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{第143話}大雨特別警報  作者: 健白歯
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500円 でお願いします

500円 でお願いします

本日 お昼 3時ごろ に 病院に 僕の奥さんが レセプト処理で

手伝いに来ていて 事務の仕事もしてくれていたが

当院の電話が鳴り

「院長先生 お電話です」

と言われて 呼ばれた


「ハイおかわりしました 院長の###ですが」


そこから細かく 自分の現在の痛みの症状を

説明してきた


結構前から 歯が痛く 口が開かないとのこと


歯や顎まで痛く 頭まで痛いとのこと


歯医者も怖くて とても苦手とのこと


もう3年くらい 歯医者に行ってないとのこと


現在 26歳 とび職 とのこと


で 今は 仕事で 夜9時に来たいとのこと


そして夜9時


その男性が当院に来院


丁寧に対応して 診てみると

右下の親知らず が 斜めに生えていて

半分 虫歯で真っ黒に崩壊していた


膿もたまっていて

首も頭もいたいとのこと


口は 開かない


1横指 といって 人差し指分しか開かなかった


隙間から 何とかミラーを入れて

のぞくと やばい状態の親知らず


投薬と麻酔を打つ 応急処置しかできないとお伝え


すると

「俺は 今月 あと4千円で過ごさないといけないんです

なので 今日は 500円で治療してもらえませんか?」

と言ってきた


深夜まで診療していると

月に一人くらい 当院では結構こういう

『お金がない』と平気で言ってくる

非常識な人がいる


彼の仕事は とび職で

僕も興味があるので 深く話を聞いて行くと

「日給 9千円です」

と言ってきた


僕も昔

学生の頃 ドカチン 

肉体労働 のバイトをしたことがある


電柱に {日当 1万円}

と書いてあったので 朝 早くから集合場所にいって

トラックに乗って 工事現場に行って働いたり

高層ビル(その時は結婚式場)

で壁がない 15階くらいのところで

緑の網しかない張ってない 高いところで

下 地面 が見える場所で 重い鉄筋を運んだりして頑張ったが

日当を事務所でもらえるときに

{6千円}しか入っていなかった


事務員さんに質問すると

日当1万円は 大型トラックやショベルカー

またはフォークリフトの免許 を持っている人が

1万円で持ってない人は 6千円 と言われた。。。


僕は内心 「そんなこと一言も書いて無かったやん」

と思ったが 目先の日銭が欲しかったので我慢して働いたが

親にばれ 「

怪我したら危ない 

歯医者は指が大切 指を跳ね飛ばしたらどうする?」

と怒られ 1週間で辞めた。。。


そんなことを思い出しながら

「なぜ 仕事を頑張っているのに

そんなにお金がないの?


今日は12月8日だけど

今月はあと4千円で過ごさないといけないんです

って言ってるけど 大丈夫?」


と聞くと 彼は

消費者金融に 80万

カードローン

オリコのオートローンに 

50万

借金があると言っていた


車と生活費のためと言っていた


「しょうがない

今日は お口も開かないから応急処置として

麻酔を打って 痛みをやわらげて 鎮痛剤と抗生物質で

痛みや腫れをおさえて 痛みが和らいだら

御帰宅していただくので


でもしょせん応急処置なので

もしかしたらすぐに麻酔や鎮痛剤の作用が切れたら

また痛みがぶり返すかもしれないし

明日になったらもっと 痛みが激しくなるかもしれませんよ


でも今日は 500円ではなく

初診料のみ


261点 の3割負担


780円 は 払ってください


処置料はもう点数とらないんで


カルテには 摘要で

歯科恐怖症のため 治療中断 で

初診料のみで 点数を取るので

780円は払ってくださいね


しかし以後は 当院を利用するときは

しっかりお金がかかるので

それだけは御理解ください


次回は 僕も君にサービスできないので

ご了承くださいね


でも今日 当院を出られて

また痛くなったら もう サービスすることはできないんで


僕もこんな夜まで仕事しているので

きついのでね。。。


でも今回だけ 出血鼻血 サービスさせていただきます」

といって 開かない口の隙間から

「麻酔が怖い怖い」と叫んでいる患者をなだめ

汗をかきながら 丁寧に麻酔を打った


処置後 口を無理やり開けなかったら

痛みはなくなった

といった


ついでに 上の前歯 3本

大きな虫歯があったので 

お調子者のサービス精神の塊の僕は

無料で 治療してあげた


「こんなに君に今回サービスしてるんだから

すぐに右下の親知らずが痛くなっても

逆恨みして 僕にギャーギャー 脅すように騒がないでね」

と おどけながら言った


「そんなこと言いませんよ」

と彼は言った


実は 説明の途中で

なぜか 入れ墨 の話になって

彼は 「自分 入れ墨 入れています」

と言ってきたので

何にでも興味のある僕は 

気楽にフレンドリーに 「見せて!!!」

とお願いすると 服をめくり上げて

入れ墨を見せてくれた


色はついていないが 体中に

黒 一色 の入れ墨 が入りまくっていた


僕は 「色がついてないじゃないですか?

色は 入れないの?」

と気楽に聞くと 「まだ途中なんですけど

もうあきたっていうか どうでもよくなったんです」

と言ってきた


なので僕は 「なら親から もらった 大切な体

最初から 傷つけなければよかったのに。。。」

というと笑っていた


おへそ の周りに 大きく太陽のマークで囲んだ

入れ墨があって

「ここの部分はいくらなの?」

と聞くと

「3万円くらいですかね」

と答えてくれた


僕は体中に入れられた入れ墨をみて

内心

「歯の治療が怖いって。。。

入れ墨の方が痛そうやん。。。」

と思ったが それは口にはしなかった


そういうことで

もし 当院を出た後 すぐに

また右下親知らずが痛んで

またお金がない と言われたら嫌なので

上の前歯が3本 真っ黒 に大きな虫歯になっていたので

サービスと称して 無料で真っ白になるように

治療してあげた


僕なりの後で揉め事にならないように

対策とした サービス



ただ彼は 調子に乗って

続けて 痛み止めは カロナールしか出してなかったが

「ボルタレンをください」

と言ってきた


「すみません 今 国が厳しくて

外科処置をせずに 応急処置 程度だったら

ボルタレンは出せないんですよ

カロナールのみなんですよ」

と言ったがひどく懇願してくるので

「じゃあ 2錠だけ 無料であげるよ」

と言ったところで

次の 綺麗な女性が 治療しに来た


それで痛みもなくなったということで

ていよく

御帰宅していただいた


超~~~ボランティア精神で

頑張ったが

正直 疲れ果てました。。。


2020年12月8日

PM22時33分





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