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僕達に与えられた使命。…と、新たな日常。  作者: イイコワルイコ
創造神戦争
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第46話「デメリット」






「とぉう!!」



10m以上の高さからでも、サラは何事もなく着地してみせる。ついでに着地時のポーズや立ち上がりまでの動作は好きなアニメを参考にした特殊なものになっていて。



「拙者、ハンバーガーよりはホットドッグ派…ラーメンなどという邪道は何があっても選びませぬ…!」


「アホか。何の台詞やねん。その台詞考えたやつもアホやな。誰やねんそれ」


「ネットで全話見れます。後で一緒に見ましょう」


「全く。お前は余裕やなぁ…」




向かってくる男達。その奥でサラを見ている女。頭の飾り物から紫色の光が生まれベールになり、女の顔を覆い隠す。



「峰打ちかぁ…ま、やってみようやないか」


「行くでござる!」


「しゃーないやつやな…」



戦闘開始。

まずは2人の男が正面から殴りかかってくる。サラは姿勢を低くして両足それぞれに別のベクトルの力を込めるとその場で低く飛んで


「腹がガラ空きや!くらえ、」


「回転切り!」


素早く左回転。開始時と終了時で2回の攻撃を浴びせる。


「峰打ちや。死なないやろ。でも泣くほど痛いで?」


「オヤブン、次です!」


次も2人。残りはサラを囲うことで逃げられないようにし、絶妙な距離を保つことでプレッシャーをかける。


「ならこれでどうや!!」


次は両手で刀を真上に振り上げ、勢いよく振り下ろす。

地面を強く打つと大小様々な石が目の高さまで跳ね上がる。それを


「爆散斬!」


「です!」


再び回転切りを行って弾き飛ばす。角度も威力も正確にコントロールされたそれは、男達の額や足に直撃。追加で1人を巻き込んで3人を戦闘不能にする。キメ顔を作ろうとするサラだったが、上手く石を受け流した残りの5人が一斉に動き出したので中断。


「普通の人間やから耐久が紙やな。かなーり手加減して、アレ見せたろ!」


「うおおー!必殺、」


「マタタビ…返し」



ニャーーーーーン!!!



真上に跳躍し、空中で素早く刀を振り回す。不思議な攻撃音が発生し、真下に集まった男達に向かって斬撃が飛ぶ。

しかし斬撃は体を切断することはなく、男達の足下…石を強く弾き飛ばす。予測不可能な軌道で飛ぶ石を防ぐことができず、男達は全員その場に倒れた。



「こんなもんやろ。直撃やったら全員、三枚下ろし…いや…キモイなそれ、見たくない。アカン、サラ…この技封印せえへんか?」


「しません。カッコイイので」


「そ、そうか…」


「あとはあの人だけです」


「せやな」




直立不動の女。手には何も持っていない。サラが見た限りでは、服に創造の書を隠しているようには見えない。


「殺すか?」


「話が出来るなら試したいです」


「変身は解かんで」


「はい」




少し緊張するサラだったが、あっさり接近できた。会話ができるくらいまで近づくと、サラは女のベールの奥を気にしながら


「こんにちは」


挨拶をした。




「……」



しかし返事は返ってこない。サラは首を傾げる。オヤブンは"日本語が通じないのではないか?"と誰でも気づくようなことに気づけないサラにツッコミを入れようとするが、わざと黙って見守る。



