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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の朝の出来事①-1 高2(挿絵有り)

  ーー 彩ちゃん 視点 ーー



「ねぇ、知ってる??◯◯◯グループの◆◆さんが某アイドルグループの人と付き合ってるとか言う噂······。」


「あー、知ってる知ってる!私もそれ昨日見たよ!」


「えぇ〜!?何それ〜??私知らないんだけど······。」



皆がわいわいと楽しく話をしています。

私がいるグループは昨日の夜にネットニュースに出た某アイドルグループの人の熱愛?報道についての話で、女子ならではって感じ。

近場にいる男子達は然程興味はないのか、何かのゲームの話なんかをしてる。

こんな話なんかをしていられる時間があるのは、朝の始業時間前だから。



時間は朝の8時ちょい過ぎ。

人によって来る時間はまちまちだけど、大半の人がバス叉は電車で登校してくるから比較的早い時間にそれなりの人数が集まるの。

私もその内の1人で、やはり早めに到着する。

そして何時ものように友人達と話をしながら、時間を潰すと言うわけです。

今日もそうなる筈だったんだけどね······。




ガラガラガラ···バン!!!!



「はぁ···はぁ······はぁ···。」

 

ビックリしたなー!もう。

凄い音がして、もの勢いで教室の扉が開かれたので教室にいたクラスメイト全員が会話を止めてそっちを振り向いた。

勿論私達も。

で、振り向いた先、物凄い勢いで扉を開けたのは何と!志保だった。



「「「「·········」」」」


「はぁ···はぁ······」


「ねぇ、志保。朝からそんなに息を切らしてどうしたのさ?まだ時間は余裕あるよ??」


皆を代表して聞いてみます。

時間もまだまだ余裕あるのに、こんなに息を切らして来るのはおかしい。

それに何より比較的冷静な志保が、朝からこんな状態なのは初めて見るからね。

たからいったいどうしたのかと、思うのも無理はないよね。


「皆!大変なんだよ!!···ハァハァ···。」

 

「大変って??」 


「何が??」


「何だ何だ??」


志保の「大変」と言う言葉に怪訝そうに反応するクラスメイト達。

それはそうで「大変」という程の、なにかあった出来事はここ最近無かった筈。昨日も今朝も。

故に皆もそういう反応をしてしまうのも仕方がないと思う。

だから私達女子のみならず、男子達も話をやめて志保に注目をしてる。



「このはちゃんが······このはちゃんが結婚した!!!」


「「「「「「 はぁ!!!?? 」」」」」」


皆、ポカーーン状態。

何を言ってるのさ??

このはちゃんが結婚?んな事をする訳があるわけ無いじゃん!

まだ1年という短い付き合いではあるけれど、このはちゃんの人となりはそれなりには分かってるつもりだよ?

優しくて娘さんを大切にしてる、このはちゃん。

何度か聞いた『結婚するつもりはない』、これに嘘偽りはないと思ってる。

······大丈夫か?志保······。



「いや、正確には結婚じゃないんだけどさ······。取りえずこれを見てよ!!」


考え込んでる私を尻目にそんな事を言った志保。

何を見ろというのか······。


教室の真ん中辺の机に来た志保に、取り敢えず私達も志保を取り囲む。

全く意味は分からないまま。

手前は私達女子で囲み、後ろには背の高い男子。

そして集まったのを確認するや、志保は手に持ってた紙袋から何かを出してきた。


······雑誌?

何の雑誌だろ?

厚さとサイズ感からいくと、週間の漫画雑誌ではないよね?

それよりは薄くて、でもサイズはやや大きいから······。


机の上にバンッ!と雑誌を置く志保。それを覗き込む私達。

そして······。



「あぁ〜〜〜!! これ、このはちゃんだーー!!!」


「「「うっそーー!!??」」」 


「「マジで!!?」」 


「ホントだ!! マジこのはちゃんだ!何でなんで?!」



挿絵(By みてみん)


最初に気付いたのは茜ちゃんだった。

さすがこのはちゃんLOVEな子だ。気づくのか早い!

それを皮切りに皆が気付き驚きの声をあげる。かくいう私もそうです。

何でこのはちゃんが雑誌に!?? 疑問が尽きない。

しかもこの衣装ってあれじゃない??

