ある日のG.W① 高2(挿絵有り)
「荷物持った?忘れ物はない??」
「うん、大丈夫ー!」
「ゆきも、だいじょ〜ぶ。」
お母さんの確認する声が聞こえる。
それに対して葵と雪ちゃんが返答を返してる。
私はというと、今一度家の中の戸締まりを確認してる所です。
各部屋の窓ガラスの施錠を確認してガスの元栓を締めて、照明や家電類のつけっぱなしはないか、そういうのを一通り確認して。
うん。大丈夫だね。
あとは玄関を閉めれば大丈夫っと。
「お母さん。こっちも大丈夫、問題なかったよ。」
「ありがとね、このは。じゃ、行きましょうか?」
お母さんに確認の連絡をして、車に乗り込みます。
運転はお父さん。
疲れたらお母さんでも私でも運転は出来るけど、まぁおそらく運転することはないでしょう。
そこまでの長時間運転でもないからね。
助手席にはお母さんが座って、私達はその後ろに雪ちゃんを真ん中にして座ります。
お父さんのワゴン車は、真ん中が3人座れるのでこういう時は便利だなって思うよね。
そして出発です。
向かう先は新潟のお母さんの実家。
年に3回ほど行くうちの1回で、今は5月のG.Wなんだよね。
冬と違って暖かいし(暑い時もあるけどね)、荷物も少なくて済むから冬場よりも楽。
それに何と言っても、道中に雪がないから冬と比べると圧倒的に早く到着するからさ。
そこが1番楽だと思う。
まぁ冬は冬で雪があるから、雪ちゃんは大喜びだし一緒に遊んでるのは楽しいから、それはそれで良いことも沢山なんだけどさ。
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そして早くも新潟のお婆ちゃん家に到着した。
道中はトイレ休憩も含めて3時間もあれば着くから、この時期は本当にいいよね。
お父さんも安全運転で気をつかったりはしてるけど、雪道程は神経も使わないし疲れてもいない感じだから。
そんなお父さんに感謝しつつ私達は、車の中でDVDを流しつつ葵と雪ちゃんと3人で遊んでた。
雪ちゃんももうすぐ6歳だし簡単なカードゲーム、ババ抜きとかそういうのは出来るから遊びの幅は増えたよね。
そして、みんなで纏まって車に乗って移動をするっていうことも少なくはなってきたから、これはこれで楽しいんだよね。
「「「ただいまー!」」」
「こんにちは。ご無沙汰してます。またお世話になります。」
「おぉ!いらっしゃい。待ってたよ。」
「みんな、道中お疲れ様だったね。ささ、中に入って休んで休んで。」
お婆ちゃん家に到着して、みんながそれぞれに挨拶をします。
お爺ちゃんお婆ちゃんも変わらず元気そうでホッとするよね。
まぁ、お爺ちゃんお婆ちゃんといってもまだまだ若いから、大丈夫だとは思ってるけど······。
「雪ちゃんも、また大きくなったね〜。」
「うん!雪ね、ねんちょーさんになったんだよ!」
「そうかいそうかい。それはよかったね〜。」
「うん♪」
「あんな小さかった子がもう年長さんか······。時間が経つのは早いねー。」
「ほんとよね〜······。」
居間でお婆ちゃんの出してくれた飲み物やお菓子なんかを食べながら、みんなで近況の事を話したりして談笑をしてます。
そしてその中での話題はやっぱり雪ちゃんなんだよね。
私と葵はもう年齢的に見た目の変化は殆どしないけど、雪ちゃんはまだまだ大きくなるからね。
そしてそれは日に日にどんどん変わってるから、年に3回しか会えないお爺ちゃん達にはそれが新鮮でとても楽しみな事なんだって。
会う度に身体が大きくなってて、言葉遣いや仕草もしっかりとしてきてと変化があるから。
そういうのがあるから、今回みたいに来る日を楽しにみにしてるみたいでさ、近況報告も含めて話の中心になるんだよね。
最初の顔見せこそ、お母さん達のアレと私の事情も含めてドッキリ的な感じにはなってしまったけど、それでもその後はみんなが受け入れてくれて凄く可愛がってくれてる。
それに以前にお母さんが教えてくれた話だと、あの顔見せの後にご近所さんに「ひ孫が生まれたんだ」と、話したりしてるとかっておばさん経由で聞いたとかって言ってた。
それにこれは私の時もそうだったらしいけど、見た目が特殊だけどそれが嫌な感じにはならないで、逆にかわいらしく見えるんだってさ。
今となっては私もみんなからそう言われるけど、その唯一無二の特徴がお婆ちゃん達にも誇らしいらしく、自慢したくなるんだってと教えてくれた。
照れくさい話ではあるけれど、でも、特殊な出生である雪ちゃんが家族の一員として受け入れてもらえたのは、母としてとても嬉しく感じているよ。
さてさて。
実は今回の帰省で楽しみな事が2つほどあるんだけど、その1つがもうそろそろやって来るはずなんだよね······。
いつもお母さんが新潟で休憩をするS.Aで、お婆ちゃん達に連絡を入れてるから、それに合わせて来てくれるんだよね。
