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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の体育祭①-8 20歳高2(挿絵有り)

「ただいまーー!!」


ガチャ、ガチャっと、玄関扉に2つ付いている鍵を素早く解錠して家の中に入ります。

長かったようで短いような、そんな不思議な感覚を持ってはいるけれど、無事体育祭も終わり私はやっと自宅へと帰ってきました。




学校内では何ともなかったけど、みんなとお別れをして校門を出てからは駄目だった。

別に身体の調子が悪くなってどこか痛いとか、そういうのじゃないよ?

ただ単に堪らなく、雪ちゃんに会いたくなっただけなんだけどね。


まぁ多分だけど、これは今日が土曜日というのが関係してるとは思うよね。

本来は休日で、雪ちゃん成分を沢山補給してる日だからさ。

あとはみんなをハグしまくってたからだと思う。

それでおそらくというか、間違いなく雪ちゃんをハグしたくなってしまったんだと思うな。

それなんで学校内にいる時は意識してなかったんだけど、校門を出たら途端に意識しちゃいだしちゃった。


「早く会いたいな。沢山抱きしめたいな♡」


そんな流行る気持ちを抑えようと頑張りつつも、ソワソワしながら自転車を走らせて来たんだ。

今朝、学校に行くときは服装をどうしようかなー?なんて、人目とかを気にしてたのにさ、この時はそんな事は頭の片隅にもなかったよね。

それでも安全運転はキチンと心がけて。

そこは急いでても忘れないよ!

 



そしてやっと我が家。

自転車を車庫にしまってから、玄関の鍵をササッと解錠してからの挨拶です。


「ただいまーー!!」


勢いはいいけど、ボリュームはごく普通を心がけて。

じゃないと、大きい声を出しちゃう様な気がしたからさ。


「ママー♪おかえりー!」


って、雪ちゃんの声がして玄関に来るかな?って想像してたんだけど······あれ?来ない??

どうしたんだろう??

私の声がすれば雪ちゃんが飛んでくるのに、来ないということは······。もしかして、出かけてる?

そういえば先程自転車を止めた時に、車がなかったような気がしたのを思い出した。

急いでたからそこまできちんと見てなったのもあるけれど。


とりあえず、下駄箱を覗いてみる。

ああ、やっぱり雪ちゃんのお気に入りの靴がないや。という事で、お出かけ中というのは確定だね。

お母さんに何時頃帰るよとかって、事前に伝えてなかったのもあるから仕方ないかと諦めた。

まぁ、直ぐに雪ちゃんに会えなかったのは残念だけど、私もやることがあるからこれはこれで良いかと納得させたよ。



靴を脱いで、そのまま洗面所兼浴室へ直行です。

浴室への扉を開けて、リモコンの電源を入れてからお湯張りボタンを押して。

やりたい事。それは入浴です。

散々走ったりなんだりして、土埃が沢山ついたからね。

その都度ぱっぱっとは叩いたりはしてたんだけど、それでも舞い上がった土埃は髪の毛や体操着等にそれなりには着いていたし、そこまで全部は落とせないから。

たからこの後着替えたとしても、髪の毛が汚れてる状態でリビングで寛ぐとかが嫌だったんだ。

なので、真っ先にお風呂です。



お湯を張ってる間にバックからタオル類を出して、これは洗濯です。

その後は水筒をキッチンへ持って行って、続いて2階へ。

こう家の中を動いて見てみたけど、し~んと静まり返っててやはり誰もいなかった。

雪ちゃんとお母さんがセットなのはもう分かってるんだけど、葵とお父さんまでいないとは思わなかったな。

さすがにこの2人が一緒に行動してるのか、バラバラなのかは分からないけど。


2階の自室にて着替えを取って再び洗面所へ向かいます。

着替えを置いて浴室を確認。

浴槽は大体半分手前ぐらいまで貯まったところかな?これくらいなら貯めつつ身体を洗ってれば、終わる頃にはいい感じに溜まってそうだ。


そう思った私は早速お風呂に入ることにしたんだ。

体操着はそのまま洗うからいいし、下着類もネットに入れて。

バッグはどうしようかな?

土埃は付いてるし学校は振替休日もいれて連休なってるし、その間の天気もいいみたいだから軽く手洗いでもしとこうかな?

そう結論づけたので、バックもそのまま一緒に浴室に持ち込んで洗うことにした。



シャワーで髪の毛をいつもより少し長めにかけて、埃を落としてからシャンプーです。

これも今日は2回くらいやっとこう。

普段より丁寧によく洗ってコンディショナーもして。


『もう直ぐお風呂が沸きます。』


リモコンからのお知らせ音を聞きつつ、身体を洗って全身をシャワーで流してっと。

そのままバッグもシャワーを使って、モミモミしながら土埃を洗い流し。

ほんとは漬け置き洗いとかすればいいんだろうけど、そこまでの容器はないからね。

後は洗濯機の手洗いモードとかで洗う方法もあるにはあるけれど、まぁ、そこまではしなくてもいいかなって思う。

たまにこうして洗うだけでも随分と違うからね。



『♪〜〜♫〜♪ お風呂が湧きました。』


短いメロディの後に音声が流れて、お風呂が湧いたことをお知らせしてくれた。

うん。ナイスタイミングだね!

