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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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128/234

ある日の体育祭①-7 20歳高2(挿絵有り)

ーー ある男子生徒A 視点 ーー

  


「じゃ、みんな?準備はいい?行こっか?」


「「「「はーーい♪」」」」

「おっけー!」

「頑張ろうぜ〜〜!」


先程までわいわいキャッキャッしてた女子達が、鈴宮さんの合図と共に席を立ちあがり入場ゲートへと歩いて行く。

そんな後ろ姿を眺める俺達。


「頑張ってなー!」


と、声を掛ける男子もいたりして、それに手だけを上げて応える女子。

本当にそれだけ。

振り向くとか声で応えるとか、そういのは一切なく去りながら手を上げて。

何かの漫画やアニメでありそうな、死地に赴く主人公が去り際に背中で語るあんなシーンに似てる。

ただそれが男子ではなく女子で、声を掛けたのが男子という残念な構図ではあるが。


そしてその手を振った女子もササッと下げて、鈴宮さんの側でキャッキャッしだした。

ちょっとカッケーなと思ってたのが、直ぐに消え失せた。

やっぱりうちらの女子は女子で変わらんな、と······。



そして、その声を掛けたのは去年クラス委員長を努めた佐藤。

そういう所は真面目というか、しっかりしてるよなーと思う。

うちら男子もこのクラスの女子とは仲は悪くないと思うが、なかなか声は掛けづらい。

異性というのも勿論あるけれど、それに加えてうちのクラスは可愛い子やきれいな子が揃ってるからな。

そういう意味でやっぱりちょっと抵抗があるというか何というか······。



「にしても佐藤って、女子と仲が良いよな〜。」


「まぁ、去年は委員長をやってたからな。相方は宮野さんだったし、それもあるんじゃね?」


「そんなもんか?」


「そんなもんだろ?それがなけりゃ俺達と対して変わらんし、文化祭の件もあるからなぁ······。」



俺は先程の佐藤を見てて、今まで思ってた事を側にいた友人に尋ねてみた。

そして返ってきた答えはそんな感じでやっぱりそんなもんかと、思って納得してしまった。

『クラス委員長をやってたから』

それしかないよなー······。


去年の係を決める時にやり手がいなくて、男女共にクジだかじゃんけんだかで決めたんだよな。

もー、全然覚えてないけど······。

でその結果、佐藤と宮野さんが当たって渋々ながらやることになったんだよな。

男女ペアだけど、それは他の委員でも同じだったりするからそこに差はないと思うし、あるとすればやはり文化祭だよな。

あれは鈴宮さんも加わって3人で打ち合わせをやったりしてた。

お昼休みの時は女子の輪に加わって飯を食ってたりもしてたから、ある程度打ち解けたのはあったのだろう。

それが恐らくだが、今の佐藤に繋がってる。





「お! そろそろ女子のダンスが始まるぞー!!」


「来たか······。」

「いよいよだな。この体育祭の目玉競技!」


その一言にぞろぞろと前方に集まる、我らが男ども。

周りを見渡して見てみても、何処も似た同じ光景で笑ってしまう。

しかも男しかいないという、ちょっと······いや、かなり異様なテント内の待機所。

やはり女子がいないと華がないな。


前方に集まった俺達男子。

最前列に席を取った男はそのまま椅子に座らせて、残りはその後ろで立ち見というスタイルをとった。

女子が前方の少しの席を取ったから、これは仕方がない。

今のこの時間は勝手に座ってしまう訳にもいかないしな。


ちなにみお昼休みの時は、もう暗黙の了解というかそういう感じでお互いに席を譲り合っている。

うちのクラスの女子は鈴宮さんを中心にしてお昼を食べるから、その周りの男子の席は女子が使ってしまって男子が食べるのに席が足りなくなるんだよな。

だから女子側も空いている女子の席を譲ってくれるんだよ。

それをもう1年間もやってきてお互いに分かっている事だから、今は

いちいち許可を取らなくて使っても文句は言われないし。

まぁ、汚しっぱなしにすれば流石に怒られるけどな。




最初は1年の女子からか······。

ここら辺も去年と同じだな。

グランド内に1年の女子が整列して集まり、音楽が掛かってダンスが始まった。


「あれ?」

「ん??」

「これ······どこかで聞いた覚えがある······?」


ダンスのミュージックが掛かった途端に、不思議そうに頭をかしげる俺達。

曲のタイトルだとかそういうのは知らないんだけど、どっかで聞き覚えがあるんだよなぁ······。

なんだっけ??う〜〜〜ん······思い出せん。



「あ! これってあれじゃね?? 去年、うちらの女子が踊った曲のやつ??」


!!??