ピンポ~ン♪
ガラガラガラ······
「おじゃましまーす!」
来た来た。
お婆ちゃん家のインターフォンが鳴ったと思ったら、即玄関が開いて元気な声が聞こえてくる。
「久しぶり〜〜♪お姉ちゃんに葵ちゃん、雪ちゃん!」
「久しぶりだね、陽菜ちゃん。」
「やほー♪陽菜!」
「はるねぇ〜!」
雪ちゃんが陽菜ちゃんに突撃して行った。
そんな雪ちゃんを受け止めて、嬉しそうにしてる陽菜ちゃん。
「雪ちゃん、また少し大きくなったね?」
「うん!ゆきねー、ねんちょーさんになったんだ!」
「そっかそっか〜。良かったね〜。」
そんなやり取りをする2人。
陽菜ちゃんはお母さんのお姉さんの子供で、私達とは従妹になるんだよね。
歳は私の妹の葵と同い年でとても仲が良くて、私達がこっちに遊びに来るときは必ず向こうの叔母さんの家に一泊するくらいなんだよね。
性格も今は葵と似たような感じで、そういう所も葵と馬が合うみたい。
今夜も晩ごはんを食べた後に、泊まりに行く様な事を話ししてたからね。
そしてこの陽菜ちゃん。
雪ちゃんを結構気に入ってて、可愛がってくれてるんだよね。
私が初めて雪ちゃんを連れてきた時から興味津々で構ってくれて、そらからは毎回相手をしてくれて。
そんな陽菜ちゃんに雪ちゃんも懐いてるから、それがまた余計に嬉しいみたいでさ。
私としては嬉しい限りなんだよね。
でも、楽しみなのは実は陽菜ちゃんではないんだよ。
もう一人の子で······。
「ねーね!」
タタタタッ···ドンッ!
「おっと······。よしよし。大っきくなったね〜、風花ちゃん。」
「ねーね。いい匂い〜すき〜。」
走って来て私に抱きついて来たのは、陽菜ちゃんの妹の風花ちゃん。
実はなんと!
陽菜ちゃんに妹が出来たんだよね。
黒髪でショートヘアの髪型をしてて、姉妹だから陽菜ちゃんの小さい頃とそっくりな、そんな女の子。
雪ちゃんが生まれた年の次の年に生まれたから、1歳程違うのかな。
陽菜ちゃんとも10歳程違うんだけど、それまで一人っ子だったから生まれた時に凄く喜んでたのが印象的でよく覚えてる。
頑張ったね〜叔母さんって思ってる。
「お久しぶりね、このはちゃんに葵ちゃんに雪ちゃん。」
「こんにちは。皆、元気そうでなりよりだよ。」
「お久しぶりです。叔母さん、伯父さん。」
「こんにちはー。また今日もお世話になります。」
「こんにちは〜。」
少し遅れてやって来た、叔父さんと叔母さんにご挨拶。
この叔母さんがお母さんのお姉さんで、陽菜ちゃんと風花ちゃんのお母さんです。
「もう···風花ったら早速このはちゃんにべったりね。疲れてるだろうにごめんなさいね。」
「いえいえ。このくらいは大丈夫ですよ。それにこうして懐いてくれると私も嬉しいですから。」
私は抱きついてきてる風花ちゃんの頭をなでながら、そう叔母さんに答えます。
実際にこのくらいだったら、全然大した事はないからね。
ストレッチ等を含めた運動も毎日してるし、雪ちゃんもギューってぎゅ~ってしてるからねー。
そしてこうしてる事に嬉しく感じてるのも、また間違いないから。
雪ちゃんが陽菜ちゃんに懐いてるように、この風花ちゃんも私にべったりなんだよね。
生まれて走れるようになった頃から私にくっついて来るようになって、今じゃベタベタに甘えてくる。
当初はそんな風花ちゃんに対して雪ちゃんも嫉妬的な対抗心を持ってたけど、今はそれほどでもないんだよね。
雪ちゃんの中でお姉さん的な気持ちが芽生えたのか、又はいつも私と居られるという安心感的な物を理解したのか······。
だからそれはそれで成長的な物を感じられて嬉しいのだけど、逆に風花ちゃんが大変なんだ······これがさ。
「風花ちゃんって、ホントこのはにべったりよね〜。」
「あー···やっぱり裕子もそうみえる?」
「それはそうよ······。毎回あれを見てればそう見えるもの。」
「母よりこのはちゃんに甘える我が娘······。引き離すのが大変なのよねぇ······。」
「何、姉さん? 姉さんにはあまり甘えないの?」
「甘えては来るけど、このはちゃん程ベッタリは来ないわよ? だから毎回驚くし呆れるのよ······。我が娘なのに母よりこのはちゃん大好きって所にね······。」
そんな話してるお母さん達。
全くその通りで甘えてくるのは一向に構わないのだけど、それが故に大変なの
風花ちゃんが私に甘々なのは私も嬉しいし構わないのだけど、お別れの時が大変でさ。
毎回お別れの時に、わんわんと泣くんだよ。
「ねーねと一緒に行きたい!帰る!」って。
そんな言葉と仕草を見聞きする度に、毎回叔母さんと一緒で心苦しくなるんだよね······。
なんとか説得してお別れして帰る訳なんだけども、叔母さんもその後暫くは大変な思いをするらしいから。
嬉しくも思う反面、申し訳ないなとも感じてしまう······。
あと1、2年かな?
