プロローグ ※挿絵有※
初めましての方は初めまして!
なろうの中でもなろうらしくない文を書いています。
でも今回はなろうぽい作品にチャレンジしたいと思いますのでお付き合いいただければ幸いです。
今回も@nyoronyoro様のイラストを使用させていただいております。
気になる方は是非フォローしてくださいませ。
闇夜の中に異形が蠢く。
都会の片隅の中で。
黒いセーラー服に血の様に赤いスカーフを纏った少女が一人。
その異形と対峙している。
淡く光る月明りの下。
それに向かって漆黒の闇の翼をはためかせる。
少女を照らす月明りを真っ黒に染め上げる様に。
少女は無表情でその言の葉を紡ぐ。
「狩りなさい、ヤタ」
言葉に呼応するように黒い翼の鴉は異形のモノをその翼で、嘴で刈り取っていく。
いつもの様にヤタは異形のモノを仕留めたと少女は思った。
力のない妖だと油断していたのもあった。
しかし少女がよくよく観察すると妖の周りの景色が歪んでいた。
まずいと思った瞬間にはもうすでに遅かった。
少女は使役している鴉と共に、異空間の彼方へと飲み込まれていた。
そして。
残されたのは何事もなかったように輝く月明りだけだった。
―――
その世界は"記録"に縛られていた。
生きとし生けるもの全てに"記録"というパラメータが設定されていた。
"記録"を失ったものはこの世から"存在"そのものが消えてしまう。
"記録"は様々なことで消費されていってしまう。
大怪我、過度な運動、病気、老化等々……。
"記録"は、再び新しい"記録"を積み重ねていくしかない。
失われた"記録"を回復させる手段は存在しない。
それが"記録"という呪い。
その世界は、そんな呪いをかけられた世界だった。
少年は最強の力を持っていた。
しかしそれは諸刃の力。
少年の力、それは"記録"を力にする力。
少年はその力を使い続けやがて全ての"記録"を失った。
失った、はずだった。
少年は失った"記録"を取り戻すため、目を覚ました街で奉仕生活を続けていた。
それが失った過去の自分の"記録"を取り戻せる事だと信じて。
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