「ミーシャ…?」



サラがキーワードになりそうな名前を出す。すると、女がピクッと小さく肩を跳ねさせ反応する。



「………」


「おい待て」



無意識にベールに手を伸ばすサラ。オヤブンは止めようと声をかけるが、


「ん。取ります…」



無事に掴めたサラはベールを持ち上げ、


「〜〜〜〜〜っ!!!」


「ぉわ!!」


られなかった。女は声を出してサラの手を拒否し、後ろを向いて両手でベールごと顔を覆い隠す。



「おま、…ほぼ喘ぎ声やんけ。サラ。嫌がってるんやからもうやめとけ」


「分かりました。…ごめんなさい」



頭を下げてきちんと謝罪。それが伝わったのか、女は向き直り…自身の創造の書を取り出して見せた。



「今どこから出したんや…ん?確か凪咲の嬢ちゃんも同じことを…お前使者やったんか?」


「……?」



「〜〜っ、」



「やめろ。そのウッフン的な声やめろ。誤解が生まれる」


「見てほしいみたいです」


「は?」



創造の書を開いた女がサラに見せたページには既に書き込みがされていた。



「えっと…」



忠誠の心

対象の行動を自由に操作することが出来る。



「この創造で男の人を操っていたんですね。…あれ?下にも何か」


ページの上部には先の戦闘を可能にするものが書き込まれていた…が、最下部…ページの端に小さな小さな…汚れと見間違うような大きさの文字が。


「…全ての世話を下僕に任せられるので、話す必要がなくなる。……なんですか、これ」


「だから、あれやろ。忠誠の心でさっきみたいに従わせることが出来て、そいつらに飯も掃除も洗濯も買い物もぜーんぶやらせる…わざわざ指示せんでもよくなったら…おいまさかこれ」