そのくらい時間が経って小学生になれば今よりも物わかりが付いてきたり精神面が成長すれば、多少はなんとかなるかな?とは思ってはいるんだけれど······。
こればかりはなってみないことには、分からないよね〜。
「ねーね?絵本読んで〜?」
「絵本?いいよ。何が良いのかな?」
「えっとね〜······。」
そう言って居間の隣の部屋から絵本を持ってくる風花ちゃん。
お婆ちゃんが私達が来るときは、おもちゃとか絵本とかそういうのを用意してくれて隣の部屋に置いといてくれるんだよね。
それを分かってるから、そこから読んで欲しい本とか遊んで欲しいおもちゃなんかを持ってくるんだ。
「えーと···なになに······。」
風花ちゃんを私の身体の前に座らて、抱きかかえる様なスタイルで絵本を読み始める私。
やってる事は雪ちゃんにしてあげるのと変わらないのだけれど、これが新潟に来た時に新しく出来た私の楽しみな事の1つだった。
向こうは向こうで、雪ちゃんと葵と陽菜ちゃんと3人で何かして遊んでる。
お父さん達男衆は恐らくだけど、もう暫くしたら飲み始めるんだろうなと思う。
これは私達はこの後お買い物に出かけるけど、お父さん達はついて来ないからというのが理由。
ほら、これだけの年頃の娘とかが大勢いるから一緒だと居心地が微妙なんだってさ。
お母さんの家系は女が多くて男の子がいないし、それに私はそうでもないけど思春期の娘が2人いるからねぇ······。
だからお爺ちゃんを含めた男衆で飲んでるのが楽しいらしいです。
そんな様子をチラリと視界に入れながら、絵本を読む私。
「本当、このはちゃんにべったり懐いてるわねぇ〜······。」
そんな叔母さんの声がする······。
ーーーーーーーー
「お婆ちゃん。本当にいいの?」
「いいのよ、このはちゃん。可愛いひ孫の為だもの。気にしないでね。」
「うん。ありがとうね。」
重ね重ねお婆ちゃんにお礼を伝える私。
実は今回の帰省でこっちの、新潟のお爺ちゃんお婆ちゃん達が雪ちゃんのランドセルを買ってあげるって、お母さん伝に聞いてたんだよね。
最初は悪いからって断ろうとしてたんだけど、どうしてもって言ってるらしく結局はその言葉に甘えることにしたんだ。
だってさ、実はランドセルって私のと葵のもこっちのお婆ちゃん達に買って貰ってたんだよ。
だからそこに雪ちゃんのもってなると、さすがに悪くて私としては気が引いてたんだけどね······。
「いいのよ、このは。お婆ちゃん達はそれがまた嬉しくて生きがいなんだから、たまには甘えときなさい。」
そういうお母さんの言葉に「そっか···。」と、それ以上は何も言わず甘える事にしたんだ。
そういう訳で私達は今、ショッピングモールの中のランドセルコーナーに来てます。
お婆ちゃんの家で軽くお昼を食べた後に、車に2台に分けてこちらに来たの。
そう。陽菜ちゃんたちも一緒にね。
その陽菜ちゃんと葵は、到着後早速2人でモール内に出かけちゃったけどさ。
そんな2人を見送って、歩く私達。
私の右手には雪ちゃんが手を握ってて、左手は風花ちゃん。
どつちも嬉しそうにニコニコしてて、これは周りからはどう写ってるのやら······?
