今日から女子高生(挿絵有り)
小説なんて書いたこともない、私の初作品です。
ただ思いついことを書いただけの内容でツッコミどころもあるでしょうが、ゆるーい目でみてください。
2023.08.05 加筆修正しました。
2023.10.01 加筆修正しました。
2024.04.07 加筆修正しました。
「よーし、じゃあ、出席番号順で自己紹介よろしくな!とりあえず名前を言うのは当たり前だけど、出身中学は言わなくてもよいぞ。後は······この高校でやりたい事を述べても良いし、自分自身の紹介でもいい。兎に角、自身の事をみんなにアピールする事な?」
と、担任の男性教諭、高橋先生が言い私達生徒に自己紹介をさせるようです。
まぁ、私も含めてどの子もそうだとは思うけど、みんな初対面だから自己紹介をするのは定番だよね。
それに社会に出たあとでも、何かしらの場面で自己紹介をするなんてことは多々ある事だからね。
そしてこの自己紹介。
やはりこれまた定番の出席番号1番目の男の子から自己紹介を開始するようです。
「いきなり俺からですか!?考える時間をくださいよ〜?」
いきなり先生から自己紹介を振られて慌てる1番目の男の子。
まぁ······気持ちは分かるよ?
準備が出来てないのに『やれ』と言われるのは。
「まぁ、これも定番だからなー。ありがちな事ではあるが自己紹介があると考えてないのが悪いのさ。がんばれ!」
「うへ······」
そう言って取り繕ってくれない先生。
項垂れる男の子。ドンマイです。
でも先生の言うようにこういう場だと、自己紹介をするのはほぼ決まり的なところがあるから、しょうがないのかな?と思ったりもする。
私も自己紹介は多分あるだろうなーとは思ってはいたし、先生の言う様に『あるかもしれない』と想定していなかったのも悪いのかも······。
あとは······心の準備とかそういうのかな?
そして教室の中を軽く見渡して見れば、先程までは声には出てないけれども微かなざわつき感やウキウキ感があったのに、今はシーンと静まり返った中に緊張感が漂ってきた。
そしてソワソワしだして上を見たり下を向いたりして、みんな何をどう話そうかと考えている様子です。
ガタッと立ち上がって、何とか自己紹介をしていく男の子。
準備不足とはいえ、こういう時って最初の方の子は可哀想だなとチョット同情しちゃう。
何かを行うときに、名前の順で始まるといきなりだからね。
真ん中位なら考える時間もそれなりにできるけど、それができないし。
ただ逆にすぐ出来て良かったって場合もあるよね。
だって最後の方になればなるほど、緊張感と戦わなくてはいけなくなるから。
『上手く出来るかな?』『失敗したらどうしよう?』
そんな思いに駆られつつ、時には大衆の視線を浴びたりする中で自分の番を待つのは辛かったりもするからね。
最初の子、相澤くんの紹介が終わった。
やっぱりというか、名字が『あ』で始まる子だったね。
『あ』か『い』で始まる子かなー?なんて考えてはいたけど、まさかの『あいざわ』。
どこへ行っても名前の順なら、トップバッター間違いなしの名字だったね。
いきなりだったので、かなりテンパりながらも無事終わらせて、フーっと一汗拭うかのような仕草をしながら着席をする相澤くん。
お疲れ様。頑張ったね。
さて、もう気づいたと思うけど担任の先生+自己紹介と来れば、ここは教室で入学式の後なんだ。
つまり、今日から私は高校生デビューです。
ただ個人的な理由により中学卒業から高校入学までの間は多少の時間が開いちゃったけど、その話はまた後程ね。
2人目、3人目と順調に進む中、とりあえずは目前の自己紹介を考えなくちゃね、とは言っても私の場合は述べることが大方決まっているんだ。
それは私の見た目、容姿についてです。
私は最初から特殊な姿で産まれてきたんだ。
内容はこのあと直ぐの挨拶で紹介するとして、その当時、両親や病院の先生方は大変驚いたそうです。
それはそうだよね。
黒髪黒目の純粋日本人の両親からこんな容姿で産まれてくれば、それは驚きもすると思う。
お爺ちゃんやお婆ちゃんといった知り得る限りの家族やご先祖様も日本人だし、そう考えると寧ろビックリしない方がおかしいよね。
お母さんは出産でお疲れの中、そんな私を見て相当混乱したそうで私と会えた嬉しさよりも心配や不安といったネガティブな思考に襲われてお父さんも大変だったって聞いた。
ただ、私のこの容姿については非常に珍しいけれども全世界でみれば僅かに症例があるらしく、また命についは問題はないって先生が検査して調べてくれたんだ。
まー、命の別状はないといってもデメリットはあるらしく、太陽の光に弱く肌が敏感になるとか、成長してく大きくなると視力が著しく低下する可能性があるとは言われた。
幸い今の所そのデメリットは私には現れることなく、健康そのものなんだけどね。
悩んだり苦労してる人もいるから、比べたりするのは本来はいけないことなんだけど、私のコレは写真などで見た他の同じ症状の人と比べて結構キレイで、私としては気に入ってる。
勿論これまでにこの容姿の事で苦労も辛いことも沢山の経験してきて、お父さんやお母さんにも心配を凄くかけたけど······。
お母さんにも「こんな姿で産んでしまって、ごめんなさい。」って泣かれた事もあったけど、でも私は「この容姿を気に入ってるから大丈夫だよ」って返した事もあってね。
そんな事を思ってるうちに、私の挨拶の番が来たみたいです。
私はスーっと椅子を引いて立ち上がり周囲を見渡します。
クラスメイト全員が私を注目してる。
先生は事前に知ってる筈なのにそれでも見てるし······。
あれ?もしかして先生は私の容姿の事知らないのかな??