ウエディングドレスってやつじゃん!?

   


「そーなんだよ。この表紙の子、このはちゃんなんだよ!! それにこの雑誌ブライダル雑誌なんだけどさ、たまたま目に入って見てみたら、このはちゃんが表紙でビックリしてさ、急いで買って来たって訳。」


「なるほど······それであんなに息を切らしてた訳ね。でも···なんでこのはちゃんがこれの表紙をやってるの?」


「さあ? そこは知らないよ?」


ここにいる皆が思ってる疑問。そして返ってくる分からないという答え。

まぁ、そうだよね。

誰が何をやってるなんて、知るわけもないんだから。


「でもさ〜、これウエディングドレスってやつ着てるよね?」

「そうだね。ブライダル雑誌だからねー。」

「綺麗だよねー♪」

「うんうん。それにこのアングルでの胸元やばくない!?凄く上部出てるんだけどさ。」

「「確かに!!」」

「でも、知ってるとはいえ改めてこう見ると大っきいよね。」

「ホントね〜。羨ましいよ······。」

「あ、男子!いくら雑誌とはいえ、このはちゃんの胸を凝視すんじゃないよ!!」

「「「「 うっ! 」」」」



そんな約束的な会話もしつつ、皆で表紙のこのはちゃんについてワーワーキャーキャーする私達。

そんな中、私は笑ってしまう。


「彩、どしたん?」


「あ···いやね、こういうのって久しぶりだなーって思ってさ。前もあったじゃん?確か······このはちゃんの子供暴露の時。」


「あぁ。あったねー。」


「あの時も今みたいに皆がパニックになってさ、懐かしいなって感じてね。」


ほんと、懐かしいよね。ほんの半年くらい前なだけなのにさ。

あの時も今みたいに皆がパニックになって、ワーワーキャーキャー言って盛り上がって·····。

同級生なのに実は年上でした。

子供がいます。しかも、幼稚園児。

結婚してない、いや、そもそも父親がいないとか······。

そして今回のコレ。

本当にこのはちゃんって、不思議な魅力のある人だよなーってつくづく感じるよ。




そんな感じでこのはちゃんに思いを馳せてると、朝っぱらからド級のネタを持ってきた志保がまた一言、言った。


「それでね、驚くなよー? まだこれだけじゃ、ないんだなっ!!」


「「「「 何々?! 」」」」

「おいおいおい······まだ何かあるのかよっ!?」

「えぇーーー!?」

「マジかよ······。これ以上まだ何かあるって?!」

「私、もう表紙でお腹いっぱいなんですけど?!」


うん。激しく同感。

何があるのかは分からない。けど、あの志保の言い方だと相当な何かがあるには違いないよね。

正直に気になるし見てみたいのはある。

だけども、この表紙で満足はしてるんだよ······。



「じゃじゃ~~ん!!!」


と、言いながら雑誌をめくった志保。

めくった先のページに出て来たのは、このはちゃんの別アングルのウエディングドレス姿だった。

つまり、表紙のドレス姿と同じなんだけどこちらは立ち姿でほぼ正面からのと、背中の見えてる後ろ姿からの写真だった。


「どーよ??このはちゃんの別アングルのウエディングドレス姿だよ!しかもこれだけじゃなくて、衣装を変えてあと数ページあるのよ!!」


「「「マジ!!!??」」」

「「「キャーーー!!」」」

「お祭りだーーー!」

「「「「うおぉぉぉおーーー!!!」」」」



それからは語るほどの内容はなく、ただひたすらに皆でキャーキャー言ってこのはちゃんのドレス姿を堪能してた。

殆どは白のウエディングドレス姿だったけど、1つだけ赤色が入ったドレスを着ててこれはこれで美しくてうっとりするくらい素晴らしい写真だったのは言うまでもない。


「このドレス姿、私好きだな〜♡」

「いや、こっちでしょ!?このアングルでこの表情が堪らないんだけどさ。」 

「いやいやいや、こっちだよ! この後ろ姿、背中がすっごく色っぽいよ?」


「やべぇ·····鈴宮さん、マジでお嫁さんに欲しい···。」

「「「「 残念でした〜〜 」」」」

「このはちゃんは結婚とかする予定ないって言ってたからな!諦めろ!(笑)」