「ああ!そうだ!そうだよ!思い出した!!」

「ナイス!橋本!」

「すげーな!よく覚えてたじゃん?!」


「いやー······たまたまさ。」


照れながら頭を掻いてる橋本。

謙遜してるけど、俺も皆と同じでよく覚えてたな〜って絶賛してるよ。

そして今、1年が踊ってるコレ。

思い出してみても確かに去年1年生だった俺達の女子が踊ってた曲と一緒だ。って事は、ダンスも一緒なのかな?

さすがにそんな詳しい事までは覚えてないから全く分からないけど、そうなると今年は去年の2年生が踊ってた曲にダンスをするのか。

って事は、来年は現3年生がやるダンスと言うことになるな。


ふむふむ。

教える側としては内容が統一してるから、教え易いというのはありそうだ。

まぁ、見る側の俺等からしてみれば大した事のないことではあるけど、教える側としては毎年1から考えるのは酷だよな。

だったら毎年学年毎に曲とダンスを統一してしまえば、教える先生としても楽だとは思うし。

それに俺等は禄にダンスを覚えてる訳でもないから、1年後に『あ、コレ去年みたな?』とは思ってもそれ以上の感想を持つことはない。

今みたいに。


それに俺は踊りなんて禄に見てない。

それは違う所を見てるから······。きっと大半の男子は皆そうだよ。

どこまでいっても、男は男。

そういうことさ。




楽しげな音楽と共に、1年女子のダンスが終わった。

盛大な拍手と、どこの誰かが出している「ヒューヒュー♪」といった指笛。

そんな歓声が飛び交う中で退場していく1年生。

体感的には5分少しくらいなのかな?

夢中になって見てたからあっという間でもっと見ていたくなるが、やってる方は大変なんだろうなと思いつつ、それにしても良いものを見せてもらったなーと、しみじみと思う。



「やっぱりダンスっていいよなぁ······。」


「だな。女子がやるってのがポイントだよな。」


「大半は後ろ姿しか見えないけど、たまに横を向いたり回転したりする時の揺れがいいんだよなぁ〜······。」


何が?とは言わない。

でも結局、俺達は男だからそんなところばかり見ちゃうんだよ。

そして盛り上がる。

あの子可愛くね?とか、スタイルも良くね?とか。

まぁ顔なんてうちら生徒側の席に近い子しか分からなくて、殆どの子は遠すぎて分からずじまいなんだけどな。

仮に分かったとしても、そもそもがクラスも名前も知らんからどうにもならないんだけどさ。



そんな碌でもない話で盛り上がる俺達。

そしてしばらくした後、今体育祭の目玉である俺達の学年の女子のダンスが始まる。

目玉と言っても俺個人がそう思ってるだけで、他の連中がそう思ってるがまでは知らないけど。



「なぁなぁ。お前らは誰を見たいんだ?あ、鈴宮さんってのはなしな? それはもう分かりきってるからさ。」


そう聞いてきたのは、大澤和樹という運動部に所属してるクラスメイト。

なので運動は出来る方だし、体育祭自体も張り切ってはいるんだよな


「俺は宮野さんかなー?」

「うーん····俺は鈴宮さんを除くならだれでも構わないかな?」

「俺は断然、西野さんだな!」


皆がそれぞれ押しの女の子を伝えていく。

特定の誰かがいい!って奴もいれば、特にいないと言う奴もいて皆様々。


「お前は?」


「俺?俺は······諸貫さんかなー?ちっさくて可愛いしな。」


俺の押しの人。

他の言い方で言うと、気になる人というか好きな人というか······まあ、そんな感じ。





♪〜〜♪♪〜♪  ♫〜〜♪ ♫〜♪〜♫



始まった。

明るく爽快なミュージックと共に、グランド内に女子が展開して踊っている。

衣装は体操着そのまんまなんだけど、手には色とりどりのボンボンを持って。

手足を持ち上げて回転したり飛び跳ねたり、時には移動したりして陣?を変えたりと。


うん。

普通に凄い。ダンスには疎い俺ではあるけれど、凄いと言うのは分かる。上手く説明は出来ないけど······。

だけど······だけどよぉ〜······。



「鈴宮さん以外、誰がどこにいるんだか分からねーー!!」


「「「「だな!!」」」」


そうなんだよ!

