ひろゆき、橋下徹、堀江貴文の話法 ~弁論の達人たちの話法を解説してみた件~
タイトル、作中と敬称を省略しております。
素人の考察ですので、専門的な解析ではありません。あしからず。
さて、もうタイトルで本稿の主旨と意図は伝わっていると思う長文タイトルです。
知らざー言って聞かしやしょーは歌舞伎演目「白浪五人男」の名台詞ですが、この三人を知らない方は日本では本当にごく少数ではないでしょうか。
言い含められなくとも、十分に知っているよ。といった感じではありますが、軽く紹介を挟むなら、下の通りです。
必要ない方は読み飛ばして下さい。
ひろゆき
西村 博之(にしむら ひろゆき、1976年(昭和51年)11月16日 - )は、日本の実業家、著作家(書籍・動画)。日本最大級の匿名掲示板「2ちゃんねる」開設者、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」管理人。「ニコニコ動画」元取締役管理人。東京プラス株式会社代表取締役、有限会社未来検索ブラジル取締役。愛称・通称は「ひろゆき」。(Wikipediaより抜粋)
橋下徹
橋下 徹(はしもと とおる、1969年〈昭和44年〉6月29日[1] - )は、日本の弁護士(大阪弁護士会所属 登録番号25196)、政治評論家、タレント、元政治家。大阪維新の会法律顧問。東京都出身。豊中市在住。(Wikipediaより抜粋)
堀江貴文
堀江 貴文(ほりえ たかふみ、1972年(昭和47年)10月29日 - )は、日本の実業家・著作家(書籍・動画)・投資家・タレント。(Wikipediaより抜粋) 元ライブドア代表取締役、愛称はホリエモン。
ホリエモンだけ少ないのは、Wikipediaのまとめ方の違いで文体が揃わなかったために割愛したためで、決して私がホリエモンが嫌いだからではありません。ええ、絶対にです。
さて、冗談はここまでにして、私は特段、話法、話術の専門家でもエキスパートでもありませんが、弁論の達人である三人の特徴について、解説を試みる次第です。
まず、大雑把に相手の言説に耳を傾ける、相手の主張に配慮するか、しないかで分けることが出来ると思います。これより、三人をひろゆき、元知事、ホリエモンと便宜上表記致します。
する派 ひろゆき
中間 元知事
しない派 ホリエモン
こうなるかと思います。
これを踏まえて、ひろゆきは相手の主張を聴き、時には凄いですね、など、持ち上げたりもします。その上で、主張の中にある齟齬や、不確定な部分を注意深く探し、そして、ある瞬間から相手の言葉を遮って
「つまり、あなたはこういうことを言いたいのでしょう。でも、それって変ですよね」
と始める訳ですね。
例えば、学術的にエビデンスが不十分なところを敢えてつつく。当然、誠実な研究者ほど
「そこはわかりません」
と言いますが、すかさず
「専門家なのにわからないんですか、それではあなたの言ったことに信憑性がありませんよね」
といった混ぜっ返しで、その場において、有利にたったと一瞬で思わせてしまう。
反対に研究者側が意固地になって、
「私の研究ではこうだ」
と言った反論をすれば、それこそ、
「でも、その研究って、しっかりとした学術的検証がすんでないじゃないですか。例えば」
と言ったかたちで、相手が降参するまで質問責めにする。
この方法も、ある程度は基礎的な知識がないと、そもそも的外れのことを言ってしまう弱点があり、ひろゆきもそうした失敗から炎上したこともありますね。
しかし、相手との絶対的な知識量の差を覆して、論破したように見せ掛けることが出来ます。
元知事は、弁護士という経歴がよく分かる話法をしていますね。まず、普通に議論するんです。そして、自分が有利な時は動かない。不利になってきた時に、彼の話法は炸裂します。
冷静に話していたのに、少し声を張る。ちょっとがさつな言葉使いをする。なにか不機嫌だと思わせるモーションをとり、相手を同調させていきます。
僅かな変化で相手を巻き込み、少しづつ、相手を感情的にさせていくんです。そうして、話が感情論になってきたところで、自分から仕掛けたことを明後日に投げ捨てて
