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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の体育祭①-1 20歳高2(挿絵有り)

5月の下旬のある日の朝の事。


「う〜〜〜ん······どうしようかな?どっちを着てこうか······?」



今、私は悩んでいます。

場所は自宅の自室。

悩んでる正体は目の前のベットの上に置かれた体操着。時期的には半袖シャツとハーフパンツなんだけども。

それともう一点はクローゼットに吊るしてある制服。

制服といっても、こちらはYシャツとスカート、リボンの3点なんだけどね。


ちなみにブレザーはもう着ていってないよ。

一応衣替えは6月って事になってるけど、6月を待たずにもう既に暑いからね。GW辺りから着てくのはやめたんだ。

ちなみにこれは去年もそう。

天気にもよるけれど、晴れると5月にならなくても結構暑くなる日もあるからさ。

そういう訳で春先のブレザーを着て行く日は、意外と少なかったりもする。

そしてそれは先生方もそういう所は分かってるのか、小言を言ってくることも無いので、こちらとしては助かるんだけどね。


そして意外な事があって······。

このブレザー、私が着用して行かなくなるとみんなも着なくなってくるんだよね。


「このはちゃん、もうブレザー着ないの?じゃ、私もやめよっかな。」

「私もそうしよう。もう暑いしね!」


そんなノリと感じでさ。

それに何故か私に合わせるという、よく分からない不思議なみんなの行動なんだけど、何となく理由はわかってる。

1つは衣替えまでという規則。

2つ目が先生からの小言。早い時期から着て来ない事で、何か注意されるんじゃないかと思ってるみたい。

誰もが注意とかされたくないと思うのは当然の事で、それで我慢をしちゃうんだよね。

そこに私という前例があると、私が注意をされないのもあって勇気が出るらしいんだ。




(さて······どうするかな?やっぱりこっちにするかな。)


昨日から悩んでたこと。





   ーーーーーーーーーー




昨日の帰りのHR(ホームルーム)での事。



「········で、明日の朝の事なんだが基本は去年と一緒だ。いつもの時間に出席を取った後に、各自椅子を持って校庭の指定テントまで行くからな。そういうスケジュールだから、各自出席確認までには体操着に着替えておくように。それと登校は制服でも体操着でも構わんぞ。終わり次第解散になるから、ぶっちゃけ制服はいらんしな。手間になるし。」


