいすき」




