ちょっと先の未来の出来事⑥-1 (挿絵有り)
「大っきいねーー!それに広い!」
「そうね、本当に凄く広いわ。日本一の広さってのは知ってたけど、実際に来てみるとその広さが分かるわ。」
そう言って、驚いて感動しているのは私の娘の雪ちゃん。
その雪ちゃんと似たような感想を言ってるのは、母である私で。
見た目はそっくりな私達たけど、感想も似たような事を言ってるよね。
そんなんだから、内心でくすりと笑ってしまう。
「あれ?ママって、ここには来たことないの?」
「うん、そうだよ。ここに来るのは初めてだね。」
「そうなんだー······。ちょっと意外だったな〜。」
そんな事を言う雪ちゃん。
そんなに意外なんだろうか?と、不思議に思ってしまう。
「雪ちゃんが生まれる前からあるのは知ってたけどさ。当時······仮に小学校高学年の私として、するともっと小さい低学年の葵を連れてくるのは大変だよ?高速を使ったって1時間半はかかるし、それにそのくらいの子供だとお店とか見て歩くのはつまらなくて飽きちゃうでしょ? それにそんな遠いここに来るくらいなら、いつも行くショッピングモールに行った方が余程時間もコスパも良いでしょ?」
「確かに······。それもそっか。」
「その後は雪ちゃんが出来たから余計に来る機会はなくなったし······。それに折角来るなら時間に余裕があって、尚且つ雪ちゃんが大きくなってから来たかったっていうのもあったからね♪」
「ママぁ······。」
そう言いつつ、ヘェンス越しに下の風景を見る。
眼下に広がるのは広大な広さの駐車場にアウトレットモールと、それに繋がるショッピングモールの1棟。それに貯水池らしき池と遠くの住宅街。
勿論ここからその全貌が見える訳では無い。
私達の後ろ側にも駐車場はあるし、この足元にも大きく巨大なショッピングモールがある。
そう。
今私達が来てるのは、日本最大と言われる某ショッピングモールなんです。
自宅から少し走って高速道路に乗って南下して、今度は東に行ってと移動すること1時間半弱。
だんだんと見えて来たその建物の大きさに、到着前から「大きいねー!」なんて言って驚いてた雪ちゃん。
そして、あえて屋上に車を停めたんだ。
上から建物を眺めて見たくなってさ。
テレビとかホームページとかで全体像はよく見てるけど、それでも直に見てみたいってのはあるじゃない?
決して、車を停めた場所を忘れそう······なんて事はないからね!
「さてさて、雪ちゃん。どこから見て行きましょうか?」
今回の主役である雪ちゃんに尋ねてみます。
何となくではあるけれど、答えは予想がつくんだよね。
私に尋ねられた雪ちゃんは、「う〜〜ん······」って、腕を組みながら悩んでる。
こんな姿も変わらず可愛いまま。
見ていて飽きないなーって、毎度の事ながら思ってしまう。
「とりあえず、この建物から見て行かない?」
「ここから?」
「うん。それからアウトレットの方に行って色々と見て、最後の残った方を見るとかどうかな?まー、要は行き当たりばったりってやつ?特にこれといって決めないで、気になったら入って見てみるとか?」
「うん、それでいいよ。ってゆーか、私と一緒だね!」
「えっ!? ママと一緒?嬉しいな〜♪」
私と意見が一致と知って喜ぶ雪ちゃん。
そんな雪ちゃんを見て私も嬉しくはなってるんたけど、内心はやはり一緒の考えだったか〜と思った。
そして予想も当たったなってね。
私がこういうショッピングモールに来る場合、目的があって来る時と、特に用がないけど来る時があるの。
そしてどちらの場合も基本的にはブラブラと歩いて、気になったらその店舗に入るというスタイル。
だから今日もそのつもりだった。
そしてさらに、初めての場所でどういった店舗がどこにあるのか分からない状況では特にね。
「じゃ、早速行きますか?雪ちゃん。」
「うん!行こ行こ〜!」
雪ちゃんを促して、ショッピングを始めるべくエスカレーターを降りていく私達。
そんな私の横に雪ちゃんが並んで歩いてくるんだよね。
そしていつもの様に自然と手を繋いで来て······。
こういう所もまだまだ昔と変わらないな〜と、思いながらつい「クスッ」と笑ってしまう。
「ママ、どうしたの?いきなり笑って?何かあったの?」
「いや······。なんでもないよ?」
なんでもなくはないけど、とりあえず誤魔化すことにした私。
言ったところで雪ちゃんが照れるくらいなので、別に話ししたってどってことはないんだけどね。
そんな雪ちゃんもそこまで気にすることもなく、私の手を引っ張り嬉しそうに歩いて行く。
その繋いでる手は指と指が絡み合う、いわゆる『恋人繋ぎ』だった。
こういうのも変わらない。今も昔も······。
私と歩く子は必ず手を握る、もしくは握りたくなるらしいのは。
誰かと一緒に歩いて手がフリーになるのは、大学以外はなかったなーと懐かしく思い出してしまったよね。
ーあるアパレルショップにてー
「ねえ、ママ?これなんてどうかな?」
そういいつつ雪ちゃんが1つ洋服を持ってきたんだ。
そして私の前で服を両手で持って身体の前で広げて見せて、「どうかな?」なんて言って。
······う〜〜〜ん······これは、どう言ったらいいのだろうか?
