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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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123/234

ある日の体育祭①-2 20歳高2(挿絵有り)

「あ〜······重たいよー、歩きずらいよぉ·····。」


「ホントだよねー。5階から校庭までって結構···いや、かなりキツイよ。」


みんなが愚痴をいいながら階段を降りてます。

『重い』『歩きずらい』『遠い』

主にこの3点なんだけど、この正体はみんながそれぞれ抱かえてる椅子です。机とセットであるあの椅子ね。

あと追加でバック。

それを持って校庭の各クラスの待機所まで運ぶんだ。

うちの高校の体育祭はお昼を跨いで行うから、直接地面に座って待機してるよりは椅子があったほうが楽だもんね。



で、私達は最上階の教室だから同然ながら1番遠くてね、みんなから愚痴が出てるんだよ。大変だーって。

まぁ、来年度の3年生になった時は逆に1階だから凄く楽にはなるんだけどね。



「このはちゃん······。大丈夫そうな顔してるけど平気なの?」


「ホントだ·····。なんか涼し気な表情をしてるね??私結構辛いよ?」


「凄いよね。こんなんなのに表情も変えずにいつも通りだし·····でも、そういう所も素敵だよねー。」


みんなから変な心配をされたよ。

別にそんなことはないんだけどなぁ〜。


「重さは別に大した事はないかな。雪ちゃんを抱っこして歩くのを比べたらね。それよりも歩き難さの方が大変かな?って感じてるよ。」


「そうなんだ〜。前、文化祭で見かけた時はそんな感じには見えなかったけど?」


「あ、あの時見かけたの?」


「うん。手を繋いで歩いててさ、そっくりな妹さんだなーって思ってさ。流石にこのはちゃんの子供って発想は出来なかったけど。」


思い出した!

確かあの時も雪ちゃんと歩いてる私を見かけたって事を、言ってる子も何人かいたもんね。


「これでもね、幼稚園に入る前は結構抱っこして歩いてたんだよ?甘えんぼちゃんだったからね。」


まだ2年ぐらい前の事といえど、懐かしい思い出。

あの頃は出かけた先で、例えばショッピングモールとかそういう所でもよく抱っこをせがまれてたんだよね。

「歩こう?」って言っても歩かなくて、「抱っこー」だもん。

幼稚園に通うようになってからは、恥ずかしいという感情が出てきたのか自ら歩くようになってくれたけどさ。


「甘えんぼさんだったんだ······。あーでも、なんかわかる気がするな~。」

「私もなんかわかるよ。」

「「「私も!」」」


よく分からないけど、みんなも共感?できる部分があるらしいよ?


「いいよね〜、子供って·····。」


「何?あんた、子供に興味あるの?」


「え〜?私、そんなに意外そうに見える?? そりゃーあるよ?」

「私もあるよ。お母さんと手を繋いで歩く姿とか可愛いなーって思うしさ。やっぱり女の子がいいよね〜♪」

「そだねー。大きくなっても一緒に買い物とか行ってくれそうだもん。」

「「「ねー♪」」」


なんて揃って言いながら、話はいつの間にか子供の話になってたよね。

女の子がいいとか洋服あれこれしてみたいとか、まぁ色々と。 


「ほら、みんな。足元気をつけてね?危ないよ。」


「あ、うん。ありがとーこのはちゃん。」




そんな話で盛り上がりながら、昇降口で運動靴に履き替えて残りは約半分。

運動靴は置きっ放しにしてるから、忘れたって子はいない筈。多分······。


「でもさー。子供云々よりまずは彼氏が先だよねー?」


「「「だね!」」」


ここは学校。

当然ながら男子生徒も沢山いる。むしろ女子よりは男子の比率の方がやや高いのかな?