地元のよく行くスーパーとかお店なら然程でもないけれど、こういうあまり来ない場所では相変わらずチラチラと見られてるからね。
見た目は兎も角、歳的には姉妹がやっぱり妥当かな?
不思議な見た目の姉妹だけどね。
「相変わらず色んな種類の色があるわよね。」
「本当よねぇ〜······。私達の頃は黒と赤しかなかった気がするけどね······。雪ちゃんは何色がいいのかな?」
「う〜〜ん·········。」
やって来たランドセル売り場には、多種多様なカラーのランドセルがずらりと並んでる。
定番の黒と赤の他にも水色やピンク、青や茶色、物によっては2色で組み合わせてる物まであるよ。
春先になるとこうして売り場の一角にランドセルが並ぶのを良く見てたけど、本当にカラフルで種類も多いよねって思う。
値段も万単位で結構なお値段だし、本当にお婆ちゃん達には感謝だよね。
「ゆきね〜···赤がいいかなー?」
「「「赤?」」」
「うん。」
「そっか。じゃ、デザインがいくつかあるみたいだから、赤いランドセルを一通り背負って見ましょうか?」
そんなお母さんの言葉に頷いて、赤い色のランドセルを一通り背負って貰う事にした。
デザインの違い、値段の違い。機能の違い。
それぞれに多少の違いはあるけれど、私としてはなるべく軽いランドセルにしたいなとは思ってるの。
自宅から小学校までは結構近いけど、今の小学生の荷物は凄く重くて問題にもなってるって見聞きしたからね。
だから、ほんの少しでも軽くしてあげたいなという思いがあるんだ。
まぁでも、1番は雪ちゃんが気に入ったのがいいんだけどね。
だって6年間使う物だから。
「まま、どーお?」
「うん!似合ってるね!ママ、いいと思うよ。」
「うん、そうね。お婆ちゃんもいいと思うわよ。」
「ほんと!? えへへへ······。」
「雪ちゃん、雪ちゃん?今度はこっちの赤いのも背負って見よっか?感想も教えてね?」
ランドセルを背負ってみた雪ちゃんはとっても似合ってた。
まだランドセルが大きく見えすぎて、良く言われるランドセルに背負われてる状態に近いけど、それでもね。
他のカラーでも試してみたくはなったけど、雪ちゃん本人が気に入ってるみたいだから、もうこのカラーでいっかって感じにも思ってるし。
おっと······写真も撮っておかないとね!
そしてこれを後でちょいっと加工して保存して。
こういうのも、私の楽しみの1つなんだ。
でも···。
雪ちゃんが赤のランドセルを選ぶとは思わなかったなぁ。
これも遺伝ってやつなのかしら?と、思ってしまう。
それは私も自分のランドセルを買う時、赤色を選んだから。
私の時も今ほどといかなくても水色とかそこそこカラー展開があったと思う中での選択。
なんで赤色を選んだのかは今となってはもう分からないけど、そんな赤色を雪ちゃんも選んだのは、不思議だなーっと感じる。
「雪ちゃん。背負心地はどう?変な感じとかする?」
「んー?わかんなーい。」
聞いてはみたけれど軽いのを背負ったくらいじゃ、やっぱり分からないか。
実際は荷物を詰めて歩くわけだから。
軽さの事もあるけれど、ここはやはり雪ちゃんの気に入ったデザインのにしよう。
そう思った私でした。
ーおまけー
「ねねー、まーまー。ふうのは〜?」
「風花のはあと少し大きくなったら買うからね?」
雪ちゃんのランドセル選びを見てた風花ちゃんが、私のは?ってお母さんである叔母さんに聞いてる。
他の子が買ってるのを見て自分も欲しくなる。よくある光景だけど、見てて微笑ましくなるよね。
そんな微笑ましい光景を見てたお母さんがボソッと呟いた。
そしてそれは、私の耳にも聞こえてしまったんだよね···。
「姉さん···。今更だけど、よく2人目を産もうと思ったわね?」
「いや·····別にそのつもりはなかったんだけど、その···雪ちゃんを見てたら、あまりの可愛さにやられちゃってさ······。ついね······。」
気まずそうにボソボソと話す、叔母さん。
まさかの風花ちゃん誕生の原因というかキッカケが、私と雪ちゃんだったとは······。
お婆ちゃんと一緒にランドセルをあれこれ選びながら、この事は聞かなかった事にする事に決めた。
そんなG.Wの、一コマでした。




