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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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98/201

98.婚約記念のワルツは波乱含み!?ついに婚約破棄を予告する、変態悪女でございます!

 さて、こうして4月(アプリリス)は1日、婚約式のまっただ中。

 大勢の婚約カップルがくんずほぐれつ、ラブラブなダンスを楽しむのを横目に。 


 ターンをなかなか上手に決める私ことエリザベート・クローディスと婚約予定者のシド。

 2人の間には今……

 甘々なワルツの陰で、目には見えぬ、氷点下のブリザードが吹き荒れているのですっ!


「ハゲしい人工呼吸? 今ここで?」困惑気味のシドさん。


「そうよ」


「バカですかお嬢様?」


「シドの方がバカ。最低。

 結婚生活やる気なくした。婚約式終わったら、婚約破棄しましょうっ!」


「……ずいぶん極端ですね」


 シドの声が低くなります。


 でもね、リジーちゃんだってもうガッカリ、ですからね!


「だってだって!」 涙を一生懸命こらえます。


「婚約してない時の方が、シドさん優しかったもん!」


 あの頃は頼まなくても、いっぱいチュウチュウなでなでしてもらえたし。

 愛されてるって簡単に実感できたのに……っ!


 今やこっちから人工呼吸お願いしても 『バカですか』 ですからね!


 これだけリジーちゃんが拗ねてても、シドさんたらまだ、こんなこと言ってますからね!


「婚約したら工場経営の勉強始まるでしょう? 先のことも考えないと」


 そんなことわかってます!

 わかってるけど……


「もうやだっ!」


 これから先ずっと、ラブラブイチャイチャしたい♡ ……そんな雰囲気をブチ壊す必要が。


 今、ここの、どこに、あるというのでしょうかっ!?


 もうリジーちゃん言っちゃいますよっ!


 前世から 『キライな言葉10選』 に殿堂入りしているあのセリフをっ!


「空気読んで下さいませっ!」


 ……あーーー。言っちゃいました。

 ぺっぺっぺっ(吐き捨て)


「え?」 対するシドさん、あからさまに不思議そうなお顔をしておられますね!


「お嬢様にはそんな特技が?」


「あるワケないでしょうっ」


 …………そう。実は。

 ルーナ王国にはないのです!

『空気を読む』 という概念がっ!


 皆が割かし 「私が基準」 と思い込んで好きなことを喋るお国柄。


 転生前は空気読みまくって凝り固まるしかしてなかったリジーちゃんも、今ではすっかり忘れちゃっていますよ。

 空気の読み方。


 どうするんだったっけ、てへ (照れ笑)


 よし。

 ではきっちり、言い直してみましょう!

 レッツトライ。


「工場経営のことは、明日から考えます」


「……別に今日でも構わないでしょう? もともと婚約式するつもりもなかったクセに」


 うっ。痛いトコ突いてきますねぇ!

 ついでにもう1回、華麗なスリー・ステップ・ターン。


「だってだって……!」 事情はどうあれ、参加したものには最大限乗っかりたいのが人情というものではないでしょうかっ!?


「今日は、シドさんと目を合わせてニコニコしたりとか、そういうことしかしたくないの」


 心臓が早鐘のように打ちます。

 血流が頭部に集中してちょっぴりクラッときています。


 は、恥ずかしいっ……普段の変態なお願いなら全然平気なのにっ!

 ノーマルなキャッキャウフフを要求するのが、こんなに恥ずかしいとはっ!


 でもリジーちゃん頑張ります!

 悪女は恥ずかしさなど蹴倒し踏み越えネタにするのですよっ!


「さっきホメてくれた時も、本当は、す、す、す、……」


「すごく嬉しかったですか?」


 おおっシドさんナイス助け舟!

 推定・真っ赤なお顔でコクコクとうなずくリジーちゃん。

 うなずきながら、はい、またターン。


 なかなか器用ですね!

 シドさん×リジーちゃんペア!


 と? ……ん?

 壁にぶつかるじゃないですかっ!

 そういえば、ケンカとダンスに精一杯で周囲見るの忘れてましたね。


 ………………

 ………………

 ………………。


 …………んで?


