己を省みた
少し反省してみた。元々は同じ世界であったとはいえ、一方は魔法世界でもう一方は電気やガス、その他諸々の物質世界だ。
こちらでは聖領を中心に四つの領と領主その人が絶対。私は否応なく聖領の中央に組み込まれ、巫女としての役割を果たさなければならない。
うん!ちょっとばかり、やりたい放題だったと思う。反省した!
「それで?先代の東領領主には、やはりお会いしに行くのですね?」
もちろん!ウチの子を虚仮にされたまま、引き下がってはいられないよ。アリーサったら、そんな当たり前のことを今さら?
「分かりました。あなたはもう、それでいいです」
あれ?匙を投げられた?
「待って、待って!常識だってちゃんと覚えるよ?」
私はやれば出来る子だよ?
「そうじゃありません。本来、巫女となった方は外の世界とはあまり交わらずに過ごされるものですから。
あなたはそんな方々とは少し勝手が違って、我々もやりずらかっただけです」
「え?そうなの?」
「歴代の巫女様は神殿の奥深くで静かに過ごされ、夫となった方とも表面上の夫婦であったと聞いています」
だから、夫とは言え、彼らには別に内縁の妻のような女性がおり、生まれた子供達も父方で養育される。
「うわ。私にはそんなの無理」
内縁の妻って愛人でしょ?いや、お妾さんかな。
「何で、子供を手放す必要があるの?」
「それはー‥」
いわゆる愛情などない結婚だったから。いきなり異世界に連れて来られて、家族や知人とも引き離されて、彼女達には戻る選択肢すら最初から存在しなかった。
異世界への転移は一方通行だから。
私みたいにある程度、分別のついた年代だったり、地球に未練がなかったり、そんな人間ばかりではなかったのかも知れない。
泣きわめいたり暴れたりしてもどうにもならない。だから、そうした静かな抵抗をした。そういうことなのかも知れない。
「はー、なんか悲しいね。普通は戻りたいのでしょうね」
私みたいに天涯孤独でなかったら。
ついでに私には愛しいと思える人もいなかったし。
ヒルダさんが言っていたように、こちらからは声を聞くことが出来ないらしいので、見るだけでは知り得ない事情があったのかもしれない。好きな人がいたとか。
「あ、でも私はちゃんと自分で育てるよ?養護院にいる子供達と一緒に育ててもいいし」
「そう、ですか」
「信用してないの?」
私はムッと口を尖らせる。
「いいえ」
アリーサがふるふると首を振る。
「でも、その前に夫となる方を見つけませんと」
ぐはあっ!胸に刺さる。婚活敗残者に労り、プリーズ!
「ま、まあ。それはおいおいね?それより、ラベルはまだ不貞腐れてるの?」
自分を蚊帳の外にして、先代領主に会いに行くと画策していたことを知って、ラベルは怒っているのだ。
「僕はそんなこと望んではいません!神殿の騎士となった時に東領の領主家とは縁を切っています」
そうは言っても血筋からして、ラベルが跡目を継いでも問題ないのに廃嫡みたいになってるのは駄目だろう。
お父さんが亡くなった時点では無理でも、先代が跡目を譲ったのはもっと後のこと。幼いを理由には、いまいち納得出来ない。
「私はなにより、レキの野郎に大きな顔をさせておくのが腹が立って仕方ないのよ!」
本音がだだ漏れた。
「まあ、私もあの方のおっしゃりように納得いたしかねますが」
ですよね!
「ラベルの権利回復を目指して、立ち上がろう!」
え?逸るな?段取りが必要?
ですよね!またまた、失敗するところだったよ。アブナイ、アブナイ。




