閑話
獣人について話してみようと思う。彼らはレーヴェンハルトが元々あった世界、地球で誕生した。おそらく魔力を持ったことが関係しているのだろう。
彼らは獣を神として崇め、崇拝した。すると、いつしか彼らの体に変化が現れた。
例えば、普通の人間であった顔が犬のように口が尖り、体の表面が獣のように毛で覆われた。
それと同時に人にあらざる敏捷性や嗅覚などが発達し、獣に近い性を持つに至った。
それは多岐の動物に当てはまり、犬や猫。はたまた、寅や獅子といった大型動物。鹿や馬といった草食動物にいたるまで様々な変化を遂げた。
ただし、良いことばかりではない。いわゆる肉食系の動物に変化した人間は凶暴性が増した。
人としての理性が、本能にも似たそれを押さえつけている間は問題ないが、一旦理性を取り外した獣人はそれこそ手がつけられなかった。
人によって魔力量は様々で、一般的な人族は総じて魔力量は低かった。彼らに暴れる大型獣人を止めよと言っても無理な相談だ。そうした事柄から人族と獣人との間に境界のような目に見えない線引きのようなものが出来た。
決してお互いが憎みあったり、差別しあったりする関係ではないと言っておこう。
かつての地球で魔力のある者と無い者の間に出来た軋轢などは生じていない。
普段はよき隣人同士なのである。ただ、同じように暮らしていくには無理があり、それを失くす努力はそこかしこで見られたが、改善には至っていないのが現状である。
私も彼らをもっと理解していきたいと思う。お互いが歩み寄るためにも。