「雪ちゃん?ちょっと派手······いや、開き過ぎじゃない?その、胸元が。」
「そっかなー?じゃあ、こっちはどうかな?これも気になってたんだよねー。来て来て!」
そう言って先程持って来た服を戻しに行き、次に気になっていたという服をとりに行く雪ちゃん。
そんな雪ちゃんについて行く私です。
きれいに並べられてる洋服の中から、目的のものを探す事少し。
「あった。これなんだけどさ〜、さっきのとはまた違うんだけど······。」
そう言って先程と同じく身体の前で広げて見せてくれる。
確かに最初に見せてくれたのとは、また違う感じの服ではあるけれど······。
「うん。確かにさっきのとは、また違った感じの服だね。」
「でしょでしょ!」
「でも·····なんか露出多くないかな?さっきのもだけど、特に胸元とかがさ?」
「そっかな?私はいいと思うけど······?」
私の指摘にちょっと落ち込んでる風な雪ちゃん。
そんなにこの手の服を着てみたいと思ってるのかな?と、考えちゃうよね。
だって先程持ってきて見せてくれた服も、がっつり胸元が開いてるタイプだったから······。
季節は初夏になって、日向にいると初夏とは思えない程に暑く感じるようになった今日この頃。
そんな気候もあってか、お店のラインナップはすっかり夏物一色になった。
故に生地の薄いものや露出が多いものなども増えてきて、女性としてはある意味で大変な季節にもなってきたんだよね。
薄着になるからどうしても肌を出したり、体型が分かりやすくなったりで、ダイエットしなくちゃ〜ってなったりとかね。
私?
私は変わらずの体型をキープしてますよ?
バランスよく食べ、暴飲暴食はしない。コレ大事。
あと運動ね。ストレッチや筋トレ。
最近は雪ちゃんの手がだいぶ離れたのもあって、週末はジムにも少し通って鍛えてるよ。ダイエットの為のジムではなくて、維持するためのなんだけどね。
そんな私の事は置いといて、問題は雪ちゃん。
今日は妙に露出多め?な服を見てるんだよねぇ······。
こらから夏という時期だから、涼しげなのを着たいのは気持ちとしてわかるけど。
肩から腕にかけてとか背中を少し出すとかなら、まだいいんだよ。私的には。
現に私も雪ちゃんも、今日は結構薄着だしね。
ここ、ショッピングモールなら空調が効いてるからいいけど、アウトレットに行ったら暑そうだもん。
現にここのショッピングモールに向かってる車の中も暑かったよ。
特に日差しね。
だからいくら暑くても、胸元を開けるのは母としてちょっと無理。そしてかなり心配だよ。
ただでさえ可愛いくて目を引く雪ちゃんなのに、そんな事をしたら変な男性が近寄って来るかもしれないでしょ?
そういう心配もあるし、あとは来ないにしても不特定多数の男性に胸元を見られるのが許せないんだよね。
「雪ちゃんどうしたの?今年はこういう感じの服を着てみたいの?」
そんな事を思いながら、ちょこっとイラッとしてる私。
でもそんな所を悟られまいと、至って冷静に普通のトーンで雪ちゃんに尋ねた。
幸いに雪ちゃんは気付いてないないんたけど、歩きながら気になったショップに入っては物色してるんだけど、何故か似たような服を持って来たりもするんだよね。
「うん·····。着てみたいと言うか気になると言うか······。私も結構ママみたいになってきたでしょ?だから、ママみたいな格好をしてみたいんだよ。」
わぉ!
まさかまさかの理由だった。
まぁ······それはそれで嬉しいのだけど、私そんな服着てたな〜〜??
少なくともそんな露出の多い服は着てなかったと思うんたけど······?
「そうだったんだ······。まぁ確かに雪ちゃんもだいぶ育ってきたし、そこは否定しないけどね。でも、何もママを真似なくてもいいんじゃない?雪ちゃんは雪ちゃんなんだから······。」
「そうなんだけどさー······。ママは親だけどさ、同時に私の憧れでもあるからね。」
そう嬉しそうに話す雪ちゃん。
憧れか······。それで私を真似したいと言う訳ね。
若い娘特有のあの有名人と同じ髪型やメイクをしてみたいとか服を着てみたいだとか、そういうものの1つかな?