 どうして、シドさんのお手々が、リジーちゃんの顔の両脇につかれいるのでしょうか?


 どうして、シドさんのお顔が近いのでしょうか?


「……産毛」

 そしてナニおっしゃってるんでしょうかシドさん?


 頬にお口があたっておられますが?


 ふっと、息がかかります。


 ……もしや。

 今シドさん、リジーちゃんの産毛がそよぐのを視姦中!?


 やぁぁん!それはなんだか嬉しくないぃぃぃっ!


 イクない方の身悶えしちゃいますよ、もうっ。


 ナターシャに頼んで剃ってもらえば良かったっ……!


「剃らない方が可愛いですよ……ほら」 また、ふっと息がかかります。


 いやそこホメられても微妙です。

 でも、シドさんは楽しそうに、ふっ、ふっ、と産毛をそよがせ中。


「あなたがいちばん、誰よりも、可愛いですよ」


 それ、今言われても。


 産毛はえてるからですかっ!?

 ……としか思えませんが?


「僕の大切なお姫様」


 か、かゆいっ……

 かゆみしか、感じませんっ!


 落ち着くんだリジーちゃん!

 これはアレだ。イジワルの方ですよ。


 断じて本気とかじゃ、ないのだよ、そうだそうに違いないっ!


 さぁ、深呼吸で乗り切るのですっ!


 すー、はー、すー、はー…………


 …………うん?


 珍しいことに香水なんかつけちゃってますね、シドさん。


 シトラスにミントちょい足し、ってところでしょうか。


 ……そうか。

 シドも、ちゃんと楽しみにしていてくれてたんですね。婚約式。


 そうだったんだ。うふふふ。


 なんだか、テれちゃいますねぇっ!


 胸の奥から温かいなにかが溢れまくりです!


「シドさん大好き」


 漆黒の瞳に映っているリジーちゃん、本日最高潮にデレデレ崩れております……見てられませんね。

 ダメですね。


 そっと目を閉じちゃいましょう。


 と、なにやらまぶたの上に、柔らかい感触が。


 ……あー……これは。


 久しぶりのお口サービス……というか。

 このパーツには、初めてですねぇ……。

 目の周りの化粧、断っといて良かったなぁ。


 崩れちゃったら、それこそ目も当てられません、もの……


 そんなことをツラツラと思う間にも。

 シドの唇が、軽く頬と鼻の先をかすめていきます。

 そこそこ化粧を崩さないよう気を遣ってくれているもようですが。


 後で、直さないとなぁ……

 んーでも。もったいないから、このままでもイイかなぁ……


 なんてことを考えているうちに。


 人工呼吸 (心の方) をいただきました。

 長め、でございます。


 ダンスはすでに、次の曲に入っております。


「少しだけ出ましょう」


 シドが囁きます。


「どうして?」


「もっとハゲしめのをしたいから」


 …………!


 やっぱり化粧直し要らないですね!


 どーせ、シドさんといればリジーちゃんの顔面は崩壊しっぱなしなのですよ!


 クスクスと笑いつつ、シドさんのお胸をペタペタと叩いてみる、リジーちゃんなのでした。

読んでいただきありがとうございます。


この度、嬉しいお知らせがっ♪

秋の桜子様より、リジーちゃんのファンアートをいただきました!

しかも2・ま・い、も!

1枚目は、下の方に貼らせていただいております。

もう1枚は、少し前の本文中に。

キーワードは「サンドイッチ」でございます。

第何話だったかな……王女殿下のデート企画に別のモノが降臨された回なのですが。

素敵なのでぜひぜひ、見てきて下さいね~!


(ちょうどリアルで凹んでたタイミングだったので本当に神様か天使様かと!桜子さまには奉納舞をいたしました♡)



そして、桜子さまのご利益なのか、それとも読者様のお優しさか!あ、両方のおかげですね!

ブクマもたくさんいただきまして、感激ひとしお、でございます。

これまで読んでいただいている方も、新たにお読み下さった方も、本当にありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[良い点] >秋の桜子様より、リジーちゃんのファンアート おめでとうございます <(_ _)>~♪ [一言] シドさんは、現経営者の娘さんを冷遇したらクビになるとかいう発想はないのですかね?ww …
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