で、みんな校庭に向かってるから、当然周りにも大勢いる。

それで私達はごく普通に、子供云々とか彼氏なんて話をしてるから注目を集めるよね。


「高校で彼氏とか作る気ある?」


「彼氏ねぇ······。」

「私はまだ要らないかな。」

「うちも。」

「同じく!今のこの生活で満足してるから当面はいらないね。」


あれ······?

盛り上がるかな?と思ってたら、みんな意外とドライ?

でも、他の生徒のそういう話はみんな好きだよねー??

そういう話題で盛り上がってるのも知ってるし、だから聞いてみた。


「私が言うのもあれだけど、みんな恋愛とか好きじゃなかったっけ?」


「あー···それね、他の人のは好きだけど、いざ自分となると二の足を踏むというか、なんというか······。」


「分かる分かる。ちょっと、慎重になっちゃうよね?」


そういうものなのかな?

私には経験ないから全然分からないや。


「それにさ、今だと勉強が出来る子とかイケメンだー!とかで選びそうだけど、後々を考えると真面目に仕事をしてくれる人とか、浮気しないとかそういう人がいいじゃない? だったら何も高校で作らなくてもいいかなーって······。」


「凄い志保!そこまで考えてるの!?」


「ん〜〜···まぁ、その···このはちゃんを見てたら、子供が欲しくなっちゃったというのもあるよ。そしたらやっぱり幸せな家庭を築きたいなって思うじゃん?そう考えるとさっきの仕事とか浮気とかの話になるの。まぁ、その前に私がきちんと勉強してしっかりしなくちゃたけどね!」


「「「キャー♪」」」 

「志保、大人〜!」


みんな驚いてる。私も驚きだよ。

志保ちゃんがそこまでしっかりと考えてたなんてさ。

出会いなんてどこでどうあるか分からないけど、いい人と巡り会えるといいよね。


「それにさ······。」


「「「「それに??」」」」


「私の身体はそんなに安くないよ!みたいな??」


テヘッっと子悪魔的な表情と仕草で、そう話した志保ちゃん。

「キャー♡」っとまた盛り上がるみんな。


「いいね、それ!」

「だね!私達のはとっても大切な物だし、男子のそれとは価値が違うもんね!」

「「「そうそう!」」」


「それとその······このはちゃんのには悪いなとは思うんだけど、でき婚ってしたくないんだよね。産むならきちんと親に紹介してプロポーズされて結婚してから産みたいっていうか······。」


