ある雨の日の出来事① 高1(挿絵有り)
2023.10.11 加筆修正致しました
リビングのカーテンを少しだけ開けて、外を確認する私。
すると、外はどんよりした雨雲が空を覆っていて、しとしとと雨が降っている。
この、昨日から降っている雨は今日の午後には上がるみたいだけど、通学時間に降るというのは嫌だな。
濡れるとさ、色々と大変なんだもん。
ザーザー降りじゃないだけマシなんだけど、せめてこれが帰りだったらなとは思わずにいられない。
帰りだったら濡れたって着替え出来るし、お風呂だって行ける。
これが通勤だとそうはいかないからね。
私の通学時間は自転車で10分くらいなんだ。
そんな大した距離ではないけどさ、その事もあってその間だけ止んでくれないかしら?と思ってしまう。
せめて、降りが弱くなって欲しいなぁ〜なんて、都合のよい事を考えながら窓の外を眺めてます。
一通りの支度が終わり雪ちゃんの準備も出来て、今は時間までのんびりしてます。
そう、雪ちゃんを膝上に抱っこして。
可愛いなぁ〜♪頭を撫で撫で。気分はルンルン♪
雪ちゃんのお陰で先程の沈んだ気分があがってきた。
やはり雪ちゃんの存在は私の中で偉大だね。
そんな雪ちゃんは私の膝上でアニメを楽しそうに見てる。
これ、何だっけ?確か外国の作品だったと思うんだけど…。
ネズミと犬?猫?が追いかけっこしてギッタンバッタンしてるやつ。
セリフは殆どないけど、見てて面白いよ。
雪ちゃんもキャッキャッしてるし。
幸せタイムの終わりは早かった。
楽しい時は本当にあっという間に終わるよね。
いつものように、雪ちゃんが玄関で見送ってくれた。
「まま、いってらーしゃい!」
そんな雪ちゃんに今一度ギュッとして頭を撫でます。
「行ってきます。また後でね、雪ちゃん。」
「うん!」
そう伝えると雪ちゃんは嬉しそうに笑顔を見せてくれて、それだけでも私はまた元気なれる。
玄関を出て私は車庫へ向かいます。
空を見上げる。
まだどんよりとしてはいるものの、一先ず雨は弱くなってくれたみたい。
良かった。これなら傘はささなくてもなんとか行けそう。
念の為、鞄を濡れないように処置をしてから傘を持って出発です。
傘差し運転は本来は違反であるけども、雨合羽はちょっとね······。
とりあえず、これなら何とか行けそうなので急いで向かいました。
自転車で約10分。
普段なら大した距離でも時間でもないのに、こういう日だと長く遠く感じるね。
お願い!あと少しだけ天気もって!!
そう祈りながら自転車を漕いで半分も過ぎた頃、あと少し〜なんて思ったらからか、油断をしてしまった。
私の背後から車が来るなって思った瞬間、
バシャ!
そのまま走り去っていく車。
あぁ······。かけられちゃった·····。
あと少し。もう校舎は見えていたのにな······。
確認すると幸いにして車道側の部分だけ、髪や顔には掛かってないのが良かったかな?
最後の最後にありがちな展開が私を待ち構えていた。
駐輪場に自転車を止めてから教室へ向かいます。
とりあえず着替えなくちゃね。
戻ろうかとも考えたんたけどそうすると遅刻しちゃうし、戻るとまたいつ雨が降り出すかも分からないし、また濡れる可能性も否定出来ないからね。
それに濡れたのがシャツとスカートくらいだから大丈夫かなと思って来ちゃった。
幸いにして代わりは体操着があるから何とかなるしね。
でもこのまま着替えると、直に先生が来ちゃうから、うーん······間に合わないな。
一度教室に行って彩ちゃんにお願いしてみようかな。
「おはよー」
挨拶とともに扉を開けて教室に入ります。
私はクラスの中で登校時間がほぼ最後だから、ほとんどのクラスメイトが揃ってるんだよね。
皆が振り返って「おはよう。」とか「このはちゃん、おはよー」って声を返してくれます。
そして集まって先生が来るまでわいわいと話をしてる。
それがいつもの光景。
でも今日は違う。
「このはちゃん、おはよーって、······それどうしたの!?」
皆が私を見て驚く。
そりゃそうだ。スカートもだけど特に上半身、シャツの右側がびっしょりだから。
「いやね、雨が小降りになってラッキーなんて思って油断してたら、車にかけられちゃってさ。参った参った······」
あはは、なんて愛想笑いしながら席に行き、鞄を置く。
本当にそうだよね。
珍しく私らしくない事をしたなと思う。
ザーザーと雨が降ってるならまだしも、一応止んでた時に濡れるとはね·····。
道路が濡れてるから、車の音なんて普段より分かり易いのにさ。
「ねー、彩ちゃん。お願いがあるんだけどいいかな?」
「ん?なーに?」
彩ちゃんに伝言を頼もうと思ったんだけど、どことなく彩ちゃんの目がキョドってる?