「いや···それは分かってるんたけど、これを見ちまうとなぁ······。」

「まぁ、気持ちは分かるぞ。この姿の彼女が隣で微笑んでたら、それはもぅ······な?」


「あぁ······私もこんなドレスを着てみたいな〜♡」

「だよねー。私もこのはちゃんみたいに、髪伸ばそうかしら?」

「いや、その前に彼氏っしょ?」

「そうなんだよね、そこなんだよ···。チラッ·····うん、無理!」

「「ちょっ·····」」

「分かるわー! こいつらはないよねぇ〜。」

「なんだよ、それはー!」


「「「「「あははははは」」」」」



そんなこんなで、このはちゃんのドレス姿を見ながらわいわいとする私達。

それは続々と登校してくるクラスメイトを新たに巻き込んで、いつまでも続くのだった。



「ねえ、志保? その紙袋まだ何か入ってるみたいだけど何?それに、さっきから茜ちゃんもやけに静かで大人しいけどどうかした??」


先程から気にはしてた事。

特に茜ちゃんがやたらと大人しいんだよね。あれ程このはちゃんにぞっこんな茜ちゃんがさ·····。

1番に食い付いてきて、あれこれと見たりすると思ってたのに、冷静になってみると全くと言っていい程食い付いて来なかったと思う。


「ああ、これね。」


そう言って志保がガサガサと袋から出してきたのは、先程見せてくれたブライダル雑誌。

それが2冊もあった。


「じゃじゃ~~ん!これは私の保存用の雑誌です!そこに出してあるのは観賞用ね!」


そこまで大きくもない胸を張って、ドヤ顔をする志保。


凄い······。


コレクターの中には保存用にもう一つ買って開封しないで取っておくと聞いたことがあるけど、まさかそれをするとは。しかも2冊。

皆からも凄いねーとか言われたりしてさ、さすが志保だ。

ぬかりはないってか?



「で、茜ちゃんはどうしたの?」


一方の茜ちゃんはというと、さっきからスマホを弄くってた。

そして操作が終わったのか、画面を見せて来てさっきの志保の真似をした。


「じゃじゃ~~ん!! 私も今さっき本を買ったよ!しかも3冊ね♪」


ドヤ顔で胸を張る茜ちゃん。

こっちはこっちで小さくて可愛いから、ドヤった所でなんのあれもない。

寧ろ小さな子供が頑張って大人ぶってる様で、微笑ましさが出てるよね。

ただなぁ······、その小さな背の割に胸がやたら大きいから、変な悔しさ(?)負けた感がある。

志保は勿論のこと、私より大きいかもしれないし······。


「「「おお!」」」 

「やるねー!」

「さすが茜だわ!」


私がちょこっとだけ考えている間に、皆が口々に感心をしてる。

私もまさかそんな事をしてるとは、思いもしなかったしね。

さすが茜ちゃんだよね。

このはちゃんにぞっこんしてるのは、伊達じゃないね。



「ねぇ?みんなは買わなくていいの? この手の雑誌って売り切れてもおそらく増刷はしないだろうし、そしたらこのはちゃんのウエディングドレス姿なんて、2度とお目にかかれないかもしれないよ?しかもこんなに胸元が開いてる姿なんて、特に男子は······。」


「「「「「「 あ! 」」」」」」

「そうだそうだ!見てる場合じゃねーぞ!」

「うん!そうだね!」

「急いで買わないと!!」


しまった!!

私も雑誌を見るのに夢中になって、購入するというのを忘れてたわ。

買えば自宅でのんびりじっくりと眺める事が出来るのにね。

くそーー!!

それに志保や茜ちゃんみたいに保存用も欲しい!!

最低2冊は買わないとだ!


「なぁなぁなぁ? この手の雑誌は何処で買うんだ?」

「定番は密林か?」

「あとは·····YシッピングとかR市場?」

「ネットショップなんて使った事ねーから、分かんねーよ······。」

「あれだ······。書店系のネットショップもありかもよ?」




さっきまで賑やかだった教室が一転静かになり、ほぼ全員がスマホに夢中になるという異様な光景が生れたのであった。




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