ある日の茜ちゃん①-1 高2(挿絵有り)
(今日は、このはちゃんお休みか〜······。淋しいな〜······。)
先生が話してる授業の最中に、ふと隣の席を見てその様な事を思う。
私の隣の席。
今日はポツンと空席になってるけどそこには本来、綺麗で美しい女の子が座ってるんだ。
とってもとっても綺麗でいて美しくて、ものすごーーく優しいの!!
勉強も出来て包容力が物凄くあって、いつも皆の事を大事にしてくれてる。
その代表例が勉強会で、嫌な顔を1つしないで皆に教えてくれるんだよね。 教え方も上手で其々が苦手な所を丁寧にわかり易く解説、指導してくれてさ。
そのおかげて私達は成績が上がって、皆が凄く喜んでた程なんだよ。
その女の子の名前は『鈴宮このは』ちゃん。
私のとっても大切で、大大大好きな人です♡
女の子同士で?って変に思われても構わない。
そのくらい私は、このはちゃんの事を大好きなんだよ♪
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このはちゃんとの出会いは、去年の高校に入学した時だった。
たまたま同じクラスになったのが出会いの始まり。
入学式の前にクラス分けを見てから各教室に集合だったんだけど、その時にポツンと1人だけ物凄く異質な女の子がいるなーって気付いたんだよね。
これはクラスの皆も同じに思ったらしくて、最初は外国人さんかな?って思った程なんだよ。
だってそれくらい、日本人離れした容姿をしてたんだから仕方ないよね。だって白髪なんだもの。
その後の自己紹介で流暢な日本語で自己紹介をしてくれて、日本人だったんだって知ったんだ。
話してくれた事によると、アルビノという生まれつきの疾患であの姿なんだって。
へぇ~って言うのが、最初の感想だった。
だって、そもそもそういう症状があること自体知らなかったし······。
でもね、そんなこのはちゃんだったけど嫌な感じは全然なくて、寧ろ素敵過ぎていいなーって思っちゃったよ。
で、そんなこのはちゃんなんだけども。
体育の時の着替えや1年生の時はプール授業もあったからその時もこっそりと見てたけど、このはちゃんはスタイルも最高だった。
胸も大きいし腰もくびれてる。で、ヒップもあって同じ女の私から見ても凄く魅力的で美しくて羨ましいプロポーションをしてた。
その点私なんて背はちっちゃくて小学生レベル······いや、今どきの小学5・6年生の方が私より大きいと思う。
そのくらい私は背が小さい。それにもう高校生だから身長の伸びは殆ど期待出来ないしさ。
そんな私だけども、幸いにして胸は良かった。
そこそこ大きくてなってくれたので救われたよ。ここまでペタンコだったら絶望しかなかったからね。
で、いつだったかこのはちゃんがそのスタイルの秘訣を話してくれたことがあって、それを私も取り入れたんだ。
睡眠と食事バランス。
睡眠は幸いにして早めに寝るように心掛けてたから、対して問題はなかった。
で、食事のバランスを今以上に気をつけて取り入れるようにしたんだよね。
私がお父さんの分を含めてご飯を用意してるから、する分には難しくはなかったけどね。
そのお陰かそれを始めてから今現在、胸がまた少し大きくなった。
気のせいかな?って思ったけど、ブラもキツくなってきたから間違いないです。
このはちゃん曰く、胸の成長にはホルモンも関係してるらしくて食事バランス、要は栄養だね。それや睡眠が大切なんだって。
あと成長の期間というのがあるとかで、 初潮から数年間が成長のピークらしいとのこと。
まぁ個人差はあるのだろうけど、こういうのは一般的に第二次性徴でいつも気に変化するから、あながち間違ってはいないと思う。
そして私はこの初潮の開始が遅かったから、まさに今がその成長のピーク!
当時はもう皆が始まってたのに私にはなかなか来なくって、不安にもなってたけど今思えば遅くて良かったなと思う。
普通に始まってれば今頃は特に何もせずピークも過ぎて成長も終わりかけだったんだろうけど、遅かったお陰で今は対策も出来て成長もまだしてる。
身長は無理でもせめて体型だけでも、大好きなこのはちゃんに近づけたくて頑張ってる!
