表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/312

リック・シドリア/英雄の姪

「ホント、何なんだよ…」

 ギルド本部の食堂で昼飯を食べながら、俺は何度目かわからない悪態をつく。

 ベレット洞窟から帰るなり、馬番がこっそり教えてくれた。

 英雄ジェット・エルフィンがギルドを辞めると言った、と。

 一緒にいたダンもナリスも本気じゃないって言い切った。故郷にひとり残る姪を心配してそんなことを言ったんだろうって。

 疲れてるだろうし、強行軍になるからとダンに置いてかれて。今こうして本部に待機中だ。

 英雄ジェット・エルフィンに憧れてギルドに入った。それを聞いたジェットが弟子にしてくれたときは、ホントに嬉しかった。

 思ってたより気さくで。

 思ってた以上に強くて。

 まだ新人だけど、パーティーの一員として役に立てるようがんばろうと、そう思ってたのに―――。

「リック、帰ってたんだ」

 急に声をかけられて振り向くと、同期の奴が立ってる。

「英雄は一緒じゃないのか?」

 置いてかれたとは言いたくなかったし、ジェットの兄さんが死んだ話をするのもどうかと思った。だから。

「ジェットは姪のとこ」

「姪?」

「俺たちよりも大事なんだってさ」

 自分で言ってて苛々する。

 何のことかわからず首を傾げるそいつに、俺は何でもないと言い替えた。



 ジェットが帰ってきて、謝られた。

 辞めないからって、何度も言われた。

 でもやっぱり、またすぐ故郷に行くらしい。

 ベレット洞窟の調査もまだ途中なのに放ったらかしで。

 ギルドの仕事より、姪のほうが大事なのか?

 こっちは仕事なのに。ジェットが甘いからって、その姪が無理言ってるのか?

 どっちがついでかわからないけど南での仕事もあるから、今回は俺も行かなきゃならない。

 英雄の姪。

 会いたくないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ククル「会わないうちから嫌われてる!?」 ジェット「オレは仕事より家族を選ぶ!」 ダン「リックのはただの嫉妬だ。気にするな」 ジェット「オレは仕事より……………!」 ダン「お前は黙っとけ!」
[良い点]  リック、へんに拗らせてますね。  焼きもち妬いてる。  その気持ちも解らないでもないけど。  ククルのことにも、心を配ってあげて~。  ( ´△`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