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異世界でもふっと婚活  作者: NAGI
第一章 東領編
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気がつけば羞恥心

どのくらい気を失っていたのだろうか。私は、ぼんやりと目を覚ました。

風が止んだのかと思ったが、そうではないらしい。どこかの洞窟の内のようだ。…暖かい。

視線の先で、焚き火がチラチラと炎を上げている。

伏せた体を持ち上げると、肩から何かがずり落ちた。黒っぽいコートのような服が体にかけられていた。その下は全裸だ。

「コホン」

わざとらしい咳払いが聞こえた。

どうやら私以外にも人がいたらしい。頭の方角には誰もいないので足元の方を見ると、そこには所在無げに座る人の姿があった。

「あー、気がついたのか?気分はどうだ?どこか痛むところはあるか?」

「ええと。とくには…」

寒い以外に特に問題はない。まあ、全裸なのは大問題であるが、そうしたことを聞いてはいないと思われた。

「そうか、良かった。人によって転移後、具合が悪くなると聞いていたのだが…。それはそうとー」

その人はすっと背筋を伸ばしたかと思うと、次の瞬間、がばりと頭を下げた。

「迎えに来るのが遅れて、申し訳無い!」

「へぁっ?」

びっくりして変な声が出てしまった。

「こんな寒空の下で待たせてしまって、俺は騎士失格だ。…本当にすまない」

随分と気に病んでいる様子に私は、

「いえ、いいですよ。そんな気になさらなくても…。それほど長時間、あそこにいた訳じゃないし」

と、逆に慰めるように言った。

そもそも迎えに来るのが遅れたとか、そんなこと聞いてないし。

「いや、そのせいであなたに迷惑をかけてしまった。こちらの責任だ。本当にすまなかった」

「迷惑だなんで…」

「あと、寝ている婦女子にどうしたものかと思ったが、汚れたままにしておけないし、勝手にこちらで処置してしまったことも、合わせてお詫びする」

言いながら、そっと視線を反らせる。

ん?処置ってなんのこと?

「…それで、だ。これを着て欲しい」

手渡されたのは、白っぽい生地の服だった。

私が、それを受け取ると彼は立ち上がり、

「俺は外で待っているから」

そう言って、私の側から離れて行った。

訳の分からないまま、一方的な会話にしばし呆然とする。

私は、ぼんやりと彼の後ろ姿を見送った。

あー。何だか、まだ思考が追い付かない。

さっきの人…。人ってゆうか、人間じゃなかったな。

着ぐるみじゃないよね。獣人と言ったらいいのか?頭が狼で、体が人間。

それよりも、処置ってなんだろう?気を失う前の私は、どうしていたっけ?でっかい鷹に襲われて、それで…。

「ん?」

はたと思いつく。

私は黒っぽいコートをめくって、下半身を見た。

生足がそこにはあった。本来であれば、感じたであろう違和感もなければ、鼻をつく臭いもなかった。

綺麗なものだ。行き着く、その真相は果たして…。

「はわわわわわ!」

私、見知らぬ狼男に下の処理されちゃった!


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