ちょっと不思議に思ったけど、とりあえず気にしない事にしました。
だって気にしてたらキリがないからね。
そう、キリがない。
学校に向かってる時から注目は浴びてたし、目立って浮いてるのも分かってた。
登校中も体育館での入学式の最中もヒソヒソと、私の事を言ってるのが聞こえてたし。
これが、この容姿で生れた私へと課せられた運命。
日本人としては明らかに異質。
外国人として捉えられなくもないけど、よくよく考えれば外国人でもこんな髪に目の人はいない。
常に注目されてヒソヒソと何かを言われるという辛い出来事を幼少より経験してきて、それは今後も続くことなんだと割り切ってるから。
だから、気にする事はやめた。
······さて、自己紹介を始めよっか。
「私は、鈴宮このはといいます。」
凛とした声で皆にはっきりと聞こえるように話します。
「自己紹介ということで、皆が気にしている私のこの容姿についてお話したいと思います。
私はアルビノ······えーと、先天性白皮症、先天性色素欠乏症、白子症などの呼称のある症状で産まれました。分かりやすく言うとメラニン色素が欠乏している又は、メラニン色素を作る遺伝子が働いてないせいで黒色が作れず、肌や髪は白くなり瞳は血液が透けて赤いと言う事です。」
そう······私はアルビノという症状で産まれたんです。
だから両親も病院の先生方も驚いたわけ。
新生児でまだ量が少ないとはいえ、黒髪の一本もなく全て白い髪、肌の白い子が産まれれば驚きもするし病気も疑うよね?
おまけに目が真っ赤。
「それでこの症状にはデメリットがあったりもするのですが、私にはそれが特になく至って健康で元気です。
なので皆さん、容姿の事は気にせず仲良くしてくれたら嬉しいです。ちなみに、この髪色は地毛なので学校からは染めなくても良いと許可は頂いてます。」
と、長い髪の毛を少しの手に取りくるくると弄りながら話します。
「こんな私ですが、これからよろしくお願いします。」
腕をすっと伸ばしてペコリと頭を下げてお辞儀をし、挨拶を締めます。
パチパチパチと、少しの拍手を貰いながら椅子に腰を下ろします。
心の中で一息ついて周りに意識を向けてみると、「髪、綺麗〜」とか「スタイル良いね」なんて声が、ぼそぼそっとあったりでちょっと照れちゃうね。
みんなが高校でやりたい事や得意な事など自分の事を述べる中で、私は私の容姿の事話すことにした。
というか、寧ろこれしかないのだけどね。
どこかで挨拶を求められた時に、相手の方は必ず私のこの容姿の事を気にしてるから。
「外国の方ですか?」
「いえ、日本人ですよ。宜しくお願いします。」
って、ごく普通に返せば相手の方もホッとしてそこから会話がスムーズに進むんだよね。
それを経験上で分かってるから、今回もそうしたの。
日本人って、外国人だと一歩引くけど日本人だと分かると普通に接して来てくれるからね。
島国だからなのかな?なんて、思わなくもないけどさ······。
そんなこんなで、自己紹介は私の後ろの席の子へと進んで行く中、ふいに身体をつんつんとされた。
「ん?」
何だろ?と振り向いみると、隣の席の女の子が手を小さく振ってたの。
「私、中本 彩って言うの。よろしくね、鈴宮さん。」
そう言って、早速挨拶をしてくれました。
あっ······と、思った私。
正直これは凄く嬉しいです。
ここ数年、年の近い子との触れ合いって私の妹を除くとほぼなかったからどういったらいいのか、切っ掛けがなかなか掴めなくてね。
それに容姿の事もあったから尚更でさ。
「ありがとう、こちらこそよろしくね。中本さん。」
微笑みながら中本さんに挨拶を返す私。
「うっ······」と聞こえたような気もしたけど、気のせいかな······?
私は、私の家庭事情で学校は少し休みがちになったり、一部の行事は不参加になるかもしれない。
だからどういう学校生活が送れるのか分からないけど、楽しく過ごせればいいなと思う。
なにせ久しぶりというか、中学時代よりはまともな学生生活になるかもしれないから······。
そう思い馳せながら、まだまだ自己紹介は続いていくのでした。