三八三年 祝の二日
ゼクスからの手紙が来た。入っていた三枚の便箋は、何故か一枚ずつわけて折られている。
すべて広げてみて理由に納得し、ククルは一枚ずつ読み始めた。
まずは訓練について書かれた一枚目。
ライナスへ来る顔触れは変わらず、ゼクス、ノーザン、メイルの三人と、今回から補佐ではなく教官として雇われることになったロイヴェイン。
確認の意味も兼ねてだろう、訓練の日程と、一日前の十日に着くように行くと書いてあった。
最終日のお茶、要望があれば夜食についても、前回同様出してもいいとなってはいるが。
やはり程々でいいと念を押され、ククルは隣から見てくるテオから視線を逸らす。
テオの参加の了承と、面倒をかけるがよろしく頼むと添えられ、最後にゼクスの名が記されていた。
二枚目には、世話になったからとククルが送った菓子の礼と、ライナスへ行くのを楽しみにしていると書かれてある。
文章は短いが読みやすいように丁寧に書かれたロイヴェインからの手紙に、こんなところまで気遣いに溢れているのかとククルは微笑む。
三枚目はアリヴェーラから。
レムを送れなかった詫びと、行きたかったのにとの嘆きが綴られていた。
絶対にまた行くからと締めくくられていることを、とても嬉しく思う。
三枚の手紙を封筒に戻したククルに、嬉しそうだな、とテオが笑った。




