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僕達に与えられた使命。…と、新たな日常。  作者: イイコワルイコ
創造神戦争
166/443

第41話「ネタバレと不戦敗」


あの子によろしく、同タイトルで曲作っちゃいました。

気になる方は活動報告へ…






「絶対に見つけないと…!」




僕は今、本気でネット検索をしている。本気でだ。



「真。あと2分だよ」


「うあ…」


夜、11時。サラさん達はダンさんのとこの旅館に泊まることになって…家には僕と凪咲さんとソープだけ。

いつも通りではあるのだが、こんな時に限って凪咲さんはとんでもないホラー映画を見ようとするのだ。


「すごいよね。この映画の撮影中に悪霊役の女優さんが首吊り自殺。遺書代わりのメモ用紙には"ごめんなさい"と"もう見たくない"と"こっちに来る"…だもん。仕方なく別の女優さんにお願いしたらその女優さんも精神崩壊。確実に何かが起きてる。映画の方向性も変わって、ドキュメンタリーになって。いざ映画が公開されると観客も体調不良を起こして…中には入院する人も。レンタルが中止になるのも時間の問題だろうから…見るチャンスは今しかない。だから1回普通に見て、その後何回か細かいとこ見ながら巻き戻したりして」


「んぁっ!!はいっ!はいっ!」


「あったの?」


「ありました!!あの子によろしくのネタバレ!!」


「むむむ…」




どうしてもそのホラー映画を見たくない僕は提案をした。

ドラマ、あの子によろしくのネタバレを見つけたら…あんまり画面を見なくていいことにしよう…と。

本来は関係者しか知らないことだが、死んでしまった俳優ヨゾラが得意げに話していたのを思い出して…もしかしたらもしかするのではないかと思った。

それこそ、話を考えた人が…合コンとかキャバクラとかで若い女性の気を引くためにネタバレをする…みたいな。

そして話を聞いた女性が別の人に話して…を繰り返し、我慢出来ない人がネットの掲示板に書き込む。

…見事、匿名で書き込まれたそれを見つけて…ヨゾラに聞かせてもらった内容との一致も確認。これで僕はホラー映画をあんまり見なくて済む…!



「えっ…B男がD男の彼女のC子と関係を…盗撮したのをD男に見せて…うわ…A子はブチギレたD男に無理やり…酷いことされたの隠したままA子はB男にお礼を言う…B男が何をしたか知っていながら…う、うわ…」


「なんかすごいことになってるみたいですね」


「嘘の仲直りってタイトルなんだけど…B男はA子を助けた気になって復縁を望む。A子は受け入れるんだけど、明るい時間はB男とデート…夜は毎晩のようにD男に…。B男はまだ問題が解決してないことを知らなくて、高校生の頃に戻った気分でいた…って」


「A子の心労とかもそうですけど、B男もいつか気づいたらと思うと」


「気づくよ。…ああ…最悪…D男殺したい。D男も盗撮したのをB男に見せて…ネットにも拡散してた」


「そんなにですか!?って…拡散!?」


「B男とD男の直接対決。殴り合いになって、D男がふざけたこと言ってる。A子は俺との相性が良くなりはじめてるからもうお前と体の関係には発展しない。って。その場ではD男がボコボコにされるんだけど、B男はA子が汚されたことでもう顔も見たくなくなっちゃって」


「………」


「そこにC子が来る。B男の心の支えになって」


「絶対その2人がくっつきますよね」


「うん。…B男が少しずつ元気を取り戻してる間にA子は子供を産むかどうか悩んで…産まないことにした。大体のドラマは産むよね。子供に罪はないとかなんとか言って」


「…その後は」


「D男はそれからもA子と無理やり関係を続けて…A子はもう1回授かった命を殺す選択をした。身も心もボロボロになって魅力が無くなったA子に対してD男は体ではなく金銭を要求するようになった。まともに生活ができなくなって、D男がギャンブルとキャバクラで作った借金も押し付けられて…A子は風俗で頑張ることになった」


「それテレビで流せるんでしょうか…流せたとしてもD男を演じた俳優さんが炎上しそうですよね…」


「D男はA子を見捨てて消えた。A子は1人で、1人きりで借金の返済を続ける。B男への謝罪のつもりで」


「B級ホラー映画より怖いかもしれません」


「ある時、常連客が借金を全額肩代わりしたいと言ってきた。そして風俗をやめてほしい、一緒になりたいとも…A子はその客と結婚することを決めた」


「…A子はやっと、」


「借金は無くなった。でもその彼は犯罪組織のリーダーで、金だけは持ってたけど逮捕は時間の問題…みたいな」


「利用する気満々だったんですか…もうアルファベットも使わないんですね」


「一応、F男とはなってる」


「…まさか、E子が存在するんじゃ」


「…………」


「凪咲さん?」


「……………あ、ごめん。集中しちゃって。隠してた過去をF男に晒して…バツイチになったA子は、男性恐怖症になった。それから出会ったのがバイト先のE子。歳が同じで、すぐ仲良くなれて、A子の過去も受け入れてくれて、恋仲みたいな関係になって…最後がクリスマスデートの場面」


