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僕達に与えられた使命。…と、新たな日常。  作者: イイコワルイコ
創造神戦争
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第44話「お休み」







「……っ!!」



病院…地下。

別行動をしていた桃髪の使者はフリーカが隠していた空間を発見した。それが地下へと続く階段なのだが、階段を隠していた影を破壊するので精一杯だったこともあり…階段の先の大きな扉を開けることが出来ない。赤黒い扉にも同様の影の結界が張られていると簡単に想像ができるが…



「開かない」



「そうよ。開けさせないわ…!」



取っ手を握り前後にガタガタ揺らすことしかできずにいると、背後の暗闇からフリーカが現れる。直後、24の死を望む音が闇の中で乱舞する。全てを防いだところで、



((READ))


「あなたみたいな防御型が大っ嫌いなの…だから、専用のものを用意したわ。さぁ、死に狂いなさい」


「…」



創造の書の光で僅かに空間が明るくなる。その瞬間にフリーカの横に自身の小さな体が通れる隙間を見つけだし、発揮できる最速の動きで



「イーヴィル・イーター」



攻撃を仕掛ける。

緑色と桃色の直線が闇の中を走り、その攻撃範囲内の全てを



「あなたにこの体は切れない」



切断するはずだった。

しかし、結果が分かる直前でフリーカが無傷であることを自己申告し、



「分かっているの。今のは攻撃が目的じゃない。動作中の加速を利用して敵をすり抜けようって考えていたんでしょう?」


「ぐ…」


深い打撃。振動が肉から骨へと伝わり、不意に打たれた部位がビリビリ痺れる。


「使者はこんなものね。所詮…その程度」


「イーヴィル・サンクチュアリ」


「次は何!?」




揺れる炎のように薄い光が生まれ、それは使者を囲むように魔法陣を描く。光速で完成した魔法陣は先の攻撃と同じ2色の光を魅せると範囲内を現実から引き離した。



「っ!!っ!!!…当たらない…?」


フリーカの影は使者に触れられない。弾かれるでも透過して回避をしているわけでもない。影は確かに打った。力強く打ったはずなのに。



「………」


光のおかげで桃髪の使者が顔を上げてフリーカを目視する。真顔で影を睨んでいるが、左肩を右手で押さえていた。



「最後の手段ってわけなのね。なら、これを突破すればあなた達の負け…、っ!!!」



しかし影を送っても通じない。



「…結子。早く」


「無駄よ。無駄。この上はあなたが見つける前と同じように隠したわ。影で空間に蓋をして、さらに上から別の影を張り付けて周りの景色と同化させたの。この影は創造で出来てる…だから、影に色や映像を付与することだって簡単なの」


話しながらもフリーカは攻撃を続ける。

自身で最も効率が良いと考える形で。

影は無数の蛇になり、飛びつくようにして張られた聖域へ向かう。届かないと知りながらも何度も挑む。無駄な行為に見えるそれは、桃髪の使者の流す汗の量からして



「無駄じゃない。…数分もしたらあなたはその不思議な力を失って、影に殺されるの」



「っう…!」



「あと少し。あと少し。あと少し。あと少し。あと少し。あと少し。あと少し。あと少し。あと少し…」



ピタッ。



フリーカの動きが止まった。

数秒、その様子を観察した後に桃髪の使者は術を解除し咳き込みながら階段を駆け上がる。そして





「ったくふざけんなよガチガチじゃねえかこの壁。おい、モモ!生きてるかー!」




「結子」




「今からこの壁ぶっ壊すから。お前もイーターしろ。せーので同時にやるぞ」




「分かった」




暗闇が壁となって使者と代行の合流を阻む。

それでも会話は可能で、代行の指示に従い力を溜める。





「………、せーのっ!!」




((READ))「イーヴィル・イーター」











































































































それから、約1時間後。





「…あと少し。あと少し。あと…す…」


フリーカの攻撃が再開され、その全てが空振りに終わる。

手応えの無さだけなら何も変わらないのだが、確かに変わった。それは



「……消えた」



使者の姿がそこにない。

扉の奥に進んだ痕跡もない。では、どこへ?



「は、上に?」


振り返り見上げれば、影で閉ざしたはずのその場所は。


「どうやって?まさかさっきのより速い加速で?気づけないことなんて…」


驚きを隠せない。しかし、それよりも気にしなくてはいけないことがある。


「オガル!!」











………………………………next…→……







「ひぃぃ…!結構しんどかったなー」



「……」


「なんだよ。モモ、お前落ち込んでんのか。お前は十分強いよ?ん?」


「……」


「可愛いなー。分かった分かった。もっと強くしてやるからさ。帰ったら」


「…分かった」




病院から離れ、走って逃げる2人。


「実質俺達の勝ちだな!」


「…」


「見たいか?」


「…」


頷くモモに、結子はスマートフォンを投げ渡す。

カメラで撮影した数枚の画像を見てモモは数回頷いて成果を喜んだ。


「隠し部屋の位置は建物ごと創造しないと変えられないから、まぁ次行った時も同じだろうな。それと、オガルの転身の準備も見られた。俺達が病院にちょっかい出したから六島も大慌てでやるだろうよ。めちゃくちゃ怒らせたってわけだなー。あっはっは!!」