そう話をした高橋先生。

たしか去年も同じ様な事を言ってたなと、思い出した。

それで確か私は······、制服を着て学校に行ったんだったよなーと。



「ねーねー。みんなはどうする?」


「ん?明日の朝の事?」


「そうそう。制服にするか体操着で来るか······悩まない?」


みんながいつものお昼みたいに集まって、早速話を始めた。

普段なら部活とかがあるから比較的早くに解散していくんだけど、今日は明日の準備とかで中止だからね。

だからこうして放課後に話が出来るという訳です。

ちなみに準備の方は、先生方と生徒会、体育委員が中心になってこれから始めるみたいです。



さて、話の内容は明日の登校をどうするか?についてらしい。

年頃の女の子には難しい悩みだよね〜。

理想としては体操着なんだろうけど······。



「私は制服しかないね。面倒だけどさ。」


「あ、私も制服派だよー。」


「うちもー!」

「はーい。私もね〜。」

「同じく制服一択です!」


「あー······みんなは電車だっけ?」


「「そうそう。」」

「体操着で電車は流石に無理だよ。ダサすぎて恥ずかしいよね〜。」


と言うのは、登校に電車を使うみんなの意見みたいです。

でもこれは納得出来るよ。

私も体操着姿で電車には、ちょっと乗れないなとは思うから。

ジャージは流石に論外なんだけど、半袖とハーフパンツはそんなにダサくはないと私は思ってる。

だけど、やっぱり······ね。

電車だと色んな人が乗るから余計に変に思われやすいし、変と言っても『何かスポーツをやりに行くのかな?やってきたのかな??』くらいに思われるくらいだとは思うけど。



ちなにみバス派の子は、体操着の方が多かったね。

理由は、バスに乗っちゃえば桜ヶ丘高校の生徒しか乗ってないからと言うのが主な理由。

それならバスの中で体操着という違和感はあっても、お互いに見慣れてる服装だからそこまで気にしないかな?だってさ。

専用のスクールバスだから、まぁ当然なんだけどね。



「このちゃんはどうするの?」


「私?」


「そう。このちゃんは自転車でしょ?自転車の子も少なからずいるから、どうなのかなーって?」


「そうだね〜···。正直いって悩んでるよ。」


話を振られたから答えたけど、高橋先生が話した時から悩んではいたんだよね。


「去年は制服を着て来たんだけどさ、更衣室が激混み過ぎてえらい目にあったからね。あれをまた今年もいうのはキツイかな?とは思うんだよね。」


「あー、更衣室ね。分かる分かる!!」

「そうなんだよね。制服組のキツイところ、更衣室問題。私も早い時間に来たけど大変だったよ〜。」


そう、1番の問題は更衣室が激混みする事なんだよね。

体育を想定して広くは作ってあるけど、短い時間に殺到するもんだから混むんだ。

それにロッカー数も足りないから、体育の授業の時と違って一時的に制服をロッカーにしまうという事もしないの。

だからまたバックに詰めて教室まで持って帰るという手間とかそういうのが増えるんだよね。



そんなやり取りのあった、昨日の放課後なのでした。 




   ーーーーーーーー




「うん。やっぱりこっちにしとこうかな。」



悩んだ末に私が選んだのは体操着を着て行く事でした。

まぁ、昨日の段階で決まってた様な気がしなくもないけどね。


理由は制服で行っても荷物になるし更衣室は混む、それでいて要らない手間もかかるというのが1つ。

あと1つの懸念してた、体操着で外を出歩くというのも考えてみれば、私には大した事がないという事が分かったんだ。


それは今日が土曜日だから、交通量も平日よりは少ないという事。

今は働き方改革とかで色々と言われる時代だから、週末の会社休みというのが昔より増えたと思うんだ。

そのせいなのか土曜・日曜の朝方って極端に車の交通量が減ってると感じる。通勤車っていうのがあまりないから。

ついでに歩行者、この場合は他所の学生さんだけど学校が基本休みだからまず見かけないというのもあるよね。

あとはまぁ·····、私の家の地区は昔ながらの住宅地区というのもあるんだ。

通学路も畑とか田んぼの脇の道を通ったりするのも多いから、そもそもの交通量が少ないの。



だから朝に限って考えれば、人目をそんなに気にせずに行けるということ。

帰りは······すれ違うのが車相手ならスピードもあるから、そんなに見られることもないね。



決まれば後は早いよ。

体操着を持って1階の洗面所へ向かうだけ。

だけどその前に······。


「ふふ。相変わらずに可愛いね♡雪ちゃん。」


ベットで寝てる雪ちゃんの頭をナデナデします。

この毎度の行為も既にルーティン化しちゃってるので、なんの違和感もなくやってしまうよね。

私に似てサラサラの白い髪の毛。

子供特有のぷにぷにとして、モチモチの肌。 

本当に気持ちいいんだ、これがさ。

いつまでも触っていられる、そんな病みつき感があるけど、触ってるのも程々にして終わりにします。

やる事をやらないとね。



体操着その他諸々を持って1階の洗面所へ向かいます。

部屋を出て廊下を歩き階段を降りて。し〜〜んと静まり返っている家の中。

休日だからお母さんも当然まだ寝てるしね。

そんな中、私はいつも通り私と雪ちゃんの洗濯物を洗濯機に入れて洗います。

家を出るまでには余裕を持って干せる時間があるから、安心だよ。


あとは身支度。

服装は決まったから後は髪型だけど、運動をするからポニーテールかな。

誰かの髪を作るのに編み込んだりとかは色々出来るけど、自分のってなるとそういうのはちょっと難しい······。

だから簡単に纏めて出来る、ポニーテールとかそうのになっちゃうよ。

でも意外とこのポニーテールとか気に入ってるんだよね。

ロングヘアー一択だった私が、たまにだけど作る時もあるくらいには。


挿絵(By みてみん)


「一先ずはこれでいいかな?」


髪を整えて着替えて、1度全身をチェックして後は出掛ける前に最終調整をすれば良いからね。

その後はリビングに戻って朝ごはんの準備とお昼の用意かな。

簡易的だけど、おにぎりとか手軽に食べられる物を用意して持って行くつもりだし、水筒もやや大きめのを用意して持ってこう。

観戦スペースの所はテントが設置してあるので、直射日光はある程度防げるけど暑くなるかは分からないし。

それに運動もするから、普段よりは飲んだりするからね。





「行ってきまーす。」


「行ってらっしゃい。雪ちゃんは任せてね!」

「まま、いってらっしゃい。ゆき、良い子にしてるからね。」



雪ちゃんに手を振り、お母さんと雪ちゃんに見送られて玄関を出ます。

出る時に雪ちゃんが笑顔だったので、一安心ほっとしたよ。


実は朝ごはんを独り食べながら、雪ちゃんをどうしようかなって考えてたんだよね。

お母さんに日中はお願いしてあったんだけど、考えてたのは起こす時間の方。

普段の休日は起きるまで寝かせておいて、それでも8時くらいには自然と起きてくるんだけども、私が学校へ行くのもあるからそれだと触れ合いの時間が少なくなっちゃうからね。