それから1学期が終わって夏休みを経て2学期になった。
その間にこのはちゃんとも仲良くはなったけど、正直に言うとあまり絡みはなかったんだよね。
事が動いたのはこのはちゃんが私達に勉強を教えてくれるようになって、その勉強で分からない所を出来るようになったら、ハグをしてくれるご褒美がついた事。
これが私にとっての転換期だった。
初めてこのはちゃんにギュッとして貰った瞬間に、私の心が満たされた感じがして凄く凄く幸せな気分になれたの!
今現在はその理由も分かっているけれど、その当時はどうしてそんな気分になったのかは分からなかった。
それにこのはちゃんにギュッとされると、身長差的にこのはちゃんの胸に私の顔が埋もれるんだよね。
そしてそれが温かくて柔らかくていい香りがして·····。
私はこのはちゃんの虜になった。
元々憧れてたから虜になるのは一瞬で、それからの私はこのはちゃんに甘えるようになった。
移動の時は手を繋いだり組んだり、時には抱きついてみたり。
そんな私の行為に対してこのはちゃんは嫌な顔を一つもせずに、私を受け入れてくれた。
皆がこのはちゃんの事を『優しい』とか『おおらかだよね』とか、『面倒見が良い』とか色々と語ることがあるんだけど、正しくその通りなんだよね。
そんなこのはちゃんをますます好きになって、文化祭で娘がいるって知った。
子供がいるという事実に驚いたけど、ショックはなかった。
寧ろ納得出来たんだよね。
子供がいるからこそ、この性格なんだなって。
そしてリアルでお母さんやってるという嬉しさ。
そして3学期。私は倒れた。
理由は何となくわかってるつもり。
だけど倒れる寸前までそんな兆しはなかったから、倒れた事実に後々だけど驚いたんだ。
で、そんな倒れた私をこのはちゃんが保健室に連れて行ってくれて介抱してくれたらしい。
くれたらしいってのは倒れてから目が覚めるまでの記憶がなくて、後に養護の先生からそう聞いたから。
記憶にはないんだけど、夢は見たような気がするんだよね。
今はもう殆ど覚えてはないけれど、私に似た髪の長い女性のおっぱいを吸ってる夢。
多分あれは、私のお母さん。
自宅に残ってるアルバムにあるその人。
お母さんは私が幼稚園に入って直ぐくらいに亡くなっちゃったから殆ど記憶になくて、一緒に写ってる写真も少ない。
そんなお母さんらしき人の夢を見たせいか、目が冷めた時に心配そうに見つめてる髪の長いこのはちゃんを、お母さんと間違えて泣きついてしまった。
髪の色が全然違うのにも関わらず······。
今思い返すとあれは、私がボ~っとしてたのもあるけれど、このはちゃんのあの心配そうに見つめる表情や仕草、雰囲気といったものが子供を心配そうに見つめる母親そのものだったからに違いない。
そして心配そうにしてるこのはちゃんに私の家庭の事をお話したの。
わんわんと泣いたのもあってか、話しだしたらそれまでの抑えてた感情がどんどん溢れてきちゃって色んな事を話してしまった。
それに話す予定のなかった、私がこのはちゃんに抱いてた想いまで。
正直引かれる、嫌われると思った。
ただのクラスメイトである私に、こんな想いを持たれて今まで接して来られてたなんて知ったらさ。
それでも、溢れる想いは止められず結局は最後まで。
そんな話をしてる間、このはちゃんは静かに聞いていてくれたの。
そして最後にはこんな私を受け入れてくれて、変わらず甘えて来ていいよとまで言ってくれた。
私のことを『好きなんだよね。』なんてことも言ってくれてさ、私は幸せで嬉しかった。
ここに第2のお母さんみたいな存在の人に出会えて······。
それからの日々、私は毎日が楽しくて幸せだった。
学校なんてそんなに好きでもなかったのに、今では学校に行くのが待ち遠しく感じてて楽しく過ごせている。
それもこれもみんなこのはちゃんが居てくれるから。
このはちゃんに言われた通りに、時と場を考えて手を繋いだり抱きついたりして。
幸せだった。あの時までは。
それは進級に伴うクラス替え。
春休みになり、LI◯Eでやり取りをしたり電話をしたりはしてたけど、いざその日が近づくと不安で不安で仕方なかった。
クラスが別に別々になったらどうしよう?