どうしたんだろう??
「ちょっと着替えてくるから、もし先生来ちゃったら説明頼んでもいいかな?鞄があるから来てるのは分かると思うんだけどさ。」
「うん。おーけー。任せといて!あと、風邪ひいちゃうから早く着替えに行っといで!」
心配してくれるなんて、優しいね。
ありがとうって伝えてから体操着をもって更衣室に急ぎます。
更衣室はちょっと遠いけど仕方がないよね。
走らないように気をつけながら急ぎます。
濡れたままだと風邪をひく原因になっちゃうから、今日1日は体操着姿かな?
あと、軽くシャツとスカートも洗っとかないといけないね。
染みがつくと大変だから。
帰ってから洗濯をして干して。
あぁ、明日の朝もアイロン掛けをしないといけないから、忙しくなるなー······。
そんな事を考えながら急ぐのでした。
ーー中本彩 視点ーー
もうそろそろ、このはちゃんが登校してくる。
うちらのクラスで、いや、学校全体で1番美しい女の子。
そんなこのはちゃんはクラスの中でほぼ最後に登校してきて、来る時間もだいたい同じだから、時計を確認すれば直ぐに分かる。
ガラガラガラ······
「おはよー」
綺麗な声が入口から聞こえてきて。ほら来た♪
「このはちゃん、おはよーって······それどうしたの!?」
振り向いてそう挨拶をした所で気がついた。
そう、このはちゃんは上半身がびっしょり濡れてたんだよ。
「いやね、雨が小降りになってラッキーなんて思って油断してたら、車にかけられちゃってさ。参った参った······」
あはは、なんて笑ってたけど早く着替えないと風邪ひいちゃうよ?
鞄を置いたこのはちゃんが私のとこに来て、
「ねー、彩ちゃん。お願いがあるんだけどいいかな?」
「ん?なーに?」
このはちゃんを見上げます。私、小さいからね。
あ、ブラが透けて見えてる······。
え!? このはちゃん、気づいてないっぽい?
「ちょっと着替えてくるから、もし先生来ちゃったら説明頼んでもいいかな?鞄があるから来てるのは分かると思うんだけどさ。」
「うん。おーけー。任せといて!あと風邪ひいちゃうから早く着替えに行っといで!」
二つ返事でこのはちゃんからの任務を了承して、早く着替えに行くように仕向けます。
コラ!男子!チラチラと見ない!
このはちゃは気づいてなくても、私達女子には分かってるんだからね!
そう、心の中で息巻く私だった。
その後、直ぐに先生が来て朝のホームルームが始まりました。
「あれ?鈴宮はどうしたんだ?」
と、呟いたので先生に事情を説明しました。
鞄が机に置いてあるのもあり、先生は納得してくれて任務完了です。
「そうそう、今日の体育だが男子は第一、女子は第二体育館で行うそうだから間違えるなよー。」
そんな先生の言葉をぼんやりと聞きながら、先程のこのはちゃんを思い出す私。
今日のこのはちゃんのブラは薄みどり系だった。
どうせこの後の体育の着替えの時に見れるのだけど、こういうシチュエーションで見れるのはまた違ったエロさがあるなと思う私。
同性の身体や下着なんて興味なかったのに、こんなにこのはちゃんの事が気になるなんて······すっかり魅了されてる私なのでした。
その後このはちゃんは、1時間目の開始までには間にあって戻って来た。
半袖、ハーフパンツの体操着姿で。
そして教室の後ろでは、ハンガーにかけられたこのはちゃんのYシャツとリボンとスカートが、1日中ヒラヒラと妙な存在感を出しながら舞っていたのでした。