「「「「おおぉ〜〜♪」」」」

「いいんじゃないの、それ!」

「そうだよ!1番無難な流れだけど、それだけ理想的っていうのかな?そういう感じだもんね。


······。

今どきの、というか純粋な年頃の女子高生パワーって凄いねと内心驚く私。

こういうのって、個人で考え方が色々あるのは知ってる。

処女を早く卒業したいとか、大事にしたいとか。

結婚だって様々でしたい人したくない人、結婚はしたけど子供は持ちたくないとか、経済力や自身の環境、価値観とかで人それぞれで全然ちがうからね。

そんな中、聞いてた会話だと志保ちゃんを始めとした皆は、しっかりとした考えを持ってるみたい。

私としては色んな意味で自分の事を大切に考えてくれてるのは、嬉しいと思ってしまうけどね。





   ーーーーーーーー



「なぁなぁ?」


「ん?どした??」


「うちらのクラスの女子、身持ち固くね?」


「あー······、さっきの会話か〜。」


「聞いてた聞いてた。宮野さんの彼氏作らないってやつだろ?」


「そうそう。」


皆して校庭に向かってるから、会話が聞こえるんだよな。

それに普通に子供が欲しいかな〜とかって話してるもんだから、つい気になって聞いてしまってたんだよ。

そしたらあの発言。

ましてや、他の女子も賛同するというおまけ付きな。


「これは在籍中の彼女作りは無理か?」


「確かに······。宮野さんは結構しっかりしてるからな〜。他もそんな感じみたいだし。」


「うちらのクラスって、他と比べると可愛いとか綺麗とかって感じの子が揃ってるじゃん?」


「「「確かに。」」」

「「だなー。」」


「それほぼ全員が彼氏いらんとか悲しすぎる······。」


「「「分かる分かる!」」」


うんうんと頷く俺ら男子。


「鈴宮さんの影響かなー?」


ボソッと一言。


「たぶん······いや、恐らくそうじゃね?女子たちの鈴宮さんへの愛着ぶりとかそういうの凄いからな。」


「「「だよなー。」」」


そこも皆して納得。というか、これは完全に分かり易い。

まー、うちら男子も虜になってるけどな。


「俺としては百合が見れて福眼だけどな〜。」


また変なことを言うバカもいる。

こういう事を言っては女子に聞かれて、お前はアホ・バカ扱いされるんだよ!

俺はちょっと距離を取る。

だって、女子に嫌われたくないもん。


「なあ?百合ってなんだ?百合の花か??」


「いや、違うぞ。この場合の百合ってのはな······。」



あぁ······。

また健全な男子が1人、巻き込まれていく······。





  ーーーーーーーー




「あ!このはお姉様だ〜♪」


「あ、ホントだ! おはようございます!このは先輩!」


「「「「おはようございます!」」」」


「ポニーテール初めて見ましたけど、とっても素敵ですね!」

 

「似合ってます!お姉様♪」



·········。


下級生の、それも女の子達にやたらと話しかけられて挨拶をされる私。

もうここまで浸透してるの!?早いよね?

きっと、あの件の出来事が始まりなんだろうけどさー······。

女の子達の情報伝達網半端ないね······。 さすが今の子。


でも、慕ってくれるのは嬉しいかな。

戸惑いなんかも勿論あるけれど、元を正せば私が原因だからね。

それに私に会いたくて受験したって聞いたりもしたし、ならやっぱり可愛い後輩に応えてあげないとね。


どうしようかな?と考えたけど、両手が塞がってるから手を振って応えてあげることは出来ない。

なので言葉と笑顔で返してあげる事にしたんだ。



挿絵(By みてみん)


「おはよう、みんな♪ 今日はお互いに頑張ろうね!」


「「「「「あうっ······」」」」」


雪ちゃんの大好きなママスマイルで、みんなに挨拶を返した。

言葉には詰まったみたいたけど、嬉しそうにしてるからまぁいいかな。



(ヤバい···久々に出たよ。このはちゃんの必殺笑顔。)

(うん、でたねー。)

(久々だけど、ヤバすぎ!何、あの微笑みは······。)

(私も向けられた訳じゃないのに、ドキドキするんだけどさ······。)

(大丈夫。私もそうだから。)

(見て。あの子達。骨抜きにされてるよ。)

(そりゃ〜、なって当然だね。付き合いのある私達でも危ないんだから、1年生に耐えられる訳がないし·····。)


私に聞こえないように小さな声で話したのかもしれないけど、ばっちり聞こえてるよ?





またテクテクと歩いていきます。

待機所まであと少し〜♪


「このはちゃん、凄い人気だねー?」


「あー···うん。私もびっくりしてるよ?あの1年生達が来てからそんなに経ってないのにコレだもんね······。」


自分たちの教室の階にいると分からないけど、他の階や場所に移動する時とかにすれ違うと、1年生の女の子に声をかけられたりすることはあったんだよね。

今日みたいな大勢は今までなかったから戸惑ったけど。



「でも、このはちゃんならそれも頷けるってもんだよ。私も部活で後輩によくこのはちゃんの事聞かれるもの。」


「私も聞かれるねー。」


「うちもだよ。」

「私も!主に女子だけどね!」


「うそ!?そんな事になってるの??」


私の知らない所でそんな事になってるなんて、思いもしなかったよ······。

まー、帰宅部の私には知らなくて当然の事なんだけどさ······。


「でね。聞かれるのは『鈴宮先輩ってどんな方なんですか?』って、このはちゃんの人となりを知りたいみたいね。で、私の知ってるこのはちゃんの良い所を話してあげてるんだけど、その過程で2年同じクラスだよーって話すとすっごく羨ましそうにしてるの!!」


