灰色の服の少年
刀がたくさん刺さった黒い大地に
一人でぼうっと体育座りの
灰色の服の少年は
ボーッと空を見上げては
息を吸い込み また吐いた。
焦げた大地の匂い
たくさんの刀
色んな人が、今死んだ。
昨日の夜まで生きてた人たち
それから深夜の戦は地獄で
見えない世界で敵も味方も
みんなみんな死んでいった
白色の服が
灰色の服になったころ
生き残ったのは
少年ひとり
ずっとずっと一人ぼっち
親もなくして一人ぼっち
死んでもいいと 戦いに出て
結局残った 一人ぼっち
冷たい空気
枯れた大地に
たくさんの服と
たくさんの刀
白い煙
黒い煙
吸い込んで
残った一人が
見上げてる
だんだん青くなっていく
だんだん赤くなっていく
空は白々
赤の兆しに
青の夜明けに
冷たい空気と
暖かい朝
焦げた大地に
光が灯る
灰色の服が
白く光って
少年の夜が明ける
少年の夜が今 明けた
涙が出てきた
ぽろぽろと落ちていく
枯れた大地に
残った雫
静かに静かに照らしてる
夜明けの太陽 照らしてる