結局少し早めに起こしてあげて、触れ合いの時間を作ったんだ。

それが良かったのか、先程のお見送りの時も機嫌が良かったけどね。

まぁ日中は幼稚園に行ってるから、それで私が居ないのに慣れてるのもあるんだろうけど。


こういう成長も嬉しいと言えば嬉しいけど、同時に寂しさもあるよね。

まだ先ではあるけれど、いずれは友達同士で遊びに行ったりする事もあるだろうし、買い物とかも付いて来なくなるとかさ。

親としては複雑な想いです······。





さて、気を取り直して学校へ行きましょう。

スポーツバックを自転車に乗せて学校へと進む私。

予想してた通りに、車の通行量も平日と比べると格段に少ないね。

それにバッグも普段よりは凄く軽いから、ハンドリングも自転車を漕ぐのもいつもより楽。

これはバックの中にお弁当と水筒、それとやや大きめのタオルと少々の小物。これくらいしか入ってないから、本当に軽いの。

だから、普段より凄く快適に行けるよ♪


普段の朝とはまた違った、ウキウキ気分で自転車を進める私です。

その理由はバックが軽い以外にもあって、生理がタイミング的に被らなかったのが、気分的も凄く影響してる。

私はもう周期がしっかり安定してるから予測も簡単だし、最悪(多い日)の場合はずらすのも考えてはいたけどね。


こういうイベント事、特に今日みたいな運動ものとか行楽地に遊びに行くとか泊まるとか、そういのに重なると凄くテンションが下がるんだよね。

あぁ、あと夏場のプールとか海水浴とかも。

プールなんかはそのまんまアウトだし(少ない時はそれなりの対応で入る人もいるらしい)、人によっては頭痛や腹痛、気分が悪いとか諸々の症状が出たりもするからね。

だから女性って本当に大変だよ。

来る事は変えられないから、それに付き合うかずらすしかないんだけど、ずらすにしても費用とかは掛かるからね〜。


その代わりと言ってはあれだけど、良いことも沢山あると私は思っている。

私の場合は雪ちゃんに出逢えた事。これが1番大きい!

お腹の中で育てて産み、また子育て。

色々とあったけど、女性として生まれる事が出来て私は良かったと思ってる。





  ーーーーーーーー



「おはよーー♪······おぉ。」


いつもの様に教室の扉を開けてみんなに挨拶······をしたんだけど、つい変な声が出てしまった。

みんなに聞こえてなければいいけど······。


「あ!このはちゃんだ!おはよーー♪」


「おはよー、このはちゃん。」

「「「おはよー♪」」」



茜ちゃんを筆頭にみんなからも挨拶を返して貰って。

よかった。聞こえてなかったみたい「『おぉ』って、どうしたの?このはちゃん??」······茜ちゃんにバッチリ聞こえてたらしい···。

まぁ席も私の隣で扉からも近いから、そりゃあ聞こえるか〜。


「何々?どうしたの?このはちゃん??」


みんなが続々と集まってくる。

この辺りはいつもと変わらない、一緒なんだけどね。



「いや〜···、教室に入った瞬間にみんなが体操着だったから、一瞬違和感を感じでつい、ね?」


「「ああー、なるほど!」」

「分かる分かる!」

「教室の中で皆が体操着姿だと、違和感あるよねー。」

 

······よかった。

違和感を感じたのは私だけじゃなかったらしいです。

分かってはいたんだよ?頭の中ではね。

高橋先生も言ってたし、私もどうするか悩んでたくちだから。

でもやっぱり実際に見ると、違和感が凄くてさ······。


「このはちゃんは結局、体操着で来たんだ?」


挿絵(By みてみん)


「うん。悩んだけどね、人目も大してないし結局楽だからさ。こっちにしちゃった。みんなも?」


「うん、そうだよ〜。私ら、バス組だからね。」

「そうそう。路線は違うけど、私んとこも殆どの子は体操着だったね。」


なるほど。

やっぱりバス組の子は体操着着用派が多かったみたい。

学校専用のバスだからそこまで気にする必要性もないか。


「あれ?茜ちゃんは?たしか···自転車だったよね?」


「うん。私も体操着で来たよ。荷物が増えるし激混みの着替えもヤだったから。」


「ああ······同感。じゃあ、今ここにいない子は着替え中かな?」


「多分そうかな?制服で教室には来てないから、直接行ったんだろうね。」



そっかーと納得しながら、同時にがんばれ!ともエールを送る。

あの混み混み具合は、体育祭が始まる前から体力・気力共に減らされるからね。

そして疲れるからね。



頑張れ!みんな!


いつもご愛読頂き誠にありがとうございます。


今回から暫く体育祭編をお送りしたいと思います。

どうぞ宜しくお願いします。



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