1年女子の時もそうだけど、顔まではよく分からないんだよ!

おまけに動きまくるし、服装も同じだし。

おまけに髪も似たような、ショートからミディアムヘア又は結んでる子が多くて、しかも動いてるから髪も乱れるからさっぱり分からん!!


その点鈴宮さんは直ぐに分かる。

黒髪女子の中の唯一の銀髪だからな。

ポニーテールをなびかせて踊ってるその様は、まるで女神様みたいだよな。

せめて衣装さえキチンとしてれば更に良かったのにと、思わずにはいられない。



「体操着って所が残念だよなー······。」


「あぁ······分かる分かる。踊るならチアリーダー的な格好もいいよなって、俺は思うぞ?」


「俺はせめて、ハーフパンツの上からでもいいから、スカートとか履いてほしかったかな?」


踊ってる女子達から目線は外さずに、会話の内容だけはコロコロと変わる。

さっきまで誰がどこにいるのか分からん!って騒いでたのに、今度は衣装がどうのこうのとか、他にも色々だよ。

動き回るから当然胸も揺れるし、それを見ては近場で踊ってる子のあれがいいとかこっちもいいぞとか。


でもまぁ、皆の言ってることは分かるんだよね。

俺もそう思ってたし。

衣装に関しては残念だけど、あれだけの人数分を使いまわしにしたとしても用意するのは大変だと思うから仕方ない。

それに年によっては、女子の人数も多少は変動するだろうから尚更だろう。

でも体操着だって悪くないぞ?

動き回ってるから、お腹周りがチラチラと見えたりして、これはこれで複眼。

とは言ってもここから1番近い子でも肌がチラッと見えたなー?レベルたけどさ。


でも、鈴宮さんのチアリーダー姿か······。叶うなら確かに見てみたいとは思う。

チアリーダーというと、俺は夏の甲子園の中継でしか見たことはない。

赤や黄色、又は青色とか色とりどりのスカートに、ノンスリーブの上着。

まぁこの辺りの衣装はその団体毎に様々なだろうけど、総じて言えるのはとにかく可愛いいとかセクシーとかそんな感じ。

あんな女の子達に応援して貰えるというのはいいよなーと、思ってしまう。

ただまぁ······、あのクソ暑い炎天下の中でわざわざ応援をしなくちゃいけない事には、もの凄く同情してしまうけど。


そんな事を思いながらつい想像してしまう、鈴宮さんのチアリーダー姿。

どんな上着でスカートは何色がいいだろうか?と。

今踊ってるみたいに、手にはボンボンを持つのか?

「フレー!フレー!!」って、応援をしてくれる??



挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


結論。

あの人は何を着てもきっと似合うと思う。

髪もスタイルも日本人離れしてて魅力的だから様になるし、身長も多分平均よりはあるんじゃないかな?

だから結局の所、何を着ても似合うし素敵だと俺はそう結論づけた。



あとは······皆の言ってる胸。

これも揺れる子は揺れてる。 特に大きい子は。

でもこれは、他の競技で走ったりなんなりしてる時でも見れてた光景ではあるんだけどな。


そして男って本当にバカだよなぁと、見てて思ってしまう。

まぁ、俺も人の事を言えないけどさ。ぶっちゃけガン見してるから。

でも今はそれはどうでもいい。取り敢えず1年生で見たから。 


それよりも今は、諸貫さんを探さなくては!! 

うんと背が小さいから、他の子よりは見つけやすい筈なんだけどなぁ·····。

どこだろう?動きまくってるせいで全く分からん!!

