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{第143話}大雨特別警報  作者: 健白歯
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348円

348円

今日は 2021年7月11日

実際は たいしたことはなかったが 今日から明日にかけて

豪雨注意報 がでていた


そんな天気の悪い日は 気圧の関係か

お天気痛 といって 

歯や歯ぐきが激痛の急患が増えて

深夜でも 当院には

結構 お見えになる


昨日も 深夜3時過ぎまで急患対応していた


僕は深夜でも応急処置ではなく

徹底的に 痛みを取り除く処置をする

(患者さんに説明して 時間と治療費を納得してもらい)


今日の夜9時すぎに 女性から電話

旦那さんが激痛とのこと


当院から30分くらいの場所


すぐにガンガン 話して 細かい治療ができるように

集中力を高める


できたのは 夜11時 すぎ


しかし頑張って 治療開始


超~~~歯科恐怖症の34歳 男

介護士


診ると 大きな虫歯

麻酔をして 歯の神経をとる必要性


1週間前に 別の歯科医院で

単治 (簡単な応急処置 根本的な処置ではなく

消毒 投薬 痛みを鎮める薬をつけるのみ)

しかしてもらえず

あまりの痛みで 痛み止めを一時間ごとに最近は 服用しているとのこと


説明をして 打診痛 の確認

(痛みのある歯を探るために コンコンと弱い力で

叩いてみる検査)

をしようとしても 大げさに怖がって

無言で 反対方向を 向いたまま固まっている


正直 めんどくせー と内心 思いながら

丁寧に優しく ゆっくりと 対応


色々話を聞くと 小学生のころに 歯科治療で トラウマとのこと


それでも何とかなだめすかし  いざ麻酔をしようとすると

また 極端に嫌がる


そっぽを向いて 動かない


「君~~~ こっちを向いてくれないと

麻酔も打てないし 治療もできないよ=


しかもこっちから アプローチすると

僕は腰が痛いんで 無理やりはしないんで

手をあげたら 必ず 中断するので

こっちを向いて下さい


ゆっくり丁寧に治療しますから


こんな夜に 君のそんな動きをされると

危ないし 医療事故につながるかもしれませんよ」

と諭すが 怖がってなかなか協力してくれない


「君はお仕事介護士でしょ

モンスタ 入居者さんもいるでしょ?


認知症で殴りかかってきたり あんたは嫌

とか 家に帰るとか言い出す人もいるでしょ


そんな人の衣服を着替えさせたり お風呂に入れたり

歯を磨いてあげたり 食事を食べさせたり


君もいろいろ大変でしょ?


相手の立場に立って考えてごらん


僕は歯医者だけど 君は患者さんの立場として

歯科治療は怖いかもしれないけど

僕に 協力してくれないと 治療も前に進めないよ


あまり怖がって 君が治療を嫌がるなら

これで治療中断して 終了してもいいけど 家に帰宅して

また痛みが出るかもしれないよ


そしたら また治療費が別途かかるよ


どうせいつかは治療しないといけないんだから。。。


勇気をもって 僕と一緒に 歯科治療を頑張っていこうという

君の協力も必要だよ」


と言ったが そっぽを向いたまま

無言で固まっている


すると 受付の 電話が鳴った


「ハイもしもし #$”%&デンタルクリニックですが」


「ぶぶぶ・・・ もしもし ブブブ・・・」  


「もしもし あのぉぉぉ~~~

電話の電波が悪いようなんですが」


「ぶぶぶ・・・ もしもし ブブブ・・・

歯が痛いんですが・・・    ぶぶぶ・・・」


「もしもし あのぉぉぉ~~~

電話の電波が悪くて何をおっしゃっているのかわかりません!!!」


「ブブブ・・・」


プチッ   ぷぅ~~~ ぷぅ~~~


「うおぉ~~~ なんか怖い電話」


(結論 相手の電話は au だそうでなぜか 電波が悪かったそう

僕のでかい声は はっきりと 聞こえていたそう)


「はい 君 僕も丁寧に治療するから

頑張って治療していこうよ


ひとつ聞くけど 今まで 僕は説教もしてないし

怒ってもないよ この30分間

今までの僕の君への対応 どうでした?


嫌な 怖い 不信感のある 歯医者 だと思った?」


「いえ 逆に 親切で 俺に丁寧に接してくださってるなぁ~

と思います」


「でしょ~~~

こんな夜でも 丁寧に対応してるでしょ

全ては君のためなんだから 頑張って治療しましょうよ」


「あのぉ~~~ ボルタレン 出してもらえますか?」


一応 カロナールを出していた


過去に 僕は さんざん 国にいじめられて

僕が国から 注意されて言われたのは 


「抜歯など 外科処置 観血的処置などをしないと

ボルタレン ロキソニンは 保険治療で 出してはいけない


痛みは原因がしっかりあるのだから

しっかり診断して しっかり根本的な治療をして

薬に頼るような治療はしてはいけない


簡単の応急処置では カロナールでしか

保険診療では 算定してはいけない


よって 過去1年分の 同じような内容の処置で

出した 薬代の保険診療分を 自主返金 しろ


カロナールで 納得しないなら

納得させるのが お前の仕事だ


今後は 安易に 強い鎮痛薬を保険で算定するな 」

と 命令された過去がある


なので 今回のように 痛み止めを 用量を守らず

ガンガン飲む人には ボルタレンは余計に出せない


保険診療での薬の処方は 内容が 厳しくなっている


「そういえば ひとつ聞きたいんですけど

君の奥さんから 当院に電話があったのが

夜9時すぎ


で 結局 君が来たのは

11時過ぎ 


君のうちから当院までは 夜間では

30分くらいで来れると思うんだけど

なんで こんなに遅かったの?