「この話題は感情論ばかりで水掛け論になってしまった。建設的な話し合いが出来ないので、こちらの話題にかえましょう」
と強引に自分の得意な話に持ち込む。不利な展開が続けば、これを繰り返して
「あなたは感情的になりやすいんですね。冷静な話し合いが出来る人を呼んでください」
と、さも相手が悪いような印象をつけて、話を終わらせてしまう。
弁護士として、依頼人に有利になるように不利な話題は掘り下げさせないテクニックは流石の一言なんですが、政治家としては議論を尽くして最善の方法を模索すべきであり、自身の主張や思想の実現のために諫言を巧妙にかわしてしまうのは、些か不誠実に見えたものです。
さて、最後にホリエモンですね。
彼は人の話は聴きません。はっきりと言えば、自分に同調する、擁護する意見すら聴きません。
彼は自分の主張したいことをひたすらに語るタイプだと思いますね。
「違うんだよ。そうじゃなくて」
と、相手を遮ってひたすら持論を展開します。
彼の凄いところは、それでも頭がいいことと、様々な経験と、感性で、結構、的を射た発言をすることです。反面、とんでもない的外れなことも言う。
しかし、どちらの場合でも折れないんですよね。だから、信者もアンチも湧く。ある意味では凄いカリスマ性だと思いますね。
ひろゆきや元知事は文脈を読み取る能力が高く、そこから、どうやって自分側に引き寄せることが出来るかを瞬間的に判断する経験と知識があるんですね。
ひろゆきはまずは下手に出て、気分よく話させてから、叩き落とす。その落差が大きいほど「論破した」と印象づけられる。
元知事はある程度は対等に、場合によっては始めから高圧的に相手を威圧します。相手の背景から、柔軟に態度を替えて、時には太鼓持ちのように持ち上げながら、「でも、こうじゃないですか」と要所で少しづつ、流れを変えることもする。時には始めから威圧して、緊張してる相手の姿をグレーゾーンぎりぎりでからかい、真面目な話をしてるのにと怒った相手に、さも議論に負けて冷静さを欠いたと云うように「まあまあ、落ち着きましょう」なんて笑ってみせて、余裕を演出したりもする。
ホリエモンは、とにかく、我の強さとしか言い様がないですね。正直、この三人と話して一番、勝てないと思うのはホリエモンです。
彼は自分の主張しかないですからね。もちろん、それだって、巧妙にアンチを煽るために仕組んでいると思います。しかし、生来の我の強さがないと、あのスタイルは取れませんよ。
メンタルが強く、押しも強い。というか、押すのみ、引かないですよね。ワンマンの社長とかに良くいるタイプだなーって思います。自信家で自己主張が強く、自身の正当性を微塵も疑わない。私には絶対に真似できません。したら、胃に穴があきますね。
この三人に共通するのは、巧みな論理構成で相手を論伐して、本当の意味で論破するのではなく、議論に勝っているという「その場の空気」を作ることに長けている点だと思います。
なので、うわべだけ真似しても、から滑りしますね。相手を落とすタイミングひとつとっても、非常に難しい。封殺したと思わせるために、相手が「バカは相手できねーよ」と思わせることも厭わない。
オーディエンスがどうジャッジするか、エンターテイメントのパフォーマーのように冷静に考えて、自分の場を作り上げてしまうのですから、確かに凄いんですが、しかしそれは、オーディエンスがいて、初めて成り立つものなんですよね。
普段の会話や仕事上の取引で使っても、却って「こいつとは建設的な議論が出来ない」と匙を投げられるだけになってしまいますね。
知らざー言って聞かしやしょー
いや、知りたくねーよ、別に。
こんな会話をしても、何も起きませんからね。
「で、」と落ちを求めることに似ていますが、現実の会話でそれをやると本当に嫌われるので気を付けたいところです。
お読み頂きありがとうございますm(_ _)m
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