1年間も別のクラスになったら、やっていけないよって······。
不安すぎて朝ごはんも碌に喉を通らず、そのまま学校に来てしまった。
そして探す。名前を。このはちゃんの名前を。
2年1組、2年2組と順に名前を探し、とうとう3組で『鈴宮このは』という好きな人の名前を発見した。
あとは私の名前があれば······。
早る気持ちを抑えながら、このはちゃんの下を確認する。
私は『諸貫』だから最後の方。
そして見つけたわたしの名前。
「やった!やったよ!!」と心の中で叫びながら、溢れそうになる涙を必死に堪える。
こんな所で泣くわけにはいかないと。
そしてキョロキョロと辺りを見渡して、このはちゃんを探す私。
ここには居ないみたい。もう教室かな?と思ったら、駐輪場の方から歩いてくるこのはちゃんを見つけたんだ。
その瞬間に走り出してこのはちゃんに抱きついて、泣き出してしまった。
今さっき『泣くわけにはいかない』って思ったばかりなのに。
泣いた私を見て「クラスが別になった?」と勘違いしたこのはちゃん。
一緒のクラスになれたんだよ!って伝えたら喜んでくれて、「遠慮しないで甘えて来ていいからね。」なんて言ってくれた。
また嬉しくなって抱きついて······。
久しぶりに会ったリアルこのはちゃんは、相変わらず美しくて優しくて慈愛に溢れれて、私を安心させてくれる。
変わらないこのはちゃんが、そこにいた。
始まった新学期。
そして席替え。私は動いた。
このはちゃんが教卓の前を希望するのは、去年1年間を通して決まったもの。
ということは、逆に考えるとこのはちゃんの隣は狙いやすくなるという事。
基本的にここは、皆の嫌いな席位置だからね。私だって昔は嫌いだったし。
席替えが始まり、やはりこのはちゃんは教卓前を希望した。
いつもの如く場所が場所なだけに反対意見もなく、あっさりと決まる。
そして動くならここ!
高橋先生の言葉に私が挙手して、このはちゃんの隣を希望したんだ。
みんなもポカーンとしてたけど、ここも教卓の前なだけに反対もなく決まる。
やった!やったよ!このはちゃんの隣をGETだぜ!
最近はこのはちゃんのお陰で勉強も嫌じゃなくなってきてるから、教卓の真ん前でも嫌じゃないし、なによりこのはちゃんの隣。
机をくっつけるのもできるし、お喋りもしやすい。
そしてこのはちゃんが隣にいるという安心感······。
これこら次までの約2ヶ月間は幸せなだなぁ♪と私は感じた。
そうそう。驚いたこともあったね。
あれは志保ちゃんが持ってきた雑誌で、このはちゃんがウエディングドレスを着て表紙を飾ってた。
みんなは直ぐに分からなかったみたいだけど、私は直ぐに気がついたよ。
そして皆がキャーキャー言って見てる間に、早速密林さんでこの雑誌を3冊購入した。
雑誌が雑誌なだけにそんなに取扱数もなかったけど、無事購入できたのでよかった。
志保ちゃんと同じ様に1冊は観賞用にして、あとは飾り、保存用に取っておくつもりだったんだ。
その後まだキャーキャー騒いでる皆に、「買わないの?」と促してみた。
騒いでたのが一転して、皆がスマホに齧りついたのにはちょっと笑ってしまったよ。
私が購入した時点で密林さんはあまり残ってなかったから、他のサイトで買うのかな?買えると良いねと思いながら、このはちゃんを待つのでした。
翌日、お急ぎ便で頼んだその雑誌が到着して早速拝見。
ああ······。やはり素晴らしかった。
白のウエディングドレスを何着か着て撮ったみたいだけど、どれも素敵で美しくて見てて涙が出てきたよね。
笑顔だったり照れ顔、いろんな表情に様々な角度、位置からの撮影。
うん!すばらしい!!
