表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/312

三八二年 雨の四十七日

 ウィルバートがライナスを発って十日後、ククルはテオから彼の再来を聞いた。宿に荷物だけ置いて、再びミルドレッドに向かったのだという。

「色々伝えることもあるし、夜までには店に来るからって」

 アルスレイムからライナスに来るには、たいてい途中でゴードンの町に一泊し、そこからミルドレッドを通って昼頃に着く。なのでおそらくウィルバートは今日一日で、ゴードンからミルドレッドを経てライナス、そして再びミルドレッドとの往復をする、ということだろう。

 それがどれだけの負担になるのかは、旅をしないククルには想像もつかない。

 薄暗くなる頃、案の定疲れ切った顔でウィルバートが訪れた。

「すみません、少し遅くなりました」

「あの、ウィルバートさん、部屋で休んだほうが…」

 いつもの席に座るウィルバートに、今日も閉店までいてくれるつもりなのかと慌てる。

「話すこともありますし、座ってるだけなので大丈夫ですよ」

 どう見ても疲労の色が濃いのだが、譲る気はないらしい。

 今日は酒はいらないと言うウィルバートに、とりあえずお茶とチョコレートがけのドライフルーツを出す。

 甘味の皿に少し困惑の混ざる笑みを見せ、ウィルバートは吐息をついた。

「準備が整ったので、リオルさんたちには明日中央へ向かってもらうことになりました。どのくらいかかるかはわかりませんが、ご家族にはまめに連絡を入れるようにしておきます」

「ありがとうございます」

 おそらくこどもたちへの配慮だろう。礼を言うククルに首を振る。

「ジェットが予定ではもうすぐ戻るはずなので、俺はこのまま待機です。またしばらく、お世話になりますね」

 少し力が抜けたのだろうか、先程までより少し柔らかくなった笑みに、ククルはほっとして頷いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  長距離の移動って大変ですよね。  ウィルバート、お疲れ様です。    疲れてるときは座ってるだけでも、しんどい  のでゴロンってしたくなります。(*´-`)  ウィルバートは優しいです…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