アリヴェーラ・スタッツ/大義名分
ギルドの訓練日が近付くにつれて。愚弟の浮かれっぷりにほんっっと腹が立つ。
お菓子のお礼に何持っていったらいいかなんて! 答えたところで聞くつもりなんてないのみえみえだって。
あんたの魂胆なんてわかってるんだから。父さんと母さんと私のこと引き合いに出して、自分が選んだのをククルに受け取らせるつもりのくせに。
そんな卑怯なマネして受け取らせて、あんたホントにそれでいいの?
そう言ってやったら、ちょっと固まって。らしくない顔して。
そうじゃないと渡せないって。
あぁもうホント腹が立つったら!
家で顔を見てるのも苛つくから。休憩をもらって外に出た。
私がいない間にククルがここに来たとき。そのときのロイの様子に、皆本気で驚いてて。
ありえない、見たことないって。そこまで言われてて。
ロイがどんなふうにククルに接してるのか私は見てないけど、聞く限りではロイのほうから距離を取ってるみたいだったって。
ロイとククルの間に何があったかなんて知らないけど。
ロイにはロイの、どうしようもない葛藤があるのはわかってるけど。
でも。それで何が伝わるの?
いくら周りがロイの気持ちに気付いてたって。本人が知らないままじゃ何にもならない。
ずっとそのまま眺めてるだけで。ホントに後悔しないの?
あのままじゃ、ロイは絶対に吹っ切れない。
もしものときに、立ち直れない。
それがわかるから。どうにかしたい。
愚弟だなんだ言ったって。ロイは私の双子の弟なんだから。
傷付くのは仕方なくても。立ち直ってほしいの。
だから今の何も望んでないフリのロイに腹が立つ。
執着心の強いロイだもの。何も望んでないはずがないのに。
傍にいて役に立てればいいだなんて。恋愛感情がある以上、そんなの自分勝手なただの偽善だからね?
苛立ちに任せて適当に歩いて。
まぁロイのことは置いといても。私もライナスに行きたかった。
レムを送ってもう一度行けるはずだったのに。やっぱりジェットに譲るんじゃなかった。
ライナス行けなかったし。
ロイはあんなだし。
何か面白いことでもないと、ホントやってられない。
そんなことを思いながら帰路につく。
歩きながら、色々考えて。
仕方ないから愚弟の為に、私が作ったっていう大義名分をあげるのを条件に。
私のそれも立つように。ちょ〜っとだけ、味方になってもらおうかしらね。