そう思いながらバッグを、シャワーヘッドに掛けておく私。

不格好だけど適度に水が切れればいいだけだしね。その後は上へ持って行って干すだけだからさ。



一通りやる事が終わったので、出来上がったばかりの湯船に浸かります。


挿絵(By みてみん)


「あ〜······気持ちいい♪」


つい、普段出さない言葉を発してしまった。

だってそのくらい気持ち良かったんだもん。

浴槽の縁に背を預けて、足を伸ばせるだけ伸ばしてゆったりと浸かる。

本当に気持ちいいね。

身体の疲れは特に感じてないけれど、髪と身体をさっぱり出来たのが大きいみたい。

ふぅ〜っと、息をついて目を瞑る。

思い出すのは当然、今日の体育祭の事。

今日1日、本当に色々とあったな〜ってね。






  ーーーーーーーー



出だしから好調だった3組の体育祭。


お昼休みを挟んで午後の部の最初の競技は、部活動対抗リレーだった。

これは運動部と文化部で、それぞれ分けて行うんだよね。

なので成績も運動部と文化部でまた別で、それに運動部に関しては同じ競技でも例えば男子バレー部とか女子バレー部って分かれてるから、結果的には優勝は3チームになるんだよね。


で、盛り上がるんだ。コレが。

成績は総合タイムで決めてるらしいんだけど、優勝すると部の予算が増えるとかでガチンコ対決。

特に陸上とサッカー、野球がお互いにライバル視してるみたいで、本部もそれは分かってるらしいから、この3部を同組で競わせるんだよ。


で結果は陸上部が勝った。

やはり短距離を専攻してる生徒を出して来たのが強かったみたい。

野球もサッカーも他の運動部に比べれば確かに速かったけど、陸上のそれも短距離をメインにしてる生徒には敵わなかったよね。

盛り上がる生徒と顧問の先生と、凹んでる生徒の比がなんとも対照的な光景だったよ。



後は採点物でというと、クラス全員による長縄跳びとクラス対抗リレーかな。

どちらも作戦は練ってきた。

長縄は飛ぶ方も大事だけど、縄を回す方も大切。

なので回す子は男の子で飛ぶのが苦手そうな子をチョイスして、どういう風に回すのが良いのかアレコレと調べて練習してみた。

飛ぶ私達も配置をどうしたら良いのか?向きは?とか、色々と調べたりして実践してさ。

で、結果は好成績!

あまりの良さにみんなで「イェーーイ!!」って、喜んだよ。

みんなが嬉しくて抱きついてくるから、私も大変だったけどね。

 


で、その嬉しさとテンションで最終種目である、クラス対抗リレー。

これにもっとも力を入れたのは、もう分かるよね。

基本は足の遅い子の前後に速い子を当てて、遅い子が走る距離を極力減らす事をしたんだ。

バトンゾーンがあるからそれを利用してさ、そうすると遅い子は100メートル中20メートルくらいまでは減らせるからね。

逆に足の速い子の負担が増えるけど、そこは致し方なしって感じで。

足の速い茜ちゃんにも当然負担は増えたけど、頑張ってくれたよ。

道中で他の子を抜いてくれたりもしたからね♪


ただ解せないのが1つあって、何故か私がアンカーをやる羽目になったんだよね。

なんで??って思うじゃん。

私の足の速さは普通なのに、それこそ私より茜ちゃんの方が速いのにさ······。

みんなにそこを尋ねたら、「その方が盛り上がるから!!」だって。

なにそれー!?って感じだよね!?


走る人数は生徒の一番多いクラスに合わせるから、時と場合によっては2回走る子もいる。

だからまあ、誰がアンカーをやっても結果は多分変わらないはずなのに。

だったら足の速い子を起用して、逆転勝ち!とか逃げ切ったー!!って展開の方が盛り上がって良かったんじゃないかな?って思ったのにさ。



『追い抜いては追い越されてのクラス対抗リレーも、いよいよアンカーです!!3組と2組、8組がデッドヒートを展開してます!さあ!!あと一周!ラストアンカーは······ああ!? 何と3組のアンカーは女の子です!!なんと鈴宮さん!鈴宮さんがアンカーだ!! 果たして鈴宮さんは逃げ切れるのか!? 男子は鈴宮さんを抜くことが出来るのかーー!?』


そんな感じで実況さんも煽るし。

さすが放送委員をやってるだけあって、話すのが上手いよねーって体育祭中はずっとそう感じてたよね。


で、私も必死に走りましたよ。それはもう必死にね。


挿絵(By みてみん)


