ジェット・エルフィン/共に酒を ④
ベニーツィの宿屋の食堂。
俺の目の前に座るウィルは、思いっきり不機嫌そうな笑みを浮かべて俺を見ている。
「どうしても俺にツブされたいようなので。ご期待に添おうと思います」
今まで取り繕ってた顔もどこへやら、半分くらい地が見えてるぞ?
火を熾したあと、ゼクスさんとの密談通り、俺がウィルの気を引いてる間にギャレットさんが帰った。気付いたウィルは一瞬迷ったようだったけど、すぐ諦めてくれた。
そうして今日はここに泊まることになったウィルは、黒い笑みを浮かべたまま、俺のグラスに酒を満たす。
クゥの話、いっぱいしてやったんだから。何ていうか、もう少し穏便に頼みたい。
「さ、ジェット。ここはゼクスさんのおごりだそうなので。遠慮せずいきましょう」
ちらりとゼクスさんを見ると、仕方なさそうな顔で頷いた。
一緒になってハメたの、バレたんだな。
ウィルに向き直ると、相変わらずの笑みだけど。
多分俺がツブれたら、ザルナーさんの話を肴に周りの皆がウィルと一緒に飲んでくれるんだろう。
―――それなら、いいか。
「うし、飲むか!」
急に乗り気になった俺に、一瞬怪訝な目をしてから。
ウィルがようやく表情を崩す。
その手から酒瓶を受け取り、ウィルのグラスに注いで。
自分のグラスを手に取り、ウィルに向ける。
「で、何に?」
同じようにグラスを手に取り、ウィルは少し考えて。
「この夜に」