「オヤブン?」


「お前の大好きなやつや。力の代償や。おったやん、闇の力で無敵になれるけど力を使う度に大切な人を失うとかいうのが」


「あ!悪魔ヒーロー、デメリットですか!!」


「なんて名前や。そのまんまやんけ」


「じゃあ、この人はこれを創造したから…話せない?」


「そうやな。とりあえず話を聞くには」


「この創造を無しにしないといけません。だから」



サラは女に頷いてみせると、そのページだけを破った。女はとても驚いているが、完全にページが失われると



「〜っ、…〜っ、…ぁ、ぁ、」



オヤブンが焦るような色っぽい声は出なくなり、声は言葉を作ろうとしていた。


「頑張れ。いけるで」


「もう少しです!」




「…あー、あー、あ!あ!」




「来た来た!よっしゃいける!」


「こ、こんにちは!!」




「…こんにちは!!」




女はサラの言葉を真似た。ようやく話すことが出来て嬉しい女は両手をあげて大喜び。サラも一緒になって喜び、ハイタッチをしてみたり軽くハグをした。


数分喜びの舞が続いて2人とも落ち着いてくると、女は別のページを開いた。そこには。



「わーお…英語、ロシア語、中国語…色んな国の言葉が話せるようになる創造が書かれてます。これだけ話せたらどこに行っても言葉が通じますね」


「そういうことか。さっきのやつで話せなくなって慌てて色んな国の言葉を話せるように別で創造した。でもデメリットで話せなくなるのを解消できんかったんや」


「2ページ分あります。お、日本語も話せるみたいですよ!」



「…、助けてくれてありがとう。ページを破ればいいなんて気づけなくて」



「どういたしまして。えへへ」


「あれやな。世界中回って代行を探して、助けてもらおうって考えてたんやろ?」



「そう。でも見つけたと思ってもすぐ戦いになるから…」



「正直弱いもんな。よく生きて来れたなぁ」


「…ところで、あなたのお名前は?わたしはサラ。こっちは…オヤブン、元に戻ってください」


「おう、せやったな…よっと!!」


ボン!黒煙が発生し中から黒猫の姿に戻ったオヤブンが出てくる。


「ワイは天才猫、オヤブンや」



サラ達の自己紹介に続き、女はゆっくりとベールに手をかける。



「名前は、シャミア。ミーシャはご先祖さま」



ようやく顔を見ることが出来たサラ…より先に、




「うううううわああああああ!!!!絶世の美女やんけええええええええええええええ!!」




オヤブンが反応し、絶叫した。






………………………………next…→……








都内某所。




帰宅する貝殻ユリカ。建物の入り口で他の住人と偶然会う。それは



「よっ、貝殻ユリカじゃねえか」


「あ。…えっと」


「隣人だよ。親切な隣人」


「…あ、」



取材目的の人間が集まっていると警告し、サインと引き換えに"片付けて"くれた人…ユリカは思い出した。



「なぁ。本当はあの動画のマコトってやつと付き合ってるんじゃないのかー?すんげえ気になってたんだよ」


「いいえ。付き合ってません…」


「じゃあフリー?」


「はい…そうですけど」


「そっかぁ〜!!くぁー、いいなー。夢があるっていうか」


「え?」


「もしかしてもしかしたら俺と貝殻ユリカがくっつくかも…!って」


「……」


ユリカは目を細めて再確認する。赤くて長い髪、やや控えめながら膨らんだ胸、細くて長い足…目の前にいるのは"女性"だと。そしてこれもまた現代らしいと納得し


「もしかしてもしかする?あ、ちょっと待て!…試しに告白してみていいか?」


「ふふっ」


「あー、笑った!ったくクソ可愛いなー」


「…ありがとうございます」


「そろそろ行こうぜ。ドアの前まで送ってくよ。ユ、リ、カ」


「お願いします、隣人さん」


「くぅ〜」


ロビーを抜け、エレベーターに乗り込む。



「俺はユウコだ」


「ユウコ、さん」


「そ。こないだまでのお前と同じ」


「え?」


「やだなー。代行だよ、代行」


「………」


目を見開き身構える。動作中のエレベーターの中では逃げられない。手に持っていたバッグを顔の前に持ってきてせめてもの盾にしようと


「勘違いすんなって。襲ったりしない。あ、でもベッドの上だったら話変わるかもなー?なんて。あっははは!」


「……」


「本当に襲わないって」


冗談っぽく話すユウコは突然優しく言った。ユリカはそれに釣られてバッグを下ろす。


「がおー」


「……本当に、襲いませんか?」


「貝殻ユリカを殺して何の得があんだよ。人類にとって大損だろ、お前を失うって」


「………。…あの」


「ん?」


「同じ代行だって言ってましたけど」


「おう。あれだろ、男にやたら好かれるやつ。凄かったろ。創造の力は」


「代行、だったんですか?」


ユリカは自分を指さして聞く。ユウコは首を縦に振って肯定し、


「創造の書に書き込んで創造したなら代行だ。お前の弟が代行をやってる間も創造は機能し続けたってのはイレギュラーもいいとこだけどな」


「……こないだまでのって」


「前より男に好かれないだろ?いや、元々人気だし美女だしあんまり実感してないだろうけどさー」


「…はい」


「そういうこと。創造の書が効果を発揮しなくなったからお前はもう代行じゃなくなったってことだよ」


「そうなん、ですか」


エレベーターから降りてもユリカはユウコに興味があるようで、隣を歩きながら顔をジロジロ見ている。


「どうかしたかー?」


「ユウコさんも…人を殺してるんですか?」


「知りたい?本当に?」


「……」


「そんな見つめられると、困るんだけど」


「あ、すいません」


「俺今頭の中でお前のキスシーン思い出してたからな?今の間もなかなかだったろ。ぅーって唇尖らせるとこだった…ふぅ危ねぇ」


「……」


「ま。代行に生命狙われることがあったら頼ってくれていいよ。恋人のふりでもして守ってやるって!あっははは!」


「そんなに…好きですか?」


「ん?なんだよ急に」


「恋人にしたいって思いますか?」


「え、え、なに、え?ドッキリとかじゃないよな。その辺にカメラ隠してない?」


「……今度舞台のオーディションがあるんです。それで、主役は同性愛者であることを隠していてそのせいで」


「あー、皆まで言うな。あれだろ。演技にリアリティーを出すために俺と恋人ごっこしようって、そういうことだろ?」


「すいません、好意をこんな風に利用するのって」


「いいよ別に。レズってみようぜ?」


「いいんですか?」


「俺のおかげで舞台の仕事が決まったってなったら嬉しいじゃんか。それに恋人になれるんだろ?最初は嘘でも下手すりゃ本気になるかもしれないしなー」


「……」


「よし、じゃあ俺がリードすっか」


「え、あ。…ん…」


ユリカの部屋の前。壁ドンをしてそのままキスをしたユウコ。


「俺の部屋…は汚いからダメだ。中入っていいか?」


「……はい」




そのままユリカの部屋に入っていった2人。

その頃、ユウコの部屋では……





「モモ、そっち持つ。ゴダイ、反対」


「わ、分かりましたぷひ!」



桃髪の少女と、薄い白の輪っかを頭の上に浮かべる男の子。2人は大きな本棚を移動させていた。


「創造の書…とっても増えましたぷひ」


「全部、使う」


「………」


特製の本棚には創造の書がぎっしり。同じ色の系統で表紙を揃えており、グラデーションが綺麗で2人はつい眺めてしまう。



「結子、言ってた。もうほとんど終わり」


「終わり?」


「そう。戦うの、終わり」


「……じゃあ、」


「…今日はごちそう」


「わあ!!」


「焼肉」


「おすし…ぷひ、」


「ハンバーガー…」


「なんでもいいぷひ?」


「たぶん」




作業が終わった2人は、食事が楽しみで想像の世界に浸っていた。








………………………to be continued…→…



僕あた豆知識。

結子はめちゃくちゃ面食い。顔が良ければ性別は気にしない。

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