怒られたよ
あれれ?無詠唱魔法を習いに行ったはずなのに、肝心要の目的を果たさず帰った私はヴァンからお叱りを受けた。
「色々あったんだよー」
ラベルを小馬鹿にされて、頭に血が昇ったせいなのだが私の口からは言いたくない。
「あ、でも、好きなだけここにいていいって」
「滞在の許可は、とうに私がオーリ殿からいただいております」
うん。でもね、領主自らに許可を得るとじゃ違うよね?
「オーリ殿が独断で決めているはずないでしょう。領主の許可があってこそです」
もー、ヴァンが口うるさい。アリーサが二人いるみたいだよ。
「私は最初に会った時のヴァンのほうが好きだなー」
もうちょっと砕けた感じが良い。
「ピロロロロロ!」
主人を庇ってか、カナンが無駄に翼をばたつかせて加勢する。
「ちょっ、止め!」
髪が乱れるし、埃は舞うしで地味に嫌な攻撃だ。
あんたは森の中や外を自由に飛び回って、ろくに仕事もしてないくせに、何様のつもりよ?
私は軽く説教する。すると、カナンが久方ぶりに暴挙に出た(連れてきてくれた恩を感じてか、大人しかったのだが)。
最初に会った時、私にしたグルグル目、舌ピロピロを私に向かってして見せた。
あ、また!このやろう。
腹立つわ〜!
「こら!止めないか!」
すると、ヴァンから叱られた。
「俺から見えないと思ってやってるんだろうが、分かってるんだぞ!」
カナンがガーンって感じでよろめく。カナンは雌で、どうも主人であるヴァンのことを雄として意識しているらしく、ライバルには容赦ない。このピロピロもしょっちゅう、ライバル認定した女性に対して行っているみたい。
「神殿騎士の騎獣ともあろうものが情けない」
ガガガガーン!って効果音がついてそうな位、カナンがショックを受けている。
可哀想になったのでフォローしてあげる。
「まあまあ。私はそんなに気にしてないし、見ようによっては面白いし」
「‥ナツキ様」
あれ、なんか寒い?空気が重いよ?
「あなたもカナンとさほど変わりないですよ?旅の空の下だからと、気を抜き過ぎなのでは?」
ガーン。鳥類と同列に扱われた。ショックだ。こんなの鶏と同じだと言われたようなものだ。まさかのケンタ◯ッキーフライドチキン扱いとは‥。屈辱。美味しいけどさ。
「もー、あんたのせいでとんだトバッチリだよ!」
「ピエエエ!」
カナンがバッと鳥頭を持ち上げると、あろうことか私の頭を嘴で突っつきはじめた。
「痛っ!痛いってば!止めなさいっ」
血が出るほど、本気で突っついてはいないが、例えるなら箒の持ち手の先でツンツンされる痛さか?
で、あんたらは何で私を助けない訳?
ヴァンはもちろん、アリーサもセーランも、まさかのトールまで傍観している。妖精さん達に至っては新しい遊びなのかと興味津々だ。
違うよ、違うからー!誰か私に癒しを。癒しを下さいー!