「あーー!!それうちも同じ!」

「「私もあった!」」

「そうそう!!」


「それがまた凄く嬉しくて、自慢したくなるんだよねー!」


「「「「「うんうん!!」」」」」

「「分かる分かる!!」」

「2年連続っていう、そこがポイントだよねー。」


色々と突っ込みたい所もあるけど、みんなが喜んでるならいっか。

私の知らない所でも迷惑をかけてるみたいだからね。



「どうしたの?茜ちゃん??」


「2年間クラス一緒より、もっといいのがあるよ?」


茜ちゃんが静かだったからどうしたのかな?と、声をかけたらクラス一緒より良い事?

なんだろう?みんなも、はて??なんて顔してるし。


「着替え一緒。そして『ギュッ』として貰える♪」


「「「「「「 !!!!???? 」」」」」」




あー······確かに、クラス一緒じゃないと体験出来ない事だね。


声にならない悲鳴が、1年生達からあがった。






  ーーーーーーーー




待機所に着いた私達。

結局道中は体育祭とは全く無関係な話題で盛り上がって、ここまでやってきました。


グラウンドにはテントがズラ〜っと並んでて、なかなか凄い光景です。

これも熱中症対策でこの様にしてるらしいのだけど、クラスの数を考慮しても圧巻だよね。

そしてこのテントの下が私達の待機所なんだけど、私達は2年生だから大体真ん中あたり。

プログラム表の裏に書いてある、クラスの位置を改めて確認しながら近付いていく私達。

テント近くにくると、テントの骨組みにクラス表記が書いてぶら下げてあるのが目についたよ。


うん。

相変わらずカットした段ボールに手書きというのが何とも面白いけど、分かり易いからいっか。



「椅子の位置はどうするの?何が希望とかある?」


「んふふふふ。大丈夫!このはちゃん。この辺りはもうみんなで決めてあるんだよ。」


わぉ!?

それは仕事が早いね。志保ちゃん。

私としては席替えの時みたいに何があるかと思って聞いてみたけど、まさかもう調整が出来てるとは······。


「えっとね、女子は基本最前列から並べていって、横4の縦3ぐらいの並びで固まって座る事にしたんだ。位置は自由だけど、このはちゃんは真ん中でお願いね?」


「私、真ん中ね?了解〜。」


「基本それで。あとの空いてるスペースは男子なんだ。でね、私達は出場で空席が出来た時は誰の席でも自由に座っていいよって事でみんなと決めたんだ。」


「なるほどね~。さすが志保ちゃん。いつの間に決めたの?」


「いつだったっけかな? 取り敢えず、このはちゃんが放課後に帰ってから皆で決めたんだよ。」


それはそれは······。私が知らない訳だわ。

でも、みんながそれでいいなら私としても特にないから、まぁいっかな。



「あ、そうだ。 みんな、もし具合が少しでもおかしくなったり悪くなったら直ぐに言ってね? 保健室に連れて行くなり薬を貰ってくるなりするからね。絶対だよ?」


「「「うん!」」」

「「「「はーい!」」」」


一応保健委員さんはいるけれど、競技に出ていていない時もあるだろうから、みんなに伝えておく。

今の所曇ってるけど、この後は晴れてくるらしいから熱中症とか心配だもんね。

それに以前に茜ちゃんが倒れた件もあるから尚更ね。

みんな怪我なく無事に終わればそれが1番なんだけど······。






さてさて、今年の体育祭はどんな感じになるのかな?


果たして優勝は出来るのか?

作戦は上手く成功するのか??



みんなとあれこれと考えたけど、結果はどうあれ楽しめるといいな♪


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