「………」


「A子とのデートの待ち合わせ時間より少し前。喫茶店にいたE子はB男、C子と一緒にいた」


「ぅへ!?」


「B男とC子は結婚して新婚生活を楽しんでて…そこでE子の秘密が明らかになる。それは、E子は2人がA子に贈ったプレゼントってこと」


「…わ、わけがわかりません…どういう…」


「B男はなんだかんだでA子のことを想ってた。C子もそれを分かってて、B男が本当の意味で前に進むためにはA子が幸せになるしかないって考えた。それで、B男がしたようにA子を調べた。色々あって男性恐怖症になったことを知って、元々同性が恋愛対象だったせいで仲間はずれにされてた同級生のE子のことを思い出して…B男と相談して、偶然に見せかけて出会わせた。E子も新しく恋人が出来るならと引き受けた」


「……じゃあ…裏はあったけど…このまま」


「E子はクリスマスデートのプランを楽しそうに話して…そろそろ解散かなって時にB男が言う。あの子によろしくって。私が幸せにするって宣言するE子だったんだけど、そのあと時間になっても待ち合わせ場所にA子は現れなくて」


「まさか…、、D…」


「ううん。心配したE子がA子の自宅に行ったらパトカーとか救急車が来てた」


「……」


「実はA子は男性が怖かったんじゃなくて、人そのものが怖かった…って遺書で明らかになる。対人恐怖症ってことかな。それでA子はE子と仲良くなってすぐに」


「探偵大活躍すぎませんか」


「そうだね…。…それでE子がB男達と時々会ってて、自分の様子を話してるのを知って。今度こそ何にも信用できなくなって。その日に自殺しちゃった」


「………」


「残したメッセージにはB男に向けたものもあって、そのほとんどが謝る内容だったんだけど…E子とのことについては怒ってた。関わらないでいてくれた方がよかったって…それで、メッセージの最後…あの子によろしくって……」


