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異世界でもふっと婚活  作者: NAGI
第一章 東領編
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リサーチしよう

なるほど。捨て子なんてもっての他と怒り浸透であったが、それなりに理由があると。そういうことなのね?

一般的な人の魔力は、生活する上で便利という程度しかないらしい。それぞれ属性というものがあり、例えば火の属性を持つ者は鍛治や料理人(火を使う職業)に有利だし、風や水の属性持ちは漁師や船乗りに適している。

あくまで属性は属性として、職業は自由に選択出来るのだけれど。聖領に関して言えば、農業と商業に従事している者が大半を占める。

商業と言っても本店は各領にあって、支店がほとんどだ。聖領のご要望に瞬時にお答え出来なくてどうする!と言うことらしい。

「けど、困ったなあ。未亡人となって生活が困窮するから再婚したい。けど、相手が獣人ではない一般の男性だと獣人の子供は手に余る。そこでやむなく子供を手放す母親がいる、か」

「決して自分だけが幸せになりたいからという、身勝手な理由ではないのです。親子二人、共倒れになるくらいならと泣く泣く手放す母親がほとんどで」

養護院を後にし、私に与えられている私室でアリーサに養護院の現状について詳しく説明してもらう。

「あんなにかわいい子供達なのに…」

赤ちゃんは総じて皆かわいい。なかでも獣人の赤ちゃんはまた格別だ。特に耳!ピコピコ動く様を見ているだけで、ご飯が何杯でも食べられそうだ。

「熊系の獣人は特に力が強くて、大きくなりますから…」

そうなのだ。さっき会った熊系獣人の赤ちゃんのお母さんは一年前、まだお腹に赤ちゃんがいるうちに商隊の警護を生業にしていた傭兵の旦那さんを亡くされたそうだ。

身二つになって、さてどうしたものかと考えてはみたものの、手のかかる赤ん坊のいる間はろくに働けない。

蓄えは徐々に底をついていく。傭兵は危険と隣り合わせな分、給金も高いのが幸いであった。無事に赤ん坊を産むことが出来たのも蓄えを残してくれていた旦那さんのお陰だそうだ。

今は給仕の職について、朝から晩まで働いているが、一人食べていくだけで精一杯らしい。

結婚したいから、赤ちゃんを預けていった訳ではないらしい。出来れば親子二人で暮らしたいと、切望している。健気だね。

「赤ちゃんがいても働ける環境を作れば、いいんじゃない?」

「もしかして、養護院を当てになさっていますか?あそこは幼い神官見習いのために設立されたもので余分な人員を配置してはおりません。

見習い達が幼い子供達の面倒をみるのは、必要に応じてのことであって、本来の役割は別にあるのですよ?」

アリーサに斜め目線でじとっと見られる。

う。当てにしてました。すいません。

「ヒルダ様も現状を憂えておられますが、一般の男性に獣人の子供を養育するように強制する訳には参りませんし」

聖領は他領に比べて、事情に応じて税金の免除や軽減等の優遇措置もあり、恵まれている。そこに福祉や雇用の充実が加えられないものか‥。

「うーん」

私は腕組みして考える。私の前職は福利厚生とはほど遠い、ブラックが蔓延していた企業なので、にわかには思いつかない。

女の人が結婚したら退職が当たり前で育児休暇なんてもっての他!という今の時代と逆行していた。

でも、そんなの駄目だよね!誰しもが幸せになる権利があって、働く権利がある。

子育てしながらでも働けて、親子二人でも生活出来る基盤を作っていかないと。安易に結婚して養って貰ってという考え方では駄目だ。

「それじゃ、リサーチから始めるわよ!」

私は拳を振り上げる。前職では一時期、市場調査、いわゆるマーケティングリサーチを担当していた。

「は?何ですの。リサーチ?」

アリーサがぽかんと口を開いて、私を見た。




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