みんなが頑張って繋いでくれた、この順位。声援。

自分たちのクラスだけかなって思ってたから、1年生からも声援かけてくれてさ。


「「頑張ってーー!!!」」


「「お姉様ーー!!1着とってーーー!!!」」


沢山の声援を貰って嬉しかった。

だから必死に走って逃げて、ゴールを目指して······。





  ーーーーーーーー



ちゃぷ···ちゃぷ······。


水面を手で触ったりして、意味もなく水音を出してる。

そういう風に意図的に音を出さないと、本当に静かな浴室です。

基本毎日雪ちゃんとお風呂に入ってて賑やかだから、余計に静かに感じる。


それに夕方に入ったとはいっても、夏至が近いから外はまだまだ明るい。

浴室の窓から入ってくる明るさ。

そんな明るい内からお風呂に入るって事もそうそうないから、なんか凄く贅沢な気分にさせてくれるよね。


そんな気分を味わえたのがもう一つ。

それは結果発表です。





  ーーーーーーーー



3年生のクラス対抗リレーが終わり、全種目がやっと終わって閉会式。

待機席からそのまま前に進んで男女2列で整列して。

校長先生の話もそこそこに、みんなの最も期待する総合成績の発表タイム。

うちの学校はこれに関しては、3学年全体での総合成績なんだよね。

だからチームワークで優れてる3年生が有利って、言われてるみたいなんだけどさ。


『それではお待ちかねの結果発表です!例年通りこの場ではBEST3のみ発表&表彰となります。全体の順位や各種目の獲得点については職員室前に掲示しますので、気になる方は各自ご確認ください。では、結果発表です!! 第3位〜······。』


みんなでドキドキしながら結果発表を聞いてたよね。

私個人的にはかなりいい線をいってると思ってたし。

最初の徒競走から始まって障害物競走や二人三脚、スウェテーデンリレーその他色々あって、全員参加の長縄やクラス対抗リレーも好成績。

うん。悪くないと思った。


予想通りというかそんな感じで、3位と2位は3年生がGETしたよ。

残りは1つ。みんなのハンバーガーがかかった優勝。

私もドキドキ。みんなもドキドキ。

高橋先生もある意味でドキドキだろうね(笑)


『今年度の桜ヶ丘高校体育祭、全27クラスの頂点に立つ第1位、優勝の発表でーーす!!優勝はぁぁーー·······』


溜めに溜めた放送部の人。

これがテレビとかなら「デロデロデロ·····」って、ドラムロールが鳴り響いてるよね、絶対。そう思った。


『優勝は2年3組ーー!!!おめでとーーー!!!!』


「「「「「「やったーーー!!!」」」」」」

「「「「「キャ~〜〜〜〜♪」」」」」

「「「よっしゃあーーー!!」」」


みんなが声を出して喜んで、飛び跳ねたりハイタッチしたり抱きついたり。

私にも側にいた子が抱きついて来て喜んで、嬉しさのあまり泣いてる子もいたよ。

勿論、私も凄く嬉しかったよ♪

みんなとの事前準備から今日まで頑張って取り組んだ事。

協力して1つのゴールを目指してやって来たのが実を結んで。

この上なく嬉しかった。



表彰式はクラス委員である、私と志保ちゃんで受け取りに行ったんだよね。

賞状だけかな?って思ってたら、トロフィーも頂けてさ。

これは今年1年間クラスに飾ってとくって、高橋先生が言ってました。





  ーーーーーーーー



そのような結果で終わった体育祭。

みんなの頑張りが報われて良かったな〜って思い出しながら、私はまた明日以降の事を考える。

明日は日曜日だから、雪ちゃんとのんびりかな?

雪ちゃんの気分次第で何処かに出かけるかもしれないけど、基本休日はそんな感じ。


で、学校自体は連休になるので月曜日も休みなんだよね。

この日は雪ちゃんは普通に幼稚園に通うから、私は日中はフリー。

これを利用してお出かけをする予定なんだけど、これはこれで楽しみにしてる。



······あれ?家の中が賑やかになって来た。

バタバタと足音がして、こんな音をたてるのは雪ちゃんだね。

お出掛けから帰って来たかな。


「ママーー!」


「はーい。ママはお風呂だよ〜。」


挿絵(By みてみん)


廊下と洗面所の扉が開いたと思ったら、雪ちゃんの私を呼ぶ声がしてそれに応えます。

続けざまに浴室の扉が開いて、雪ちゃんがヒョコッと顔出した。


「ママ、お風呂?雪も入っていーい??」


「うん、いいよ。じゃあ、そこの扉を閉めて入ってきてね?」


「分かったー!」



雪ちゃん的にはまだ時間が早いかな?とは思ったけど、もうこの後は外出もしないからいっか〜と、入らせる事にした。

まぁ、私も嬉しいしね。

その前に開けっ放しの扉をきちんと閉めさせるのを忘れずにね·····。



さてさて、雪ちゃんは今日一日どう過ごしたのかな?

雪ちゃんからの報告が楽しみな私です。

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