「…ん、ん?」


「盗聴してたみたい…その喫茶店での会話。それに、今回のことを思いついたC子に向けて言ったようにも思えるし…B男達のことを隠してたE子に向けて言ったようにも…」


「………え、それで…終わり…?」


「うん。最後の最後がA子の遺書になってる。…ドラマも同じになる予定だったって」


「元はと言えばA子がD男に会いに行ったのが…でも、A子…可哀想だなって…」


「ドラマで見たかったな…今回のことで打ち切りが発表されてすごい残念」


「あの人気っぷりからこの結末ですもんね…下手したら社会現象的なことも…」


「さ、DVD見よっか」


「…じゃあ僕は約束通りスマホ弄ったりしながら」


「4秒」


「へ?」


「4秒オーバーしてたよ」


「そんな怖いこと言わないでくださいよ。ちゃんと見つけ……凪咲さん?」


「今夜は寝かさないから」


「使い方間違ってます!!ちょっ、嫌だああ!!」


「私とくっついて見るか、錬金術で体を固定されて無理やり見るか…どっちがいい?」


「うわあああああああああああ!!」



助けて。誰か。






………………………………next…→……








「へへっ。大漁大漁。30冊はヤバいよな」


「モモ。分からない」


「なんでダンが諦めたかって?」


「使者はいつでもモモと戦えた。準備してた」


「そうだなー。でも気づいたんだよ。ダンは。すげーと思う。そろそろ六島に追いつくんじゃねえかな。代行としての成長スピードがやべえ」


「…?」


「俺がヘラヘラしてるだけの代行じゃないってこと」


「…?」


「え、お前俺の使者なのに分かんない?嘘だろ?」


「……」


「おいおい。……今回ので俺は合計50冊は所有してんだから。頼むぞ?」


「ゆうこ…強い?」


「そ。そうだよ。めちゃくちゃ強いの。それに気づいたから、使者同士を戦わせても意味がないって…お前話聞いてる?」


「お腹空いた」


「はぁ…まぁいいや。ちょっと奮発して焼肉食べ放題でも行こう。な?」


「焼肉…!」


「お前食い物の話になると可愛いよな。目がキラキラしてさ。…ちょっとこっち持って」


「分かった。タン塩…カルビ」


「……お、おう」




持参したエコバッグに詰め込んだ創造の書。

4つの袋に分けたそれを使者と分担して運び…夜の闇に消えていく。
















その頃。2人が去った後のゴッドでは。






「ご主人様」


「…問題ない。少し、疲れた」


「今のは何だったのでしょうか」


「さっきのは、だ。…神の子はどうした」


「……」


首を横に振るジュリアを見て、ダンの顔がじわっと汗で湿った。

終わっても効果は消えない…


「違う、やっと追いついてきた…体が」


見れば両手両足がガクガク震えている。

2人以外が消えた空間で、ダンは少しずつ受け入れていく。



「私達は数時間ここにいた。でも、いなかったかもしれない。それが私達に起きたこと…。あの代行は、時間を操る…のか」


「不明です。記憶が」


「私もだ。…。…。私達は死んだのか?」


「生きています。……こちらを」


ジュリアがスマートフォンを見せる。

ドラマの打ち切りについて貝殻ユリカがコメントしたことについてのネットの記事だった。


「ここから逃がした後のことです。なので」


「あぁ…時間が、分からない」


「午後23時…あと数分で0時です」


「殺されていてもおかしくなかった。"あれ"は…一体何なんだ」




少しずつおかしくなるダンを支え、ジュリアは隠れ家へと帰ることにした。






………………………………next…→……








「……んぁ、すっかり寝てもうた」




旅館。目を覚ましたオヤブンは、腹を膨らませたサラを見てため息をつく。



「夢やったら良かったんやけどな。…さてと、ちょっくら散歩でも…ん?」


人間には聞き取れない小さな物音。

それを感じたオヤブンは走って部屋を出る。

廊下を抜けて、向かった先には…




「………」




「…ん、無口な嬢ちゃんやんけ。えっと、モノちゃん……とと、んにゃあおうー!」




「……黒猫さん。分かってる。同じ」


「…っ、なら先に言っといてくれ!!他の子達もか」


「…うん」


「隠してるつもりが隠せてなかったってことやんな。ん、まあ細かいことはええねん。何があった?」


「…別に」


「んなことないやろ。こんな真夜中にお前が1人でボーッと突っ立って窓の外見ててみ?怖いで?髪長いし後ろ姿だけ見たら和製ホラーやで?」


「…みんなに、内緒」


「おう。言うてみ」


「…………あれ」


「ん?にゃっ、」


突然モノに抱き上げられ驚くオヤブン。真ん中から分かれる白と黒の長髪から甘い香りがして、背中に大きくて柔らかい膨らみを感じて…少しだけニヤけた。


「ど、どれや」


「…そこの黄色い看板」


「………お?」



外の景色。都会ほどではないが夜でも少しは明るい。街灯やコンビニのおかげなのだが、そのわずかな明るさのおかげで見えたものがある。


建物に隠れ、こちらを見ている誰かがいる。




「………お客様」


「は?客?」


「………モノを気に入ってる」


「…お前、ストーカーされてるってことやんな?違うか?」


「……」


モノは首を傾げる。"分からない"の意味が違うとオヤブンは察して。


「ストーカーってのは…そうやな、悪いことや。付きまとって、相手のプライベートを覗き見して、酷くなると襲ったりとかしてやな…分かるか?」


「…少し」


「ここの姉ちゃん達は若くて見た目も…せやった。使者やもんな。だから余計にや。性的な目的でストーカーされたりイタズラされたりは普通に考えられることやろ。あのしっかりしたユキとかいうのは気づいてないんか?」


「……ユキは」


「そうか。ま、ワイとサラがいて良かったな。こういうのは警察に言っても解決せえへん。襲われて初めてパトロールする程度や。1回目に襲われた時に殺されたら何も意味ないのにな。っちゅうことで、任せとき。サラが飲み食いした分、頑張ったるわ」


「……ありがとう。黒猫さん」


「せやから、全部片付いたらワイと一緒にお風呂入ってくれへん?」


「……?………はい」


「…ほぉ…っ!…よっしゃ、早速偵察してくる!!」




旅館の外に出たオヤブンは足音を消して走る。

無音で旅館から見ていた場所まで向かうと、そこには1人の男がいて。



「モノちゃん…こっち見てくれてた…はぁ…はぁ」



「くっそ変態やん!!ただの変態やん!!なんやねん!!てっきりこういう時は代行絡みかと思うやんけ!!」



「っ!?……誰もいない」



「いや、おるやろ目の前に」



「…だ、だれ?だれ?」



「ビビってんちゃうぞ。幽霊ちゃんねんワイは」



「う、うわ…ゆ、ゆ、」



「だから幽霊ちゃ…あ、毛が黒いから見えへん…ってそんなわけあるかああアホおおおおお!!」



不審さが増すばかりの男に向かって跳躍したオヤブン。

顔の高さまで飛んで目を合わせると右の前足をフルスイングした。



「ストーカーすんなやああああ!!!」



「ぶぁっ!?ひっ!ひぃええええええええええ…!!」



「は!?…逃げ足はやっ!!しまった。逃がしてしもた…!」



撃退に成功したオヤブンだったが、冷静になって考えると



「あいつ…普通の人間…か?」



何かおかしい。何かがおかしい。

それを…数秒前の記憶から、探し出して。



「……あ、あ、あいつ…!!そういえば……目ん玉の黒いのが2つずつやったような………うぎゃああああああ!!」











………………………to be continued…→…



僕あた豆知識。

あの子によろしく…ドラマは打ち切りになったが、完結を望む声に応えて映画版を制作することが決まった。


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