「オガル。目が無い」


「あー、それだけど。どうせ目も復活するだろうさ。元の目より高性能な感じでな。次のステージにステップアップってか」


「……」


「今度は何だよ…?あぁ。そのことか。心配すんなって。俺がどうにかしてやる」


「…お願い」


「っ…おう」



モモがスマートフォンを投げ返すと、結子は受け取ったそれの画面を見つめる。よそ見をしたせいで道路の小さな割れ目に足を引っかけてしまい、派手に転ぶと



「ははは…あぶね、しょうもない死に方するとこだった」



ヘラヘラ笑って立ち上がり、スマートフォンをその場に捨てた。






………………………………next…→……







「んん〜…」



凪咲さんがお風呂に入ってすぐに僕宛てに届いたメール。

ダンさんから、あとサラさんからも。



「なんとなくサラさんのを先に見たい…かも」


読んでみた。




件名 マコト!


今日はわたしとオヤブンのご飯は用意しなくて大丈夫です!

明日の午前中に1度帰るので朝ご飯はお願いします!



「平和だ。返事を送って…と」



次はダンさん。彼から連絡…となると少し危険な予感。



件名 困った時は


私の隠れ家に来たまえ。事前の連絡は不要だ。創造で暗証番号式のロックをかけてある。番号と住所は添付した画像で確認を。



「あ…良かった。何かあったんじゃないかって」


返事を送って、ため息をついた。

……忙しかった。自分が活躍したとはあまり思わないが、最近の戦闘はキツいものがあった。その時その時で死にそうになったりして危なかったと思うことはあった…でも


「………ふぅ。…アムグーリ」


多少戦えたからこそ、あの戦闘はとても疲れた。

自らの手で勝ちに行く。力負けすれば即死。あまりにも簡単なルールの中での殺し合い。乗り切った今でも、ふと思い出すと汗がじんわりと…


「強くなるって言っても、それは他の代行も同じ。同じ程度の成長なら力の差も変わらない。一気に、強くなれないと」



チート。チート系主人公。


そんな言葉が思い浮かんで、ネットで検索する。

そのほとんどが序盤から終盤までずっと敵を圧倒していて…周りの戦闘力が70〜100だとしたら主人公だけ10000…みたいな。

レベルの概念があったり、スキルという特殊能力があったり、経験値を1つの能力に全振りしたり…参考になりそうでならない。ゲームの世界観とは違う。現実で、生身の人間に力を与えたりすることを考えなくてはいけない。



「…代行兼使者」


自分の肉体をゲームキャラクターのそれに変えてしまえば、そのままチート系主人公を真似することも出来るのだろうか。

でも、そうなるとダンさんの再構築の恩恵を受けられなくなる。使われたら元の人間に戻ってしまう。

ただ、1番手っ取り早いのはこの方法な気がする。凪咲さんに食事等の世話を頼んで1週間くらいずっと読書すれば…出来そうな気はする。



「チート…無敵…そう考えると」


状態異常を受け付けない…だとか。触れたもの全てを破壊する…だとか。ちょっとやり過ぎなものを想像して、それが創造できるかを考える。



「………あー、」


様々な主人公の設定だけを読み漁っていると、魔法使いばかりの世界で1人だけ魔法が使えない代わりに一切の魔法を受け付けないという設定のものを見つけた。

タイトルは…ちくわ世界大戦8…これには触れないでおこう。



創造を受け付けない。



これが実現したら、相当な防御力を得られる気がする。それこそ、無敵だ。

敵を倒すために創造をすることが大半なのだから、それを受け付けないとなれば…元から存在する物で戦うしかなくなる。しかもこの創造の内容が分からなければ相手はどうやっても…


「う…ん、でも」


思ったのと違う。という展開ばかりが想像できてしまう。

創造を受け付けない…つまり、創造の力を否定…したら。それってもしかしたら創造の書の所有権すら破棄してしまいそうで。


「何してるの?」


あ!創造の効果を半減する…とかならどうだろうか。

敵味方問わず力が半分になったら、"引き分け"を狙うことが出来るかもしれない。

万が一のピンチに備えて、強力な弱体化を…それこそ、ダンさんの再構築みたいなイメージで。


「真…っ!」


「あっ!!…あっ!?」


スマホを取り上げられて振り返れば凪咲さんがいて。

…バ、バスタオルを巻いただけの、どどど、どうしよう。見ないようにしないと!!


「んふふ。ね。真。わがまま聞いてほしいな」


「へ!?な、なんですか!?ホラー映画とかじゃなければ全然」


「うん。えっとね…」


下を向いたまま応じる。少し濡れてる彼女の足をただじっと見ていた。…あ、爪綺麗……ツルツル、光沢感…




「少しだけ。代行はお休みしない?」




「………え」











………………………to be continued…→…



僕あた豆知識。

凪咲が使うタオル類はネコ柄。無地に見えても必ずどこかにワンポイントでネコがいる。

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