怖くて 来るのためらっていたの?」

と聞くと

「それもあるけど 痛みもあったし

寝れないかなと思って

しかも約束もしてしまったし」

と言っいた


「ほら そうやって痛みでこんな夜に

勇気を出してお見えになったんだから

頑張って治療していこうよ!!!」

と言っても そっぽを向いて

うずくまったまま 無言で動かない。。。


すると 車が一台 駐車場に入ってきた


「あらぁぁぁ~~~

きみぃぃぃ~~~

次の患者さんが来たよ~~~

ほら頑張って治療しようよ」


そして 背丈の 大きな 男性が入ってきた

40代

眉が 一直線 でなんか怖い。。。


「あのぉぉぉ~~~

やはり今日はボルタレンで我慢します」


しょうがないので カロナール の薬代で

消毒をして 治療費は安い応急処置で 夜間だが

初診と薬代のみ 

千円代 で終了した


「ま また痛みが出たら お電話をください

お大事に~~~」

と終了させた


次の大きな男は

交通警備員


明日(日曜)もお仕事のよう


後で お仕事のことを詳しく聞くと

コロナワクチン会場の警備もしていて

日当は 16000円 だそうだ


で 一言目が 激痛で 明日も仕事があるので

応急処置ではなく 痛みがなくなるように 

しっかり治療してほしいが 給料前で お金がない

とのこと


「一応 今日払える 治療費はいくらですか?」

と聞くと 千円 とのこと


「僕は いままで 結構君のように後日 治療費 を払うと言って

期限までにお支払いに来なくて 電話をしても着信拒否

をされてるんです


今は深夜0時過ぎ くらい

こんな時間帯に 激痛できて 千円って。。。


一応 僕は明日も朝から診療やってるので

今日は 痛み止めと 麻酔 と応急処置

で終わって 明日 何とかお金 をかき集めて

また お見えになってください


ただ 痛み止めと麻酔だと

応急処置なので また深夜に痛みが出るかもしれませんが。。。」


というと

「いや明日 一日 仕事があって。。。」


「う~~~ん でも僕の身になって考えてみて

君の事あまり知らないし


さっきのような怖い 電話があって

今時 電波が切れるような 携帯であります?


君も明日の仕事


日割りで 当日 16000円 もらえます?


でも仕事が終わって 帰宅時に 給料支払いで

『今 コロナで 経営が厳しいから

今日は千円で勘弁して 後日 まとめて

払うから』と会社から言われて 君は納得しますか?」 

というと「納得しない」と答えた


「と まあ ここまで

グダグダと話してきたんですけど

僕を信用してこんな時間帯に 当院にお見えになっていただいて

お金がないから 帰りなさい とはいえないです


今までグダグダ言ってきたんだけど

これまでこんな感じで いろんなことがあったというような

人に裏切られるような 嫌な経験をしてきたという

僕の悲しい気持ち を知ってください


なので 今まで 歯が痛いにもかかわらず

君は僕の話を黙って聞いてくれた


もし 君が 僕の話を遮って

『あとからきちんと支払うよ グダグダ言わずに

この歯の痛みを止めろ』 と怒鳴ってきたら

本当に応急処置しかしないけど

今までの君の対応で 千円で きちんと時間をかけて

応急処置ではなく 痛みがなくなるまで

しっかりと 治療をさせていただくよ


つまりは君を信じますよ

絶対に裏切らないでね


その代り 今 治療前に

千円と あと小銭 置いていけるだけ置いて行って」

というと

サイフを取り出して 僕の目の前に 出したお金が


348 円だった


出しながら その男性は

「ははは 俺は貧乏だなぁ~~~」

と気楽に笑っていた


で 妙にたくさんある 1円玉


百円 50円 十円 1円

僕が ちまちまと数えていると

男性は それを黙って にやにやしながら

黙って見ているので 僕は思わず


「あれ? もうこれで終わり?

千円札 ないの?


今 348 円 しかないよ

さっき千円って言わなかった?」


と聞くと


「今日 パチンコに負けて 全財産

それしかないです」


聞くと 今日 パチンコで

4万5千円 負けたそうだ


「君ぃぃぃ~~~

何やってんの?