カメラマンさん、良い腕してるよ!さすがプロだね!! そう思った。
このはちゃんの白い髪の毛。最近はなんか銀髪っぽく見えるんだけども。
それに白い綺麗な肌に吸い込まれるような赤い目。
ドレスと合わせると白色ばかりで一見すると、あれ?どうなんだ??って思うんだけど、これを見るとその考えは一瞬で吹き飛ぶ。
そのくらい美しく幻想的だった。
ファンタジーな作品に出てくるような、お姫様や女神様みたいでとっても美しく綺麗♪
この姿や笑顔が特定の男の人に行く予定もないのがまた嬉しくて、結局1時間も眺め続けちゃった♡
そして先日の体育での着替え。
この日のこのはちゃんは赤系の下着を身に着けてて、細かくて綺麗なレースが大人の女って感じさせてくれる。
そして凄くセクシーで魅力的で、私は見てるだけでもヤバかった。
他の子も似たようなのを着けてる子もいたけれど、やっぱりこのはちゃんにはちょっと及ばない。
そういう私はもっと及ばない······。
白色の下着にこれといった飾りもない子供っぽいやつ。
地味で飾り気のないそれは、このはちゃんと比べると天と地の差があって凄く悲しくなる。
上下、下着姿になってこのはちゃんに思い切って尋ねたの。
「私って子供っぽいかな?ほら、コレ······」と。
そう言いながらブラを引っ張ったりしてたから、中身がこのはちゃんに見えたらしい。
でも構わないよ。このはちゃんなら······。
裸が見たいって言われれば、このはちゃんにだけなら見せてあげる気持ちはある。
まぁ、このはちゃんはそんな事言わないけどね。
で、このはちゃんは色々と話してくれて私も納得したし、嬉しかった。
お世辞だろうけど、このシンプルな下着も可愛いよって言ってくれたのは嬉しかったし、何より一緒に買い物に行く?って言ってくれたのが特にね。
私にはお姉ちゃんがいるけど、小さい子供がいるから一緒に買いに行くことがなかなか出来なくて、いつも1人でサイズだけみて買ってたんだよね。
1人でデザインあれこれ見てるのがつまらなくて。あと、恥ずかしいのもある。
それがこのはちゃんと一緒に買い物に出かけて、選んでもらった下着や洋服を着る。
うん!凄く良いよ!
そうすればこのはちゃん好みの女の子になれるかもしれないね!
その時はそう思ってうんと喜んだ。
更衣室からの帰り道。
恐れていたことに更衣室での私の様子が変だったと、このはちゃんに聞かれた。
しどろもどろになってると「言い難いなら別にいいよ。」と、言ってはくれたけど、このはちゃんに隠し事をするのは嫌だったので正直に話したんだ。
周りに聞かれると恥ずかしったから、耳打ちにしてもらったけどね。
話をして、死ぬほど恥ずかしかった。
そして嫌われると思った。
女の子同士で、よりによってこのはちゃんに対してこんな風に思ってしまって······。
普段の私は皆がいる中で、あんな風に下着姿で「どう?」なんて聞かないよ?
いつもはシャツを着てからハーフパンツを脱いでスカートを着るし、それに「勝負下着もってるの?」とかそんな失礼な事も聞かない。
今日辺りがいつもより特殊な日で、このはちゃんの下着姿がトドメになったのは否定しないけど、それでも悪いことをしてしまったと後悔した。
それでもこのはちゃんは私を慰めてくれて、受け入れて優しくしてくれた。
本当に私は、このはちゃんに救われているなと思う。
そんなこのはちゃんだから、私はこのはちゃんの事をとても大好きで愛してる♡
それが女性が男性に向ける好きなのか、又は子供が母親に向ける好きなのかは、私にはまだ分からないけど······。
ぽっかりと穴があいてしまった私の心を埋めてくれて、暖かい気持ちにさせてくれるこのはちゃん。
いつでもどんな事でも嫌わないで受け入れて優しくしてくれて、支えてあげると言ってくれたこのはちゃん。
私のお母さんじゃないのに、お母さんみたく接してくれるこのはちゃん。
そんなこのはちゃんが、とってもとっても大好きだよ♡
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空席を見つめながらため息をつく。
早く時間が過ぎないかな?と。
でも、このはちゃんのいない学校は時間が凄く遅く感じて辛い。
休み時間にちょこっとこのはちゃんの席に座ってみたりして、温もりがないかな?なんて、あるわけもない物を求めてみたりしてね······。
明日はこのはちゃん来るだろうか?来てくれると良いな。
そんな事を考えながら、このはちゃんのいない1日を乗り切ろうとする私でした。




