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こじらせ悪役令嬢は無自覚に無双する  作者: Q六
第二章 デビュタント編
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再遭遇からの失恋


 もう、クリス王子には会いたくないなぁ、と思っていた昼休み。王子が学食を使うことはほぼ無いと、お兄様から情報を得ていたので、学食で一人ランチ(ぼっち飯)を堪能する。ここの厨房は引退した有名シェフが仕切っているそうで、お肉のソースもドレッシングも流石の美味しさだ。この世界、お料理が大変美味である。


 実は昨年、ふと、「目一杯食べて、めちゃくちゃ太ったら、アンジェリカから敵認定されないんじゃない?」と思い立って、めちゃくちゃ食べたのだが、結果、全く太らず胸だけめちゃくちゃ育った。悪役令嬢補正であろうか。道理はわからないが、そういう仕様なのだろう。とにかく、これ以上大きくなられると乙女ゲーでなくエロゲーの登場人物のようになってしまうので、食べ過ぎには注意している。

 しかし、吃驚するほど、前世の知識が役に立たない。と言うか、前世の女子力が低すぎて、ゲームの知識があっても「だから何?」って感じなのである。

 胸についてもそうだ。前世では痩せてるわけじゃないのに胸が小さいという残念体型だったので、どういう着こなしをすれば巨乳(これ)を目立たせなくできるのかが、さっぱりわからない。胸元にリボンを着けなかったのも、「ふんわりさせると余計にボリュームアップして胸が強調されるかなぁ」と思ってのことだが、効果の程はわからない。


 しかし、美味しい。

 デザートまできちんと味わい尽くし、席を立とうとしたその時、遠くから聞き覚えのあるような無いような声が……。


「美脚令嬢! ほら、王子。学食に来て正解だったでしょう?」


 まさか、と思う間もなく、食堂の入り口から真っ直ぐこちらに向かってくるのは、レオン・ビューラーだ。その隣には、クリス王子と……お兄様?


「ほら、こちらが、今朝遭遇したという麗しい脚線美の令嬢だ。なんだ、ルイス。変な顔して」


 私とレオンの顔を交互に見て愕然とするお兄様。その顔から血の気が引いていく。


「レオン、お前、クラウの脚を……」

「見た。なんだ、知り合いか?」

「お兄様! 私が勝手に転んだだけです」


 兄の凍えるような殺気に焦って口を挟む。怒った時のお兄様は本気で怖いのだ。正面から殴りかかったりはしないが、しれっと背後から刺しそうな雰囲気がある。


「私、失礼いたします」


 ペコリとお辞儀をしてそそくさと退散する。去り際にほんの一瞬、チラリと王子の方を見ると、むこうもこちらを一瞬見て、すぐに目を逸らした。背後からまだ「おーい、美脚令嬢!」と呼ぶ声と、続けざまに悲鳴のようなものが聞こえたが、まぁ、たぶんお兄様が何かやらかしたのだろうと無視した。


 王子はレオンに、私が()()()()()だと、言わなかったのだ。朝の時点では私がクラウディアだとわからなかったのだろうか。それとも、私と関わりたくなくて、意識的にこの話題から降りたのだろうか。


 クリス王子と顔を合わせたら気まずいだろう、とは思っていたけれど、まさか無視されるなんて。流石にちょっと、辛い。泣きそうになるのを堪えて、足早に教室へ向かった。





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