鈴宮さんはあそこで踊ってるから、そんな遠くない所にいる筈なんだけどな。

体育で練習するのも2クラスだし······。

あ!そうか!そういうことか!!多分わかったぞ!



「おい、皆! 場所がわかったぞ!!」


俺は思いついた仮説ではあるけれど、皆に伝えることにした。

当たるかどうかは分からないけど、何もしないよりはマシだろうから。


「「「マジか!?」」」

「「「「何処どこ??」」」」


皆が予想通り喰い付いて来た。

まぁ自分の好いてる相手が分からない見つからないから、当然の反応と言えばそうなるか。


「鈴宮さんだ。鈴宮さんの周りを探せ!ほら、練習する体育の時間は4組としかしてないだろ?ということはだな、鈴宮さんの周りは3組か4組の女子しかいない事になる!!」


「「「なるほど!!!」」」


「「了解した!」」


「顔は遠いから分かんねーけど、そこは気合だな!」


何が気合なんだか自分で言って突っ込みどころ満載だけど、皆が燃えてるから気にしないことにした。

でもまぁ、あながち間違ってはないとは思うんだよな?

基本的には練習した陣形とかそういうので踊るだろうから。

まぁ、鈴宮さんが陣の端にいるようならその近くはまた別のクラスの女子がいて話は違ってくるのだろうけど、そこは言わないことにしよう。



「お!諸貫さん、めっけた!!!」


「お!?マジか??どこどこ??」


「んーと······鈴宮さんの右の後ろの辺りだな。やはり鈴宮さん近辺に皆がいるのは間違いなさそうだぞ?」



仮ではあったけど、目星をつけて探してみたら意外とあっさり見つかった。

まぁ彼女は小さいからな。わかり易いと言えばその通りで。

髪型は似たような子も多いけど、その小ささで気づいてしまえばあとは簡単だった。


他からも見つけたとか、見つからねーだとか様々な声があがってるけど、気にせず他の子は目もくれずに諸貫さんを見る。

あ、鈴宮さんは別な。

彼女は彼女で相変わらず美しいから、見るなと言われても見てしまう。そんな魅力がある。


で、諸貫さん。

小さい身体で頑張って踊ってる姿がこれまた可愛いいんだ。

高校生······いや、一般的な中学生の女の子と比べてもかなり小さいその身長。

でも出る所は意外とあって、そのギャップが萌えるんだ。

そしてその隠された笑顔がまた······。

うちらのクラスの女子にもあまり見せた事がなくて、鈴宮さんだけに見せるあのとびきりの笑顔がくっそ可愛くて、虜になっちまったんだよ。


でもまぁ······残念なことに告白してもおそらく失敗すると思ってる。

それは彼女が今の所男子には興味はなく、興味というか好いてるのが鈴宮さんのみだから。

前に女子に話してた彼女の家庭環境と鈴宮さんとの関係性。

それで彼女は鈴宮さんにべったりだからな·······。


振り向いて貰えないのは残念だけど、その相手が他の男ではなく同性の鈴宮さんだから、まぁいいかと自分を納得させてるんだけどな。

それに時たま百合っぽい光景も見れるし、そういう意味で別に悪いことでもないから······。



ちなみにだけど、うちらのクラスの男子は同じ教室に好きな女子がいても、大半の奴は諦めてる。

その理由は諸貫さんと同じで、クラスの女子皆が鈴宮さんを好きで魅了さらてるから。

諸貫さんレベルではないにせよ、皆がそんな感じで男に興味がないって感じだから諦めてるってわけ。


可愛い子が揃ってるだけに非常に惜しいんだけど、さっき思ったように百合っぽいのも見れるし、クラスとしても非常に平和だから過ごすには申し分ないくらいだよ。



もうそろそろダンスも終わりそうだ。

結局、鈴宮さんも諸貫さんも後ろ側、うちらの生徒側に来なかったから遠目でしか見れなくて残念だった。


でも、それでも俺は満足だ!

踊ってる子は皆、一生懸命で輝いてたし良い物も見せてもらった。

そしてこんなバカ話をしてるのも、もうおしまい。

残りの3年生が始まる頃には女子達もこちらへ戻ってくるから、大人しくというか普通に見てないとね。



うっかりバカ話をして、女子達に嫌われるのだけは避けたいから。

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