そのお金で 今日うちで きちんと治療 できたじゃないですか!!!」

と思わず 叫ぶと 男性は にやにや笑っていた


痛みを聞くと 激痛100%に対して

今の痛みの割合は 80% だそうだ。。。


それでよくニヤニヤ笑ってられるなぁ~~~

と内心 むかついた


聞くと 高校生の子供が2人 いるそう


思わず

「君ぃぃぃ~~~

子供さん お二人もいて

パチンコで 1日で 一気に 4万5千円

損するって 何やってんですか~~~


今までの人生で パチンコとの闘いで

全ての総額は プラスですか?マイナスですか?」

と聞くと


「断然 超~~~マイナス ですよ」

と平然と言うので


「じゃあ パチンコは 負ける 損する確率の方が高い

ってわかってらっしゃるのに

何のために パチンコするんですか?」

と聞くと


「ストレス発散のため」

と答えたので 僕はまたまた思わず


「いやいやいや 『断然 超~~~マイナス ですよ』

と答えてて 今日 一日で 4万5千円 も損してるんですから

逆に 普通に滅茶苦茶 ストレス たまりまくりでしょう!!!」

というと 気楽に笑っていた。。。


男性は

「明日 奥さんに 治療費の 残金 持ってこさせます」


というので 僕は

「ならば 奥さんに僕から直接 確認させていただくから

いますぐ 君の携帯から 奥さんに電話 して」

というと 今は スナック(お水)で働いているとのこと


「え~~~ 奥さんと 連絡位 取れるでしょ」

と言ったが 仕事中で お客さんに接客しているので

出られないそう


「ほらぁぁぁ~~~ やはりなんか

中途半端 じゃあないですか


君のこと知らないから 

本当に奥さんがいるか わからないじゃないですか~~~」


しかし話を詳しく聞くと 

彼の奥さんは 前に当院に治療しに来てるそう


なので 奥さんの 名前(氏名)を聞いて 

パソコンで その女性が実在するか

そしてその女性のカルテの内容を確認すると

1年前に 何度か当院に治療に来ていた


「う~~~ん

奥さんも 1年前に 頑張って

当院に治療に来てくださっているみたいなので

もう 348 円 でも

今日はしっかり 君の治療をさせていただきますよ

君を信じるからね」

といって 約1時間くらいかけて 

丁寧に 治療した


激痛は 無くなった とのこと


「ということで 明日 キチンと奥さんに

残金 持ってくるように言ってくださいね」

と伝えると 男性は 深夜1時過ぎに

笑顔で帰宅


そして パソコンを立ち上げ

今日のこの内容の文章を書き始めた


その後 夜中 1時30分すぎに

病院の閉め切った 玄関のドアが ガンガン開けようとする音


僕は怖くなって ICレコーダーの録音スイッチを入れた


すると 先ほど帰宅した 大きな男性


「家に帰ったら 母ちゃんに 1万 もらってきた」

と言って 1万円を出してきた


治療費から348 円をひいて 残りのおつりを返し

少し お話した


激痛は嘘のように なくなったとのこと


家に帰ると 同居している母親に

「こんな夜遅くに どこに行ってたの?」

と聞かれ 

「歯医者」

と答えると

「こんな夜中に 治療してくれる歯医者なんてあるの?」

とびっくりされたそう


「お金はどうしたの?」

と聞かれ 「348 円 だけ支払って

残りは明日 奥さんに持って行ってもらう」

と話すと 「そんなことしてはいけない

きちんとお金は しっかりと お支払いしないと!!!」

と言って 1万円 を渡されたそうだ


一万円は 明日 奥さんから 母親は

もらう と言っていたそうだ


ふと 思い立って その男性に

「君の奥さんは 1年前に

何度か当院に来てたけど 

僕のことや 治療についてなんか おっしゃってましたか?」

というと

「深夜でも 丁寧に説明してくれて 治療も上手だった と言ってた」

と言ってくれた

ついでに

「その時 妻は こんな深夜に治療しに来る人の中で

治療費が 100円 しか支払わず その後連絡がとれず

泣き寝入りしたことがあった と言っていた」

と言ったので 僕は思わず

「君も同類やないかぁぁぁ~~~

それを聞いてなお 今日 お金を持たずに よく来れたですね」

というと その男性は


「俺の方がまだ ましやないですか

100円 じゃなく 348 円」


僕は思わず 「そこかぁぁぁ~~~~~いっっっ」

と 突っ込んでしまった


「まあ 結

果として 君の母親がしっかりされてたんで

きちんと治療費を支払って下さったんで

これからも 当院に遠慮なく 治療しに来ていいですよ


ただ 『また お金がないので 後日でお願いします』

は勘弁してください!!!」


「わかりました 

でも急にこんな夜に こんなに歯が激痛になると思わんかったんで

今日はありがとうございました~~~」

と言って笑顔で帰っていった


ふぅぅぅ~~~

今日も疲れ果てました


明日(日曜)も僕は 朝から深夜までお仕事です


これにて終了

帰宅します

それでは皆さん お休みなさい


2021.7.11(日曜)

深夜 AM2:33



















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