それで雪ちゃんは、その対象が私だと。
小さい時から私の事を『好き』と言ってくれてたし、大きくなった今でもそれはよく言ってくれてる。
勿論私はそれに応えてあげてるけどね。
それに雪ちゃんは私と遺伝が同じだから、生まれた時に予想された通りに私そっくりになったよ。
身長もやや私の方が高いけど、あと1、2年すれば並ぶかもしれない。
唯一の懸念だった体型もしっかり管理してるおかげか、太ることもなく細くもなくバランスの良くて魅力的ないい感じで。
そして、胸。
私が朝晩とご飯を用意して食べて、日中は給食を食べる。
そのおかげかすくすく育って、今は当時の私と遜色ないくらいまではなってるんじゃないかな?とは思ってる。
同年代の子の中では大きい方だと思うし、形も良いしね。
だから、私の服を着せて黙ってそこにいれば私とはバレないかもしれない······。
いや、バレないね。
身長、体型はほぼ同じで見た目もそっくり。
声もまあまあ似てて、似てない所といえば仕草くらいかな?
それでも家族とか親しい間柄の人、茜ちゃんならバレるだろうけど、それ以外の人ならいけるよ。
ドッキリとしてやってみたら面白いかもしれないね······。
故に先程の服。
胸元を見せるような物だと、ママとしては困るの一言。
とにかく心配で心配で仕方がないの!
「ママは別にそういう服をダメって言う訳じゃなくてね? 逆に心配なのよ?ただでさえ人目を惹くのに、そこに若い雪ちゃんが胸元を見せるような服を着たら変な人が近寄って来ちゃうから! ナンパとかナンパとかチャラ男とか!」
「ママ······最後のあれは何?やたら連呼してたてけど?? でも······心配してくれてありがとうね。私もちょっと浮かれてたから気をつけるよ。」
「うん。そうして。それ以外の肩とかその辺りを出すには別に構わないからね。今日の私達もそんな格好してるしね。あぁ······あと、最後のはママも色々とあったのよ······。それは言わなくても雪ちゃんなら察してくれるだろうけど、良い人もいれば変な人もいるからね。 私達自身で気をつけるしかないわ。」
雪ちゃんも納得してくれました。
雪ちゃんはまだまだ若いし、これからだからね。
もう少し大きくなってからでも、全然間に合うよ。
それに変なのに付き纏われて何かあったら大変だから、ママとしては本当に心配してる。
せめて良い人が見つかってからでもいいんじゃないかなー?と、私は思うな。
「そうそう雪ちゃん。ママの格好とか真似てみたいなら、手っ取り早く私の服を着てもいいよ?サイズ的にはもう問題ないだろうし、買ってまだ着てないのもあるからね。」
「ほんと!? いいの?ママ??」
「いいよ、いいよ。雪ちゃんなら全然オッケーだよ♪一時期だけど、葵だって借りて着たてこともあったからね〜。」
「やったー!さっすがママ!話がわかる〜♪」
雪ちゃんがもの凄く喜んでる。
昔みたいにぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶとかじゃないけど、それでも結構な喜びようだよね。
さっきも雪ちゃんに伝えたけど、サイズ的には問題ない。
気にするとすれば、大半の物は私が1度は袖を通したという事。
言い方を変えればお古というような感じではあるけど、借りる本人が喜んでるので良しとしましょう。
そんな雪ちゃんを見てると、昔、葵とも服の貸し借りを······いや、違うね。
貸しだけをしたなーと思い出した。私は葵からは借りなかったし。
あの子は昔、友達とちょっと出かけるとなると私から服とかを借りて、遊びに行ったりしてたんだよね。
『お姉ちゃ〜ん。ちょっと友達と出掛けるんだけど、洋服借りてもいいかなー??』
そんな具合にさ。
汚さないでねって条件で私も貸してたんだけど、酷いのはアクセサリーなんだよねぇ。
葵はネックレスとかピアス、イヤリングとか借りてくのはいいんたけど、返さないんだよね。
自分の収納の中にしまっちゃうの。
私も高い物を買ってる訳じゃないんたけど、あまりにも続くものだから1度怒ったんだ。
そうしたらブルブルと随分震えて『ごめんなさい。ごめんなさい。』って言って分かってくれたみたいで、それからはちゃんと返してくれるようになったんだよね。
そんな葵との思い出。
······葵はきちんと生活出来てるのかしら?
思い出したらちょっと不安にもなってきたよ······。
近いうちにアパートに不意打ちで行ってみようかしら?
そんな事を思ってしまった私です。
「そういう訳だから雪ちゃん?もし買いたいなら、胸元のあまり開いてないのを選んでね。じゃないとママは買わないからね?」
「うん、わかったよ。ママ。」
頷いて了解をしてくれた雪ちゃん。
これなら当面は大丈夫かなと思う。
雪ちゃんは素直だし聞き分けも良い子だからね。
「じゃあ、引き続き見て行こっか? なんだかんだで、まだメインの所を見てないからね。」
「はーい♪」
そうなんだよね。
ここに来てそんなに時間が経ってないとは言っても、今回の目的てあるお店にはまだ行ってないんだ。
それでも時間はまだまだ沢山あるし、ショップ自体はそれなにりあるから歩いてればいずれ直ぐに見つかるけどね。
私達の時間はまだこれから始まったばかり。
いっぱい楽しむよ♪




